参考資料1

厚生省防災業務計画


この計画の目的

 この計画は,災害対策基本法(昭和36年法律第 233号)第36条第1項及び大規模地震対策特別措置 法(昭和53年法律第73号)第6条第1項の規定に基 づき,厚生省の所掌事務について,防災に関しとる べき措置及び地域防災計画の作成の基準となるべき 事項等を疋め,もって防災行政事務の総合的かつ計 画的な遂行に資することを目的とする。

この計画の効果的な推進

 厚生省は,災害対策基本法第36条第1項の趣旨を 踏まえ,毎年1月を目途にこの計画の措置状況につ いて取りまとめるとともに,その効果的な推進につ いての検討を加えるものとする。


第1編 災害予防対策

第1章 総則

第1節 厚生省災害対策連絡調整会議の設置
  1. 災害予防対策,災害応急対策及び災害復 旧・復興対策を円滑に講ずるための常設の 連絡調整組織として,厚生省大臣官房総務課に,厚生省災害対策連絡調整会議(以下 「連絡調整会議」という。)を設置する。

  2. 連絡調整会議は,前項の目的を達成するため,厚生省防災業務計画の作成,実施及 び見直しに関し,厚生省内における必要な連絡調整を行う。

  3. 連絡調整会議の組織は,厚生省災害対策連絡調整会議設置規程(別紙1)に定めるところによる。

第2節 平常時における連絡体制の整備

  1. 連絡調整会議構成員並びに厚生省災害対策本部組織規程細則(別紙2)に掲げられている本部員会議構成員,幹事会構成員, 事務局員及び防災担当職員(以下「災害対 策本部構成員等」という。)は,厚生省災 害対策本部構成員等必携(以下「必携」と いう。)を常時携帯する。

  2. 連絡調整会議構成員は,ポケットベル又 は携帯電話を携帯すること等により常時連 絡がとれるようにする。

  3. 災害対策本部構成員等は,非常災害が発 生し,又は発生するおそれがあることを 知った場合に,直ちに参集することができ るよう,平常時から,厚生本省への複数の 交通手段及び国立病院東京災害医療セン ターへのルートを確認しておく。

    (注1)非常災害とは,東京・震度5以上,その他の地域・震度6以上等を目安とする。

    (注2) 国立病院東京災害医療センターは,厚生省災害対策本部を厚生本省に設置することが困難であると認められる場合に,第2編第1章第2節第5第1項の規定に基づき,厚生省災害対策本部が設置されるものである。

  4. 人事異動等により,災害対策本部構成員等が変更する場合には,以下により前任者 は後任者に引き継ぎを行うとともに,連絡調整会議に報告する。

    (1)災害対策本部構成員等である旨の引継ぎを行うこと。
    (2)必携その他の防災関係書類等の引継ぎを行うこと。
    (3)厚生省防災業務計画の実施等に係る当該構成員等の役割を引き継ぐこと。

第3節 防災に関する教育訓練等

第1 防災に関する教育

 連絡調整会議は、災害対策本部構成員に対して,毎年4月,9月及び1月を目途 に,講習会の実施等を通じ,防災に関し必要な以下に例示する知識等の周知徹底を行う。

  1. 災害対策基本法,災害救助法(昭和年法律第118号)その他の関係法令の概要
  2. 厚生省防災業務計画及び所掌に係る災害対策マニュアルの概要
  3. 必携に定める非常災害時の連絡網
  4. 阪神・淡路大震災その他の過去の災害における取組の概要

第2  防災に関する訓練

 連絡調整会議は,毎年9月1日に実施される政府の総合防災訓練に併せて以下 の訓練を行う。

(1)地震判定召集連絡報の仏蓮訓練
(2)厚生省非常参集訓練
(3)厚生省災害対策本部及び厚生省地震災害警戒本部設置運営訓練
(4)地震防災応急対策に係る措置の実施訓練
(5) その他省内の防災体制に関する訓練

第3 防災に関する意識の啓発

 厚生省社会・援護局その他の関係部局は,毎年1月17日の「防災とボランティア の日」及びその前後の「防災とボランティア週間」その他の適当な機会を捉え,関係 団体等への指導・援助等を通じ,一般住民の防災に関する認識を高めるための措置を 講ずる。

第4節 災害対策に係る研究の推進

  1. 厚生省関係部局は,災害対策に係る研究を推進するよう努める。
  2. 阪神・淡路大震災の経験をも踏まえ,推進すべき研究テーマは別に定める。
  3. 厚生省関係部局は,災害対策に係る研究成果が得られた場合には,広く関係者等に 周知されるよう努める。

