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「『さま』? 『さん』?」 京都城南診療所 佐々木由紀子

 私の職場は、健診を中心とした診療所です。1Fは外来診療中心で2Fは健診及び検査スペースになっています。

年末から年明けにかけて改装を行い、きれいになったのを機に、接遇も考えようと言う事で、2Fの健診受信者の方は『さま』でお呼びすることになりましたが、1Fの外来はこれまでのつながりもあり、いままで通り『さん』でお呼びすることになりました。

検査や放射線は2Fで健診の方の検査も、外来の患者さんの検査も行いますので、少々混乱しています。
『さま』とお呼びしたあとに続く言葉も丁寧語でと思っていますが、日ごろ使い慣れない言葉はなかなか出てこず、スタッフでのミーテイングでお互い注意しあっています。

今、機能評価に向け、接遇問題を重視している施設が多いようですが、先日、友人たちともその話になり、検査をしているときには丁寧にいえないこともあるよねという話になりました。呼吸機能検査のとき、「大きく吸って下さい」「吐いてください」では、正確に検査が出来ないのではないか、緊急検査のときは無理じゃないかとか。皆さんの職場ではいかがですか?

敬語の使い方は、わかっているようで難しいものですね。尊敬語と謙譲語を混同して使っていたり、日ごろから気をつけていなければ、いざというときに間違って使ってしまうようです。誤用されがちな動詞は下記のもののようです。

 

基本動詞

尊敬語

謙譲語

する

なさる・される

致す

言う

おっしゃる

申す

見る

ご覧になる

拝見する

聞く

お聞きになる

伺う

思う

思われる・おぼしめす

存ずる

いる

いらっしゃる・おいでになる

おる

行く

行かれる・いらっしゃる

参る・伺う

来る

来られる・みえる

参る・伺う

会う

会われる・お会いになる

お目にかかる

 私の周りでも、「あなたが申されたことは・・・」と使う人がいますが、謙譲語に尊敬語をつけているので、相手を自分より下げていることになります。私自身も「会議に欠席させていただきます。」と使ったりしますが、これは自分の行動を丁寧語で言っているのでまちがいです。相手の方に何かする場合は丁寧語・尊敬語で「させていただきます」などをつけますが、自分の行動には謙譲語を使うのが正しい使い方です。「・・・さんが参られました」、「よろしければ、拝見なさってください」、「・・・・と申されています」なども間違った使い方のようです。

二重敬語はどんな言葉かご存知ですか?これも気がつかずによくつかっていることばですね。丁寧に、丁寧に思うとつい使ってしまう言葉です。「なされる」、「おっしゃられる」、「お越しになられる」、「お話になられる」、「お聞きになられる」などです。

日ごろいい加減に使っている日本語を見直して、きれいな、正しい日本語を使えるようになりたいですね。

でも、私たちの職場は、人間相手の職場です。言葉もさることながら、心が求められます。

友人のお母さんが、入院されて呼吸機能検査を受けられた時、緊張していることもあり、うまく出来ず、担当の技師から、「誰でも出来ることなのに」というようなことを言われ、非常に落ち込んだことがあるという話を聞きました。健診の場でもよく言われることですが、私たち医療スタッフには、何十人、何百人のうちの一人でも、その方にとっては、それがすべてです。流れ作業に陥ることなく、一人一人の方と向き合って、一人一人に会った対応を心がけることが大事だと思います。『さま』でも、『さん』でも、心を込めて検査を行えているか、振り返りながら仕事をしていきたいと思っています。

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