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「「かに座」と「癌」、どっちも「キャンサー」」 京都民医連中央病院  林 孝俊

病理という仕事柄よく「癌」を扱います。
英語でCancer(ドイツ語ではKrebs)といいます。
Lung cancer(肺癌)、Gastric cancer(胃癌)、Breast cancer(乳癌)などです。
ではこのCancerとは?
実は12星座占いにもある「かに座」のことなのです。
命名されたのは、進行乳癌の皮膚浸潤が、あたかも“おっぱい”に蟹がくっついて足を伸ばしているように見えたことからだそうです。
日本でも「癌」語源の最も有力な説は、岩が変化したものというもので、
実際に江戸時代の医学書では乳がんを「乳岩」と表記している例が存在するそうです。
確かに、癌細胞の周囲には結合組織が増生して腫瘤を形成するので、実際に触ると固いです。
現在の癌という漢字もこの説を取り入れており、癌のやまいだれの中の「品の下に山」という漢字は岩を表す漢字です。(ワープロで「いわ」で変換すると「嵒」がでます。)
また最近では、漢字の「癌」は、いかにも不治の病という感じがするというので、
優しい感じの「がん」、「ガン」という表現が府民検診やマスコミなどでもよく使われています。
厳密には「癌」と漢字で書いた場合は上皮性のもの(癌腫:carcinoma)を指します。
骨のがん;骨肉腫、血液のがん;白血病、リンパ腺のがん;悪性リンパ腫など、非上皮性の悪性腫瘍(肉腫:sarcoma)を含め、「細胞が勝手気ままに増殖を続けたあげく」
それが原因で、宿主である人が死んでしまう、すべての病変(がん、ガン:cancer)を指します。

ちなみに、「癌」とは職業柄切っても切れない縁がありますが、冬の味覚の王様「カニ」もまた絶対切りたくない縁となっています。
もしかしたらGastric cancer=胃蟹になってたかも?と思うと、今ほど冬の味覚カニをおいしく楽しめているかどうか…

「いわ」でよかったなぁ

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