ご挨拶
北海道函館市におきまして、第34回日本生体磁気学会大会を開催します。
本学会は、生体磁気計測機器にセンサーが1個からせいぜい数個しか搭載されていなかった1986年(当然、脳磁計や心磁計は未分化でした)に第1回の準備大会を開催し、その後の計測装置の目を見張る発展と歩みを共にしてきました。生体磁気計測装置はそれ自体、電磁気学、超電導工学、低温工学、生体計測など多くの学術分野にまたがる技術でしたが、生体磁気計測が完全無侵襲であるという特徴ゆえに、臨床のみならず生理学や心理学、教育学など幅広い学術分野に恩恵を与えました。従来の学術分野の枠組みを越えたこのような学会の存在なしには今日の生体磁気学の発展はなかったものと思います。
大会テーマは「臨床/生理/心理と計測技術をめぐる物語」としました。生体磁気計測装置に搭載されるセンサー数が頭打ちになり、一見するとそれほど大きな変化が見られなくなっていた計測技術にも近年新しい動きがあり、それが新たな応用を発掘することにつながりそうです。応用側の要求に応えて新しい技術も進歩します。楕円軌道の2つの焦点のような計測技術と応用が多彩な応用展開と新たな技術革新をもたらしていくものと思います。本大会の議論を通じて、会員、ひいては国内外の研究者に有益な情報を発信できるよう、努力してまいります。
函館市には新幹線も開通しており、歴史的建造物や見どころの多い街です。海産物の豊富さは言うまでもありません。皆様と有意義な時間を過ごせますよう、多数のご参加をお待ちしております。
第34回日本生体磁気学会大会 大会長
北海道大学大学院 保健科学研究院
横澤 宏一