第5節 情報化の進展に対応した災害予防対策の充実

 厚生省関係部局は,以下の点に配慮しつつ,情報化の進展に対心した災害予防対策の 充実を図るように努めるとともに,必要に応じ、都道府県及び市町村に対し,指導・助言 その他の支援を行う。

  1. 災害応急対策の実施に関し,有用な情報のデータベース化を行うこと。
  2. 災害応急対策の実施に関し,有用な情報のバックアップを図ること。
  3. プライバシーへの配慮を行うこと。

第2章 災害救助法に係る防災体制の整備

第1節 都道府県における防災体制の整備

  1. 都道府県は,他都道府県との災害援助協 定の締結,応急仮設住宅建設用地の把握, 救助物資の備蓄又は物資供給に係る関係業 者との協定の締結等により,災害発生時に 火害救助法による応急救助が迅速かつ適正 に実施されるよう防災体制の整備に努める。

  2. 厚生省社会・援護局は,関係省庁,関係業界等と連携を図り,食品,飲料水及び生 活必需品の調達可能量並びに応急仮設住宅の建設に要する資機材の供給可能量等につ いて把握し,これを情報提供することにより,都道府県の防災体制の整備を文援する。

  3. 厚生省社会・援護局は,都道府県に対し,当該都道府県の災害救助法施行細則, 災害救助法の実施体制等について随時報告を求め,必要に応じ,助言,指導及び勧告 を行う。

  4. 厚生省社会・援護局は,都道府県の災害援助担当者に対し,災害救助に関する知識 を高め,担当職員として適切な行動がとれるよう,災害救助業務の周知徹底等の指導 を行う。

第2節 災害時の応急救助に係る計画の整備

  1. 都道府県は,災害救助法による応急救助の迅速かつ円滑な実施に資するため,適宜,地域防災計画を見直し,市町村に対しその周知徹底を図る。

  2. 都道府県は,災害救助法第30条に基づき,市町村に応急救助の職権を一部委任す る場合は,あらかじめ委任する応急救助の種類とその程度,方法及び期間等について 明確にしておくとともに,管下市町村に対し,当該市町村地域防災計画において委任 の内容が適切に定められるよう指導する。

第3節 災害救助基金の管理運営

 厚生省社会・援護局は,都道府県の災害 救助基金の積立状況を把握するとともに, 積立最小額の遵守及び適切な運営管理につ いて指導する。

第3章 医療・保健に係る災害予防対策

第1節 医療施設の災害に対する安全性の確保

  1.  厚生省健康政策局,都道府県及び市町村 は,医療施設の災害に対する安全性を確保 するため,医療施設の管理者が実施する以 下の事項に関し,必要に応じ,指導・助言 その他の支援を行う。

    (1) 医療施設における耐震性その他の安全   性を確保すること。

    (2)医療施設の職員及び入院患者に対し,災害対策に関する啓発を行うこと。

    (3) 医療施設の職員及び入院患者に対し,避難訓練を実施すること。

  2. 厚生省健康政策局及び都道府県は,医療施設の管理者に対して,医療施設における 消火器具,警報器,避難用器具等の整備保 全及び電気器具,石油その他の危険物の適 切な管理について指導する。

  3. 厚生省健康政策局及び都道府県は,放射 性同位元素,病原微生物,毒物類等の保健 衛生上危害を生ずるおそれのある物を取扱 う医療施設の管理者に対しては,災害の発 生時におけるこれらの物の取扱いについて 指導する。

第2節 災害時医療体制の整備

第1  都道府県内における体制整備

  1. 都道府県は,あらかじめ日本赤十字社との災害救助法による医療等の実施に係 る委託契約を締結し,災害時における救護班の確保に努める。

  2. 都道府県は,ニ次医療圏を勘案し,及 び,保健所の活用等に配慮しつつ,災害 時医療体制の整備に努める。

第2 地域の医療関係団体との連携

 都道府県及び市町村は,災害時における 医療の確保のため,地域の医療関係団体と の協定の締結等により,連携の強化に努め る。

第3 災害時拠点医療施設の整備

  1. 都道府県は,災害時の患者受入機能,水・医薬品・医療材料の備蓄機能が強化 され,応急用資器材の貸出し等により,地域の医療施設を支援する機能等を有す る災害時に拠点となる医療施設を選定 し,又は設置することにより,災害時医 療体制の整備に努める。

