胸骨圧迫の部位に関する論議

―ACLS および eml-ncメーリングリスト 2006年3月―

(皆様のご意見をウェブ担当者までお寄せ下さい)



            目次 (発信者の敬称は省略させていただきます)

メーリングリストACLSにおける意見交換

 越智 [ACLS:4981] 胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導
 吉田 [ACLS:4982] Re: 胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導
 越智 [ACLS:4984] Re: 胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導
 石見 [ACLS:4985] Re:Re:  一般市民の蘇生法
 越智 [ACLS:4986] Re: 胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導
 笠井 [ACLS:4987] Re:胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導
 畑中 [ACLS:4988] 胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導
 智原 [ACLS:4989] Re:胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導
 吉田 [ACLS:4990] Re: 胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導
 吉田 [ACLS:4991] Re: 胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導
 山岡 [ACLS:4993] Re:胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導
 越智 [ACLS:4994] Re: 胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導
 吉田 [ACLS:4995] Re:Re:  一般市民の蘇生法
 山岡 [ACLS:4996] Re: 胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導
 谷口 [ACLS:4997] Re: 胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導
 越智 [ACLS:4998] Re: 一般市民の蘇生法(胸骨の下半分?)
 増原 [ACLS:4999] Re: 胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導
 笠井 [ACLS:5000] Re:胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導
 笠井 [ACLS:5001] Re:胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導
 増原 [ACLS:5002] Re:胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導
 石見 [ACLS:5003] Re:Re:  一般市民の蘇生法
 越智 [ACLS:5007] GL策定小委員会への意見書(続)―胸骨圧迫の部位
 吉田 [ACLS:5009] Re: 一般市民の蘇生法(胸骨の下半分? )
 越智 [ACLS:5011] Re: 一般市民の蘇生法(胸骨の下半分? )
 越智 [ACLS:5013] 胸骨圧迫の位置(CoSTRでは胸骨中央)
 越智 [ACLS:5014] ★訂正Re: 胸骨圧迫の位置(CoSTRでは胸骨中央)
 徳田 [ACLS:5015] Re: 胸骨圧迫の位置(CoSTRでは胸骨中央)
 A  [ACLS:5050] Re: 「胸の真ん中で心マを指導」の論議を公開ウェブに

メーリングリストeml-ncにおける意見交換

 徳田 [eml-nc6: 0471] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版(一部のみ)
 K  [eml-nc6: 0476] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版
 吉田 [eml-nc6: 0478] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版(一部のみ)
 K  [eml-nc6: 0480] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版
 吉田 [eml-nc6: 0486] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版
 K  [eml-nc6: 0489] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版
 吉田 [eml-nc6: 0491] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版
 K  [eml-nc6: 0494] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版
 吉田 [eml-nc6: 0497] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版
 K  [eml-nc6: 0498] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版
 笠井 [eml-nc6: 0499] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版(一部のみ) 
 平岡 [eml-nc6: 0501] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版
 福池 [eml-nc6: 0504] Re: 日本版救急蘇生のガイド ライン暫定版
 L  [eml-nc6: 0505] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版 
 吉田 [eml-nc6: 0506] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版
 水野 [eml-nc6: 0511] 胸骨とは?(Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版
 水野 [eml-nc6: 0512] Re: 胸骨とは?(Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版
 水野 [eml-nc6: 0513] Re: 胸骨とは? 
 石原 [eml-nc6: 0514] Re: 胸骨とは?  
 K  [eml-nc6: 0515] Re: 胸骨とは?(Re: 日本版救急蘇生のガイドラ
 L  [eml-nc6: 0519] Re: 胸骨とは?
 水野 [eml-nc6: 0521] 胸骨がイメージできること(Re: [eml-nc6: 0519] Re: 胸骨とは?
 水野 [eml-nc6: 0524] 胸骨体の中央付近?(Re: [eml-nc6: 0522] 日本版GL 暫定版への意見 1-下 CPR(市民および非日常的に蘇生を行う者) 
 水野 [eml-nc6: 0525] Re: 胸骨体の下半分ですね
 水野 [eml-nc6: 0527] 手を置く場所が悪いと何が起こるか(Re: [eml-nc6: 0525] Re: 胸骨体の下半分ですね
 石原 [eml-nc6: 0531] Re: 手を置く場所が悪いと何が起こるか(Re: [eml-nc6: 0525] Re: 胸骨体の下半分ですね 
 K  [eml-nc6: 0535] Re: 手を置く場所が悪いと何が起こるか
    [eml-nc6: 0539] 胸骨。  漏斗胸の場合は?
 N  [eml-nc6: 0547] Re: 手を置く場所が悪いと何が起こるか
    [eml-nc6: 0549] Re: 手を置く場所が悪いと何が起こるか
  川岸 [eml-nc6: 0552] Re: 胸骨体の下半分ですね
 水野 [eml-nc6: 0555] Re: 手を置く場所が悪いと何が起こるか(Re: [eml-nc6: 0525] Re: 胸骨体の下半分ですね 
 水野 [eml-nc6: 0558] Re: 胸骨体の下半分、解剖学的な共通理解とは?
 K  [eml-nc6: 0560] Re: 胸骨体の下半分、解剖学的な共通理解 
 O  [eml-nc6: 0561] Re: 胸骨体の下半分ですね 
 平岡 [eml-nc6: 0563] Re: 胸骨体の下半分、解剖学的な共通理解とは? 
 平岡 [eml-nc6: 0564] Re: 胸骨体の下半分、解剖学的な共通理解とは? 
 水野 [eml-nc6: 0601] 訂正:胸骨の語源( Re: 胸骨とは?
 越智 [eml-nc6: 0605] 胸骨圧迫の位置決め

■メーリングリストACLSにおける意見交換


越智 [ACLS:4981] 胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導
Date: Wed, 1 Mar 2006

 メーリングリストACLSの皆様、市立八幡浜総合病院麻酔科 越智元郎です。

■
山岡先生より(ACLS:4980)
|2.あるコースでは、『手の位置を決めるための指導方法』を変更したり
|しています。
|  このへんも影響するのではないかなあと感じるのですが、「指導法の
|統制(研究条件の統一化)」はどんなにしていますか?

 → これは2月26日に行われた第4回愛媛ICLSコースのことですね。わが国
  において新しい二次救命処置(ALS)の実践と指導の内容変更が今年秋
  ないし年末に迫っていることから、少なくとも、『心マの手の位置を決
  めるための指導方法』については、G2005で批判された肋骨弓をなぞる
  方法をやめ、G2000でも推奨されている「胸の真ん中を圧迫」する方法
  で指導することを提案させていただきました。

■
 以下、第4回愛媛ICLSコース関係者のメーリングリストより
                   
                 ☆★

越智より[Feb26_Madonna][00062]

(中略)
 コンセンサスの内容について1点だけ提案させていただ
きます。それは「心マ(胸骨圧迫)の方法」です。

 G2000準拠のICLSでは、心マの方法はコンセンサスにあ
る幾つかの方法が許容されていますね。そして、通常は胸
骨弓をなぞって剣状突起基部を知る方法でBLSブース内で
指導し、またデモも実施していますね。

 この方法は日本の新ガイドラインでもAHA G2005でも行
われなくなります。日本の一般市民については、6月に改
訂が予定されているテキスト「一般市民のための救急処置
の出版後は胸骨弓をなぞらず単に「胸部の中央」に下側の
手を置く方法となります(確実)。

 新ガイドラインの方法はG2000でも推奨されている方法
です。G2000準拠の今回のICLSコースで、なおかつごく将
来の改訂を視野に入れれば、こと心マに関しては、胸骨弓
をなぞらず単に「胸部の中央」に下側の手を置く方法で
BLSブース内の指導ならびにデモをするのがよいのではな
いでしょうか。もちろん受講者や(一部の)インストラク
ターの方が胸骨弓をなぞる方法をとってもそれは訂正する
必要は全くありませんが・・

 ・・先生、皆様、よかったらご検討ください。

 以下、日本救急医療財団日本救急医療財団心肺蘇生法委
員会ホームページより
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
http://www.qqzaidan.or.jp/qqsosei/trans.htm
 一般市民のための一次救命処置の教育・研修および実践
は、新ガイドライン骨子の公開をもって移行の準備を開始
していただいて結構です。実際の移行は、一般市民の混乱
を避けるために6月に改訂が予定されているテキスト「一
般市民のための救急処置」の出版後とすることを勧告いた
します。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 それでは。

 市立八幡浜総合病院麻酔科 越智元郎


吉田 [ACLS:4982] Re: 胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導 Date: Wed, 01 Mar 2006 越智元郎先生 その後CoSTRからすっかりご無沙汰の吉田素文@九大です。 松山ではテューターお疲れ様でした。お世話になりました。 1点だけ教えてください。あのとき先生のご説明を聞きながら思ったの ですが、「胸部の真ん中(一般人には「胸の真ん中」かな)」というの は、具体的にどこなのでしょうか? 越智先生の身振り手振りつきのご説明では「胸骨の尾側半分」ではなく て「胸骨の真ん中」と受け取りました。 それを聞きながら、資料の裏に自分でいつもカルテに書く「胸部の絵」 を書いてみて、極めて単純に、その「絵」の真ん中を考えてみると、 仰るとおり「胸骨の真ん中」という意味にも取れますが、「この絵の真 ん中」=「胸骨尾側半分」という意味にも取れると思いました。 ひょっとすると一般人に「胸の絵」を見せて、「真ん中はどこですか?」 と聞いたら、「絵の真ん中」=「胸骨尾側半分」と解釈する方も多かろ うと推測したわけです。(ご興味を持たれた方は、「胸の絵」を描いて、 絵の真ん中はどこかなと考えてみてください) で、真実は「CoSTRをあたれ」と言われそうですが、えー、その、、、 とりあえず、コメントです。 吉田 素文 Motofumi YOSHIDA, MD, PhD(Medical Science) 九州大学医療系統合教育研究センター 九州大学大学院医学研究院医学教育学



越智 [ACLS:4984] Re: 胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導 Date: Wed, 1 Mar 2006  吉田先生、ACLSメーリングリストの皆様、市立八幡浜総合病院麻酔科 越 智元郎です。先日の愛媛でのワークショップとICLSではご指導有難うござい ました。 〇  吉田先生より(ACLS:4982) > 1点だけ教えてください。あのとき先生のご説明を聞きながら思ったの > ですが、「胸部の真ん中(一般人には「胸の真ん中」かな)」というの > は、具体的にどこなのでしょうか? → 「胸の真ん中」が具体的にどこなのかは AHAのG2000、G2005、CoSTR、   ERC 2005などのいずれの資料でも明確には記載されていないと思いま   す。おおよその位置でよいのだという趣旨だと思います。   私は「胸の真ん中を押せ」と指導する場合の、「圧迫の中心」がどこ   かを考えてみたいと思います。本投稿ではその点を「×点」と書かせ   て下さい。   胸骨圧迫心臓マッサ−ジですので、×点は胸骨上にあって、しかも左   右どちらにもずれない位置であろうと思います。どちらかに(ひどく)   ずれると胸骨の左右の端を押すことになり、効果が減弱しうるととも   に、肋骨や肋軟骨の付着部を損傷する危険性が高まるのではないかと   思います。   つぎに、×点が胸骨上で、頭側・尾側のいずれの位置にあればよいか   を考えてみました。明確に定められていませんので、私の考えを書き   ますが、例えば解剖学的には「胸骨の上下の中心」はいかがでしょう   か。胸骨の上端は胸骨上窩を触ればわかりますし、下端はこれまでも   行ったように「剣状突起基部」を触ればわかります。胸骨の上下端が   わかればその中心が越智が唱える×点ということになります。   しかし、胸骨上窩であれ剣状突起基部であれ、それを触れることによ   って「胸の中心」(越智の案では胸骨の上下の中心)を知ることはCoSTR   やAHA・ERCの新ガイドラインでは戒められています。胸骨圧迫の開始   が遅れ、また人工呼吸から胸骨圧迫のつなぎも延びてしまうからです。   あくまでも、どのような場所を胸の中心として<想定する>かという話   です。  以上のように考えていますが、吉田先生をはじめ皆様のご意見をお聞かせ いただけましたら幸いです。 ★  おまけ  越智元郎「日本版救急蘇生ガイドライン策定小委員会への意見書」より  「2.心臓マッサ−ジ、(前)胸部圧迫と胸骨圧迫」
http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/06/q1-iken.htm#3e-2  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜   今回のILCOR合意において、成人に対する chest compression のための  手掌基部を置く場所の確認法として、“肋骨縁(rib margin)”法を用い  て時間を費やすより、胸の中央に両手を置くように教えることが推奨され  ていますが、これは単位時間あたりの十分な chest compressionの回数を  確保するための配慮によるものです。そして一般市民に適切な圧迫の場所  を記憶させる用語としては、「心臓=左側、胸の左側を圧迫」という誤解  を避ける上で、敢えて「胸部の中心にある『胸骨』という骨」という医学  用語を使用して、「胸骨圧迫」とするのが最も確実ではないかと考えます。  「胸骨圧迫(式)心臓マッサ−ジ」という用語は以前よりわが国で用いら  れており、医療関係者にも抵抗なく受け入れられるものと考えます。  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  それでは。



石見 [ACLS:4985] Re:Re: 一般市民の蘇生法 Date: Wed, 01 Mar 2006 山岡先生、みなさん、こんにちは。石見です。 >2.あるコースでは、『手の位置を決めるための指導方法』を変更したりしています。 >  このへんも影響するのではないかなあと感じるのですが、「指導法の統制(研究条件の 統一化)」はどんなにしていますか? ご指摘の通り、指導方法の相違が最も影響すると思います。基本的には大阪ライフサポート 協会の指導方法に沿っていますが、今回は新ガイドラインに準拠した30:2の蘇生法をコント ロールとしたので、今回の研究に参加するインスト用に手順書も作成し、指導内容の統一に つとめています。心マの手の位置は、胸骨の下半分です。 nnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnn  石見 拓   国立循環器病センター 心臓血管内科 uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu



越智 [ACLS:4986] Re: 胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導 Date: Wed, 1 Mar 2006  吉田先生、皆様、市立八幡浜総合病院麻酔科 越智元郎です。  書き忘れました。胸骨圧迫の中心とする「胸の真ん中」を知るための一つ の有用な方法は左右の乳頭を結ぶ線(ニップルライン)であろうと思います。 その場合も圧迫の中心となる位置は胸骨上である必要がありますので、乳房 の垂れた人については「乳頭を結ぶ線(ニップルライン)」という目安を使 うことができない場合もあろうかと思います。  それでは。



