心身機能も把握することの重要性

ICFの大きな特徴が「活動と参加」「環境因子」にあることは確かですが、「心身機能」もまた重要です。

なぜ、心身機能の把握が重要か?

ただ問題を把握するだけなら、心身機能の把握を省略してもあまり不都合は生じないと思いますが、いざ、支援方法を考えるときには、機能障害の違いは決定的に重要になります。例えば、「移動」の活動制限は、下肢障害はもちろん、視覚障害、聴覚障害、知的障害、等、多くの機能障害によって起こります。つまり、同じ「移動」上の活動制限といっても、その原因によって、性質も、支援の仕方も異なりうるのです。

UWDBのように、支援方法を検索できるデータベースでは、「移動」の活動制限に対する支援方法は、下肢障害がある人での車いすから、視覚障害のある人への歩道のブロック、あるいは、知的障害がある人への案内板まで多様にわたります。したがって、本当に効果的な支援方法を見つけるには、機能障害の情報が必要なのです。

心身機能はどのように把握するべきか

とは言っても、心身機能の把握には専門性が必要です。心身機能・身体構造とは、生理学的、心理学的、解剖学的な特質のことです。これらは、専門的な検査・評価法によって評価する必要があります。

各疾患の特徴的な機能障害については、医師等に確認する必要があります。概略については、UWDBの「疾患・障害情報」から調べることもできます。

重要なことは、これら生理学的、心理学的な評価や検査は、あくまでも心身機能/機能障害を調べているのであって、職業上の多様な課題となる「活動」について直接把握できるものではないということです。あくまでも、障害状況を構造的に把握し、支援を検討する際の参考情報として利用するべきものです。


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Yuichiro Haruna
yharuna-tky@umin.ac.jp