  2. 厚生省健康政策局は,都道府県による災害時医療体制の整備に関し,必要な指 導・助言その他の支援を行う。

第4  災害時情報網の整備

 厚生省健康政策局及び都道府県は,広域 災害及び救急医療に関する情報システム (コンピュータ等を利用して,災害時に医 療施設の診療状況等の迅速な把握が可能な 救急医療情報のネットワーク)により, 国・都道府県間,都道府県・市町村・保健 所間,保健所・医療施設間等の災害時にお ける情報収集及び連絡体制の整備に努め る。

第5 災害時の対応マニュアルの作成等

  1. 都道府県は,既存の救急医療体制で対応できない規模又は種類の災害が発生し た場合の被災地における医療供給の支援体制,医療関係団体との協力体制,患者 等の搬送方法,都道府県城を超えた支援体制等について,地域防災計画への記載 に努める。

  2. すべての病院は,災害特における救急患者への医療支援に備え,災害時におけ る情報の収集・発信方法,救急患者の受入れ方法,救護班の派遣方法等を記した マニュアル(以下「病院防災マニュアル」という。)の作成に努める。

  3. 厚生省健康政策局は,地域防災計画における医療供給の支援体制の整備について必要な指導・助言を行うこと,及び病院防災マニュアル作成のためのガイド ラインを周知すること等により,必要な支援を行う。

第3節 災害時における救急患者等の搬送体制の確保

  1. 都道府県は,災害時における救急患者及び医療活動従事者の搬送のため,平常時か ら,陸路・海路・空路を利用した複数の搬送手段の確保に努める。

  2. 厚生省健康政策局は,防災基本計画(平成7年7月18日中央防災会議決定)第2編 第2章第3節2(2)等に掲げる救護班の緊急輸送や同節2(3)に掲げる傷病者の搬送を円滑に進めることができるようにするため,緊急輸送関係省庁[運輸省,海上保安庁, 防衛庁,消防庁,警察庁]との必要な調を行う。

第4節 後方支援体制の確保

  1. 都道府県は,当該都道府県においては対処することが困難な規模の非常災害が発生 した場合における医療を確保するため,近隣都道府県と調整し,災害時の相互協力体 制の確立に努める。

  2. 厚生省健康政策局は,前項の相互協力体 制の確立のため,必要に応じ,指導・助言 その他の支援を行う。

第5節 医療ボランティアの活動を支援するため の環境整備

 厚生省健康政策局及び都道府県は,災害 時において,医療ボランティアの確保・受 入れに係る調整を行い,適切な医療スタッ フの配置を図るため,広域災害及び救急医 療に関する情報システム等の整備に努める。

第6節 医薬品等の安定供給の確保

第1 災害時情報網の整備

  1. 都道府県は,医療機関,医薬品等関係 団体,日本赤十字社,都道府県薬剤師会 等と協力し,災害時における医薬品等の 供給に関する情報収集及び連絡体制の整 備に努める。

  2. 厚生省薬務局は,都道府県,医薬品等関係団体,日本赤十字社,社団法人日本 薬剤師会等と協力し,災害時における医 薬品等の供給に関する情報収集及び連絡 体制の整備に努める。

第2 災害時における医薬品等の搬送体制の確保

  1. 都道府県は,災害時における医薬品等の搬送のため,平常時から,マンパワー の確保及び自転車,自動二輪車を含めた 搬送手段の確保に努める。

  2. 厚生省薬務局は,防災基本計画第2編第2章第4節1(2)に掲げる医薬品等の緊 急輸送を円滑に進めることができるよう にするため,緊急輸送関係省庁との必要 な調整を行う。

第3 医薬品等の供給,管理等のための計画

  1. 都道府県は,「太規模災害時の医薬品等供給システム検討会報告書」(平成8 年1月厚生省大規模災害時の医薬品等供給システム検討会報告)等を参考とし, 関係者間の情報体制,災害用の備蓄医薬品等の確保方策,保管・管理体制等を内 容とする医薬品等の供給,管理等のため の計画の策定に努める。

  2. 厚生省薬務局は,都道府県が行う医薬 品等の供給,管理等のための計画策定に 際し,必要な指導・助言その他の支援を行う。

第7節 防疫に係る防災体制の整備

  1. 都道府県及び市町村は,防災業務担当者 に対して,関係法令,実務等に関する講習 会,研究会等を実施すること等により,災 害時の防疫活動の迅速かつ適切な確保に努 める。