笠井 [ACLS:4987] Re:胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導 Date: Wed, 01 Mar 2006 越智先生、吉田先生、みなさん、ご無沙汰しています。笠井@坂出です。 ピンポイントレスで心マの位置の指導について、うちの職場で一般市民の救急講 習で指導している方法を書きます。 一般市民(我々救急隊員もですが)は状況によって服を脱がすことができない場 合もあります。その時などは乳頭の位置などの確認はできません。 そのような場合も含め、傷病者(仰臥位)の横に正対して座り、遠い側の脇の下 (頭側一杯にくっつける感じ)に手(どちらの手でも可)を入れ、そのまま胸骨 の真ん中まで引っ張ってくると心マのなかなかいい位置に来ます。わきの下から まっすぐ引っ張って来るのがポイントで斜めに引っ張っていくとずれてしまいま す。 一般市民がCPRを覚えるのは言葉、動作を含めてなかなか覚えにくいものです。 できるだけシンプルに教えられたらと思います。 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 笠井 武志(Takeshi Kasai) 坂出市消防本部 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/



畑中 [ACLS:4988] 胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導 Date: Wed, 01 Mar 2006 救急救命九州研修所の畑中です。 > 傷病者(仰臥位)の横に正対して座り、遠い側の脇の下 > (頭側一杯にくっつける感じ)に手(どちらの手でも可)を入れ (以下、略) ほおっ、笠井さん、これなかなかいい手ですね。 ガイドラインの委員会でも、位置決めの話は問題になりました。 「乳頭の間」はよいとして、どのようにして乳頭の間を知るのか... (服を着ている状態で)。 女性の場合は、なんとなく胸の膨らみの間くらい...で良いのでは? 男性はどうする? 結局、ガイドラインとしては、 ・「胸の真ん中」 ・「胸の真ん中」とは、両乳頭を結ぶ線上 これくらいまでが言及の限界だろうということに今のところなっています。 -畑中哲生 救急救命九州研修所



智原 [ACLS:4989] Re:胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導 Date: Wed, 1 Mar 2006 皆さんこんにちわ、智原@明治鍼灸大学です。 医学生ではありませんが一応体のことを 解剖や生理を含めて勉強している鍼灸師の卵たちに10年来CPRを教えてきました。 胸の真ん中の指導ですが、私は以前から学生に教える時片手で胸骨切痕を探させ、もう 一方の手でみぞおちを探り両方の手のちょうど真ん中と教えます。みぞおちの方は剣状 突起をどう捉えるかで少しずれますが胸骨切痕の方はずれませんし二点の半分の位置は まあまあいい加減のところです。この方法のいいところは胸骨をはずさないことです。



吉田 [ACLS:4990] Re: 胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導 Date: Wed, 01 Mar 2006 越智元郎先生 吉田@AA職人の偉大さがわかった です。 私が先般申し上げたかった「胸の真ん中」に関する元郎先生と吉田のイ メージの違いは、下の二つの絵の「×」の通りです。なんともへたくそ な絵で申し訳ありませんが、ニュアンス伝わりますでしょうか。 【元郎先生】「胸の真ん中」=「胸骨の上下中央」 ※私から見ると「胸の中央やや上寄り」   _____          _____ ↑      \____ ____/ |           | |           | |           | |           | |          \|/ |          /|\ |           | 縦           | |           | |           | |         _/ \_ |       _/     \_ |      _/ \_ |   _/ \_ |  /                 \ ↓ /                   \   ←───────── 横────────→ 【吉田】「胸の真ん中」=「胸の絵の真ん中」=「胸骨下半分中央」 ※元郎先生から見ると「胸の中央やや下寄り」??   _____          _____ ↑      \____ ____/ |           | |           | |           | |           | |           | |           | |          \|/ 縦          /|\ |           | |           | |         _/ \_ |       _/     \_ |      _/ \_ |   _/ \_ |  /                 \ ↓ /                   \   ←───────── 横────────→ 一般人が「胸」をイメージしたときの「胸」の範囲は、どこからどこま でなのでしょうね。 吉田は、一般人が「胸」をイメージしたの下限はひょっとすると肋骨弓 の最下部ではないかと疑っているわけです。 講習会で「胸の真ん中に拳を当ててください」とお願いして、デジカメ で撮影しておき、元郎先生派と吉田派のどちらが多いか比較してみたい ですね。 石見先生、お知り合いのMPHコースの看護師さんの副論文になりません かねー(笑)



吉田 [ACLS:4991] Re: 胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導 Date: Wed, 01 Mar 2006 越智元郎先生、笠井さん、畑中先生 吉田です。 お懐かしい方まで引っ張り出してしまいました。 > 一般市民(我々救急隊員もですが)は状況によって服を脱がすことができない場 > 合もあります。その時などは乳頭の位置などの確認はできません。 > そのような場合も含め、傷病者(仰臥位)の横に正対して座り、遠い側の脇の下 > (頭側一杯にくっつける感じ)に手(どちらの手でも可)を入れ、そのまま胸骨 > の真ん中まで引っ張ってくると心マのなかなかいい位置に来ます。わきの下から > まっすぐ引っ張って来るのがポイントで斜めに引っ張っていくとずれてしまいま > す。 > > 一般市民がCPRを覚えるのは言葉、動作を含めてなかなか覚えにくいものです。 > できるだけシンプルに教えられたらと思います。 これすごくいいですね。でも「まっすぐ」というのが、わかりやすくや りやすいかどうかですね。教えてみてどうなんでしょう?ナナメに引い てきたりする人いませんか? 手の大きさも、小さくてほそながーい「手タレ」のような人から、うち わみたいな手の人もいますし・・・。 体格の大きな傷病者に「女性手タレ」タイプの方、逆に体格の小さな方 に、ボブ・サップが・・・・やめましょう。 それはともかく、受講者がご自分の体格に応じて大体の感覚を掴めるよ うに、同性の受講者同士で、いろんな体格の方でそれぞれ位置決めをし てもらい、インストラクターから「ご自分と相手の体格に合わせて大体 の位置を掴んでみてくださーい」という指導が入ると、テーラーメイド の心マが実践できて「!」という感情が沸き起こり、満足度があがるか もですね。 ちなみに自分で自分にやったら、「吉田派」の位置になりました。 身長は174センチ、オペの手袋のサイズは7-7.5です。



山岡 [ACLS:4993] Re:胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導 Date: Wed, 1 Mar 2006 On Wed, 01 Mar 2006 15:09:02 +0900, Takeshi Kasai wrote: > 一般市民(我々救急隊員もですが)は状況によって服を脱がすことができない場 > 合もあります。その時などは乳頭の位置などの確認はできません。 > そのような場合も含め、傷病者(仰臥位)の横に正対して座り、遠い側の脇の下 > (頭側一杯にくっつける感じ)に手(どちらの手でも可)を入れ、そのまま胸骨 > の真ん中まで引っ張ってくると心マのなかなかいい位置に来ます。わきの下から > まっすぐ引っ張って来るのがポイントで斜めに引っ張っていくとずれてしまいま > す。  笠井さぁーん!  これ、すごい、すごい!  いい位置にきますっ!!  いい位置にきたひと、手ぇ〜あげてぇ〜  (^o^)ノ  !!( -_-)=○()゜o゜)    冗談、冗談ですって・・・・よいこの皆さんはPCの前で手をあげるだけにして くださいね・・・・  笠井さん、これって、消防で基本的な方法としてならうのですか?!  笠井さんのオリジナル???    あきぽん@松山でおばあちゃんのニップルラインについて話をふられたおばあち    ゃんに詳しいと評判のあきぽんです 追伸  するめのようなおばあちゃんをみたことがありますが(ぼくのばあちゃん)、あおむ けに寝ていると、おそらく3時45分くらいになって、ニップルラインはやはり有効では ないかと、ここまででかかってぐっと飲み込んだんですけどね。



越智 [ACLS:4994] Re: 胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導 Date: Wed, 1 Mar 2006  吉田先生、皆様、市立八幡浜総合病院麻酔科 越智元郎です。 〇  やっと吉田先生のご意図が掴めてきました。確かに吉田先生が図示された ような「胸の真ん中」のイメージを持つ医療関係者や市民はおられることと 思います。そしてそれは、下に置いた手が剣状突起にかかってさえおらねば 大いに正解(の一つ)であると思います。  私の胸骨上、胸骨を上下に2等分した点というのは、「胸の真ん中」の案 にしか過ぎません。  AHAもILCORも、そして日本救急医療財団の新ガイドライン策定委員会もそ れ以上に明確に「胸の真ん中」を特定できないのですから、仕方がないで すね。 〇  吉田先生もおられた松山でのICLSコースの打ち合わせ会で、私は「ふい ご」の例を挙げました。アコーデオンのような空気の流れ(風)を吹き込む 器具(たたらの精鋼などで使った?)。胸骨をふいごの取っ手に例えて、ど こを押さえたら最も軽々と風をおこせるか? それはテコの原理から言って 支点から一番遠いところですね。でも端っこすぎると剣状突起が折れるかも 知れない。それゆえ「胸骨の下半分」とは下に置く手掌基部は胸骨下端から 1横指は空けるなどの指導がされてきました。力学的には胸骨中央よりも末 梢側を圧迫するのがより効果的な圧迫方法だと思います。  しかし新ガイドラインで言う、できるだけ胸骨圧迫の回数を稼ぎ、中断も 少なくするというなら、極論すれば胸骨上(ただし上過ぎない、下過ぎな い)であればどれも正解!でよさそうに思います。その精神がわかっている から、AHA、もILCORも日本救急医療財団もあえてそれ以上踏み込んで記載し ない(する必要がない)のではないでしょうか?  吉田法(解剖学的にはどう表現されますか?)にせよ、越智法(胸骨上で 胸骨の上下1/2の点)にせよ、「胸の真ん中で胸骨上」という幹をはずしてい ないと考えます。そしてそれはニップルラインも、笠井さんが書かれた脇の下 の線との交点(面白い!)も、畑中先生が書かれた女性なら胸のふくらみの 間も、これらはいずれも正解ということでよいように思います。  皆様のお考えはいかがでしょうか。



吉田 [ACLS:4995] Re:Re: 一般市民の蘇生法 Date: Wed, 01 Mar 2006 石見先生、山岡先生 連続メールごめんなさい。吉田素文です。 (中略) > >2.あるコースでは、『手の位置を決めるための指導方法』を変更したりしています。 > >  このへんも影響するのではないかなあと感じるのですが、「指導法の統制(研究  条件の統一化)」はどんなにしていますか? > > ご指摘の通り、指導方法の相違が最も影響すると思います。基本的には大阪ライフサポ  ート協会の指導方法に沿っていますが、今回は新ガイドラインに準拠した30:2の蘇生  法をコントロールとしたので、今回の研究に参加するインスト用に手順書も作成し、指  導内容の統一につとめています。心マの手の位置は、胸骨の下半分です。 ⇒おお、吉田派!



山岡 [ACLS:4996] Re: 胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導 Date: Wed, 1 Mar 2006 On Wed, 01 Mar 2006 16:09:30 +0900, Motofumi Yoshida wrote: > 一般人が「胸」をイメージしたときの「胸」の範囲は、どこからどこま > でなのでしょうね。 > 吉田は、一般人が「胸」をイメージしたの下限はひょっとすると肋骨弓 > の最下部ではないかと疑っているわけです。  そういえば、消防学校の講義で、外傷のお話する時、 「腹部の上限はどのへんだとおもいますかぁ〜?」って振って、 「上は、乳頭を結ぶ線までですよぉ〜 意外でしょお?」 「右側のこの辺には何がありますか? 肝臓なんですよぉ〜」 「そしたらこのへんまでお腹だと思えるでしょ〜」 なんてやっとりました。 (改訂第6版「救急救命士標準テキスト」697ページ参照)  こういう風に科学的な授業を受ける前になんとなく持っている 理屈とかイメージを、心理学では「素朴理論」って言うんですよ。     あきぽん@えせ認知心理学者



谷口 [ACLS:4997] Re: 胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導 Date: Wed, 01 Mar 2006 谷口@熊大総合診療部です。 「胸の真ん中」と言うことで、笠井さんの指導法に一票です! なるほど、確かにですね!! 熊本の救命士さんで一般市民の講習会で「『胸の真ん中』アンケート」 をやったとか言う話も聞いたことあります。 「ウルトラマンのカラータイマー作戦」は失敗したとも聞きました。 人によってかなり場所が違ったそうです。 「『胸の真ん中』アンケート」ではそれほど、差がでなかった様な話でしたが うろ覚えです。 いずれにせよ、知識や手技の定着と言うことで、 「単純化」と言うのは一般市民には有効性が予想されますので、 「胸の真ん中」に限らず、出来るだけそうしてもらいたいと思います。 蘇生効果の科学性と学習効果のエビデンスとの一致が だんだんと明らかになっていけば良いと思いますので、 日本の現状の中で、可能な所から「単純化」を取り入れてもらいたいです。 以前も話題になったとは思いますが、 まずは、あの「ABCD」を「あいうえお」とかにできないかとか・・・。 -- 谷口純一 〒860-8556 熊本市本荘1−1−1 熊本大学医学部附属病院 総合診療部



越智 [ACLS:4998] Re: 一般市民の蘇生法(胸骨の下半分?) Date: Wed, 1 Mar 2006  吉田先生、ACLSの皆様、市立八幡浜総合病院麻酔科 越智元郎です。すみ ません、胸骨圧迫の位置決めに関し、さらに突っ込みます。 〇 石見先生 |今回の研究に参加するインスト用に手順書も作成し、指導内容の統一につ |とめています。心マの手の位置は、胸骨の下半分です。 吉田先生 | ⇒おお、吉田派! 〇  越智流に「圧迫の中心はどこか?」という考察をするとすれば、吉田派 (胸骨の下半分を圧迫)の圧迫の中心は ・胸骨上で・・これはどなたも異存なし ・胸骨の上(頭側)から3/4、下(末梢側)から1/4の部 ということになります。  皆様、自分の胸骨上に吉田流で自分の手掌基部を置いてみられません か? 手掌基部の小指側が結構 剣状突起の基部にかかりそうだ・・と思 われませんか?  私は上記の位置に(市民が)(肋骨弓をなぞらずに)手掌基部を置くの は結構 危ない場合があると思います。胸骨を3等分して下の1/3の所が 圧迫の中心という教え方は許容範囲と思いますが・・・  そんなわけで、私は圧迫の中心に関し、「胸の真ん中」を胸骨にあては めるとすれば胸骨の上下1/2の部位(1歩譲るとすれば上から2/3の部位) と考えるのが妥当と思います。  引き続き皆様のご意見を宜しくお願いいたします。



増原 [ACLS:4999] Re: 胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導 Date: Wed, 1 Mar 2006 みなさん、こんにちは。 ますはら@板野東部消防組合(とくしま)です。 笠井さんの意見を読んで、自分の胸でやってみました。 で、これは使える!と思いました。 単純な意見ですみません。 しかし、一般の方には使えると思いました。 これ、笠井さんが考えたの??



