TOPTOPTOPTOPTOPTOPTOPTOPTOPTOP
 
掲示板 コラム 最新 コラム バックナンバー
コラム

ゲーテとパルとLove49 (後編) 大阪府済生会野江病院 清水恵子

子供の頃から、とにかく‘行事を呼ぶ女’だ。
行く先々で行事がついて回る。ゲーテ風にいうと、捉え方次第でプラスにもマイナスにもなるわけだからプラスに考えてありがたいと思うべきところである。しかし、今年の4月9日に行なわれた子宮頸がん予防の啓発活動であるLove49‘らぶ・しきゅう’は私にとって、本当に大変なエピソードであった。
この啓発活動は‘NPO法人子宮頸がんを考える市民の会’が4月9日を語呂合わせで ‘子宮の日’と定め、同会主催で行っている頸がん検診受診率向上を目的とした諸活動と、細胞検査士会が共催事業として行った都道府県単位の街頭活動をさしている。
細胞検査士会が行った街頭活動は、子宮頸がんについてわかりやすく説明したパンフレットとハーブの種袋を配布したもので、同会が初めて本格的に行った啓発活動である。

総務委員長の呼びかけに、大阪府支部細胞検査士会では大胆にも2500部の配布を申し出た。なんの因果か、この大事な行事が行われるときに私は大阪府支部の会長だ・・・。
まあ、仲間がいるんだからなんとかなる。職場で後輩に「こんな活動あるけど、京橋駅で一緒に配ってくれる?」と訪ねると「いいですよ」と快諾だ。よしよし、きっと大丈夫!しかし、活動本番が近づいてみると、なんだか雲行きが怪しい。配布物というものは簡単には配れないようである。道路使用許可。そういえば、時折ニュースで、歌手が繁華街でゲリラライブを行い大混乱。道路使用許可が取れてなかったことが問題に!な〜んて言っている。どうすればいいの?なんだか思ったより大変そうである。

「清水さん、なんかしらんけど‘Love49プロジェクト’とかいうところからメール来てますよ。怪しげなメールと間違えて消すとこでした」ある日、病理検査室宛のメールチェックをしていた後輩の小椋さんが言った。
どれどれ・・・子宮の日(4月9日)の街頭活動のグループメールか。ほんと、‘Love49’はちょっと怪しい感じだ。それからというものグループメールは頻繁にやってくる。
具体的にやらなければならないことが、私にもわかるように説明され、いつまでにやれば良いか指示されている。道路使用許可申請に必要なものは?う〜〜ん、やはりなかなか大変そうである。警察署というところは、なんにも悪いことをした覚えはないけれど、訪問するとなるとなんとなく気が重い。おまけに、道路交通課の窓口で殆ど認知されていない‘Love49プロジェクト’の説明をしなければならない。強面のおまわりさんに、「なんかトラブルがあった時の責任者はあんた?」 と一睨みされて、胃がキリキリ痛む・・・。
そりゃそうだけど子宮がんの啓発活動でなんか起こるわけ?「ここは、人通りがはんぱじゃないからトラブル多いんだよね。くれぐれも、ノボリが通行人に当たったりしないようにね」そうかあ・・・。

「もし、トラブルになったらどうしたらいいんでしょうか?」私はすっかり弱気だ。なんせ、京橋駅周辺、天王寺駅周辺、森之宮駅周辺、天満駅周辺の四箇所での配布活動だ。各箇所に責任者はお願いしているものの、不測の事態に備えておかねば!頼りないが、とにかく私は会長なのである。「とりあえずは近くの交番に届けて」そりゃそうだ。
善良な市民の私たちを守ってくれるために、おまわりさんは交番にいるのだった。

ほっとしたのもつかの間、総務委員長から、マスコミへのリリースもできる限り行うようにとのお達しがあった。そんなの、勿論初体験だ。普通は「どうか反応がありますように!」と祈るところであるが、既に警察署で弱気モードに突入している私は「ちょっとだけ、反応がありますように!」と神様に祈りながら各社への郵便をポストへ投函した。
いよいよ本番。天気は晴れ!行いを正しておいて良かった。その日は木曜日で、手術が立て込む曜日だ。いつもならば残業が常であるが、なんと定時に全員の仕事が終った。
なんだか助けられてる感じ。気合入れて頑張るぞ!野江病院病理検査室のスタッフ(細胞検査士5名、病理医1名)総出で京橋駅へ向かった。
星ヶ丘厚生年金病院の西田さんも駆けつけてくれた。一般参加のKさん含め、8人での街頭活動となった。マスコミからは、毎日新聞、産経新聞、朝日新聞の三社の記者さんが取材に来てくださった。
配布は思ったよりも難しく、初めはなかなか受け取ってもらえなかった。けれどもそれぞれが工夫をして、一時間の活動が終る頃にはなんとかコツをつかんだ。結果として、たくさんの方に配布することができた。写真は活動終了直後にKさんに撮ってもらった記念写真である。後列はノボリ側から、鎌田悠技師、私、平塚拓也医師、西田雅美技師、前列はノボリ側から、高安祥子技師、小椋聖子技師、江木さつき技師である。
全員が‘達成感’を胸にとっても良い顔をしている。
終ってみれば得るものだらけであった ‘Love49プロジェクト’。やはり、私は行事がついて回る幸運に感謝しなければならない。そして、共有できる仲間がいてくれることにも。我が家のゴンタ犬の名前のパル(PAL)には‘仲間’という意味がある。私にとって、パルは ‘心が開いている時だけこの世は美しい’というゲーテの言葉を思い出させてくれた大切な仲間なのである。
そして、改めて執筆の機会を与えてくださった芦田英之氏が私の大切な仲間であることに感謝しつつ、エッセイを終えさせていただきます。乱文を読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。
(芦田WROTE・・ 清水会長、多忙な時期にコラムをお願いして恐縮でした。
有難うございました。清水様は私にとっても本当に大切な仲間であり、
リスペクトしております。「PAL」・・仲間。。。素敵です!!)

バックナンバーTOPへ戻る
ページの先頭に戻る