  2. 都道府県は,災害時の衛生状態の悪化や 拡大により,防疫に必要な器具機材等が不 足する場合に備え,平常時から,器具機材 の確保や近隣都道府県との応援体制の確立 に努める。

  3. 厚生省保健医療局は,都道府県及び市町 村が行う防疫に係る防災体制の整備に関 し,必要な指導・助言その他の支援を行 う。

第8節 個別疾患に係る防災体制の整備

第1 人工透析

  1. 都道府県は,クラッシュシンドロームによる急性腎障害患者への対応も含めた 災害時の人工透析医療を確保するため, 社団法人日本透析医会その他の関係機関 と協力し,透析患者の受療状況及び透析 医療機関の稼働状況の把握並びに必要な 水・医薬品等の確保に努める。

  2. 厚生省保健医療局は,都道府県が行う 人工透析医療に係る防災体制の整備に関 し,必要な指導・助言その他の支援を行 う。

第2 難病等

  1. 都道府県は,難病患者その他特殊な医 療を必要とする患者(以下 「難病患者 等」という。)に対する災害時の医療を 確保するため,難病患者等の受療状況及 び医療機関の稼働状況の把握並びに必要 な医薬品等の確保に努める。

  2. 厚生省保健医療局は,都道府県が行う 難病等に係る防災体制の整備に関し,必 要な指導・助言その他の支援を行う。

第9節 国立病院等における災害予防対策

 国立病院・療養所は,前各節までに定め るもののほか,国立病院等の広域災害活動 要綱(平成7年12月13日健医発第1472号各 地方医務(支)局等あて厚生省保健医療局 国立病院部長通知)の定めるところによ り,必要な災害予防対策を講ずる。

第4章 福祉に係る災害予防対策

第1節 市町村民生部局の防災体制の整備

  1. 市町村民生部局は,避難所及び応急仮設 住宅の管理運営から災害を契機に新たに要 援護者となる者に対する衛生部局と連携を とった保健福祉サービスの提供等に至るま で,非常災害に際しては膨大な業務量を処 理することとなるため,以下の点に留意し つつ,可能な限り災害時の業務処理をルー ル化すること等により,防災体制の整備に 努める。

    (1)災害時の業務増を踏まえた十分なシ ミュレーションを行い,災苦の発生によ り新規に発生する業務が適切に行われる よう,職員の確保や業務分担の確認等を 行うこと。

    (2)福祉事務所等の相談機関や管下の保健 福祉サービス事業者との連絡・連携体制 を整備すること。

    (3)必要に応じ,災害時における市町村民 生行政に係る協力体制のあり方を含んだ 市町村間災害援助協定を締結すること等 により,相互協力体制を確立すること。

    (4)住民のプライバシーについて十分な配 慮を行いつつ,在宅の要援護者の状況を把握すること。

  2. 都道府県は,管下の市町村民生部局が行 う防災体制の整備に関し,必要な指導・助 言その他の支援に努める。

  3. 厚生省社会・援護局,老人保健福祉局, 児童家庭局その他の関係部局は,災害時に おける市町村民生行政の確保に関するマ ニュアル作成のためのガイドラインを示す こと等により,必要な支援を行う。

第2節 保健福祉サービス事業者の災害に対する安全性の確保

  1. 厚生省社会・援護局,老人保健福祉局,児童家庭局その他の関係部局,都道府県及 び市町村は,保健福祉サービスの災害に対 する安全性を確保するため,保健福祉サー ビス事業者が実施する以下の事項に関し, 必要に応じ,指導・助言その他の支援を行う。

    (1)国庫補助制度の積極的な活用等によ り,社会福祉施設等における耐震性その 他の安全性を確保すること。

    (2)社会福祉施設等の職員及び利用者に対 し,災害対策に関する啓発を行うこと。

    (3)社会福祉施設等の職員及び利用者に対し,避難訓練を実施すること。

    (4)発災時において,既にサービスの提供を受けている者に対し,継続してサービスの提供を行うことができるようにするとともに,災害を契機に新たに要援護者となる者に対し,社会福祉施設等への緊急受入れその他のサービス提供を可能な 限り実施していくため,入所者サービス に必要な物資の備蓄,施設の余剰スペー スの把握,サービス事業者間における災 害援助協定の締結に努めること。