笠井 [ACLS:5000] Re:胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導 Date: Wed, 01 Mar 2006 皆さん、こんばんは。笠井@坂出です。 On Wed, 1 Mar 2006 16:37:38 +0900 YAMAOKA Akihiro wrote: >  笠井さん、これって、消防で基本的な方法としてならうのですか?! >  笠井さんのオリジナル??? あきぽん先生、お久しぶりです。 うちの職場ではもう何年も前から脇の下に手を入れる方法で指導していますが、 この方法で教えている消防はほとんどないのでは? 以前は、「手前側の肋骨縁に沿って足側の手の人差し指と・・・」などと指導し ていた時期もありましたが一般市民に肋骨縁などという言葉も難しく、実際に手 技をやらしても覚えてもらいにくいと感じていました。脇の下に手を入れる方法 だと服の上からでも簡単に覚えてもらえます。指導する場合に、デモを見せなが らポイント(脇の頭側一杯まで手を入れる。真っ直ぐ引いてくる)を教えると簡 単に理解してもらえます。というのが今まで指導してきた感想です。



笠井 [ACLS:5001] Re:胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導 Date: Wed, 01 Mar 2006 ますはらさん、皆さん、こんばんは。笠井@坂出です。 On Wed, 1 Mar 2006 21:48:24 +0900 ますはらじゅんじ wrote: > 笠井さんの意見を読んで、自分の胸でやってみました。 > で、これは使える!と思いました。 > 単純な意見ですみません。 > > しかし、一般の方には使えると思いました。 > > これ、笠井さんが考えたの?? 私が考えたというのではなくて当時、いい方法はないかとみんなで考えたと思い ます。一般の方には理解してもらいやすい方法だと思いますよ!講習会で試して みてください。



増原 [ACLS:5002] Re:胸の真ん中圧迫でICLSの心マを指導 Date: Wed, 1 Mar 2006 笠井さん、みなさん またまた、ますはら@板野東部です。 得意のピンぼけになってるのかもしれませんが・・・ 我が社も119番通報時に口頭指導してます。 心マの位置は、講習会で指導している「肋骨下縁を・・」 を使っています。 術者に口頭指導について聞くと「よくわからなかった」 「とりあえず胸の真ん中を押した」という意見をよく聞き ます。 笠井さんのメールを読んで、指令室からの口頭指導でも使 えると思いました。 あす、警防課救急係と通信指令室に相談してみようかと 思っています。 講習会と口頭指導は別? そんなことないですよね〜 本題から脱線してすみません。



石見 [ACLS:5003] Re:Re: 一般市民の蘇生法 Date: Wed, 01 Mar 2006 吉田先生、みなさん、こんばんは。 大阪の石見です。 (中略) >> >2.あるコースでは、『手の位置を決めるための指導方法』を変更したりしています。 >> >  このへんも影響するのではないかなあと感じるのですが、「指導法の統制(研究   条件の統一化)」はどんなにしていますか? >> >> ご指摘の通り、指導方法の相違が最も影響すると思います。基本的には大阪ライフサポ  ート協会の指導方法に沿っていますが、今回は新ガイドラインに準拠した30:2の蘇生法  をコントロールとしたので、今回の研究に参加するインスト用に手順書も作成し、指導  内容の統一につとめています。心マの手の位置は、胸骨の下半分です。 > >⇒おお、吉田派! →えーーと、正直、吉田派といえるほど、心マの位置に思い入れはありませんで・・・笑 従来の指導法どおり、乳首の間、胸骨の下半分と指導しています。



越智 [ACLS:5007] GL策定小委員会への意見書(続)―胸骨圧迫の部位 Date: Thu, 2 Mar 2006  メーリングリストACLSの皆様、市立八幡浜総合病院麻酔科 越智元郎です。  今年初め、「日本版救急蘇生ガイドライン策定小委員会への意見書」
http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/06/q1-iken.htm を送付しました。これに加え、2点追加の意見書を送ってみようと思ってい ます。一つは新ガイドラインへの移行に関する要望、もう一つは今皆様のご 意見をいただいています、胸骨圧迫の圧迫部位に関する意見です。引き続き、 皆様のご助言を宜しくお願いいたします。 (中略) ■  もう1点は、今回の指針改訂の幹の部分とも言える胸骨圧迫心臓マッサ− ジ(以下、胸骨圧迫)に関する記載内容です。  CoSTR、ERC・AHAの新ガイドラインのいずれも、成人に対する胸骨圧迫に おいて、手掌基部を置く場所の確認法として、“肋骨縁(rib margin)”法 を用いて時間を費やすより、胸の中央に両手を置くように教えることが推奨 されています。この「胸の中央(真ん中)」がどのような部位であるか、一 般市民に厳密な定義を示す必要はないのかも知れませんが、指導者の間では 共通の解剖学的認識を持つ必要があると考えます。  心肺蘇生法の指導にあたる者は胸骨圧迫の際の圧迫の中心をどこと考えれ ばよいでしょうか。まず左右方向の「中央」とは「胸骨上で左右にずれない 部位」であることは広く合意が得られるものと思います。「心臓マッサ−ジ」 が胸骨を圧迫するものであることは適切な効果を得、また合併症を防止する 上で不可欠であります。  一方、胸骨上で上下(頭側尾側)方向には、どの部位を圧迫の中心と考え ればよいでしょうか。これについては明快には定められていません。一つの 表現として「胸骨の下半分(lower half of the sternum)を圧迫」するとい うものがあります。これは“肋骨縁”法を用いて救助者が胸骨上に置く手掌 基部が剣状突起基部にかからないように修正しさえすれば、安全かつ有効に 胸骨圧迫を実施できる方法です。しかし、時間節約のために“肋骨縁”法を 用いない場合には、必ずしも適切な表現方法ではないように思います。  すなわち「胸骨の下半分を圧迫」するという表現は救助者の手の大きさや 傷病者の胸骨の大きさ(長さ)に考慮していないからです。「胸骨の下半分 を圧迫」する場合、圧迫の中心は胸骨切痕(胸骨上窩をなぞって知る)から 胸骨下端(剣状突起基部をなぞって知る)までの、胸骨切痕からみて3/4の位 置となります。私共が自らの身体で上記の位置を中心に自分の手掌基部を置 くとき、その小指側は剣状突起基部に近いかそれにかかる場合もあるように 思います。すなわち“肋骨縁”法を用いない場合に「肋骨の下半分」を圧迫 点(胸骨の上から3/4が圧迫の中心)とすることは剣状突起を折り内臓損傷を 招く恐れがあると思います。  胸骨圧迫の部位として、これまで「胸骨の下半分」以外には「胸骨の下 1/3を圧迫」という教え方もありました。この方法では胸骨の下1/4を圧迫の 中心に置く「胸骨の下半分を圧迫」する方法よりも、剣状突起損傷は起こり にくいように思います。また、「胸の真ん中」をそのまま「胸骨の上下の中 心」(胸骨切痕から1/2の部)と考え、この部を圧迫することでも大きな誤 りはないと考えられます。  なお、傷病者の胸部を十分確認できる場合には、両側乳頭を結ぶ線(ニ ップルライン)の中点や、女性傷病者の胸の膨らみの中央を圧迫する方法な どは引き続いて有用であろうと思います。いずれにしても心肺蘇生法を指導 する者の間で、圧迫部位に関する解剖学的な共通理解がないことには上記の ような工夫も定着しないのではないかと考えます。  新ガイドラインには、指導者に対する解説として、胸骨圧迫部位に関す る記載をお願いしたいと思います。また一般市民が適切な胸骨圧迫の部位 として「胸の真ん中」を把握する方法に関する研究を推奨していただけれ ば幸いと思います。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  上記の文を土台に意見書(続)を書いてみようと思っています。皆様の ご助言、ご意見をいただけましたら幸いです。



吉田 [ACLS:5009] Re: 一般市民の蘇生法(胸骨の下半分? ) Date: Fri, 03 Mar 2006 越智元郎先生、みなさま 吉田@九大です。 >  吉田先生、ACLSの皆様、市立八幡浜総合病院麻酔科 越智元郎です。すみ > ません、胸骨圧迫の位置決めに関し、さらに突っ込みます。 ⇒はい。望むところです。 >  越智流に「圧迫の中心はどこか?」という考察をするとすれば、吉田派 > (胸骨の下半分を圧迫)の圧迫の中心は > ・胸骨上で・・これはどなたも異存なし > ・胸骨の上(頭側)から3/4、下(末梢側)から1/4の部 > ということになります。 ⇒解剖学的には確かにそうかもしれませんが、私が主張したいことは、 我々解剖学を知っている人間ではなくて、 1)一般の方が「胸の真ん中」という表現で示された場所を果たしてど う認識するか。 2)講習会あるいはテレビ(「たけしのホントは怖い家庭の医学」に限 らず。英国においてBBCで心肺蘇生法の放送をした後のlay personの蘇 生技術を調査した論文がありますし)などで一般の方に「胸の真ん中」 を指導する際に「どのような表現をするのがもっとも妥当なのか」とい うことを突き詰めたい。 3)2)の妥当の意味として「Do no harm」かつ「most effective」を 突き詰めたい。 というところなのです。 >  皆様、自分の胸骨上に吉田流で自分の手掌基部を置いてみられません > か? 手掌基部の小指側が結構 剣状突起の基部にかかりそうだ・・と思 > われませんか? ⇒そういう議論以前に、極秘に身の回りで調査を始めたのですが、一般 の方は「胸の真ん中」という表現では「左右の乳房の真ん中(つまり2 ヶ所ある。特に女性)」という解釈が存在することがわかりました。こ の解釈の頻度は調査していませんが(トリビアに敬意を表すると、きっ と日本全国で2000人くらいに聞くと信頼性のあるデータが得られるのか もですが)、どのくらい広く心肺蘇生法を広めるかという議論をするな ら、決して無視できない解釈だと思います。 最も妥当な心マをしていただくために、一般の方には「どのような表現 をするのがもっとも妥当なのか」いろいろ考えたのですが、今のところ 吉田案としては「胸板の左右真ん中の、あくまでも硬いところで絶対に やわらかくないところ、できるだけ足側」という表現はどうかなと思っ ています。 ちなみに「2ヶ所」の情報を寄せてくれたご本人の「胸の真ん中」は吉 田派でした。(これは余談です) それにもう一つ考慮しなければならないことがあります。講習会の受講 者に「あなたにとって胸の真ん中はどこですか」と尋ねて各人自分の胸 で示してもらって、明らかに違う場所を指している方に修正をかけると します。それはよいとして、その次に、自分の胸ではなくて、自分の目 の前、斜め下に横たわっている心マの対象者の胸のどこが真ん中かを正 しく認識してもらう必要もあると思います。 「空間認知(spatial perception)」という能力です。これも医学生を見 ている限りですが、かなり大きな個人差があります。 以上のような点からもっと学際的に突き詰める必要があると思っていま す。 >  私は上記の位置に(市民が)(肋骨弓をなぞらずに)手掌基部を置くの > は結構 危ない場合があると思います。胸骨を3等分して下の1/3の所が > 圧迫の中心という教え方は許容範囲と思いますが・・・ > >  そんなわけで、私は圧迫の中心に関し、「胸の真ん中」を胸骨にあては > めるとすれば胸骨の上下1/2の部位(1歩譲るとすれば上から2/3の部位) > と考えるのが妥当と思います。 ⇒この議論は、解剖学を知らない人間の積極的な関与が必要であること を強く主張したいと思います。



越智 [ACLS:5011] Re: 一般市民の蘇生法(胸骨の下半分? ) Date: Sat, 4 Mar 2006  吉田先生、メーリングリストACLSの皆様、市立八幡浜総合病院麻酔科 越 智元郎です。貴重な意見交換有難うございます。 〇 > 1)一般の方が「胸の真ん中」という表現で示された場所を果たしてど > う認識するか。 > 2)講習会あるいはテレビ(「たけしのホントは怖い家庭の医学」に限 > らず。英国においてBBCで心肺蘇生法の放送をした後のlay personの蘇 > 生技術を調査した論文がありますし)などで一般の方に「胸の真ん中」 > を指導する際に「どのような表現をするのがもっとも妥当なのか」とい > うことを突き詰めたい。 > 3)2)の妥当の意味として「Do no harm」かつ「most effective」を > 突き詰めたい。 > > というところなのです。 → 上記の1)〜3)は私も非常に重要なポイントだと思います。 > >  皆様、自分の胸骨上に吉田流で自分の手掌基部を置いてみられません > > か? 手掌基部の小指側が結構 剣状突起の基部にかかりそうだ・・と思 > > われませんか? > > ⇒そういう議論以前に、極秘に身の回りで調査を始めたのですが、一般 > の方は「胸の真ん中」という表現では「左右の乳房の真ん中(つまり2 > ヶ所ある。特に女性)」という解釈が存在することがわかりました。 → この解釈が存在することは充分理解できます。あとはこの解釈がメジャ   ーなものかどうか、あるいはどの位の人(%)が左右の乳房の真ん中を   胸の真ん中と考えているか知りたいですね。この調査(研究)は非常に   有用だと思います。 > 最も妥当な心マをしていただくために、一般の方には「どのような表現 > をするのがもっとも妥当なのか」いろいろ考えたのですが、今のところ > 吉田案としては「胸板の左右真ん中の、あくまでも硬いところで絶対に > やわらかくないところ、できるだけ足側」という表現はどうかなと思っ > ています。 → 異存ありません。追加すれば「できるだけ足側」は強すぎるかも知れま   せん。剣状突起基部に手掌基部がかかる状態で胸骨圧迫をする人が出て   きそうですので・・ 越智案「少し足側」 〇 > それにもう一つ考慮しなければならないことがあります。講習会の受講 > 者に「あなたにとって胸の真ん中はどこですか」と尋ねて各人自分の胸 > で示してもらって、明らかに違う場所を指している方に修正をかけると > します。それはよいとして、その次に、自分の胸ではなくて、自分の目 > の前、斜め下に横たわっている心マの対象者の胸のどこが真ん中かを正 > しく認識してもらう必要もあると思います。 > 「空間認知(spatial perception)」という能力です。これも医学生を見 > ている限りですが、かなり大きな個人差があります。 → このあたりは非常に興味深く読ませていただきました。「教育」とい   う「科学」にたずさわっておられる吉田先生の視点は非常に新鮮です   ね。 〇 > >  私は上記の位置に(市民が)(肋骨弓をなぞらずに)手掌基部を置くの > > は結構 危ない場合があると思います。胸骨を3等分して下の1/3の所が > > 圧迫の中心という教え方は許容範囲と思いますが・・・ > > > >  そんなわけで、私は圧迫の中心に関し、「胸の真ん中」を胸骨にあては > > めるとすれば胸骨の上下1/2の部位(1歩譲るとすれば上から2/3の部位) > > と考えるのが妥当と思います。 > > ⇒この議論は、解剖学を知らない人間の積極的な関与が必要であること > を強く主張したいと思います。 → 「解剖学を知らない人間の積極的な関与」について私もそれが重要だと   思います。ただ最後にもう一度書かせていただきますが、私は「解剖学   を知っている人が(蘇生効果、教育効果を加味して)最適な胸骨圧迫の   解剖学的な部位について、ある程度の共通認識は必要」だと考えていま   す。その部位は肋骨弓をなぞらない方法では「胸骨の下半分を圧迫(下   1/4が圧迫の中心)」するのは低すぎるのでは・・という懸念がありま   す。しつこいかも知れませんが、吉田先生の視点と越智の視点から2つ   のテーマがあると考えましたので・・  それでは引き続き意見交換を宜しくお願いいたします。



