ホールとり 選曲について ライブラリーについて 著作権について ライブラリアンの仕事 チケット・プログラムについて
ホール取り
当たり前だが、ホール取りは演奏会の場所を確保する上で大切だ。しかし、その選択となるとロケーション、ホール代、キャパシティ(客数)などに関わってくる。
気をつけなければならないのは、まず予約の仕方。これはホールによって様々で、半年前に受け付けるところもあれば、一年前から受け付けるところもある。また、予約金が全額必要なところもあれば半額のところもあるし、演奏会当日払えばよいところもある。従ってホイールを取る際にはそのホールへの連絡が絶対不可欠だ。「ぴあホールマップ」なる本が出ているので、口コミやそれらを参考にするとよい。
選曲について
どのオケでも選曲は悩みの種。選曲に際しては、まず、自分達のオケがどのようなオケであるかを認識する必要がある。つまり、
1.編成
2.レベル
3.オケの方針
という事項に関わってくる。まず、編成であるが、これによってエキストラの数など経済的なことまで関わってくるので慎重な検討を要する。小編成で貧乏なオケが1st
Vnが14人で、ハープ付き、打楽器大勢という曲をやってもお金がなくなるだけだ。それにオケの方針が「自分たちだけでやる」ということならばそれに見合った編成にするべきだ。経済的に裕福ならたくさんのエキストラを呼んで大編成をやっても良いだろう。ただし、それでは自分たちのオケにはならない。だからオケの方針というのはとても重要な役割を担ってくる。
レベルに関していえば、これも自分たち以上のレベルの曲をあえて挑戦することも考えられるが、特に管楽器が目立つロマン派以降の曲では、例えばクラリネットのトップが休みがちであれば練習にならない。これはオケだけではなく、指揮者、エキストラ、トレーナーにも迷惑がかかる。一般的にレベルの高い曲になればなるほど管楽器のウェイトが大きくなる。しかし、モーツァルトになると金管が暇である。だからお互い譲歩しつつ、飽きずに練習が出来、練習になるかならないかという境界を見極めることも大切である。
曲の編成を知るには本屋に行けば曲目解説書もあるし、選曲の時点であえてスコアを買う必要はない。レベルに関していえばトレーナーなり指揮者なりに聴いて、自分たちでCDを聴いたりすることで決めればよい。中途半端に曲を聴いたり(例えば第1楽章と第4楽章しか聴かないとか)、自分たちのパートだけで考えたりするのはだめだ。常にオケ全体のことを考えて選曲しよう。
楽譜について
楽譜はオケの命といっても過言ではない。ここでは、これをオケの資産としたものをライブラリーと呼ぶことにする。楽譜にはスコアとパート譜とがある。スコアは一般の楽器屋で手に入れることが出来るが、パート譜はそうはいかない。パート譜は全て輸入で、取り扱っている楽譜屋も少ないし、値も張る。だから必然的に民音など楽譜資料館の世話になることになる。以下その連絡先を示す。
民音音楽資料館
〒169 東京都新宿区北新宿1-32-13 03-3371-5130
交通:JR大久保駅、あるいは新宿駅より徒歩15分
東京文化会館
〒 東京都台東区上野公園5-45 03-3828-2111
交通:JR上野駅動物園口より徒歩1分
主な楽譜の購入先
日本楽器(YAMAHA) 渋谷店
〒150 東京都渋谷区道玄坂2-10-7 03-3476-5475
アカデミア・ミュージック
〒113 東京都文京区本郷3-16-5興医会ビル1F 03-3813-6751
どうしても楽譜が見つからない場合や、演奏会に間に合わない場合は他大学から借りてコピーすることもやむを得ないであろう。本来コピーというものは著作権侵害にあたるのでしてはいけないが、我々はアマチュアなのだし、コピーして使うことはやむを得ないこともあるだろう。営利を目的としていないのだから。
もう一つスコアの話。特にパートトップはスコアを買わなくてはならないし、団員も他のパートや曲の流れ、全体を把握する上で是非必要である。スコアには大きいものと小さい、いわゆるミニチュアスコアとがある。どちらを購入するかは本人の自由である。値段もピンからキリまであるので学生レベルなら安いやつでかまわないと思う。ただ、凝っている人ならば出版社や編曲者まで考慮することも楽しみの一つだ。また、指揮者がこの版でやる、と指定する場合もあるので団体で一冊くらいはその指定の版で購入することも考えたい。
著作権について
著作権はいうまでもなく作品保護のために存在するものである。通常、これらの作品は作曲者の死後50年間保護されている。この期間中に無断で演奏すると演奏権違反になる。しかしながら、第二次世界大戦で敵対国であった国の作曲家の保護は戦時加算といって50年プラスαされる。
著作権法では「作曲者の死後50年間は作曲者(及びその遺族)に著作権がある」と定められている。また、50年という算出方法は「死亡した翌年の1月1日から数えて50年間」ということになる。戦時加算は第二次世界大戦の10年4カ月を敵国(アメリカ、イギリス、フランスなど)の作曲家に対して加算する。但し、ロシアや中国のように著作権に入っていない国は除外するのでその都度調べる必要がある。
