災害医学論文集(災害事例別) 米国多発テロ事件(2005) |
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■臨床精神医学
Abstract:2001年9月11日、米国で航空機を用いた同時多発テロによって約3,000名の死者・行方不明者が発生した。DMAT-MA2(Massachusetts)は世界貿易センター破壊に関連する医療支援のためニューヨーク市に展開した。この未曾有の経験を調査することは日本における災害時医療活動の参考になると考えられ、DMATの初期対応、チーム編成、活動内容、装備、情報管理について、主要なメンバーへの聞き取り調査を行った。事件からほぼ4時間後にはNational Disaster Medical System(NDMS)から通知によって「activation status」となったが、正式な出発命令はさらに9時間後(午後10時)となった。チーム構成は医師10名、看護士17名、パラメディック9名、EMT10名、メンタルヘルス専門家2名、薬剤師1名、呼吸管理士1名、レントゲン技士1名、行政補佐官1名、通信スタッフ2名、ロジスティック担当者2名の計55名であり、Incident Command Systemに基づき各スタッフが配置された。NDMSから派遣されたManagement Support Team(MST)の指示でニューヨークに展開したが、生存救出者はほとんど存在せず主に救助者のための医療展開となった。これら活動は現在検討中の日本版DMATの参考になると考えられた。
黒田 裕子・酒井明子監修:災害看護、東京、メディカ出版、2004
特集【災害精神医学の10年 経験から学ぶ】
Abstract:米国ニューヨーク地区の日本人学校に通学する小学5年生〜高校3年生324名を対象に,米国同時多発テロ事件から3ヵ月後の精神状態について,アンケートおよび「改訂版出来事インパクト尺度(IES-R)」「Children's Depression Inventory(CDI)」を用いて調査した.IES-Rでは11.7%が外傷後ストレス障害を,CDIでは12.8%が大うつ病を疑わせる高得点を示した.また,テロ事件への曝露がIES-R得点と相関を示し,CDI得点とIES-R得点との間に相関を認めた。