越智 [ACLS:5013] 胸骨圧迫の位置(CoSTRでは胸骨中央) Date: Sat, 4 Mar 2006  吉田先生、メーリングリストACLSの皆様、市立八幡浜総合病院麻酔科 越 智元郎です。  胸骨圧迫の手の位置について再度、ILCORのCoSTRをみてみました。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 手の位置 W167A, W167C
http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/05/CoSTR-02.htm#d http://circ.ahajournals.org/cgi/content/full/112/22_suppl/III-5#SEC3 科学的コンセンサス:  成人に対するCPRの際に、手を置く位置についての満足できるエビデンスは  ない。小児では胸骨下1/3の圧迫が胸骨中央に比べ高い血圧を生み出せる  (LOE4)97。医療専門職によるマネキンを用いた研究で、利き手を胸骨に当  てて胸骨圧迫心臓マッサ−ジをした時が効果的であった (LOE 6)98。手は  単純に「胸部の中央」に置くとした方が換気と胸部圧迫の間の中断が少な  い(LOE 6)99。 推奨される処置:  市民、医療専門職のどちらに対しても、患者が成人の場合、胸部中央(*  訂正済み)に利き手の手掌基部を置き、その上にもう一方の手を置くと指  導することが適切である。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 (中略) ・乳児および低年齢の小児では胸骨の下1/3を圧迫の中心とする方が、胸骨中  央を圧迫するより有効という研究あり。この年代の傷病者では腹部が大き  く、胸部が小さいため、胸骨中央の圧迫では効果が十分でない(もう少し  下がよい)という考え方のようです(レントゲン写真による検討もある模  様)。 Orlowski JP. Optimum position for external cardiac compression in infants and young children. Ann Emerg Med. 1986; 15: 667–673 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi? cmd=retrieve&db=pubmed&list_uids=3706857&dopt=Abstract (中略) *個人的に「胸骨の下半分を圧迫(圧迫の中心は下から1/4の部)」は下過ぎ  ると感じています。    以上、皆様のご意見を宜しくお願いいたします。



越智 [ACLS:5014] ★訂正Re: 胸骨圧迫の位置(CoSTRでは胸骨中央) Date: Sat, 4 Mar 2006  吉田先生、メーリングリストACLSの皆様、市立八幡浜総合病院麻酔科 越 智元郎です。さきほどのメールに間違いがありました。 越智より >  胸骨圧迫の手の位置について再度、ILCORのCoSTRをみてみました。 > > 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 > 手の位置 W167A, W167C > 科学的コンセンサス: (略) > 推奨される処置: >  市民、医療専門職のどちらに対しても、患者が成人の場合、胸骨中央に利 >  き手の手掌基部を置き、その上にもう一方の手を置くと指導することが適 >  切である。 > 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 → 原文を確認しました。胸骨中央ではなく「胸部の中央(center of the   chest )」でした。私共の訳の誤りで、ウェブを訂正しました。  以下の記載は撤回、削除させてください(皆様のご記憶から) > ・ILCORは成人傷病者への胸骨圧迫の圧迫部位として「胸部の中央」と「胸骨 >  中央」の両方を推奨している。おそらくは両者を同一視(ほぼ同じ部位と >  いう解釈)しているのでしょう。  以下の部分は成人との比較という意味ではなく、胸骨の下1/3の圧迫がよい というデータです。 > ・乳児および低年齢の小児では胸骨の下1/3を圧迫の中心とする方が、胸骨中 >  央を圧迫するより有効という研究あり。この年代の傷病者では腹部が大き >  く、胸部が小さいため、胸骨中央の圧迫では効果が十分でない(もう少し >  下がよい)という考え方のようです(レントゲン写真による検討もある模 >  様)。 > Orlowski JP. Optimum position for external cardiac compression in > infants and young children. Ann Emerg Med. 1986; 15: 667–673 > http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi? > cmd=retrieve&db=pubmed&list_uids=3706857&dopt=Abstract  以下の部分はCoSTRの裏付けなしに、私が持っている感想です。 >  以上のことから、成人傷病者への胸骨圧迫の圧迫部位については、一般 > 市民には「胸の中央」と指導し、解剖学的な理解がある受講者やインスト > ラクターの間では「胸骨の中央(上から1/2の部)を圧迫の中心とする」と > いう共通理解も持つのでよいように思います。  以上、勘違いから混乱させました。済みません。



徳田 [ACLS:5015] Re: 胸骨圧迫の位置(CoSTRでは胸骨中央) Date: Sat, 04 Mar 2006 徳田です そろそろ皆さんもAHA BLSのDVD/VTRを 入手されていると思います AHAの僕のボスにはまだ確認していませんが DVDを見る限りはHCPだと 胸の中央 乳頭を結ぶ線 などの単語がでています HSのDVDの改訂はまだ先ですね



A(救急隊員) [ACLS:5050] Re: 「胸の真ん中で心マを指導」の論議を公開ウェブに Date: Sat, 25 Mar 2006 (中略)  平成8年(ちょっと古いのですが)に心肺蘇生法を全く知らない人に対して口答指 導を行った場合に各手技がどれ位出来るのかと調査を行いました。  調査は無作為に選んだ18〜70才未満の男女80名に対し行いました。  心マについての指導は「乳首と乳首の間に貴方の手の付け根をあてて、もう一方の 手を重ねます」と言うもので、訓練人形の服を脱がせた状態で行いました。  その結果、心マについては約90%の人が圧迫位置をほぼ正確に押していました。  調査に用いたのは訓練用人形で服を脱がし、ニップルラインも分かりやすくなって いたので、一概には言えませんが、実際に受講生の面前で指導する場合は、「胸の真 ん中を押して下さい」と言って、それが誤った位置だったとしても、その場で「この 辺ですよ」と訂正すればいいのかな?と感じました。(もちろん諸先生方のアイデア・ 工夫を否定するものではありません)   よろしくお願いいたします。


■メーリングリストeml-ncにおける意見交換



徳田 [eml-nc6: 0471] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版(一部のみ)Date: Fri, 17 Mar 2006 徳田です とりあえず疑問点が一点 心臓マッサージを開始するときに "脱衣"させないで心マの手の位置を 確実に知る方法は有るのだろうかと 疑問に感じました Genro Ochi from UMIN先生:  投稿趣旨)  日本版救急蘇生のガイドライン暫定版へのご意見をお願い致します。



K(一般市民) [eml-nc6: 0476] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版 Date: Sat, 18 Mar 2006 市民で、素人のKです。 素人が、素人の目で気がついたことですが。。。 反応なし→助けを呼ぶ→緊急通報・AED→CPR スマイリスト式?を考える時、いろいろな方からアドバイスがありました。 その中で、電話がそばにあるとは限らない。AEDがそばにあるとはかぎらない。。。 きちんと、どうすれば最短、最良の選択が出来るか考えてから、行動すること。と いうのがありました。 確かに、その場になると、素人はパニックでしょう。オロオロ歩き回るというのが、 私のようなヘナチョコのせいぜい。。。 そこで、先ず、何をするか、行動として、示せるものというのが重要だと考えまし た。(携帯を持っていれば、誰でも一番に119はするでしょうから) で、『心臓マッサージ」を一番に。そして、AED。 AEDを取りに行くといっても、自分で行くか、誰かに頼むか。。ケースによってい ろいろあるんでしょうから、頭で考えをまとめて。。という意味です。 でないと、AEDを取りに行くのに、10分かかっても、取りに行くが先になってし まいそうです。(それまでに救急車が来るかも(>_<) それから。。。 「胸の中央」と、「胸骨の中央」「乳首の間」というのがありますが。。。 私は『乳首の中央」というのが良い気がします。 胸というと、縦方向には、どこまでなのか、人によっては相当幅がある気がしま す。 胸骨というのは、漢字で書かれれば分かる気がしますが、でも、素人にはわから ない言葉です。また、電話や伝言(キョウコツ)では、想像できない言葉でもあ ります。 チクビというのは、伝言でも分かる言葉ではないでしょうか。 それから、「服を着た上から」ですが、 私は,人間を立体で見れば、分かると思います。胸の骨の一番出ている部分でし ょう。(お腹の方が出ていたり。。。(>_<)、胸がすっごく垂れていて も、横に なれば大丈夫ではないでしょうか?)人を寝かせると、結構、骨の形って分かり ます。多分誰でも、どこに一番高いところがあるか、分かると思いま す。 分からない部分としては。。。 「あえぎ呼吸」です。慌てん坊の私は、過呼吸見たいな感じ?(>_<)っと思って しまいそうです。そこで考えると、 勘違いにはこんなパターンがあると思います。 1。飲んだくれ(呼吸している) 意識なし 2。過呼吸(たとえば。。です)   でも、意識がある。 3。喘ぎ呼吸  意識なし 4。呼吸していない 意識なし と考えると、呼吸状態は素人には見分けられないわけですけれど、「意識があ る/無い」というのもアリだと思えます。 しかし、「意識が無く、正常な呼吸をしていない、もしくは呼吸が止まってい る」では長過ぎます。なので、その中のプライオリティが知りたいんですが。。 一般人の私たちが遭遇する中には、1の酔っぱらいが一番多い気がします。 あとは、あえぎ呼吸のパーセンテージです。すっごく多いのでしょうか。 (たとえば、4と同じ位に?)でしたら、是非,喘ぎ呼吸も想定しないと。。 と思います。 しかし、ほんの小さなパーセンテージであり、そのうち、止まる?なら、その 部分ははしょってしまっても、いいのかなと。(すみません。デザイナー的発 想です) 私は、この「呼吸をしていない状態」という言葉の訴求が最も重要だと思って います。(私たちにとっては、「見なかったフリする」か、「逃げたらマズイ か。。」の瀬戸際にいるわけですから。) だから、倒れた人を見たら、まず、「呼吸」の二文字が浮かんで来たらいいん じゃないかなと。 ですけれど、正確にしようとすればするほど、長くなり、人には覚えられなく なります。 「呼吸をしていなかったら」という言い回しなら、ポスターで見て、100人中 90人が理解でき、そのうち50%が記憶に残してくれるでしょう。45人は知って くれるというわけです(おそらくもっと多い)。でも、「意識が無く、正常な 呼吸をしていない、もしくは呼吸が止まっている」という言葉ですと、 100人中、もっと減って60人?そのうち30%しか覚えていられないとした ら、18人(たぶん、もっと少ない)。 もし、喘ぎ呼吸がある場合、それを『呼吸」と勘違いして、CPRの対象だと思え ないで放っておいてしまうという最悪のケース(でも、救急車位は呼んでくれ ると思いますが)。これが、もし、全CPAの80%なら、由々しき事ですが、も し10%なら、45人VS18人だったら、「45人の味方」を選んだ方 が良いと思います。 何でも、完璧。より、より多くの理解者。の方が力になる場じゃないかなと。 以上、わたし位分からない人でも。。。分かる範囲じゃないかなと思いました。 On 2006/03/17, at 12:08, hidemitsu TOKUDA wrote: > とりあえず疑問点が一点



吉田 [eml-nc6: 0478] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版(一部のみ) Date: Sat, 18 Mar 2006 越智元郎さん、徳田さん 九州大学の吉田素文です。 > 心臓マッサージを開始するときに > "脱衣"させないで心マの手の位置を > 確実に知る方法 これは、先日他のMLに流れていた、 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 傷病者(仰臥位)の横に正対して座り、遠い側の脇の下(頭側一杯にく っつける感じ)に手(どちらの手でも可)を入れ、そのまま胸骨の真ん 中まで引っ張ってくる。(わきの下からまっすぐ引っ張って来るのがポ イントで斜めに引っ張っていくとずれるので注意) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ という方法がよいのではないでしょうか。



K [eml-nc6: 0480] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版 Date: Sat, 18 Mar 2006 しつこくKです。 > これは、先日他のMLに流れていた、 > ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ > 傷病者(仰臥位)の横に正対して座り、遠い側の脇の下(頭側一杯にく > っつける感じ)に手(どちらの手でも可)を入れ、そのまま胸骨の真ん > 中まで引っ張ってくる。(わきの下からまっすぐ引っ張って来るのがポ > イントで斜めに引っ張っていくとずれるので注意) すみません。素人なので。。。 ということは、「両方の脇の下を結んだ線よりも、手のひら分下。」という意味でしょうか。



・吉田 [eml-nc6: 0486] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版 Date: Sun, 19 Mar 2006 Kさん、みなさん 吉田@九大です。 > > これは、先日他のMLに流れていた、 > > ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ > > 傷病者(仰臥位)の横に正対して座り、遠い側の脇の下(頭側一杯にく > > っつける感じ)に手(どちらの手でも可)を入れ、そのまま胸骨の真ん > > 中まで引っ張ってくる。(わきの下からまっすぐ引っ張って来るのがポ > > イントで斜めに引っ張っていくとずれるので注意) > > > > すみません。素人なので。。。 > ということは、「両方の脇の下を結んだ線よりも、手のひら分下。」という意味でしょうか。 仰っておられるのは「何が」でしょうか?それによって回答が異なると 思います。



