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週末ガーデナー 京都府立医科大学附属病院 由木 洋一

 4月に入りずいぶん暖かくなってきましたが、みなさん春といえば何を思い浮かべるでしょうか、自称“週末ガーデナー”の私にとっては、この季節が、一年中で最も心躍る季節なのです。

私が今の家(比叡山の山腹にある小高い丘?)に移り住んだのは14年前のことなのですが、ここは、京都市内から車でわずか10分ほどの場所にもかかわらず、町中とはちがい大変閑静なところで、時には猿や鹿がみられることもあります。ここに移り住むまで、全く園芸というものに興味がなかった私ですが、殺風景な庭を見て、何気なくチューリップでも植えようかなあと思ったのがことのはじまりでした。さっそく本屋さんに行って園芸書を見た私の目に飛び込んできたのは、本場イギリスやニュージーランドといった国のあまりにも美しすぎる“イングリッシュガーデン”と呼ばれる庭でした。

日本では、園芸といえば、女性やお年寄り(ちなみに私の妻は、ガーデニンというものに全く興味がありません)の趣味といったイメージがありますが、本場イギリスなどでは、何世紀にもわたって“ガーデニング”の研究がなされ、単なる趣味の領域から、その国の文化や学問(例えば欧米では植物や園芸活動を通じて心身の障害を治療する方法とし園芸療法というものがある)としてしっかり根付いています。

日本でも何年か前にガーデニングブーム”があって、本屋さんに行けばところせましと園芸書がならんでいましたが、その中身を見るとなかなか、本当の“イングリッシュガーデン”と呼べるような庭に巡り会いませんでした。これは単にその人のセンスといった問題だけではなく、日本の気候風土の違いによるのもが大きいようです。

イギリスやニュージーランドでは、日本のと比べると冬の寒さはあまり変わらないのですが、夏の気候は大変冷涼で植物の生育に適しているのに対して、日本の夏は蒸し暑くおまけに、日本特有の“梅雨”は植物にとって一番の大敵なんだそうです。

さて、すっかり“イングリッシュガーデン”に魅了されてしまった私は、多くの園芸書を買ってきては飽きもせず何度も何度も読み返し(妻からは庭いじりの本を読んで何がそんなにたのしいのといわれています。)秋になると毎年、自分の理想とする庭を頭に浮かべながら、たくさんの球根を植えたり、草花の種を蒔いたりするのですが、園芸店では、春になるといろいろな草花の苗が売っていて、その苗を買ってきて庭に植えた方が手っ取り早いのですが、それよりも、自分で種を蒔て、愛情を込めて育てた花が咲いたときの喜びは、他にたとえようもありません。そして、草花が咲き乱れる季節になると、通りすがりの人たちが「すてきな庭ですねえ」と話しかけてくれるのですが、その言葉は、私のような“週末ガーデナー”とっては最高のほめ言葉なのです。みなさんも、今から“週末ガーデナー”はじめませんか?

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