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「湯を楽しむ」 綾部市立病院臨床検査科 瀧本ひさし

 お湯の恋しい季節になりました。日本海のうまいカニを食って、ビールをぐびぐび、海を眺めながらあったかい温泉に入るなんて最高ですね。ゆっくり温泉につかっていると、心身共にリラックスして疲れがとれます。温泉は医学的にも身体に良く、昔からケガや病気を癒すために利用されています。

近年、タオル一本で気軽に入浴できる日帰り温泉施設が人気です。手ごろな入浴料金で、ヒノキ風呂、釜風呂、ジャグジー、サウナなどが充実しています。私もこういったお風呂が好きで、ドライブを兼ねて毎週のように出かけています。身体の悪いところを癒すというわけではありませんが、リラックスできて気持ちがいいのです。「湯を楽しむ」という趣味みたいなものです。それにもこだわりがあって、露天風呂があること、山や海が見えること、できれば鳥のさえずりや川のせせらぎが聞こえ、人が少なくてゆったり、のんびりできたら言うことありません。

ところが最近、聞き捨てならない問題が多発しています。レジオネラ菌による感染−東京や宮崎、鹿児島では死者を伴うケースもありました。レジオネラは本来土壌細菌ですが、冷却塔や循環風呂など人工的な環境でアメーバーを宿主に増殖するといわれています。特に問題になっているのは循環式浴槽を備えた入浴施設で、全国の半数がこのタイプ。うまく使えば有効である生物ろ過装置内の微生物やアメーバーがレジオネラを増殖し、菌を含む細かい水滴(エアロゾル)を入浴者が吸引して感染に至るのが典型例。お年寄りや子供、病気などで体力のない人が異常繁殖した菌を吸い込むと肺炎のような症状を起こし、ときとして死亡に至ることもあります。衛生環境が極度に悪い施設で起こっているのが事実ですが、衛生管理が悪いと最新の施設でも起こることがあります。基本的には各施設が衛生管理を徹底するしかありませんが、利用する個人も注意が必要です。

温泉は心身の疲労を緩やかに和らげるばかりでなく、血行が盛んになって新陳代謝を高めたり、筋肉や関節の痛みを鎮めたりするなどのメリットがあります。しかしその半面、心臓や循環器系に対しては大きな負担になることもあります。身体に無理がなく、疲労感が残らず、快い温感が得られるような入浴が最も望ましいといえます。温泉は上手に利用すると安全で健康に良いものですが、間違って利用すると大きな危険を招くこともあります。正しい知識を持って湯を楽しむことが大切です。まだ見ぬ秘湯を求めて、日本中をさすらうのが夢です。

≪綾部発−おすすめの日帰り温泉≫
(1) 「あやべ温泉仁王の湯」(京都府綾部市睦寄町)山間にたたずむ隠し湯。君尾山光明寺の国宝二王門にちなみ、「みっしゃくの湯」「ならえんの湯」と左右の仁王の名が付いています。露天から見上げる星空は最高です。宿泊施設も併設。300円(土日祝は400円)
(2) 「福知山温泉養老の湯」(京都府福知山市長田宿)大きなサウナやジェットバスなどいろいろ楽しめます。露天の大名ヒノキ風呂は格別。少し高めの700円
(3) 「よふど温泉極楽湯」(兵庫県朝来郡山東町)のどかな田園地帯の静かな温泉。そこに住む人々の人柄が伝わってきます。理想的な日帰り温泉。600円
(4) 「一宮温泉まほろばの湯」(兵庫県穴粟郡一宮町)2億年以上も昔、この辺りが海だった頃の海水が閉じ込められてできた、山間のめずらしい温泉。600円
(5) 「弥栄あしぎぬ温泉」(京都府竹野郡弥栄町)のどかな丹後の眺望がすばらしい。本館からエレベーターで登っていくユニークな温泉。600円
(6) 「宇川温泉よし野の里」(京都府竹野郡丹後町)梁や天井など木材をふんだんに使った独創的な建物。雄大な日本海を眺める海の温泉「龍宮」と竹林に囲まれた山の温泉「香具夜」。海、山どちらでも楽しめます、晴れた日にぜひ。宿泊施設も併設。600円
※順不同、料金は大人です

まだまだいい日帰り温泉がたくさんありますが、やっぱり自分で見つけて気軽に立ち寄るのが一番だと思います。

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