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小坂さん、あの本どうです? 京都大学医学部附属病院 白波瀬 浩幸

小坂さん、シゲマツで意気投合しましたね。
「ビタミンF」で、重松清がすっかり気に入り、「流星ワゴン」に魅せられて、 「ナイフ」、「幼な子われらに生まれ」、「見張り塔からずっと」など、シゲマツの初期の作品はだいたい読んでいたボクと読書談義したときです。

 シゲマツのいいところは、誰でもだらしなくて、弱くて、ずるい部分があることをストレートに言ってくれますよね。適度なだらしなさや、適度な弱さや、適度なずるさは、あってもOKですもんね。むしろ、こうあるべきという自分の思う虚像に近づこうと頑張り過ぎるあまり、壊れちゃうことだってありますもんね。

 ボクは読書が苦手で、小学校の夏休みの宿題で退屈な本を最後まで読みきれずに、『あとがき』を参考に読書感想文を書いて、担任の先生にバレたことがあります。そのくらい読書に縁のなかったボクですが、シゲマツの「ビタミンF」をきっかけに、縦書きの本を読むようになりました。40歳前のオッサンになってからです。

 こんなエピソードも持っています。高校卒業前に、友人から五木寛之の「青春の門」シリーズの文庫本を借りていました。 『コレ、面白いで』といって、貸してくれた本ですが、『筑豊編』を読んだか読まないくらいで、そのまま30年が経過しました。もちろん、ずっと借りっぱなしです。今年のお正月の同窓会で、やっと返すことができました。向こうは、貸したことを忘れてましたけど。

 実はこの青春の門シリーズ、去年の冬に読みました。この年代になって青春というのも照れくさいですが、とても面白かったですね。
『いろいろ人生経験を積むと、自分の経験に照らし合わせて読むから本が面白いんやないかな』
このセリフは、小坂さんから聞いたような気がします。

 司馬遼太郎は「坂の上の雲」のあと、「竜馬が行く」をいま読書中です。いつも、3冊くらいの本を、読みかけにしながら少しずつ読むのが自分流で、司馬遼太郎のシリーズは1年以上前からずっと3冊のうちの1冊なんです。そのほか、東野圭吾、浅田次郎、村上龍、伊集院静、荻原浩、伊坂幸太郎、奥田英朗。ウチの書棚は、男性作家の文庫本が圧倒的に多いです。もちろん、村上春樹の作品も並んでいます。「ノルウェイの森」、「海辺のカフカ」、 「ダンス・ダンス・ダンス」、「回転木馬のデッド・ヒート」などなど。

 小坂さん、あの本はどうです。ミリオンセラーの「1Q84」。
ボクは文庫本になったら、ゼッタイ買いますけど、まだ読んでいません。この前、第3巻が出たんですよ。石澤さんと一緒で、ハードカバーは書棚の場所をとるし、持ち歩き不便なのでボクも滅多に買いません。 2度3度と読み返す本はあまりありませんが、かと言って場所をとるという理由で気に入った本をブックオフに持って行くのも抵抗がありますしね。昭和人間と言われそうですけど、まぎれもない事実ですしね。

 それに小坂さんから薦められた宮元輝、まだ読んでないんですよ。「竜馬が行く」はもうすぐ第8巻を読み終えますから、次は宮本輝にしようと思います。そうこうしていると、あの本が文庫本になるでしょうしね。小坂さん、そのころにまた読書談義がしたいです。

(小坂 明 氏:2009年11月急逝、元京都府臨床検査技師会副会長・前顧問)

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