K [eml-nc6: 0489] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版 Date: Mon, 20 Mar 2006 Kです。 すみません。 勘違いしてましたでしょうか。 心臓マッサージの時、手で押す位置だと思っていたのですが。。 >>> これは、先日他のMLに流れていた、 >>> ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ >>> 傷病者(仰臥位)の横に正対して座り、遠い側の脇の下(頭側一杯にく >>> っつける感じ)に手(どちらの手でも可)を入れ、そのまま胸骨の真ん >>> 中まで引っ張ってくる。(わきの下からまっすぐ引っ張って来るのがポ >>> イントで斜めに引っ張っていくとずれるので注意) >>> >> >> すみません。素人なので。。。 >> ということは、「両方の脇の下を結んだ線よりも、手のひら分下。」という意味でしょうか。 > > 仰っておられるのは「何が」でしょうか?それによって回答が異なると > 思います。



吉田 [eml-nc6: 0491] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版 Date: Mon, 20 Mar 2006 吉田@九大です。 こちらこそすみません。 他のMLで越智さんと、「押す位置の中心はどこか」という議論をしてい たもので・・・ここで仰っている「手で押す位置」というのは、手のひ ら分の幅がありますよね。大事なことは、力が加わるところは、胸骨= 「胸板の左右真ん中の硬いところ」を外れないように押していただきた いと思っているので、そのように一般の方にご理解いただくには、どの ような表現がよいのか、というのが今のところのわれわれの問いです。 医療従事者同士で話していても、専門用語や解剖学的知識から離れて考 えられないもので・・・。 いろいろとご教示いただければ幸いです。 K wrote: > Kです。 > すみません。 > 勘違いしてましたでしょうか。 > > > 心臓マッサージの時、手で押す位置だと思っていたのですが。。



山本 [eml-nc6: 0494] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版 Date: Mon, 20 Mar 2006 Kです。ヘナチョコ市民の出番ですねv(。・・。)♪ やっぱり、「短い言葉」が一番です。 普通、人は一度に読めるのは7文字だと言われていますので、できたら7文字で、シンプルな言葉。 しかも、「聞いても」「文字でも」分かる言葉。 特に、これはマニュアルを見ながら行うのではなく、とっさのときに、やるものなので、どれだけ記 憶に残せるかが鍵だと思います。 たぶん、長い言葉で正確に説明されても、自分の中で、頭に残そうとすると、それを短いシンプルな 言葉に置き換えて、残そうとするでしょう。 「えーっと。難しくて良く分からないけど、要するに、ココ辺りってことね。」とか。 でしたら、最初から、「要するに乳首の間ってことよ」って残すよう、誘導した方が正確じゃないで しょうか。 >他のMLで越智さんと、「押す位置の中心はどこか」という議論をしてい >たもので・・・ここで仰っている「手で押す位置」というのは、手のひ >ら分の幅がありますよね。大事なことは、力が加わるところは、胸骨= >「胸板の左右真ん中の硬いところ」を外れないように押していただきた >いと思っているので、そのように一般の方にご理解いただくには、どの >ような表現がよいのか、というのが今のところのわれわれの問いです。 質問なんですが。。。 もうひとつ、「4−5センチ沈むくらい」というのがあったと思います。 もし、ちょっと外れて、まさか鎖骨の下ってことはないでしょうけれど、鎖骨の下10センチくらい のところを4−5センチ沈むくらいに押した場合は、どういうデメリットがあるでしょうか。 同様に、肋骨の下のほうを押した場合は。。? 両方とも、手のひらの親指の付け根から手首の下の骨で圧するんでようから、女性でも7−8センチ の巾があります。 この二つが最も間違えた場合です。 素人考えでは全然役立たずではなさそうな気がするんですが、いかがでしょうか? でも、左右にずれると、肋骨を折ってしまうということで、だめなんですよね。(これは、「中心・ 真ん中(乳首の間も真ん中ですよね)」で表現できているように思えます。) ということは、位置指定に関して最も重要な情報は左右の位置で、次が上下。 だとすると、よりシンプルな方が、横関係の位置は伝わりやすいという事になります。 (縦位置をしつこくするほど、「真ん中」は薄まりますよね) それと、広い巾の真ん中はなかなか取りにくいんですが、狭い位置の真ん中は取るのが簡単です。 両方の乳首の距離は体の巾よりはるかに狭いので、真ん中は分かりやすいと思います。 それから、服を着た場合も、そうです。 人って、胸がスタイルの一つのポイントですよね。だから、男性の服でもポケットが胸についていた り、お腹より、胸が出ているように見えるようにデザインされています。(希望的に考えて。。(-_-;) それは、デザイン上のかっこよさじゃなく、外からそこにポイントがあるように、人間ができている からなんですよね。(希望的に考えて。。(-_-;) ですので、人の乳首の位置って、大体、誰でも何となく分かると思います。 特に寝かせると、余計良く分かるとおもいます。 >医療従事者同士で話していても、専門用語や解剖学的知識から離れて考 >えられないもので・・・。 そうなると、やはり結果論として、「乳首の間」というのが正解な気がします。



吉田 [eml-nc6: 0497] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版 Date: Tue, 21 Mar 2006 Kさん 吉田素文@九州大学です。 アドバイスありがとうございます。一般の方に「心臓マッサージを行な う正しい場所」をひと言で伝えるには、 「乳首の間」(硬いところ) と説明するのがよさそうですね。 ただ、この場所で心臓マッサージを行なうために手の位置を決める方法 としては、実際には乳首が見えていないわけですから、「傷病者の方を 向いて胸の横に座り、向こう側の脇の下に手を入れて、そのまま手前に 引いて胸の真ん中を押す」という動作を身に付けてもらい、「乳首の間 で硬いところ」(つまり「正しい場所」)を押しているかどうかをとき どき意識しながら、行なってもらうように練習してもらうのがよいと思 うのですがいかがでしょうか。 これじゃやっぱり憶えること多過ぎで、効果薄そうでしょうか。 動画で示してもらうとシンプルで真似しやすいと思いますが・・・。 ※これまでの「肋骨弓を中指で手前から中心部へ辿り・・・」よりは圧 倒的にシンプルだと思いますが・・・。



K [eml-nc6: 0498] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版 Date: Tue, 21 Mar 2006 Kです。 On 2006/03/21, at 0:50, Motofumi Yoshida wrote: > アドバイスありがとうございます。一般の方に「心臓マッサージを行な > う正しい場所」をひと言で伝えるには、 > > 「乳首の間」(硬いところ) > > と説明するのがよさそうですね。 ぞうだと思います。 > 「傷病者の方を > 向いて胸の横に座り、向こう側の脇の下に手を入れて、そのまま手前に > 引いて胸の真ん中を押す」 講習ということであれば、何時間もかけられるんでしょうから、どんな複雑な説明でも良いと 思います。今までの肋骨の下のナントカをドーノ。。。。って (習っても説明できません。(>_<)いうより、服を着ていても分かるわけで、ずっと合理的で すね。 考えてみると、私のようなオタクでも、言葉/場所を示すセンテンスを忘れてしまってるんで すよね。これでは、私は他の人に説明してあげられないわけで す。(さっすが、ヘナチョコ!) 試しに、講習を受講した人に次の日、聞いてみて下さい。次の日じゃなくても、帰りにでも。 場所を示すのに教えたセンテンスをどのくらい記憶できてるか。 この言葉を、言葉としてしっかり覚えている人は、他の人に説明できますが、覚えていない人 は、自分では出来ても、それを広められない人です。もう一つの 危険性は、時が経つにしたがい、記憶が曖昧になって、「肋骨の下のナントカ。。。」という 言葉を「肋骨の下を押せばいいのね」と勘違いしてしまう、「危 険性」があるということで もあります。おそらくこの「危険性」は、シンプルな言葉で説明するより遥かに高くなると思 います。間違った場所を覚える「危険 性」だけでなく、間違った記憶を残す「危険性」も考 えるべきだなと思います。 もうひとつの「危険性」は 今までの「肋骨の下のナントカ」ではまじめに習って覚えている人でも、「服を脱がさないと」 と思ってしまいます。そうすると、本当の現場で始めようとするとき、ヘナチョコとしては非 常に勇気が要ります。 特に相手がきれいで若い?(ブスで年取ってても(>_<)女性だった場合なんか、いろいろ触って、 場所に到達するよりも、一発で分かった方が良い気がします。 という意味では、やはり「乳首の間」が一番分かり易く、一発だと思うんですけど。。。 で、これ本当に、複雑な言い方をして教えないとけないかどうか。という事の答えは。。。この 2つのエビデンス?で結論を出せると思います。 「縦方向に位置をズレて、4−5センチ沈むように押した場合、どのくらい効果が下がるか?」 人形でも実験できませんか? 4−5センチ沈ませて押しても、効果が無いのはどこからどこまでか。 さすがに鎖骨を沈めても、肋骨の下のお腹を沈めても駄目そうな気がします。素人でも。 そのダメ範囲がどれほどなのか。。。 ものすごーく狭いなら、確かに縦方向には厳密な指示がいるかもしれません。 しかし、ある程度幅があるなら、言い回しをシンプルにする方が「効果的」ですよね。 もう一つ、「乳首の間」が服を着ていて分からないかどうかです。 たとえば、今、テレビがついているんですが、アナウンサーが立っています。 あの、アナウンサーの「乳首の間」はあそこね。今、スキーの映像が映りましたが、スキーウェア を着ていてすべっている画像からも、想像できます。(私には) これを、そばにいる、普通の子供やおじさんに聞いてみてください。(エッチなゲームって勘違い されちゃう?) 手近な雑誌の絵をみせて、この写真の人の「乳首の間」はどこなのか。 意外にみんな分かると思います。横を向いていても、どんなポーズをしていても。 それを寝かせてみせるわけですから、もっと分かり易いですよね。 ただ、この言葉いくつか選択肢があると思います。最も正確には 両方の(二つの)乳首の中央の固い所 乳首の中央(真ん中)の固い所 乳首の中央(真ん中) 乳首の間 スマイリストでは、絵と組み合わせるので、この一番下のものにしました。
http://home.r05.itscom.net/bfree/NewFiles/smimark6a.html 逆に言うと、素人が陥り易い勘違いがある気がします。 「心臓は左胸にある」  荒野の一ドル銀貨でしたっけ?ああいうのもあるので、心臓をマッサージというと、そういう勘違 いもしそうです。少し左にずれた方が効果的かな〜なんて余計な事を考えたり。 これを徹底させるなら、縦方向の位置指定より、横方向の位置指定の方が、重要ではないでしょう か。横方向にはせいぜい,5センチほどの猶予しかなさそうですし。ここに5センチの手が乗らな ければならないので、ジャストミートでないといけないってことですよね。 これを講習会で正確に伝えるには「固い所」っていうのが良いとおもいます。シンプルですから。 それから、「どうして?」も説明できれば。 > という動作を身に付けてもらい、「乳首の間 > で硬いところ」(つまり「正しい場所」)を押しているかどうかをとき > どき意識しながら、行なってもらうように練習してもらうのがよいと思 > うのですがいかがでしょうか。 > > これじゃやっぱり憶えること多過ぎで、効果薄そうでしょうか。 > > 動画で示してもらうとシンプルで真似しやすいと思いますが・・・。 動画も良いですけど、ピクト(シンプルなイラスト)っていうのも、記憶に残し易いものです。 手前味噌ですが。。。 http://home.r05.itscom.net/bfree/NewFiles/smimark6b.html この4つの図(もしくは手の位置の図)。5秒見せて、誰かに覚えている内容を描かせてください。 結構正確に描けるだろうと思っています。 同様に、動画を見せてください(別の人に)まず、絵に描けないですよね。 両方みせたら、ピクトの方を描くでしょう。 人って、そんなにアタマ良くないんです。 この記憶の効果は、1週間後にも違いが出ると思います。 http://home.r05.itscom.net/bfree/NewFiles/smilist.html 以上、ヘナチョコの キ モ チ でした(^-^)v



笠井 [eml-nc6: 0499] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版(一部のみ) Date: Tue, 21 Mar 2006 Kさん、吉田さん、皆さん、こんにちは。笠井@坂出です。 [eml-nc6: 0478] 吉田さんは書きました。 下記のメールの発言者です。しばらくメール環境から離れてましたので反応が遅 れました。 これは私の職場で一般市民向けの救急講習会で指導している方法です。心マの位 置を言葉で伝えるだけなら乳首と乳首の間というのが伝えやすいと思います。 でも一般市民(我々救急隊員もですが)は状況によって服を脱がすことができな い場合もあります。その時などは乳首の位置などの確認はできません。 講習会で伝える場合 以前は、「手前側の肋骨縁に沿って足側の手の人差し指と・・・」などと指導し ていた時期もありましたが一般市民に肋骨縁などという言葉も難しく、実際に手 技をやってもらっても覚えてもらいにくいと感じていました。脇の下に手を入れ る方法だと服の上からでも簡単に覚えてもらえます。指導する場合に、デモを見 せながらポイント(脇の頭側一杯まで手を入れる。真っ直ぐ引いてくる)を教え ると簡単に理解してもらえます。というのが今まで指導してきた感想です。 文章表現だと下記のように難しく感じますが、実際に講習会で指導をするととて もシンプルで簡単です。 文章で伝えると難しいと感じるということは、やはり一般市民の方も「救急講習 を一度は受けてくださいね!」ということではないでしょうか? 「百聞は一見に如かず」です! > ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ > 傷病者(仰臥位)の横に正対して座り、遠い側の脇の下(頭側一杯にく > っつける感じ)に手(どちらの手でも可)を入れ、そのまま胸骨の真ん > 中まで引っ張ってくる。(わきの下からまっすぐ引っ張って来るのがポ > イントで斜めに引っ張っていくとずれるので注意) > ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ > という方法がよいのではないでしょうか。発言者はこのMLにもおられま > すので、ぜひご発言いただきたいと思います。 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 笠井 武志(Takeshi Kasai) 坂出市消防本部 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/



平岡 [eml-nc6: 0501] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版 Date: Tue, 21 Mar 2006 やまもとさん,みなさん,こんにちわ. 右脳のひらおか です. > 質問なんですが。。。 > もうひとつ、「4−5センチ沈むくらい」というのがあったと思います。 > もし、ちょっと外れて、まさか鎖骨の下ってことはないでしょうけれど、鎖骨の下10センチくらい  のところを4−5センチ沈むくらいに押した場合は、どういうデメリットがあるでしょうか。   確かに,どれくらいずれるとどの程度効率が落ちるっていう文献や, 議論は無かった様に思います.   胸郭圧迫による心臓マッサージは,圧迫による胸腔内圧の変化に より(陽圧の時胸郭から出て行き,陰圧の時心臓へ流入する),血液が 循環することが基本だと思うので,要するに胸腔の体積を最も変化させ ることができる位置を,心マの位置とするべきだと思うのです. (同じ力で圧迫したとして・・・, 更に骨が折れない=骨が折れると胸郭全体 に圧がかからないので,効率ダウン)   イメージが伝わらないかも知れませんので,胸郭を横から見たJPEG画像 を添付します.   何となく,押しやすそうな(コンプライアンスのよさそうで,胸郭にひずみが 生じにくそうな)位置が,「心マの圧迫ポイント」って気がしません?   レベルの低い話で,専門の先生には笑われそうですが,市民のやまもとさん と町のお医者さんの会話としては,こんな感じです(>_<).   失礼致しました.