著作権の適応外となるのは1.営利を目的としない、2.入場料を取らない、3.出演者に謝礼を払わないという三つの条件を同時に満たす場合である。これ以外では著作物使用料を日本著作権協会(JASRAC)に払わねばならない。
著作物は純音楽と軽音楽とに分かれており、一般のクラシック音楽は純音楽に属する。さらに料金は会場の客席数、入場料、演奏時間によって分かれている。以下に料金表を示す。
音楽著作権物使用料規程
演奏会における演奏の使用料は、次により算出した金額に、消費税相当額を加算した額とする。
(1) | 純音楽に属するもの 著作物1曲1回の使用料は、次のとおりとする。 |
(ア) | 使用時間が5分までの場合の使用料は、下表のとおりとする。 |
入場料/定員 | 500名まで | 1,000名まで | 1,500名まで | 2,000名まで | 2,500名まで | 3,000名まで | 4,000名まで | 5,000名まで | 10,000名まで |
無 料 | 450円 | 600円 | 750円 | 900円 | 1,050円 | 1,200円 | 1,350円 | 1,500円 | 1,650円 |
200円まで | 750円 | 1,050円 | 1,350円 | 1,650円 | 1,950円 | 2,250円 | 2,550円 | 2,850円 | 3,150円 |
500円まで | 1,050円 | 1,350円 | 1,650円 | 1,950円 | 2,250円 | 2,550円 | 2,850円 | 3,150円 | 3,450円 |
1,000円まで | 1,350円 | 1,650円 | 1,950円 | 2,250円 | 2,550円 | 2,850円 | 3,150円 | 3,450円 | 3,750円 |
1,500円まで | 1,650円 | 1,950円 | 2,250円 | 2,550円 | 2,850円 | 3,150円 | 3,450円 | 3,750円 | 4,050円 |
2,000円まで | 1,950円 | 2,250円 | 2,550円 | 2,850円 | 3,150円 | 3,450円 | 3,750円 | 4,050円 | 4,350円 |
2,500円まで | 2,250円 | 2,550円 | 2,850円 | 3,150円 | 3,450円 | 3,750円 | 4,050円 | 4,350円 | 4,650円 |
3,000円まで | 2,550円 | 2,850円 | 3,150円 | 3,450円 | 3,750円 | 4,050円 | 4,350円 | 4,650円 | 4,950円 |
3,500円まで | 2,850円 | 3,150円 | 3,450円 | 3,750円 | 4,050円 | 4,350円 | 4,650円 | 4,950円 | 5,250円 |
4,000円まで | 3,150円 | 3,450円 | 3,750円 | 4,050円 | 4,350円 | 4,650円 | 4,950円 | 5,250円 | 5,550円 |
4,500円まで | 3,450円 | 3,750円 | 4,050円 | 4,350円 | 4,650円 | 4,950円 | 5,250円 | 5,550円 | 5,850円 |
5,000円まで | 3,750円 | 4,050円 | 4,350円 | 4,650円 | 4,950円 | 5,250円 | 5,550円 | 5,850円 | 6,150円 |
[ア] | 入場料が5,000円を超える場合の使用料は、500円までを超えるごとに、入場料が5,000円までの場合の金額に、300円を加算した額とする。 | |
[イ] | 定員が10,000名を超える場合の使用料は、5,000名までを超えるごとに、定員が10,000名までの場合の金額に、入場料が無料の場合は150円を、有料の場合は300円を、それぞれ加算した額とする。 |
(イ) | 使用時間が5分を超え10分までの場合の使用料は、使用時間が5分までの場合の金額の2倍の額とする。 使用時間が10分を超える場合の使用料は、10分までを超えるごとに、使用時間が5分を超え10分までの場合の金額に、その同額を加算した額とする。 |
(2) | 軽音楽に属するもの |
[1] | 著作物1曲1回の使用料は、次のとおりとする。 |
(ア) | 使用時間が5分までの場合の使用料は、下表のとおりとする。 |
入場料/定員 | 500名まで | 1,000名まで | 1,500名まで | 2,000名まで | 2,500名まで | 3,000名まで | 4,000名まで | 5,000名まで | 10,000名まで |
無 料 | 300円 | 400円 | 500円 | 600円 | 700円 | 800円 | 900円 | 1,000円 | 1,100円 |
200円 | 500円 | 700円 | 900円 | 1,100円 | 1,300円 | 1,500円 | 1,700円 | 1,900円 | 2,100円 |
500円まで | 700円 | 900円 | 1,100円 | 1,300円 | 1,500円 | 1,700円 | 1,900円 | 2,100円 | 2,300円 |
