HITの会
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Human Imaging Technology seminar 診療放射線技師画像解析セミナー(HITの会) |
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HOME > JSRT近畿支部寄稿文
初代代表の藤谷正氏は,「自分が撮影した画像には責任を持たなくてはならない.診断に適した画像であるかを判断するためには,画像を読む能力,読影力を高めることが重要」と語っています. この考えから,部位やモダリティにとらわれず,質の高い勉強ができる会として「HITの会」を設立しました. 当初は講演のみで行われていましたが,第10回からは症例検討(フィルムリーディング)が加わり,病変の発見能力や言語化して伝えるスキルを養うとともに,追加の撮影や処理の必要性をディスカッションすることで,より質の高い検査を目指しました.
私が一般参加者として「HITの会」に参加したのは2000年頃でした. 症例検討の際,通常は講演を行った医師にも参加してもらうのが通例ですが,なかには「技師が読影なんてとんでもない」と怒って帰られる医師もいました. 読影という言葉に対する抵抗感が今よりもずっと強かったように感じます.そんな時代に打ち合わせもなく当日に依頼するなんて,まあそうなるだろうと容易に予測はできました. それでも世話人の方々は「先生,怒って帰っちゃったんで自分たちだけでやりまーす」と平然と続けていて「この人たちはすごいな」と感心していたものでした. なお,現在は事前に打ち合わせを行い,医師の参加や症例の提供もお願いしていますが,断られることはありません.私の感想ですが,読影という言葉も以前より広義に受け取られるようになったと感じています.
「HITの会」は阪神淡路大震災のため一度中止されたことがありますが,約30年間,年4回の開催を2020年2月まで続けてきました.しかし,COVID-19の流行により約1年間の休止を余儀なくされました. 再開は2021年3月に講演のみYouTube限定配信という形で行われ,第122回の「HITの会」には1136名の登録がありました.このオンデマンド形式は大変好評で以降もこの形式での開催にこだわっております.
COVID-19感染状況の変動により,「HITの会」は不定期開催となり,2022年2月に第123回,同年10月に第124 回を開催しました. 配信はMedinarに依頼し各種認定ポイントの発行が可能になりました.症例検討は実施せず講演のみの配信でそれぞれ,1224名と662名が登録し多くの方に視聴していただきました.
私が「HITの会」代表に就任したのは2019年でした.代表就任の後,コロナ禍という前例のない状況下でリーダーシップが問われることとなりました. 人が集まることが厳しく制限されるなか,オンライン開催を実施するためには少数の強力なサポートを仰ぎましたが,その一方で,世話人全体の結束やまとまりが徐々に薄れていくのを感じました.
コロナ禍は世界中の人々の生活に大きな影響を与えました.「HIT の会」世話人も例外ではありません. ライフスタイルやメンタルヘルスに大きな影響があり,さまざまな変化が引き起こされ,その結果,仲間を失うという辛い経験もしました.
2023年は「HIT の会」の開催がありませんでした.この年は行動制限が解除された年でもありました. しかし,今後の進展を考える中で,「HIT の会」にとって最も重要なのは内部の結束であると判断し,そのために開催よりも優先するべき事項について考えました. まず,毎月行われていた世話人による症例検討会を復活させました.各自が施設の症例を持ち寄り,フイルムリーディングを行います. また,検討会後には,久しぶりに顔を合わせた世話人たちと昭和スタイルの食事会で交流を深めました.参加が難しい世話人には直接お話しする機会を設けました. その中で数名の世話人が辞退の意向を示しましたが,新たに手伝ってくれる仲間も見つかり,新体制が整いました.
「HITの会」は今後の開催について,現地開催にするかオンラインにするかで悩んでおります.それぞれに良い点があり,決断が難しいところです.
実は,現地開催にはこんな素敵なエピソードもあります.HITの会で出会い,結婚されたカップルがおられるそうです. なんでも,旦那様の病院に奥様が実習生として来られたのがきっかけで,その後,奥様が卒業してからHITの会の症例検討で再会し,連絡を取り合うようになったそうです. お二人にとってHITの会は生涯忘れられない思い出になったことでしょう,私も非常にうれしく思います.
今後も皆様のお役に立ち,愛される会であり続けられるよう,世話人一同,精いっぱい尽力してまいります. 引き続きHITの会をどうぞよろしくお願い申し上げます.