  2. 厚生省社会・援護局,老人保健福祉局,児童家庭局その他の関係部局,都道府県及 び市町村は,保健福祉サービス事業者に対 して,社会福祉施設等における消火器具 警報器,避難用具等の整備保全及び電気器 具,石油その他の危険物の適切な管理につ いて指導する。

  3. 厚生省社会・援護局,老人保健福祉局、児童家庭局その他の関係部局は,保健福祉 サービス羊業者に対して,災害時における 保健福祉サービスの提供に関するマニュア ル作成のためのガイドラインを示すこと等 により,必要な支援を行う。

第3節 災害時におけるボランティア活動を支援 するための環境整備

  1. 厚生省社会・援護局は,災害時における ボランティア活動の環境整備のため,以下 の取組を行う。

    (1)災害時におけるボランティア活動を支 援するためのマニュアルを作成するこ と。

    (2) ボランティア保険の普及を図ること。

  2.  都道府県及び市町村は,災害時における ボランティア活動を支援するための環境整 備のため,以下に例示する取組を行うよう 努める。

    (1)社会福祉協議会,日本赤十字社その他 のボランティア団体と連携を図り,ボラ ンティアの総合的な登録,教育・訓練, 調整等を行うこと。

    (2)災害時のボランティア活動のあり方,求 められているマンパワーの要件,活動の支援・調整等についての講習会等を実施 すること等により,ボランティアコーディネーターの養成を行うこと。

    (3)他の地域のボランティア拠点との連絡 調整を円滑に行うことができるようにするため,非常用電話,パソコン等の整備 を図り,拠点相互のネットワークを構築すること。

  3.  厚生省社会・援護局は,都道府県及び市 町村が行う災害時におけるボランティア活 動を支援するための環境整備に関し,必要 な指導・助言その他の支援を行う。

第5章 生活衛生に係る災害予防対策

第1節 遺体の火葬体制の整備

第1 広域的な火葬に関する計画の策定

  1. 都道府県は,近隣都道府県等と協力 し,広域的な観点から災害時における遺 体の円滑な火葬を支援するための火葬場 の火葬能力,遺体の搬送・保存体制等を 記した広域的な火葬に関する計画の策定 に努める。

  2. 市町村は,広域的な火葬に関する計画 に関して,職員にあらかじめ十分に周知 させること等により,災害時における遺 体の円滑な火葬の支援に備えるよう努め る。

  3. 厚生省生活衛生局は,広域的な火葬に 関する計画の策定のための指針を示すこ と等により,必要な支援を行う。

第2 火葬データベースの整備

 厚生省生活衛生局は,厚生省報告例に基づ く基礎的情報のほか,火葬場の名称,所在 地,一日当たりの火葬能力,職員の配置状 況,周辺の交通事情等に関する火葬データ ベースの整備に努めることとし,社団法人日 本環境斎苑協会に対し,必要な指導・助言そ の他の支援を行う。

第2節 水道施設に係る防災体制の整備

第1 水道施設の耐震化等

  1. 厚生省生活衛生局水道環境部は,水道 事業者及び水道用水供給事業者(以下 「水道事業者等」という。)が水道施設の 耐震化を図るための指針(以下「水道耐 震化計画指針」という。)を作成する。

  2. 水道事業各等は,水道耐震化計画指針 を踏まえて,具体的に目標を定めて,計 画的に耐震化を進めるよう努める。

  3. 水道事業者等は,緊急時に応急給水用 の水を確保できるよう,配水池容量の拡 大,緊急遮断弁の設置等を計画的に推進 するよう努める。

  4. 厚生省生活衛生局水道環境部は,水道 事業者等が行う水道施設の耐震化及び応 急給水用水の確保のための措置に関し, 必要な指導・助言その他の支援を行う。

第2 災害時応急体制の整備

  1. 厚生省生活衛牛局水道環境部は,水道 施設に係る災害時応急体制を整備するた め,以下の措置を行う。

    (1)都道府県及び水道事業者等と協力 し,災害時における広域的な情報収集・連絡体制の整備に併せて,管路等 の重要な施設の情報のデータベース化及びオンライン化を図ること。

    (2)応急給水(生活用水に供されるものを含む。以下同じ。)及び応急復旧活 動に関する行動指針を作成すること。

    (3)水道事業者等が行う応急給水及び応 急復旧に必要な資機材の備蓄の状況を定期的に把握すること。

    (4)応急給水及び応急復旧に必要な資機 材が水道事業者等の間で共用できるよ う,仕様・規格の統一化等に努めること。

  2. 都道府県は,水道施設に係る災害応急 体制を整備するため,以下の措置を行う ように努める。

    (1)管下の水道事業者等と協力し,災害 時における広域的な情報収集・連絡体 制を整備するために,広域通信網及び その回線の二重化等によるバックアッ ブシステムの整備を図るとともに,管 路等の重要な施設の情報データベース 化及びオンライン化を図ること。

