昨期(平成21年度)をもって京都府臨床検査技師会の理事を退任することになりました。私が京臨技に残した足跡というようなものはございませんが、精度管理事業については少し語っておく必要があろうと思い筆を執った次第です。
精度管理事業は、平成21年度で第25回を迎え、始まってから四半世紀となりました。ここいらで京臨技の精度管理事業の歴史を少し振り返ってみたいと思います。私が京臨技の理事に就任いたしましたのは、1996(H8)年、精度管理担当理事として関わったのが第14回1998(H10)年度なので、それ以降の変遷を少し綴ってみたいと思います。
前任の理事から精度管理事業の引継ぎの際、参加施設の一覧表(施設番号○○番の△△施設は化学、血液、一般、・・・の参加といったリスト)が手書きであったことを記憶しています。当時はまだ電子化も過渡期だったのでしょう。その年度から施設リストをエクセルで作成いたしました。でも、注意して入力しているにもかかわらず入力ミスがあり、サンプル発送準備のときに「石澤さん、これ間違ってるで」と精度管理委員のかたからご指摘されたこともしばしばありました。
現在、精度管理事業のサンプルは、宅配業者が各施設にそれぞれ配布していますが、当時は京都の問屋さん数社にお願いして配布していただいておりました。今でこそ、1日に何台も宅配業者のトラックを見かけるご時世ですが、当時は問屋さんの協力なしでは精度管理事業は成り立たなかったことは想像に難くないと思われます。しかし、その後プロモーションコードに引っ掛かるということで、第20回2004(H16)年度から宅配業者による配布となりました。奇しくもサンプル配布の日、台風23号が北部を襲い一部の施設ではサンプルの到着が1日遅れてしまうという事態が生じました。にもかかわらず、その1日遅れた数施設からの回答が真っ先に私の手元に届いたことには驚かされました。
第24回2008(H20)年度から全研究班が一同に会しての合同報告会を実施するはこびとなりました。もうひとつは、前回までは精度管理特集号として会誌にサーベイの結果を掲載しておりましたが、コストが非常に掛かる等の理由で、CDにPDFファイルを焼き付けたものを施設単位に配布(当時の担当:丹羽理事)することになりました。また、会員個人で見たい場合は、京臨技のホームページでも閲覧ができるようになりました。
第25回2009(H21)年度からはサーベイの参加が有料化となりました。サーベイの項目の増加や凍結乾燥品が増えたために京臨技の財政を圧迫していたことが理由です。有料になったことで、より質の高いサーベイを提供しなくてはというプレッシャーがわれわれにかかっており、回答結果への個々の評価もそのひとつです。みなさまの昨年度の精度管理事業に対する評価はいかがでしょうか?
そして、昔も今も変わっていないのは、各研究班の精度管理委員のかたの存在です。精度管理委員のかたは、自分の研究班のことはもちろんサンプル発送準備においては、各々の施設へのサンプルの梱包や問題用紙・回答用紙のチェック等々もやっていただいております。サーベイの集計、原稿執筆だけでも大変な仕事です。私も理事になる前の数年間、血液の精度管理委員をやっておりましたが、正月休みにデータを入力(当時はパソコンではなく現在では化石と化したワードプロセッサで作成)していたことを懐かしく思い出します。
昨秋のサンプル発送準備の日、ある研究班のサンプルが準備できていないというハプニングがありました。遅れてきたサンプルをみんなが手分けしてピペットで分注する作業をテキパキとやってくれました。誰ひとり先に帰ったり文句を言ったりする人もありませんでした。私も見ていて「うーん、さすがプロ集団」「京臨技のチームワークは凄い!」と心の中でつぶやきました。この日の精度管理委員をはじめとするボランティアの面々は本当にすばらしいものでした。
私が長い間、精度管理担当理事を続けて来られたのも、このような代々の精度管理委員の方々に支えてもらったおかげです。これからもその時代、時代に合わせて精度管理事業の形は変わって行くでしょう。しかし、このような熱意のある精度管理委員の方々がいる限り京臨技の精度管理事業は安泰です。今後も京都の臨床検査のレベルアップのために力を貸して下さい。
感謝をもって稿を終えたいと思います。どうもありがとうございました! |