本稿は、日本放射線技術学会近畿支部雑誌(第30巻第2号)に掲載した記事を基に、一部改変を加えて掲載しています。
HITの会 第5代 代表幹事
宮原 正幸
近畿の研究会数珠繋ぎ No.9(日本放射線技術学会近畿支部雑誌第30巻2号 寄稿文)
診療放射線技師画像解析セミナー HITの会(以下「HITの会」という.)は1990年8月に大阪で発足しました. 初回のテーマは「腹部疾患ダイナミックCTについて」でした.当時,ヘリカルCTはまだ一般的ではなく,ダイナミックCTなど最新のワードではなかったでしょうか. 第2回のテーマは「整形領域における画像診断と撮影について(主にMRI画像)」で,当時の参加者の多くがMRI装置を見たこともないと思われます. 先進的な内容で,しかも整形領域に焦点を当てるという攻めたテーマ設定には当時の幹事の熱意が感じられます.初代代表の藤谷正氏は,「自分が撮影した画像には責任を持たなくてはならない.診断に適した画像であるかを判断するためには,画像を読む能力,読影力を高めることが重要」と語っています. この考えから,部位やモダリティにとらわれず,質の高い勉強ができる会として「HITの会」を設立しました. 当初は講演のみで行われていましたが,第10回からは症例検討(フィルムリーディング)が加わり,病変の発見能力や言語化して伝えるスキルを養うとともに,追加の撮影や処理の必要性をディスカッションすることで,より質の高い検査を目指しました.
私が一般参加者として「HITの会」に参加したのは2000年頃でした. 症例検討の際,通常は講演を行った医師にも参加してもらうのが通例ですが,なかには「技師が読影なんてとんでもない」と怒って帰られる医師もいました. 読影という言葉に対する抵抗感が今よりもずっと強かったように感じます.そんな時代に打ち合わせもなく当日に依頼するなんて,まあそうなるだろうと容易に予測はできました. それでも世話人の方々は「先生,怒って帰っちゃったんで自分たちだけでやりまーす」と平然と続けていて「この人たちはすごいな」と感心していたものでした. なお,現在は事前に打ち合わせを行い,医師の参加や症例の提供もお願いしていますが,断られることはありません.私の感想ですが,読影という言葉も以前より広義に受け取られるようになったと感じています.
「HITの会」は阪神淡路大震災のため一度中止されたことがありますが,約30年間,年4回の開催を2020年2月まで続けてきました.しかし,COVID-19の流行により約1年間の休止を余儀なくされました. 再開は2021年3月に講演のみYouTube限定配信という形で行われ,第122回の「HITの会」には1136名の登録がありました.このオンデマンド形式は大変好評で以降もこの形式での開催にこだわっております.
COVID-19感染状況の変動により,「HITの会」は不定期開催となり,2022年2月に第123回,同年10月に第124 回を開催しました. 配信はMedinarに依頼し各種認定ポイントの発行が可能になりました.症例検討は実施せず講演のみの配信でそれぞれ,1224名と662名が登録し多くの方に視聴していただきました.
私が「HITの会」代表に就任したのは2019年でした.代表就任の後,コロナ禍という前例のない状況下でリーダーシップが問われることとなりました. 人が集まることが厳しく制限されるなか,オンライン開催を実施するためには少数の強力なサポートを仰ぎましたが,その一方で,世話人全体の結束やまとまりが徐々に薄れていくのを感じました.
コロナ禍は世界中の人々の生活に大きな影響を与えました.「HIT の会」世話人も例外ではありません. ライフスタイルやメンタルヘルスに大きな影響があり,さまざまな変化が引き起こされ,その結果,仲間を失うという辛い経験もしました.
2023年は「HIT の会」の開催がありませんでした.この年は行動制限が解除された年でもありました. しかし,今後の進展を考える中で,「HIT の会」にとって最も重要なのは内部の結束であると判断し,そのために開催よりも優先するべき事項について考えました. まず,毎月行われていた世話人による症例検討会を復活させました.各自が施設の症例を持ち寄り,フイルムリーディングを行います. また,検討会後には,久しぶりに顔を合わせた世話人たちと昭和スタイルの食事会で交流を深めました.参加が難しい世話人には直接お話しする機会を設けました. その中で数名の世話人が辞退の意向を示しましたが,新たに手伝ってくれる仲間も見つかり,新体制が整いました.
「HITの会」は今後の開催について,現地開催にするかオンラインにするかで悩んでおります.それぞれに良い点があり,決断が難しいところです.
実は,現地開催にはこんな素敵なエピソードもあります.HITの会で出会い,結婚されたカップルがおられるそうです. なんでも,旦那様の病院に奥様が実習生として来られたのがきっかけで,その後,奥様が卒業してからHITの会の症例検討で再会し,連絡を取り合うようになったそうです. お二人にとってHITの会は生涯忘れられない思い出になったことでしょう,私も非常にうれしく思います.
今後も皆様のお役に立ち,愛される会であり続けられるよう,世話人一同,精いっぱい尽力してまいります. 引き続きHITの会をどうぞよろしくお願い申し上げます.
本稿は、日本放射線技術学会近畿支部雑誌(第30巻第2号)に掲載した記事を基に、一部改変を加えて掲載しています。
HITの会 第5代 代表幹事
宮原 正幸
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事務局 守口グローバル整形外科内 宮原 正幸 |