    (2)応急給水及び応急復旧活動に関する 行動指針を作成すること。

  3. 水道事業者等は,水道施設に係る災害 時体制を整備するため,以下の措置を 行うよう努める。

    (1)応急給水及び応急復旧活動に関する 行動指針を作成すること。

    (2)地方公共団体の防災担当部局と協力 し,災害時の情報伝達手段を整備する こと。

    (3)他の水道事業者等と調整し,災害援 助協定を締結すること等により,相互協力体制を可能な限り広域にわたって 確立すること。

    (4)応急給水及び応急復旧に必要な資機 材の備蓄を行うとともに,その調達を 迅速かつ円滑に行う体制を整備すること。

    (5)消防水利の多様化促進,緊急輸送手 段の確保等について,平常時から,関 係機関と協議・調整を行うこと。

  4. 厚生省生活衛生局水道環境部は,都道 府県及び水道事業者等が行う水道施設に 係る災害時応急体制の整備に関し,必要 な指導・助言その他の支援を行う。

第3 住民による飲料水の確保等

 水道事業者等は,地方公共団体の防災 担当部局と協力し,2〜3日分の飲料水 の備蓄や,給水措置,受水槽の耐震化の 推進等について,住民等が白主的に取り 組むよう啓発に努める。

第3節 廃棄物処理に係る防災体制の整備

第1 一般廃棄処理施設の耐震化等

  1. 市町村は,一般廃棄物処理施設の耐震化,不燃堅牢化等を図るよう努める。

  2. 市町村は,一般廃棄物処理施設の非常 用自家発電設備等の整備や,断水時に機 器冷却水等に利用するための地下水や河 川水の確保に努める。

  3. 都道府県は,市町村が行う一般廃棄物 処理施設の耐震化に関し,必要な指導・ 助言その他の支援を行う。

  4. 厚生省生活衛生局水道環境部は,情報 の収集及び技術的,財政的援助を行う。

第2 災害時応急体制の整備

  1. 市町村は,廃棄物処理に係る災害時応 急体制を整備するため,以下の措置を行 うよう努める。

    (1)近隣の市町村及び廃棄物関係団体等 と調整し,災害時の相互協力体制を整 備すること。

    (2)仮設便所やその管理に必要な消毒 剤,脱臭剤等の備蓄を行うとともに, その調達を迅速かつ円滑に行う体制を 整備すること。

    (3)−般廃棄物処理施設の補修等に必要 な資機材の備蓄を行うとともに,収集 車両や機器等を常時整備し,緊急出動 できる体制を整備すること。

    (4)生活ごみや災害によって生じた廃棄 物(がれき)の一時保管場所である仮置場の配置計画,し尿,生活ごみ及び がれきの広域的な処理・処分計画を作 成すること等により,災害時における 応急体制を確保すること。

  2. 厚生省生活衛生局水道環境部及び都道府県は,都道府県間及び市町村間におけ る広域支援体制の整備に関し,必要な指 導・助言その他の支援を行う。

第6章 社会保険に係る災害予防対策

 社会保険庁,社会保険業務センター及び社会保険大学校並びに都道府県保険主管課,国民年金主管課及び社会保険事務所は,以下の点に留意 した防災体制の整備を行う。

 なお,都道府県保険主管課等は,その実 施に当たっては,都道府県が定める地域防 災計画に沿った対応を行うものとする。

  1. 職員はもとより来訪者等の安全を確保するため,消防設備,通信設備,医 薬品,避難用具等の整備を図るととも に,これらの定期的な点検を実施する こと。

  2. 社会保険関連施設のうち老巧化して いると認められるものについては,耐 震等の調査を行うこと。また,この調 査結果に基づき,必要があると認めら れるときは耐震等への配慮を行うこ と。

     なお,新規に設置する施設において は,十分な耐震構造を図ること。

  3. 災害特に情報の収集伝達を迅速かつ 的確に行うため,一般電話が不通の場 合であっても,行政電話,非常電話, 非常電報等あらゆる通信手段を用いて 情報の収集伝達を行うための連絡ルー トの確保を図ること。


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