常に患者さんに声をかけ、失礼にならないように心がけること。
1.挨拶
「私は、学生の○○です。よろしくお願いします。お腹の診察を行いますので、仰向けになってください」
横に腰掛ける。
「ひさを軽く立てて、お腹をだして下さい。下の方は、腰の骨の下あたりまでだして下さい」
自分で腹部(鼠径部のあたりまで)を露出してもらう。
羞恥心に配慮し、決してせかさない。 不用意に患者さんの体にふれない。
2.視診
腹部の全体をよく観察する。
「皮膚に黄染・蒼自・色素沈着はありません」 「腹部の輪郭は、平坦です」 「臍周囲の静脈怒張はありません」 「手術痕はありません」
3.聴診
聴診器を少し自分の手で暖めながら。
「では、聴診をします。聴診器が少し冷たいかもしれません」
膜側を使用して、図の番号順に聴診器をあてて腸雑音を聞く。
「腸雑音の減弱は認めません。病的な腸雑音も認めません」
聴診器は、押しつけすぎたら聞こえない。
ベル側を使用して、臍部に聴診器をあてて血管雑音を聞く。
「血管雑音は聴かれませんでした」
4.打診
「次に、打診をします。痛いところはありませんか?」
「ありません」
痛む部分がある場合は、そこは避けて最後にする。
「もしも響いて痛いようでしたら、すぐにすぐに言ってください」
図の矢印の方向に打診を行う。
「肺肝境界は、第6肋間で、肝濁音界下縁は第12肋骨弓下にあり、肝腫大はありません」
Traube三角に打診を行う。
「Traube三角に鼓音を確認し、脾腫大はないものと思われます」
図の番号順に打診を行う。
「一部鼓音を呈しますが、おおむね生理的範囲内です」
5.触診
「では、お腹にふれますが、どこか痛いところはありませんか?」
痛む部分がある場合は、そこは避けて最後にふれる。
腹部全体を右手掌で軽く触診しながら、
「熱感・腫瘤はないようです」
「もう少し、強く押してみますね?」
腹部全体を右手掌で押さえながら、
「痛くありませんか?」
痛みを訴える場合は、rebound tenderness の確認を行う。
「痛みによる腹壁の緊張はありません」
「では、肝臓を調べてみましょう。息をはいてください」
右手第2指の橈骨側を肋骨縁に押し付ける。
「お腹を膨らませながら息を吸い込んでください」
そのまま第2指に肝臓下縁を触れないか確認する。
「肝臓の下縁はふれません」
「息をはいてください」
左肋骨下縁直下の腹部を両手で挟むようにする。
両手で押すようにして、脾臓を触れないか確認する。
「脾臓はふれません」
左腰部を両手で挟むように押して、腎臓を触れないか確認する。
「左腎はふれません」
右腰部を両手で挟むようにする。
両手で押すようにして、腎臓を触れないか確認する。
「右腎はふれません」
深呼吸が必要なのは右の腎臓であり、左では必要ない。
6.終了
「これで診察を終わります。ありかとうございました」