付録1 − ミニ楽典

オーケストラ用語集

arco:→ アルコ

a tempo:→ tempo I

col legno:→ コル・レーニョ

con sord:→ コン・ソルディノ

div:→ デヴィジ

G. P.:→ ゲネプロ、ゲネラルパウゼ

pizz:→ ピッチカート

senza sord:→ センツァ・ソルディノ

sul G:→ スルG

sul tasto:→ スル・タスト

tempo I:テンポ・プリモ。元の速さで、の意。

tutti:→ トゥッティ

uni:→ ユニゾン

V.S.:「楽譜を早くめくれ」の意。

アインザッツ:「入ること」の意。ザッツともいう。主にトップが引き始めに体を動かすことによって他の奏者に知らせることを指す。

アウフタクト:その小節の前の拍。

あし:管楽器の補助奏者。「2あし」とは2番奏者のあしのこと。fを増強することが多い。

アタッカ:次の楽章に続けて演奏すること。

アップ:弦楽器の上げ弓。∨の記号であらわされる。

アルコ:弓を用いて弾くこと。arcoと示されている。

アロッターヴァ:記譜された音符よりオクターヴ高いおとで演奏すること。8va-----で示される。

移調楽器:記譜されている音と実際に吹(弾)いている音が違う楽器をいう。移調楽器ではF調であればFを「ド」とみなす。これを「移動ド」という。

イン・テンポ:「テンポ通りに」の意。

裏:弦楽器は二人で一つの譜面を見るが、その客席に遠い方。

裏拍:拍の裏。拍を半分にしたとき、その後ろの部分をいう。

エキストラ:賛助。「トラ」ともいう。いわゆる助っ人。

オクテット:八重奏。

オケ:オーケストラのこと。

オブリガード:助奏。主旋律に対するもの。

表:弦楽器は二人で一つの譜面を見るが、その客席に近い方。

音楽の三要素:旋律、和声、リズムの3つ。基本的に音楽はこの三つから成り立っている。

音程:普通は絶対音程を指す。基準音に対しての音の高さ。完全4度、長2度などの言い方をする。完全8度は1オクターヴとなる。

カルテット:四重奏。弦楽四重奏のことを指す場合も多い。

クインテット:五重奏。

ゲシュトプフ:ホルンの特殊奏法。あさがおに手を突っ込み、割れた音を出す。

ゲネラルパウゼ:総休止。楽譜でG.P.と示されている。ゲネプロと間違えないように。

ゲネプロ:ゲネラルプローベの略。総練習のこと。

コーダ:曲又は楽章の最後のしめくくりの部分。

コル・レーニョ:弦楽器の奏法。弓の木の部分で弦を叩く。

コン・ソルディノ:弱音器(ミュート)を付ける指示。con sordinoと書かれている。ホルンではゲシュトプフを指すことが多い。

初見:初めて楽譜を見て弾くこと。

序奏:導入部の部分。

ステマネ:ステージマネージャーのこと。演奏会の際に各種雑用、指示を行う。

ステリハ:ステージリハーサルの略。実際に会場で練習すること。本番当日にやることが多い。

スルG:弦楽器でG線で弾く指示。sul Gで示される。

スル・タスト:sul tasto。弦楽器で、駒よりで弾くこと。

センツァ:〜を止めるの意。senza sordinoとあったらミュートをはずすことを意味する。

センツァ・ソルディノ:ミュートをはずすの意。

ソロ:独奏。一人だけで弾く(吹く)こと。

から構成される。提示部の第2主題は5度上の調に転調する。序奏とコーダがつくことがある。

ソワレー:夜の演奏会。

ダウン:弦楽器の下げ弓。

タンギング:運舌法。管楽器の舌の使い方を指す。シングル、ダブル、トリプルがある。

デュエット:二重奏。

チューニング:Aの音を合わせること。演奏前には必ず行う。

ディヴィジ:パート内で分かれて奏すること。div.で示される。

トゥッティ:合奏、あるいはパート内のすべての人が弾くこと。

トップ:各パートの首席奏者。弦楽器では通常第1プルトの表。第1ヴァイオリンのトップは慣例的にコンサートマスターと呼ぶ。

トップサイド:首席の横。いわゆる副首席。通常弦楽器では第1プルトの裏。

トラ:エキストラのこと。

トリオ:三重奏、あるいはメヌエットやスケルツォの中間部。

走る:指揮者の棒を無視してそれよりも早いテンポで奏すること。

ピッチ:基準となるAの高さ。普通は440Hzから442Hz。最近高くなっている傾向がある。古楽器では逆に低い。

ピッチカート:指で弦を弾く奏法。pizz.で示される。

