形式は一つの曲に対してこの形式、と決まっているのではなく、複数が組み合わさってできている。そのため、理解しにくいが、曲を仕上げていく上で重要なことが多い。全てを知らなくてはいけないわけでなく、知らない単語が出てきたら調べる、という程度でよいだろう。
第1主題と第2主題の2つの楽想から成る形式。
序奏(ないこともある)
−提示部(第1主題とそれに続く第2主題で、第2主題は5度上の調に転調される)
−展開部(2つの主題の展開)
−再現部(第1主題と第2主題)
−コーダ(ないこともある)
展開部を欠いたものをソナチネと呼ぶこともある。
また、ソナタ形式を含む多楽章形式を多楽章ソナタ、あるいは単にソナタと呼ぶ。
同じ主題が繰り返し何度も出てくる形式。一般にA-B-A-C-A(-B-A)となる。但し真ん中のAは転調されることが多い。ソナタ形式と組み合わせたものをロンドソナタという。
一つの主題を少しずつ変化(変奏)させていく形式。主題に対して第1変奏、第2変奏、という言い方をする。
ベートーヴェンやブラームスは変奏曲の大家であった。
メヌエットやスケルツォがこの形式。一般にA-B-Aの3部構成。
主題に対して他の声部が模倣していくこと。具体的にはある主題が出てきて(提示)、同じ主題を5度上の調で繰り返す(応答)ことを何重にもわたって繰り返すこと。これに対し、調の変化を伴わないものをカノンという。
メヌエット:フランスの舞曲で、3/4拍子のリズムがあまり強烈でない形式。大抵は三部形式で演奏される。
ワルツ(円舞曲):ドイツの3拍子系舞曲。レントラーまたはドイツ舞曲と呼ばれる舞曲がその始まりで、1拍目が強拍の独特のリズムをもっている。ウィーナー・ワルツでは2拍目をやや遅くして演奏する。
行進曲:偶数拍子のその名の通り行進に用いられる曲。テンポは早いものから遅いものまで曲によって様々である。
他に舞曲としてはボレロ、サラバンド、タンゴなどが挙げられる。
アリア:元来声楽曲であったイタリア風の旋律をもとにした形式。
バラード:叙事的な歌詞による曲から来ている。
ロマンス:その名の通りロマン的から来ている。
ラプソディ:狂詩曲のこと。特定の地方の民族的旋律を適当に編作したものと捉えることが多い。歴史的、叙事的なものを指すこともある。
奇想曲:気まぐれな、即興風な、奔放な小曲。基本的に形式は自由。
幻想曲:一定の形式を持たない自由な曲。
スケルツォ:速度が速く、気まぐれ風の音楽。大抵三拍子で、三部形式が多い。
即興曲:思いつきで、その場で演奏されるもの。
練習曲(エチュード):練習のための曲。
夜想曲(ノクターン):ロマン的な曲想を指す場合が多いが、本来は夜に演奏される多楽章形式。
序曲:オペラ、組曲などの前に演奏される曲。近年では単独で演奏会用に作られ、ソナタ形式が多い。
前奏曲:元来はフーガの前に演奏される曲で、近年はオペラの各幕の前に演奏されるものを指す場合が多い。独立して作曲される場合も多い。
間奏曲:曲中に挿入される音楽。オペラの各幕間に挿入されたりする。
ア・カペラ:伴奏を伴わない声楽曲。
カンタータ:教会で歌われる声楽曲。大きい編成で演奏されることが多い。
ミサ:教会で歌われる声楽曲。「キリエ・エレイゾン(主よ憐れみたまえ)」、「グローリア」、「クレード」、「サンクトウス(聖なり)」、「アーニユス・デイ」からなる。
レクイエム(鎮魂曲):教会で歌われる死者のための音楽。ミサの一種。「レクイエム」、「キリエ・エレイゾン(主よ憐れみたまえ)」、「ディエス・イレエ(怒りの日)」、「ドミネ・イエス(主イエス)」、「サンクトウス(聖なり)」からなる。
オペラ:歌劇。会話が多く含まれている「ジングシュピール」やコメディを主とした「オペラ・ブッファ」などがある。
楽劇:オペラをより芸術化、すなわち音楽と劇を一体化させようとしてワーグナーが考案した形式。例えば、人物や出来事と特定の旋律(動機という)は密接な関係にある。
オペレッタ:小さいオペラの意。喜歌劇ともいう。
バレエ:フランスやロシアで発達した見せるための舞踏。形式は全く自由で、いわゆるロシアバレエはその一つに過ぎない。
交響詩:単一楽章の自由な形式の管弦楽曲。
交響曲:管弦楽のためのソナタ(ここでいうソナタ、または多楽章ソナタはソナタ形式を含んでいるという意味)。基本的には4つの楽章を持ち、第1楽章がソナタ形式、第2楽章が緩徐楽章、第3楽章がメヌエット、第4楽章が自由な形式となっているが、作曲達が芸術として最も手を入れた分野のため、多種多様に富んでいる。
協奏曲:管弦楽と独奏楽器のためのソナタ。通常、ソナタ形式(通常のソナタ形式とは異なる協奏曲独自のもの)、緩徐楽章、ロンドという3つの楽章からなる。
組曲:自由な多楽章形式の音楽。
セレナーデ:元来、夜に恋人の窓辺で演奏するものであったが、それが野外で演奏される多楽章ソナタに変わった。従って祝典用に派手に演奏されるものが多い。しかし、近年では弦楽セレナーデのように通常の演奏会用に作られることが多くなってきた。6〜8楽章で管弦楽からなるのが普通。
ディヴェルティメント:セレナーデに対して室内で演奏される4〜6楽章の多楽章ソナタ。セレナーデと違って目的は明確ではない。そのため、かつてはセレナーデ、ディヴェルティメント、交響曲の間で未分化なものを残していた。
室内楽曲:弦楽四重奏やピアノ三重奏曲、ヴァイオリンソナタ、チェロソナタといった、元来、室内で演奏されるソナタである。正確には重奏で演奏されるものを指す。
器楽曲:ソロで演奏されるソナタ。器楽ソナタともいう。ピアノソナタが代表的。特殊なものに無伴奏ヴァイオリンソナタがある。