高貴な嘘

(こうきなうそ noble lie)


プラトンの『国家』(414-5, 459-60)に出てくる神話で、 人間は土から作られ、統治者になるべくして生まれたものは金が混じっており、 戦士には銀が、農作者と工作者には鉄が混じっている、という話がある。 これは各人が各自の役割に不満を持たずに国家のために生きることができるように、 統治者が人々に信じこませるためのもので、 プラトンはこれを高貴な嘘(ギリシア語でgennaion pseudos)と呼んだ。 royal lie, maginificent mythなどとも訳される。

シジウィックのesoteric morality (功利主義はエリートのみが知っており、 市民は常識道徳に従っていた方が功利主義的に望ましい) も同じような考え方と言える。

28/Feb/2003


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Mon Jan 13 12:08:57 JST 2003