福池 [eml-nc6: 0504] Re: 日本版救急蘇生のガイド ライン暫定版



[eml-nc6: 0504] Re: 日本版救急蘇生のガイド ライン暫定版



L(医師) [eml-nc6: 0505] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版 Date: Wed, 22 Mar 2006 In [eml-nc6: 0498] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版 K wrote: > > 「傷病者の方を > > 向いて胸の横に座り、向こう側の脇の下に手を入れて、そのまま手前に > > 引いて胸の真ん中を押す」 > > 講習ということであれば、何時間もかけられるんでしょうから、どんな複雑な説明 > でも良いと思います。今までの肋骨の下のナントカをドーノ。。。。って > (習っても説明できません。(>_<)いうより、服を着ていても分かるわけで、ずっと > 合理的ですね。 一つ不思議なのですが、「胸骨」ってそんなに分かりにくい、あるいは、 知名度の低いパーツ(笑)なのでしょうか? 「乳首の間」も短い言葉で的確に良く言い表していると思いますが、乳 首の位置は裸にならないと分かりにくいと思います。私の感覚では「胸」 は胴体の一定の範囲を示す言葉で着衣の状態でもその範囲は分かります が、「乳首」は裸になってこの部分とピンポイントで示す部分のように 思います。男性と女性、年齢によっても乳首の位置はかなり変わります よね。 もし、恰幅の良い男性がコートなど厚着の状態で倒れていたら、乳首の 位置は咄嗟に見当が付かないだろうと思います。さりとて着衣を脱がし ている時間的余裕はありませんし、最初に脱がせる必要もないです。 話を巻き戻して恐縮ですが、「胸骨を押す」では駄目なのかなと……。



吉田 [eml-nc6: 0506] Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版 Date: Wed, 22 Mar 2006 Lさん、Kさん、みなさん 九州大学の吉田素文@もと外科医 です。 > 一つ不思議なのですが、「胸骨」ってそんなに分かりにくい、あるいは、 > 知名度の低いパーツ(笑)なのでしょうか? 「胸骨」と「肋骨」でそれぞれGoogleで検索すると、前者は圧倒的に専 門家のサイト、後者は圧倒的にそれ以外のサイトが引っかかります。 私の本職は救急医療ではなく、模擬患者による医療コミュニケーション の授業なのですが、その経験から言っても「胸骨」は「キョーコツ」に 聴こえるような気がします。(次回模擬患者の方々にお会いするときに 聞いてみようと思います。) 因みに下記は、ある年の実技試験(OSCE)で、医療面接で医学生がしゃ べった言葉で模擬患者には咄嗟に理解できなかったものをカタカナで挙 げたものです。 オート セイメイ セイジョウ ライイン ランダムに起こるのですか ガイヨウをお話します ジョウホウをまとめます ガイリャク ホソク キョウツウ フクシュウします ジゾクテキ ジョウフクブ ビョウレキ トブツ ハクドウセイ ロウサセイ ケイイ 医療面接と講習会では状況は異なるとは思いますが、いずれもすんなり 理解していただける言葉を使うよう心がけた方がよいと思うのですがい かがでしょうか。 > 「乳首の間」も短い言葉で的確に良く言い表していると思いますが、乳 > 首の位置は裸にならないと分かりにくいと思います。私の感覚では「胸」 > は胴体の一定の範囲を示す言葉で着衣の状態でもその範囲は分かります > が、「乳首」は裸になってこの部分とピンポイントで示す部分のように > 思います。男性と女性、年齢によっても乳首の位置はかなり変わります > よね。 > > もし、恰幅の良い男性がコートなど厚着の状態で倒れていたら、乳首の > 位置は咄嗟に見当が付かないだろうと思います。さりとて着衣を脱がし > ている時間的余裕はありませんし、最初に脱がせる必要もないです。 この点については、同感です。われわれ医療従事者は乳首の位置と胸骨 の位置については同程度に知っていますが、服を着ると乳首はわからな くなるような気がします。でも、ひょっとするとこれは、われわれが人 間の裸体を見慣れているがために、服に隠された乳首の位置を推定する のがかえって難しく感じるだけなのかもしれません。 Kさんのお話では「わかる」と言ってらっしゃるので、少なくとも 「Kさん」はおわかりになるのだと思います。ただ、その他の非医療 従事者の方々が、「乳首の間」を着衣時にどの程度おわかりになるかは、 調査が必要だと思います。講習の時に尋ねてみてはいかがでしょうか。 > 話を巻き戻して恐縮ですが、「胸骨を押す」では駄目なのかなと……。 繰り返して恐縮ですが、難しいと思います。私見ですが・・・(^^;)



水野 [eml-nc6: 0511] 胸骨とは?(Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版 Date: Thu, 23 Mar 2006 水野義之です。  えーっと、ですね、英語にはレイマンという言葉があって、 最近はレイパーソンと言うようですが、普通の人、という 意味です。もともとは、聖職者とか医者、法律家のように、 ヨーロッパ中世には特別な職業というか、ある種の専門家に対して そうでない人、に対する言葉が、レイマンで、 laymanと書きます。非専門家、というのが適当なもしれません。 とにかく、専門知識を持っていない人、ということで。 その立場からしますと、胸骨、すみませんが、分かりませんでした。 調べてみて、よけいに分かりません。 At 8:39 PM +0900 06.3.22, Motofumi Yoshida wrote: > > 一つ不思議なのですが、「胸骨」ってそんなに分かりにくい、あるいは、 >> 知名度の低いパーツ(笑)なのでしょうか? と思います^^; 分からない時に、普通の人が(専門家でも?)するように、googleでまずは 調べてみると、胸骨でこんな風に出ていて、
http://web.sc.itc.keio.ac.jp/anatomy/osteologia/A02303001-009.html 胸骨は「胸骨柄、胸骨体、剣状突起からなる」 と出ています。胸骨というのは、たぶん、胸骨柄のことだろうと思いますが、 ひょっとして、胸骨体のことでしょうか。 またこの図では、胸骨体とはどこになるのでしょうか? またこの図では、肋骨体という部分の下に、胸骨平面と出ていますが、 胸骨体とは、この肋骨体を含む全体、を言うのでしょうか。 すみません。分からないのですが…。 >私の本職は救急医療ではなく、模擬患者による医療コミュニケーション >の授業なのですが、その経験から言っても「胸骨」は「キョーコツ」に >聴こえるような気がします。(次回模擬患者の方々にお会いするときに >聞いてみようと思います。) 「胸骨」は「キョーコツ」ではない、ということでしょうか? name="512">



水野 [eml-nc6: 0512] Re: 胸骨とは?(Re: 日本版救急蘇生のガイドライン暫定版 Date: Thu, 23 Mar 2006 水野義之です。 たぶん、この図が間違っているようですね。 At 9:28 AM +0900 06.3.23, 水野義之 wrote: >分からない時に、普通の人が(専門家でも?)するように、googleでまずは >調べてみると、胸骨でこんな風に出ていて、 >http://web.sc.itc.keio.ac.jp/anatomy/osteologia/A02303001-009.html >胸骨は「胸骨柄、胸骨体、剣状突起からなる」 >と出ています。胸骨というのは、たぶん、胸骨柄のことだろうと思いますが、 >ひょっとして、胸骨体のことでしょうか。 >またこの図では、胸骨体とはどこになるのでしょうか? >またこの図では、肋骨体という部分の下に、胸骨平面と出ていますが、 >胸骨体とは、この肋骨体を含む全体、を言うのでしょうか。 この図で、肋骨体と書かれているところが、胸骨体なのでしょうね。 で、胸骨を知らない場合、「胸骨とだけ言えば、胸骨体のことを 言うのである」、ということまでは、なかなか書かれていないようです。 それは、googleで調べるから分からなくなるのであって、 最初に、普通の辞書で調べれば、分かりますね。でも、そこには図が 出ておりません(図が出ている辞書もあると思いますが)。 結局、webと紙の辞書の両方を調べて、初めてわかる。 しかも、webの図には、なんと間違いまで混在している。 大変、申し訳ないのですが、非専門家には、たった一つの 胸骨、という言葉だけでも、すぐには分からない、という 状況がありうる(多いかどうかは、分かりませんが) のではないかと思います。 でも、今では(多分)よく分かります。あの胸骨の長方形の部分を 押せばいいのだな、ということですよね。納得です。



水野 [eml-nc6: 0513] Re: 胸骨とは? Date: Thu, 23 Mar 2006 水野義之です。 (中略) 以下の図の間違いについては、著者に連絡しておきました。 At 9:46 AM +0900 06.3.23, 水野義之 wrote: >たぶん、この図が間違っているようですね。 > >>
http://web.sc.itc.keio.ac.jp/anatomy/osteologia/A02303001-009.html



石原 [eml-nc6: 0514] Re: 胸骨とは? Date: Thu, 23 Mar 2006 県立広島病院救命センター 石原晋です 水野さん、「レイパーソン」の明確なご説明、ありがとうございました。 すっきりしました。 胸骨ですが、「胸骨柄」「胸骨体」「剣状突起」全体を「胸骨」と呼称しております。 google検索経由でご紹介のあった「図」については、 ○「肋骨体」とあるのは「胸骨体」のまちがい ○「肋骨前面」とあるのは「胸骨前面」 ○「肋骨右側面」とあるのは「胸骨右側面」の誤植であります。



K [eml-nc6: 0515] Re: 胸骨とは?(Re: 日本版救急蘇生のガイドラ Date: Thu, 23 Mar 2006 越智先生がご紹介下さったACLSの胸の真ん中の議論、大変興味深く読ませていただきました。 ところで、一般人の山本ですが、胸骨に対して、ちょっとだけレスです。 後で、また。。 大きな原則として、ひとつ考えなければならないのは、「聞いて分かるか」ということでは ないでしょうか。胸骨は、漢字で読んで、シチュエーションを限定すれば分かる(人もいる) かもしれませんが、緊急の時、「聞いて」、一瞬で、分かる言葉ではない。これは、断言で きると思います。(私も見たことがある けれども、音で聞いた事の無い言葉です。なので、キョーコツのどこにアクセントがあるの か、わかりません。) ロッコツの方が分かるかもしれませんが、でも、コレは外から見える部分、お腹の上のダン ダンに透けて見えるところ(胸の下)だけを肋骨と思う人もいると思います。(というか、 多いかも)とすると、「ロッコツのまんなか」は、正確な位置より、大分下になってしまう ことになります。



L [eml-nc6: 0519] Re: 胸骨とは? Date: Thu, 23 Mar 2006 吉田さん、水野さん、石原さん、Kさん、レスしていただきあり がとうございました。 『われわれが人間の裸体を見慣れている』と書かれると、どんな怪しい 職業なんだ〜(笑)と思われてしまうかも知れませんが、たしかに医者の 感覚と善良な一般市民の感覚は違うかも知れません。 とまれ水野さんが探しだされたホームページは医学生の使う「分担解剖 学」(の海賊版!?)で、あの説明は難しすぎます。また、(心電図の胸部 誘導電極のように)ピンポイントに正確な位置を知る必要もありません。 講習で「自分の体の胸骨を触ってみてください」と言えば話はごく簡単 で、誰でもすぐに胸骨は分かるはずです。あるいは、胸部の略図に「こ こに触れる骨」と矢印を付けても分かるはず。少なくとも、「寛骨」、 「恥骨」より胸骨の方がよっぽど分かりやすいと思うんです。 電話などで指示をする場合に「キョーコツ」が通じない虞はありますが、 そもそも胸骨が分からないのは蘇生法を習ったことがないためで、そう いう人が恐る恐る胸を押しても有効な血液駆出は得られないとも思われ ます。胸骨の説明に手間取るくらいならば、「すぐ救急車が向かいます。 誰か助けを呼び集めてください。」と告げた方が正解かも知れません。



水野 [eml-nc6: 0521] 胸骨がイメージできること(Re: [eml-nc6: 0519] Re: 胸骨とは? Date: Thu, 23 Mar 2006 Lさん、みなさん、水野義之です。 L wrote: >とまれ水野さんが探しだされたホームページは医学生の使う「分担解剖 >学」(の海賊版!?)で、あの説明は難しすぎます。 ですよね。安心しました^^ それと、あのページを紹介したのは、胸骨を知らなかった場合、 「googleで胸骨を単純に検索した場合に、トップで出てくるから」、という 単純な理由です。(そういう意味で、googleもまだまだ改善の余地があるなぁ というのは脱線のし過ぎですが!) 最適なページ、という判断が入ったものではありませんでした。 ちょっと議論を混乱させたとすれば、大変、失礼しました。 議論を、本論(と私が思うあたり?)に戻すと、 胸骨のあの平板な長方形をイメージ出来ないでCPRをやるのはまずい、 という風に、思いました。 その意味で、Lさんの、以下のご議論に大賛成です。自分がいったい、 何をどう押していて、それは何を意味しているのかを理解しないで おそるおそるやることはダメ、という感じが私も致します。 (知らなかった自分を棚に上げて言うと、胸骨くらい理解しろよな、 という感じですわ^^) 何事も、自分がやっていることがイメージできて、 目に見えるようにならないとだめ、という意味では、 解剖図+このあたり↓、という図を載せてもいいくらいです、私としては…。 >また、(心電図の胸部 >誘導電極のように)ピンポイントに正確な位置を知る必要もありません。 >講習で「自分の体の胸骨を触ってみてください」と言えば話はごく簡単 >で、誰でもすぐに胸骨は分かるはずです。あるいは、胸部の略図に「こ >こに触れる骨」と矢印を付けても分かるはず。少なくとも、「寛骨」、 >「恥骨」より胸骨の方がよっぽど分かりやすいと思うんです。 > >電話などで指示をする場合に「キョーコツ」が通じない虞はありますが、 >そもそも胸骨が分からないのは蘇生法を習ったことがないためで、そう >いう人が恐る恐る胸を押しても有効な血液駆出は得られないとも思われ >ます。胸骨の説明に手間取るくらいならば、「すぐ救急車が向かいます。 >誰か助けを呼び集めてください。」と告げた方が正解かも知れません。



水野 [eml-nc6: 0524] 胸骨体の中央付近?(Re: [eml-nc6: 0522] 日本版GL 暫定版への意見 1-下 CPR(市民および非日常的に蘇生を行う者) Date: Thu, 23 Mar 2006 水野義之です。 素人のでしゃばりですみません。 覚えたての用語を早速使わせていただきますと、 Genro Ochi from UMIN wrote: >〇乳児の胸骨圧迫 > GL案) >  ・乳頭間線のすぐ下の胸骨を これの本質は、要するに、胸骨の胸骨体の中央付近、 という風に理解していいのでしょうか? 胸骨を探り当てるには、みなさん、どうされていますか? 手で触りながら、このあたりだな、という風にされる方も おられるのでしょうか? 手で触りながら、胸骨がなくなるあたりと、鎖骨のあたりとの、 中間付近、という探し方が、個人的には好みなのですが、 これでは、うまくいきませんか?



