頭髪や眉毛の有無、そして顔貌を観察する。
「視診上、顔貌に異常ありません。また皮疹もありません」
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バセドウ病では、上眼瞼の浮腫、眼球の突出、きつい目つき、顎の突出を観察する。クッシング症候群では、満月様顔貌をみる。末端肥大症では、頬骨の発達、巨大舌、口唇肥大、顎の突出を観察する。SLEでは皮疹を、アジソン病では色素沈着をみる。
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「眼を診察しますね。目元をさわらせていただきます。上を向いてください」
下眼瞼結膜を露出させる。
「眼球結膜に黄染、眼瞼結膜に貧血はありません」
「では、指先を追ってみてください」
指先を縦・横・斜めに動かして、目で追えるかを確認する。
「眼球運動は左右とも正常です」
「Graefe徴候、Stellwag徴候はみられません」
指先を眉間近くにもってゆき、寄り目になることを確認する。
「Moebius徴候もみられません」
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バセドウ病では、Moebius徴候(近くの物をみるとき、眼が中央に寄らない)、Graefe徴候(下方をみるとさ・上眼瞼の下に白い強膜をみる)、Stellwag徴候(瞬目が減少)を観察する。
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「口を大きく開けていただけますか」
舌圧子で舌を押さえながら、
「アーと声を出してください」
ペンライトで口腔内を観察する。
「口蓋垂に変形、偏位はありません。咽頭後壁も正常です」
「頬粘膜に、色素沈着、潰瘍などの異常はありません」
「歯肉腫脹、出血はありません。また、齲歯はないと思われます」
「舌は乾燥していません、舌苔も見られません」
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糖尿病では、齲歯と舌の乾燥を観察しやすい。
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