フィンガリング:運指法。指使いのこと。

フラジオ:弦楽器の奏法でフラジオレットの略。倍音奏法のことでハーモニクスともいう。

プルト:弦楽器は二人で一つの譜面を見るが、その2人一組の単位のこと。

フレージング:旋律の一つの単位。

ブレス:管楽器の奏法。息継ぎのこと。

棒:指揮棒(タクト)。

ボーイング:運弓法。弦楽器の弓の使い方。

マウスピース:管楽器の歌口。

マチネー:昼の演奏会。

ユニゾン:すべての楽器が同じ音程を奏すこと。

ライブラリー:楽譜の管理を行う人物。

リード:オーボエやクラリネット、ファゴットに用いるものでこれで音を振動させて音を出す。

リット:リタルダンド。

ローテーション:曲によって出る奏者を変えること。ローテーと略すことがある。

楽器略号

ヴァイオリン Vn. / Vl.

ヴィオラ Va. / Vla. / Br. / Alto

チェロ Vc.

コントラバス D.B. / Kb. / Cb.

ピッコロ Pic.

フルート Fl.

オーボエ Ob.

イングリッシュホルン E.H.

クラリネット Cl. / Kl.

ファゴット Bn. / Fg.

ホルン Hr. / Cor.

トランペット Tp.

トロンボーン Tb.

ティンパニ Tim. / Pk.

トライアングル Trg.

シンバル Cym.

ピアノ Pf.

ハープ Hrp.

オルガン Org.

チェンバロ Cemb.

音符

・(スタッカート):音を短く切る。

−(テヌート):音を十分延ばす。

音程

   

ファ

フランス名

半音上

ド♯

レ♯

ミ♯

ファ♯

ソ♯

ラ♯

シ♯

 

半音下

ド♭

レ♭

ミ♭

ファ♭

ソ♭

ラ♭

シ♭

   

C

D

E

F

G

A

H

ドイツ語名

半音上

Cis

Dis

Eis

Fis

Gis

Ais

His

 

半音下

Ces

Des

Es

Fes

Ges

As

B

   

C

D

E

F

G

A

B

英語名

半音上

C♯

D♯

E♯

F♯

G♯

A♯

B♯

 

半音下

C♭

D♭

E♭

F♭

G♭

A♭

B♭

   

和名

半音上

嬰ハ

嬰ニ

嬰ホ

嬰ヘ

嬰ト

嬰イ

嬰ロ

 

半音下

変ハ

変ニ

変ホ

変ヘ

変ト

変イ

変ロ

C(ド)からの音程

1度

2度

3度

4度

5度

6度

7度

 さらに半音高いときはフランス名、英語名ではx(ダブルシャープ)、ドイツ名ではisisを語尾に、和名では語頭に重嬰を付け、半音低いときはフランス名、英語名では♭♭(ダブルフラット)、ドイツ名ではesesを語尾に、和名では語頭に重変を付ける。

 度は音と音の開きを表すが、度の前に音程の開きによって長、短、完全、不完全などの文字をつけることがある。詳しくは楽典参照のこと。なお、8度をオクターヴという。

 また、ハ長調の場合、ソを属音、ファを下属音、ミを第三音、シを導音と呼ぶことがある。このうち、導音(シ)は主音(ド)に行きやすいという性質を持っている。

和声学

 和音とは異なる音程の音の集まりであり、協和音と不協和音からなる。ハ長調の場合、次の3つが代表的である。

主和音(トニック):ド(主音)、ミ(第三音)、ソ(第五音または属音)

属和音(ドミナント):ソ、シ、レ(大抵はこれにファが加わって属七の和音と呼ぶ)

下属和音(サブドミナント):ファ、ラ、ド

 和音はこれだけではないが、これだけ知っていても演奏に際して大分違うであろう。また、特殊なものに4つの音程がそれぞれ短3度(半音3つ分の音程)という減七の和音(ディミニッシュ)というものがあり、転調の際などに用いられる。

 多くの楽曲は主和音→下属和音→属七の和音の順に進む。

ダイナミクス

 音の強さを表す。強い順にff(フォルテシモ)>f(フォルテ)>mf(メゾフォルテ)>mp(メゾピアノ)>p(ピアノ)>pp(ピアニシモ)。

cresc.(クレッシェンド):だんだん強く。

decresc.(デクレッシェンド)またはdim.(ディミヌエンド):だんだん小さく。

sf(スフォルツァンド):特に強く。

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