水野 [eml-nc6: 0525] Re: 胸骨体の下半分ですね Date: Fri, 24 Mar 2006 水野義之です。 At 11:01 PM +0900 06.3.23, MIZUNO Yoshiyuki wrote: >これの本質は、要するに、胸骨の胸骨体の中央付近、 ではなくて、胸骨体の「下半分」、のあたり、みたいですね。
http://web.sc.itc.keio.ac.jp/anatomy/osteologia/A02303001-009.html の図で言えば、胸骨平面、と書かれている部分。 要するに、シモブクレをしている部分ですか。 なぜここがよいかというと、そこが一番、広くて押しやすい、また 手が滑って骨を折ってしまうとか損傷を与えるなんてことも少なそう だから、でしょうか。 力を入れ過ぎて、しかも手を置く場所が悪くて、ダメージを与えてしまう、 なんてこともありえますか?



水野 [eml-nc6: 0527] 手を置く場所が悪いと何が起こるか (Re: [eml-nc6: 0525] Re: 胸骨体の下半分ですね Date: Fri, 24 Mar 2006 水野義之です。 よく考えると、善良なる一般市民^^ としては、練習する場所が ないですよね。BLSを必要としない人をつかまえてCPRの練習なんてやっては いけないですよね。何度も講習を受けるか、実際にそういう状況に遭遇するか。 だから、やはり予備知識は必要で、やはりまず知識として分かってないと、 おそるおそる、になってしまうかも。 At 1:03 AM +0900 06.3.24, 水野義之 wrote: >力を入れ過ぎて、しかも手を置く場所が悪くて、ダメージを与えてしまう、 >なんてこともありえますか? 「手を置く場所が悪くて、ダメージを与えてしまう」なんてことは、 まぁ、あり得ない、ということがわかれば、 そういう状況に遭遇しても、たぶん大胆に、有効に、やれるように思います。 やっぱり体で覚えないとだめですよね。 手を置く場所が悪いと、どうなるのでしょうか?何が起こるのでしょうか? これもいろいろなケースがありますか?



・石原 [eml-nc6: 0531] Re: 手を置く場所が悪いと何が起こるか (Re: [eml-nc6: 0525] Re: 胸骨体の下半分ですね Date: Fri, 24 Mar 2006 水野様、皆様 県立広島病院 石原晋です ----- Original Message ----- > 水野義之です。 手を置く場所が悪いと、どうなるのでしょうか?何が起こるのでしょうか? > これもいろいろなケースがありますか? ーーーーーーーーーーーーーー 手を置く場所が ○上にずれる→心マが効かない ○左右にずれる→胸骨と、肋骨の間の関節がはずれる、あるいは肋骨骨折 ○下にずれる→肝臓破裂、脾臓破裂 などが起こりえます



K [eml-nc6: 0535] Re: 手を置く場所が悪いと何が起こるか Date: Fri, 24 Mar 2006 Kです。 いろんな名称をまとめると、 1. 乳首の間 2. 胸骨の真ん中 3. 肋骨の真ん中 4. 脇の下から手を当ててずらした所の真ん中 5. 「一番下の肋骨を人差し指と中指で真ん中までたどっていったところが剣状突起と呼ばれる  部分であり、辿った指の頭側にもう一方の掌をおき、さらにもう一 方の手を重ねて圧迫部位  とする。」(wikipedia) の5つ?でしょうか。 そこで、この5つが、どういう誤解の範囲を持っているか、ということを考えるとどうでしょ うか。 そして、 >> 手を置く場所が悪いと、どうなるのでしょうか?何が起こるのでしょうか? >> これもいろいろなケースがありますか? > ーーーーーーーーーーーーーー > 手を置く場所が > ○上にずれる→心マが効かない > ○左右にずれる→胸骨と、肋骨の間の関節がはずれる、あるいは肋骨骨折 > ○下にずれる→肝臓破裂、脾臓破裂 > などが起こりえます この手を置く場所がまずいとどうなるか。その範囲と、上記の誤解の場所が,どう重なるか。。。 専門家の皆さま、教えてください。 たとえば、肋骨の一番下から、2センチの所でも、4、5センチ押すと肝臓破裂の危険性があ るのか、鎖骨の下、10センチの所を4、5センチ沈ませても、 全く(もしくはどのくらい?)効果が無いのか。。。 それによって、著しく、良くないということになるなら、5しかあり得ないということになる のでしょうか。 教えてくださいませ。 きっと、それが結論じゃないでしょうか。 一般人が考える「乳首の間」 というのは、正確に乳首の間を示すのではなく、その辺りだと思います。 講習を受けた人は、いろんな事を厳密に考える姿勢が訓練されるかもしれませんが、一般人の 多くの人は、もっとアバウトだと思います。 乳首と言われても、誰も、乳首を目で見て確認しなければ、乳首の位置が分からないとは思わ ないでしょう。これを目視して、確認しなければ、分からないと 言うのは、医療関係者独特の 感覚である気がします。洋服を着ていても、ダウンジャケットを着ていても、動いていても、 体全体のバランスの中で、だいたいこんな人だったら、乳首(心臓)というのは、この辺りの 位置というのは、一般人でも感覚的に分かるはずです。試しに、テレビを見ながら、お近くの ご家族 にお聞きになってください。大体、どこなのか。。。。もちろん心肺蘇生がテーマで、 っていう事を言った上で。(実際の場合、明確に心臓マッサージをする ための位置を探すと いう意味で「乳首」をかんがえるわけですから、蘇生目的(心臓がターゲット)というのは大 きな前提情報でしょう。) さすがの一般人も、心臓マッサージは心臓を押すものだと心得ています。けれど、その時、勘 違いしそうな事として、左側の胸を押して、肋骨を折ってしまう事だと思います。 その場合の、真ん中という言葉を強調するためにも、「乳首の間」は有効だと思います。心臓 の上は左だという勘違いをしていたら、「乳首の上」になってしまうわけですから。 また、よしんば、よく見える場合であって、たとえば、すっごく特殊なおばあさんの(>_<) ようなスタイル?場合でも、誰でも、あ、このヒトのは垂れてるけど、こういう人の心臓って、 乳首といっしょに垂れてるはずだから、心臓も下の方にある。。。と判断する人っていうのは、 よっぽどの人、というか、まず、いないでしょう。 一般人の知的レベルをどこに設定するかですが、このような、稀なおばかさんに想定するのは いかがなものかと思います。このような人を想定する目的で、「キョウコツ」とか、4、5番の ような複雑な表記をしなければならない、(4,5番は、このセンテンスを読んで一発で理解でき る人はまず、稀で、一般人では皆無と言えると思います。)っていうのは、変ではないでしょ うか。「乳首が垂れれば心臓も下がる」と思うような知性の人には、まず、理解できっこない ですよね(^^; この問題、いろんな意味で、とっても大切だと思います。 いかがでしょうか?



[eml-nc6: 0539] 胸骨。  漏斗胸の場合は?



N(救急隊員) [eml-nc6: 0547] Re: 手を置く場所が悪いと何が起こるか Date: Fri, 24 Mar 2006 Kさん、みなさん、Nです。 ここにきて、突然の発言で申し訳ありません。 圧迫部位についての表現ですよね? 以下の5とおりに、もう一つ、 「オッパイとオッパイの間」(あと、加えるとしたら「・・の“固い骨の下半分”」) ・・・というのはダメですか? ----- Original Message ----- From: K > いろんな名称をまとめると、 > 1. 乳首の間 > 2. 胸骨の真ん中 > 3. 肋骨の真ん中 > 4. 脇の下から手を当ててずらした所の真ん中 > 5. > 「一番下の肋骨を人差し指と中指で真ん中までたどっていったところが剣状突起と 呼ばれる部分であり、辿った指の頭側にもう一方の掌をおき、さらにもう一 > 方の手を重ねて圧迫部位とする。」(wikipedia) > の5つ?でしょうか。



[eml-nc6: 0549] Re: 手を置く場所が悪いと何が起こるか



川岸 [eml-nc6: 0552] Re: 胸骨体の下半分ですね 日時 : 2006年3月25日 2:02 皆さんこんにちは。 川岸@信州大解剖学です。 私自身不勉強でお教えいただきたくメールさせていただきます。  さて「胸骨」ですが、解剖学を学んだ方は「胸骨柄」「胸骨体」「剣状突起」の3部分 からなっている事はご存知のことと思いますが、今回一般の方にはこれらの違いや、胸骨 自体がわかりにくいとのご指摘があり、なるほどと感じました。  しかし、心臓マッサージの位置は「教えやすさ」という観点からも重要ですが、場所に よる「心マの効果」の違いがはっきりさせられていない様に感じました?  今回の議論を見ているとあたかも「心臓マッサージの位置が変更になった」様に受け止 められますが、そうではなくて、つまり「有効な心臓マッサージの位置は変更がないが (←重要)教え方、位置の決め方に新しい言葉(フレーズ)を導入しよう」と言う事です ね?  では効果的な心臓マッサージの位置は何処なのでしょうか?(医学的に説明してある論 文等でもかまいませんが探し当てられませんでした。お教えいただければ幸いです。)  なお、医学的な処置の位置が決まっている理由は「そこが最も安全」and/or「そこが最 も効果的」であるからだろうと思っています。体表から器具を使わずに位置を決めるのは 常に骨(硬組織)基準になっており(理由:触知が容易で個体差が少なく位置の変異が少 ない(あったら骨折脱臼))、可動性のあるもの(たとえば皮膚の上)、性差、年齢差が 大きいものは基準に出来ないのが一般的な原則だと考えています。  骨が良いのは触るだけでわかる!!暗くても服を着てても(薄いものですが)わかるの がやはりポイントと思います。  2横指というのが問題なような気もします。 PS  以下、一般の方向けに解剖学から心臓マッサージが有効と思われる部位を考えてみまし た。  胸部をXYZ軸の立方体と考えると(ただしx(左右)y(頭尾)z(腹背)方向)以 下のように心臓マッサージの原理が決められたように考えています。  心臓マッサージによる心臓からの血流は心臓圧迫による効果と、胸腔内圧上昇による効 果により心臓からの血流が起こると習いました。胸腔内圧を上昇させるためであれば、胸 骨の何処を押してもある程度の効果はあると思います(肋骨に垂直に押してもあまり大き な胸郭運動は起こらないのでこの場合でも胸骨を押すのが一番効果があるように思われま す。さて、では、心臓を圧迫するにはどう押せばいいのか?硬い胸骨と脊柱で心臓をはさ む以外に効果的な圧迫は難しいように解剖学的には考えています。CT等を見ていただく と、垂直に押して心臓を胸骨と脊椎で「挟む」必要性はイメージしやすいように感じます。 (斜めに押すと柔らかい肺に向かって心臓を押すことになります)
http://hippo.med.hirosaki-u.ac.jp/~inter2/chestct%2010-4.html  ではxyz軸で考えたときのz軸の動きは上記でいいのですが、xy座標の決め方が問 題となっているのだと思いますが、これはその時「心臓が何処にあるか?」という非常に シンプルな質問に対する答えと同じになると考えています。  まずx軸...心臓は左胸にあるのではなく、胸部の中央に”胸骨の裏にかくれて左からの ぞいている(笑)”様な状態ですので、胸骨中線上(正面から見て真ん中の軸)を手のポ ジションにすることも問題ないかと思います。(レントゲン写真を見ていただければと思います) http://www.valley.ne.jp/~naganohp/kensalecture/xp.html  後はy軸方向の問題です。  心臓マッサージが必要な事例では肺も呼気状態(息を吐いた状態)に近く横隔膜は弛緩 して挙上している状態に近いと思います。  さて、この様なときの解剖を考えてみると、胸骨中線上における臓器の位置ですが、胸 部と腹部を分ける横隔膜の起始部は剣状突起の裏であり、ここからドーム上に挙上してい るため、剣状突起の裏は横隔膜の下、すなわち「腹腔!」に位置することになります。で はこの剣状突起の裏には何が存在するのか?腹腔内蔵の内、最大の実質臓器「肝臓」が位 置しています。すなわち腹腔内の臓器の損傷を起こす可能性があります。  剣状突起はこの様に「押してはいけない場所」「効果が無い場所」として教える際に必 要であろうと考えます。  横隔膜は上方にドーム状にせり上がり、心臓はその上に乗っているような状態になるの で、実際に心臓の位置は横隔膜の起始部である剣状突起よりもさらに上になります。(胸 骨と肋骨の角から2横指上にする理由?)この時の横隔膜の位置が一般の方で乳頭を結んだ 線上(一般的には第4肋間)に近くなり、これが乳頭を結んだ線を基準にという根拠と思 われます。  ただし、乳頭は特に高齢女性では乳房の位置が変わるため正確な指針とはなりにくいの です。(医学的な位置決めでは可動性の大きなものを基準に出来ません)  さらに胸骨正中線上を上方に進むと、解剖学的には胸骨柄と胸骨体が作る胸骨角(第5 胸椎の高さ)の裏には気管支分枝部や大動脈弓が存在しており、この部分を圧迫しても心 臓から血液が送り出せないのは理解していただきやすいのではないでしょうか?すなわち 胸骨柄の裏にはもう心臓がないということです。  ただし胸骨角はふっくらとした人などでは判りにくい事が多いです。  こうするとy軸上での心臓の位置は解剖学的には胸骨体の裏で(胸骨柄と胸骨体を1つ と考えたときには下半分)、かつ剣状突起は腹腔の部位に存在しているということがわか っていただけると思います。  ちなみに心臓を細かく見ると血液を駆出する心室は下にあり、心房、動脈が上方にあり ます。ですから胸骨体の中でも上方よりも下方を押すのがいいと考えております(ただし 下方過ぎてはだめ)。  胸骨角はふくやかな方では判り難く、触知は難しいですが、肋骨下縁、剣状突起、胸骨 柄の上端(頚切痕)はほぼわかると思います。    この様に医学的な行為で位置が決まっていることは”安全上””解剖生理学上”の理由 があって決まっているので、「教えやすさ」の観点からのみで変更することはどうかと思 いメールさせていただきました。  電話での口頭指示の際など、CPRを知らない人に緊急避難的に教えるためであればい ざ知らず、コースに出てくるような方(インストラクター、受講者)は是非知っていただ ければと考えております。 その他の補足  * 胸骨の3つの構成要素のうち剣状突起は一部軟骨であり、年齢と共に骨化が起こる部 位で、肋軟骨部と並び、この様に加齢と共に骨化した場所は元来骨だった場所に比べ骨折 が起こりやすいように思います。 http://web.sc.itc.keio.ac.jp/anatomy/osteologia/A02303001-009.html 現在スウェーデン留学中で良い資料がなかなか見つけられずにすみません。 信州大学医学部人体構造学(旧解剖学第2)講座 川岸 久太郎 