1,000円まで | 900円 | 1,100円 | 1,300円 | 1,500円 | 1,700円 | 1,900円 | 2,100円 | 2,300円 | 2,500円 |
1,500円まで | 1,100円 | 1,300円 | 1,500円 | 1,700円 | 1,900円 | 2,100円 | 2,300円 | 2,500円 | 2,700円 |
2,000円まで | 1,300円 | 1,500円 | 1,700円 | 1,900円 | 2,100円 | 2,300円 | 2,500円 | 2,700円 | 2,900円 |
2,500円まで | 1,500円 | 1,700円 | 1,900円 | 2,100円 | 2,300円 | 2,500円 | 2,700円 | 2,900円 | 3,100円 |
3,000円まで | 1,700円 | 1,900円 | 2,100円 | 2,300円 | 2,500円 | 2,700円 | 2,900円 | 3,100円 | 3,300円 |
3,500円まで | 1,900円 | 2,100円 | 2,300円 | 2,500円 | 2,700円 | 2,900円 | 3,100円 | 3,300円 | 3,500円 |
4,000円まで | 2,100円 | 2,300円 | 2,500円 | 2,700円 | 2,900円 | 3,100円 | 3,300円 | 3,500円 | 3,700円 |
4,500円まで | 2,300円 | 2,500円 | 2,700円 | 2,900円 | 3,100円 | 3,300円 | 3,500円 | 3,700円 | 3,900円 |
5,000円まで | 2,500円 | 2,700円 | 2,900円 | 3,100円 | 3,300円 | 3,500円 | 3,700円 | 3,900円 | 4,100円 |
[ア] | 入場料が5,000円を超える場合の使用料は、500円までを超えるごとに、入場料が5,000円までの場合の全額に、200円を加算した額とする。 | |
[イ] | 定員が10,000名を超える場合の使用料は、5,000名までを超えるごとに、定員が10,000名までの場合の全額に、入場料が無料の場合は100円を、有料の場合は200円を、それぞれ加算した額とする。 |
(イ) | 使用時間が5分を超え10分までの場合の使用料は、使用時間が5分までの場合の金額の2倍の額とする。 使用時間が10分を超える場合の使用料は、10分までを超えるごとに、使用時間が5分を超え10分までの場合の金額に、その同額を加算した額とする。 |
[2] | [1]によらない場合の使用料は、演奏会の公演1回ごとに定めるものとし、その使用料は次のとおりとする。 |
(ア) | 公演時間が1時間以上2時間までの場合の使用料は、下表のとおりとする。 |
入場料/定員 | 500名まで | 1,000名まで | 1,500名まで | 2,000名まで | 2,500名まで | 3,000名まで | 4,000名まで | 5,000名まで | 10,000名まで |
無 料 | 6,000円 | 8,000円 | 10,000円 | 12,000円 | 14,000円 | 16,000円 | 18,000円 | 20,000円 | 22,000円 |
200円まで | 10,000円 | 14,000円 | 18,000円 | 22,000円 | 26,000円 | 30,000円 | 34,000円 | 38,000円 | 42,000円 |
500円まで | 14,000円 | 18,000円 | 22,000円 | 26,000円 | 30,000円 | 34,000円 | 38,000円 | 42,000円 | 46,000円 |
1,000円まで | 18,000円 | 22,000円 | 26,000円 | 30,000円 | 34,000円 | 38,000円 | 42,000円 | 46,000円 | 50,000円 |
1,500円まで | 22,000円 | 26,000円 | 30,000円 | 34,000円 | 38,000円 | 42,000円 | 46,000円 | 50,000円 | 54,000円 |
2,000円まで | 26,000円 | 30,000円 | 34,000円 | 38,000円 | 42,000円 | 46,000円 | 50,000円 | 54,000円 | 58,000円 |
2,500円まで | 30,000円 | 34,000円 | 38,000円 | 42,000円 | 46,000円 | 50,000円 | 54,000円 | 58,000円 | 62,000円 |
3,000円まで | 34,000円 | 38,000円 | 42,000円 | 46,000円 | 50,000円 | 54,000円 | 58,000円 | 62,000円 | 66,000円 |
3,500円まで | 38,000円 | 42,000円 | 46,000円 | 50,000円 | 54,000円 | 58,000円 | 62,000円 | 66,000円 | 70,000円 |
