(にりつはいはん antinomy)
二律背反とは、二つの矛盾する命題(定立と反定立、あるいは命題と反対命題) がどちらも明らかに証明されるような事態である。 アンチノミーとも呼ばれる。
通常は矛盾とかパラドクスとほぼ同義に用いられるが、 哲学ではカントが指摘した世界に関する 四つの相反する命題のことを指すのがふつうである。
第一、空間と時間は有限/無限である。すなわち、 世界に始まりはあるか、また宇宙に果てはあるかについてのアンチノミー。
第二、実体は単純な部分からなる/ならない。 すなわち、事物を無限に分割できるかどうかについてのアンチノミー。
第三、自然の法則以外に、自由の法則(自由意志)が存在する/しない。 すなわち、人間の意志が、世界の出来事に影響を及ぼすのかどうかについての アンチノミー。
第四、偶然的な存在者だけでなく、必然的な存在者がいる/いない。 すなわち、神の存在をめぐるアンチノミー。
これらのアンチノミーにカントがどのような解決を提案したかについてはまた。
26/Apr/2001