疾患名を指定して「○○の診察をしてください」と試験では問われる。糖尿病、バセドウ病が出題される可能性が高い。頭頚部が主だが、腋窩リンパ節と四肢の所見もとったほうがよい。

1.挨拶

「こんにちは、学生の○○です。診察をさせていただきますが、よろしいでしょうか?」

「どうぞ、お願いします」

2.全身状態

患者の体格から栄養状態(やせ・良好・肥満)を推察する。

「栄養状態は良好です」

「では、脈を計りますので両手を前に出してください」

それぞれ両手の第2〜4指で橈骨動脈を触れる。

「左右差はみられません」

10〜15秒測定し、脈拍数を1分値に換算する。

「脈拍は○○で、不整脈はみられません」

3.顔面

頭髪や眉毛の有無、そして顔貌を観察する。

「視診上、顔貌に異常ありません。また皮疹もありません」

バセドウ病では、上眼瞼の浮腫、眼球の突出、きつい目つき、顎の突出を観察する。クッシング症候群では、満月様顔貌をみる。末端肥大症では、頬骨の発達、巨大舌、口唇肥大、顎の突出を観察する。SLEでは皮疹を、アジソン病では色素沈着をみる。

「眼を診察しますね。目元をさわらせていただきます。上を向いてください」

下眼瞼結膜を露出させる。

「眼球結膜に黄染、眼瞼結膜に貧血はありません」

「では、指先を追ってみてください」

指先を縦・横・斜めに動かして、目で追えるかを確認する。

「眼球運動は左右とも正常です」
「Graefe徴候、Stellwag徴候はみられません」

指先を眉間近くにもってゆき、寄り目になることを確認する。

「Moebius徴候もみられません」

バセドウ病では、Moebius徴候(近くの物をみるとき、眼が中央に寄らない)、Graefe徴候(下方をみるとさ・上眼瞼の下に白い強膜をみる)、Stellwag徴候(瞬目が減少)を観察する。

「口を大きく開けていただけますか」

舌圧子で舌を押さえながら、

「アーと声を出してください」

ペンライトで口腔内を観察する。

「口蓋垂に変形、偏位はありません。咽頭後壁も正常です」
「頬粘膜に、色素沈着、潰瘍などの異常はありません」
「歯肉腫脹、出血はありません。また、齲歯はないと思われます」
「舌は乾燥していません、舌苔も見られません」

糖尿病では、齲歯と舌の乾燥を観察しやすい。

4.頚部
リンパ節の触診

「あごを引いていただけますか」

顎下リンパ節(図の1番)を軽くえぐるように探る。

「顎下リンパ節に異常はありません」

後耳介リンパ節(図の2番)を探る。

「後耳介リンパ節に異常は認めません」

頚部リンパ節(図の3番)を、胸鎖乳突筋の下端の後面をつかむように探る。

「頚部リンパ節に異常はありません」

鎖骨上窩リンパ節(図の4番)を、指を差し込むようにして探る。

「鎖骨上窩リンパ節にも異常ありません」

2本の親指を胸鎖乳突筋の間に置き、甲状腺をさわる。

「唾をごくんと飲み込んでみてください。」

甲状腺の位置、大きさ、硬さを確かめる。

「甲状腺に腫大、硬結は認められません。」

聴診器(膜型)を当てて頚動脈雑音を確認するく。

「頚動脈雑音は認められません。」

5.腋窩

「腕を少し上にあげてみてください」

奥までえぐるようにして、腋窩リンパ節を探る。

「腋リンパ節に異常はありません」

6.四肢

「腕をみせてください」

患者に腕をまくってもらい、よく観察する。

「皮疹、色素沈着、発汗異常はみられません」
「筋の萎縮もないようですね」

患者に手をとって、軽く揺すりながら、

「楽にしてください」

手に振戦がないことを確認する。

「手指振戦はみられません」

「次に、足をみせてください」

膝から下をよく観察する。

「皮疹、色素沈着、発汗異常はみられません」
「出血傾向もみられません」

足背、前脛骨部を軽く押してみる。

「浮腫はみられません」

糖尿病が疑われる場合、加えてアキレス腱反射と膝蓋腱反射を確認する。

7.終了

「これで診察を終わります。ありかとうございました」


戻る 進む