4,000円まで | 42,000円 | 46,000円 | 50,000円 | 54,000円 | 58,000円 | 62,000円 | 66,000円 | 70,000円 | 74,000円 |
4,500円まで | 46,000円 | 50,000円 | 54,000円 | 58,000円 | 62,000円 | 66,000円 | 70,000円 | 74,000円 | 78,000円 |
5,000円まで | 50,000円 | 54,000円 | 58,000円 | 62,000円 | 66,000円 | 70,000円 | 74,000円 | 78,000円 | 82,000円 |
[ア] | 入場料が5,000円を超える場合の使用料は、500円までを超えるごとに、入場料が5,000円までの場合の金額に、4,000円を加算した額とする。 | |
[イ] | 定員が10,000名を超える場合の使用料は、5,000名までを超えるごとに、定員がl0,000名までの場合の金額に、入場料が無料の場合は2,000円を、有料の場合は4,000円を、それぞれ加算した額とする。 |
(イ) | 公演時間が2時間を超える場合の使用料は、30分までを超えるごとに、公演時間が1時間以上2時間までの場合の金額に、その25/100の額を加算した額とする。 |
(ウ) | 公演時間が1時間に満たない場合の使用料は、公演時間が1時間以上2時間までの場合の金額の50/100の額とする。 |
著作権料の支払いは申告制になっており、日本著作権協会(JASRAC)から「音楽著作物使用承諾申込書」と「演奏曲目報告書」を取り寄せ、必要事項を記入して演奏会のパンフレットあるいはチラシを添えて届ける。期限はないができる限り早い方がよい。また、申告しないと演奏会場の方から協会へ報告されるので、報告書を書くようにいわれることがある。
詳細は日本著作権協会(JASRAC)に訪ねたし。
日本著作権協会(JASRAC)東京支部
東京都中央区銀座
03-5502-6551
また、作曲家の著作権とは別に楽譜の著作権も存在し、営利目的で出版社に無断で複製してはならない。これは複製権で定められている。やむを得ないとき意外は複製しないよう心がけたい。
現代音楽では貸し譜といって海外からスコア、パート譜を取り寄せなければならない場合がある。この場合、購入ではなく貸出ということになるから紛失は許されない。また、いろいろな国のオーケストラで演奏されているので、いろいろな国の言葉で書き込みがしてある場合がある。本来は礼儀として書き込みは責任を持って消しておかねばならない。もちろん貸し譜は無断複製は禁止である。
ライブラリアンの仕事
オケの命、ライブラリーを管理するのがライブラリアンである。当然楽譜をなくしてはならないし、貸し出しなどの管理をする必要が出てくる。パート譜をコピー室に持ち出してコピーする、といった行為でさえも楽譜を紛失する危険性が出てくる。だから持ち出しには厳密に管理することが望ましい。また、ライブラリアンは曲の編成はもちろん、出版社、編曲者についても把握する必要がある。その他、楽譜の入手から著作権の有無やその連絡等もやらなくてはならない。
チケット、プログラムはデザインに凝ったものでもよいのではないか、というのが筆者の理論である。
もちろんこれにはいろいろな意見があると思う。ぺらぺらの1枚だけのプログラムでもよいし、ユーモアあふれる、おちゃらけたプログラムでもよいし、まじめな文書でもよい。デザインもない、必要最低限のプログラムでもよいが、幸い近年DTP(卓上出版。コンピュータ上で文書のデザインできる)が盛んなので、いまはやりのMacやWindowsを使ったデザインに凝ったプログラムでもよい。これはその時のプログラム作成担当によって変わってくる。彼等に任せるしかない。ただ、プログラム係も幹部や他人の意見を聞いてやらないと大変なことになる。例えば金銭的な問題。写真をプログラムに取り入れると費用が少し高めになる。しかも製作日数もかかるようになる。また、原稿だけ手書きで書いて、印刷屋に写植を頼むとこれも金や製作日数がよけいにかかる。結局、金銭的に何がベストかというとワープロは自分で打って、デザインし、ページ数はギリギリとし、写真は使わないのが最も経済的ということになる。しかし、こうして出来たプログラムは味気ないものになる。客に見てもらうのだから、デザインは凝ったものとし、字は普通の大きさで見やすく、写真も多く使ったものがいいはずだ。この辺の兼ね合いを上手くする必要があろう。一番よいのは先人達のプログラムや他のオーケストラのプログラムを検討すること、これに尽きる。
チケットやチラシもデザインはプログラムに準ずる。しかし、プログラムといくつか違う点がある。まずチケット代。アマチュアは営利を目的としていないから適当でよい、という訳には行かない。近代曲をやる場合、チケット代が著作権料に大きく響いてくる。もう一つは印刷の日時だ。プログラムは基本的に本番までに出来上がればよい。しかし、チケットは本番よりも以前に作り、客を確保しなければならない。これによって客芻が大きく変わってくる。また、チケットやチラシには会場への地図入りの説明を加えた方が無難であろう。