「前立腺癌に対するIMRT/IGRT併用寡分割照射法の第II相臨床試験」について

 前立腺癌の外部照射では、通常1回 2 Gy(グレイ)、合計35~39回(総線量70~78 Gy)程度の治療が行われます。そのため、7~8週間の長期間にわたって病院に通院または入院しなければなりません。
 欧米では、一回線量を少し多めにして、短期間で照射する方法(寡分割照射法)が試みられており、通常の方法と同じような効果が認められることが報告されはじめています。しかし、短期間で照射する方法が、日本人でも同じような治療効果をあげ、安全に実施できるかについてわかっていません。

 そこで、厚生労働科学研究費補助金がん臨床研究事業「放射線治療期間の短縮による治療法の有効性と安全性に関する研究」班(研究代表者:加賀美芳和教授)では、一回線量2.5 Gyで28回(総線量70 Gy)を照射する、短期間での放射線治療が安全に施行できるかを調べる臨床試験を計画いたしました。

 前立腺癌は、一回線量が大きいと、それだけ治療効果が上がる可能性があります。つまり、この治療法は、単に治療期間を短縮するだけでなく、治療効果が向上する可能性も期待されています。一方で、直腸出血などの副作用が増加する可能性もあります。そこで、強度変調放射線治療(Intensity-modurated radiotherapy, IMRT)といって、直腸の被ばく線量をより低く抑える治療法を用います。また、精度を保つため、治療ごとに前立腺の位置を補正して照射することを条件としています。

 本研究は、厚生労働科学研究費補助金がん臨床研究事業「放射線治療期間の短縮による治療法の有効性と安全性に関する研究」より援助を受けています。

臨床試験の目的

前立腺癌に対して画像誘導(image-guided radiation therapy, IGRT)を用いた軟部組織照合を併用した強度変調放射線治療(IMRT)による寡分割照射法70 Gy/28回/6週間(1回2.5 Gy)が有効かつ安全であるかを探索的に検討する。

臨床試験 参加施設

北海道大学、札幌医科大学、国立がん研究センター東病院、埼玉県立がんセンター、埼玉医科大学、千葉県がんセンター、 聖路加国際病院、癌研究会有明病院、都立駒込病院、国立がん研究センター中央病院、東海大学、愛知県がんセンター、名古屋大学、京都大学、大阪府立成人病センター、先端医療センター、山梨大学、昭和大学、兵庫県立がんセンター、九州大学 (順不同)

「前立腺癌に対するIMRT/IGRT併用寡分割照射法の第II相臨床試験」研究組織

研究代表者:加賀美 芳和 
昭和大学医学部放射線医学教室(放射線治療学部門)
〒142-8666 東京都品川区旗の台1-5-8
TEL&FAX: 03-3784-8835

研究事務局:中村 和正
九州大学大学院医学研究院 臨床放射線科学
〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1
Tel: 092-642-5695 Fax: 092-642-5705

データセンター:
九州大学病院 ARO 次世代医療センター/データセンター
〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1