水野 [eml-nc6: 0555] Re: 手を置く場所が悪いと何が起こるか (Re: [eml-nc6: 0525] Re: 胸骨体の下半分ですね Date: Sat, 25 Mar 2006 石原晋様、京都女子大 水野義之です。 At 7:33 AM +0900 06.3.24, 石原様 wrote: >手を置く場所が >○上にずれる→心マが効かない >○左右にずれる→胸骨と、肋骨の間の関節がはずれる、あるいは肋骨骨折 >○下にずれる→肝臓破裂、脾臓破裂 >などが起こりえます やはりそういうことですね。ちょっと角度が悪いと(つまり垂直から ちょっとづれていて、斜下などに押してしまうとか)いう場合も ありそうで、やはり注意が必要、ということかと思いました。 大分、イメージできるようになってきました。 ありがとうござざいました。



水野 [eml-nc6: 0558] Re: 胸骨体の下半分、解剖学的な共通理解とは? Date: Sat, 25 Mar 2006 川岸@信州大解剖学様、皆様、水野義之@京都女子大です。 コメント、ありがとうございます。私の素朴な疑問にも、大変、わかりやすく、 また丁寧な御指導を下さいまして深く感謝致します。 これまでの日本版GLの議論と、今回の川岸さんの解説とを読み合わせて、 かなり疑問が解消致しました。その上で、ちょっと感想を書かせていただきます。 > さて「胸骨」ですが、解剖学を学んだ方は「胸骨柄」「胸骨体」「剣状突起」の >3部分からなっている事はご存知のことと思いますが、今回一般の方にはこれらの違 >いや、胸骨自体がわかりにくいとのご指摘があり、なるほどと感じました。 すこし、ホッとしました。(きっと御迷惑だろうなぁ、という気も しておりましたので…)。 > では効果的な心臓マッサージの位置は何処なのでしょうか?(医学的に説明して >ある論文等でもかまいませんが探し当てられませんでした。お教えいただければ幸 >いです。) > > なお、医学的な処置の位置が決まっている理由は「そこが最も安全」and/or「そ >こが最も効果的」であるからだろうと思っています。体表から器具を使わずに位置 >を決めるのは常に骨(硬組織)基準になっており(理由:触知が容易で個体差が少 >なく位置の変異が少ない(あったら骨折脱臼))、可動性のあるもの(たとえば皮 >膚の上)、性差、年齢差が大きいものは基準に出来ないのが一般的な原則だと考え >ています。 私も、骨を触って、触知によって、最適な場所を位置決めするのが よいように思いました。もちろん、ガイドラインはあれでいいと思いますが。 自分では、骨の確認もやってからしか(ちょっと恐くて)押せない感じです。 > 骨が良いのは触るだけでわかる!!暗くても服を着てても(薄いものですが)わ >かるのがやはりポイントと思います。 > 2横指というのが問題なような気もします。 従来法の肋骨縁法というのが時間がかかる、というのは、どうしてなのでしょうか? >PS > 以下、一般の方向けに解剖学から心臓マッサージが有効と思われる部位を考えて >みました。 素晴らしい解説をいただき、ありがとうございました。 > 心臓マッサージによる心臓からの血流は心臓圧迫による効果と、胸腔内圧上昇に >よる効果により心臓からの血流が起こると習いました。胸腔内圧を上昇させるため >であれば、胸骨の何処を押してもある程度の効果はあると思います(肋骨に垂直に >押してもあまり大きな胸郭運動は起こらないのでこの場合でも胸骨を押すのが一番 >効果があるように思われます。 了解。 >さて、では、心臓を圧迫するにはどう押せばいいのか?硬い胸骨と脊柱で心臓をは >さむ以外に効果的な圧迫は難しいように解剖学的には考えています。 ですね。 >CT等を見ていただくと、垂直に押して心臓を胸骨と脊椎で「挟む」必要性はイメ >ージしやすいように感じます。(斜めに押すと柔らかい肺に向かって心臓を押すこ >とになります) >
http://hippo.med.hirosaki-u.ac.jp/~inter2/chestct%2010-4.html この「斜めに押すと」、というのは、z軸に垂直ではなくて、ということだと思いま すが、 斜に、というのは、x軸方向に多少、ずれた場合、ということでしょうか。 それと上記のCTの図がよく分からない(ごめんなさい)のですが、 心臓(と思われる図の中心の白い大きなもの)が右側にずれているように 見えますが、これは下から見たものなのでしょうか? > ではxyz軸で考えたときのz軸の動きは上記でいいのですが、xy座標の決め >方が問題となっているのだと思いますが、これはその時「心臓が何処にあるか?」 >という非常にシンプルな質問に対する答えと同じになると考えています。 そういうことですね。 ちなみに、顔の形とか各パーツの配置パターンには、微妙な個人差がありますが、 内臓の臓器、例えば心臓の位置には、CPRの効果が変わるほどの個人差がない、 と考えてよいのでしょうか。 そりゃ当たり前だろう、と言われると思いますが、心臓がデカイなんて人も 居そうですし(半分、ジョーダンですが)、今回のガイドライン作成でも 子どもと大人の違い、男性と女性の違いには言及されています。 また乳首(の頭側尾側方向の位置)といった場合も個人差がありえます。 心臓の位置については、本当に個人差は無視できるのか。 …という設問を考えた場合、どういうエビデンスがあるのでしょうか。 (またまたおバカな質問ですみません。) もちろん、経験的には、同じだよ、というのはよく分かります。 ただ、GLでの議論のように、位置決めの精度を上げたいような場合、 どうなんだろう、とふと思いました。 > まずx軸...心臓は左胸にあるのではなく、胸部の中央に”胸骨の裏にかくれて左 >からのぞいている(笑)”様な状態ですので、胸骨中線上(正面から見て真ん中の >軸)を手のポジションにすることも問題ないかと思います。(レントゲン写真を見 >ていただければと思います) >http://www.valley.ne.jp/~naganohp/kensalecture/xp.html ですね。よくわかりました(^^)。 でも、これを見ると、素人目には、押す人が、 心臓の側に位置して押した場合と、 心臓の反対側に位置して押した場合とで、 差が出る様に思いました。 あるいはまったく垂直に押すから大丈夫(このような差は出ない) なのでしょうか。 > 後はy軸方向の問題です。 > 心臓マッサージが必要な事例では肺も呼気状態(息を吐いた状態)に近く横隔膜 >は弛緩して挙上している状態に近いと思います。 > さて、この様なときの解剖を考えてみると、胸骨中線上における臓器の位置です >が、胸部と腹部を分ける横隔膜の起始部は剣状突起の裏であり、ここからドーム上 >に挙上しているため、剣状突起の裏は横隔膜の下、すなわち「腹腔!」に位置する >ことになります。ではこの剣状突起の裏には何が存在するのか?腹腔内蔵の内、最 >大の実質臓器「肝臓」が位置しています。すなわち腹腔内の臓器の損傷を起こす可 >能性があります。 > 剣状突起はこの様に「押してはいけない場所」「効果が無い場所」として教える >際に必要であろうと考えます。 はい。この部分は、(GKの議論の一部に類似の指摘が書かれておりましたが)、 なぜ、いけないのか、納得できました。 > 横隔膜は上方にドーム状にせり上がり、心臓はその上に乗っているような状態に >なるので、実際に心臓の位置は横隔膜の起始部である剣状突起よりもさらに上にな >ります。(胸骨と肋骨の角から2横指上にする理由?)この時の横隔膜の位置が一般 >の方で乳頭を結んだ線上(一般的には第4肋間)に近くなり、これが乳頭を結んだ >線を基準にという根拠と思われます。 ということは、心臓の位置も、微妙に、(平常時に比べて)上にずれている、 と考えてよろしいですか? > ただし、乳頭は特に高齢女性では乳房の位置が変わるため正確な指針とはなりに >くいのです。(医学的な位置決めでは可動性の大きなものを基準に出来ません) そうですね。今回のGLでは、肋骨縁法との併用は適切だろうという指摘も あったと思いますが、こういう観点(可動性の大きなものは基準に出来ない)は やはり重要だと納得致しました。GLはGLで結構であると思いますが。 > さらに胸骨正中線上を上方に進むと、解剖学的には胸骨柄と胸骨体が作る胸骨角 >(第5胸椎の高さ)の裏には気管支分枝部や大動脈弓が存在しており、この部分を >圧迫しても心臓から血液が送り出せないのは理解していただきやすいのではないで >しょうか?すなわち胸骨柄の裏にはもう心臓がないということです。 Kさん(これ読んでますか?)、このあたりを、図にできて、 「ここを押すんじゃぁ」(なぜかというとね、……)みたいなことが できるとよいかも? 解剖学的な図はある意味で一発で理解できて、イメージを 持って、押せるようになると思います。 > ただし胸骨角はふっくらとした人などでは判りにくい事が多いです。 自分で触ってみても、胸骨体と思われる部分の上のちょっと凹んだあたり、 でしょうか。分かりにくいことは分かりにくいですね。 > こうするとy軸上での心臓の位置は解剖学的には胸骨体の裏で(胸骨柄と胸骨体 >を1つと考えたときには下半分)、かつ剣状突起は腹腔の部位に存在しているとい >うことがわかっていただけると思います。 これが、GLの議論でいうところの、2/3とか1/4という議論になるのですね。 ちょっと長いですが、関連部分を引用させていただくと、こういう具合ですね。 =============(引用ここから)  一方、胸骨上で上下(頭側尾側)方向には、どの部位を圧迫の中心と考 えればよいでしょうか。これについては明快には定められていません。一 つの表現として「胸骨の下半分(lower half of the sternum)を圧迫」 するというものがあります。これは“肋骨縁”法を用いて救助者が胸骨上 に置く手掌基部が剣状突起基部にかからないように修正しさえすれば、安 全かつ有効に胸骨圧迫を実施できる方法です。しかし、胸骨圧迫のための 時間節約のために“肋骨縁”法を用いない場合には、必ずしも適切な表現 方法ではないように思います。  すなわち「胸骨の下半分を圧迫」するという表現は救助者の手の大きさ や傷病者の胸骨の大きさ(長さ)に考慮していないからです。「胸骨の下 半分を圧迫」する場合、圧迫の中心は胸骨切痕(胸骨上窩をなぞって知る) から胸骨下端(剣状突起基部をなぞって知る)までの、胸骨切痕からみて 3/4の位置となります。私共が自らの身体で上記の位置を中心に自分の手 掌基部を置くとき、その小指側は剣状突起基部に近いかそれにかかる場合 もあるように思います。すなわち“肋骨縁”法を用いない場合に「肋骨の 下半分」を圧迫点(胸骨の上から3/4が圧迫の中心)とすることは剣状突 起を折り内臓損傷を招く恐れがあると思います。  胸骨圧迫の部位として、これまで「胸骨の下半分」以外には「胸骨の下 1/3を圧迫」という教え方もありました。この方法では胸骨の下1/4を圧迫 の中心に置く「胸骨の下半分を圧迫」する方法よりも、剣状突起損傷は起 こりにくいように思います。また、「胸の真ん中」をそのまま「胸骨の上 下の中心」(胸骨切痕から1/2の部)を圧迫することでも大きな誤りはな いと考えられます。  なお、傷病者の胸部を十分確認できる場合には、両側乳頭を結ぶ線(ニ ップルライン)の中点、女性の胸の膨らみの中央を圧迫する方法などは引 き続いて有用であろうと思います。いずれにしても心肺蘇生法を指導する 者の間で、圧迫部位に関する解剖学的な共通理解がないことには上記のよ うな工夫も定着しないのではないかと考えます。  新ガイドラインには、指導者に対する解説として、胸骨圧迫部位に関す る記載をお願いしたいと思います。また一般市民が適切な胸骨圧迫の部位 として「胸の真ん中」を把握できる方法に関する研究を推奨していただけ れば幸いと思います。 =============(引用終わり) ここで重要なポイントは、「心肺蘇生法を指導する 者の間で、圧迫部位に関する解剖学的な共通理解がないことには上記のよ うな工夫も定着しない」という指摘だと思います。 今回、そこをご指導いただいているように感じております。 > ちなみに心臓を細かく見ると血液を駆出する心室は下にあり、心房、動脈が上方 >にあります。ですから胸骨体の中でも上方よりも下方を押すのがいいと考えており >ます(ただし下方過ぎてはだめ)。 分かります。 > 胸骨角はふくやかな方では判り難く、触知は難しいですが、肋骨下縁、剣状突 >起、胸骨柄の上端(頚切痕)はほぼわかると思います。 そう思います。 > この様に医学的な行為で位置が決まっていることは”安全上””解剖生理学上” >の理由があって決まっているので、「教えやすさ」の観点からのみで変更すること >はどうかと思いメールさせていただきました。 > 電話での口頭指示の際など、CPRを知らない人に緊急避難的に教えるためであ >ればいざ知らず、コースに出てくるような方(インストラクター、受講者)は是非 >知っていただければと考えております。 そう感じました。 ご指導、ありがとうございました。 >その他の補足  >* 胸骨の3つの構成要素のうち剣状突起は一部軟骨であり、年齢と共に骨化が起こ >る部位で、肋軟骨部と並び、この様に加齢と共に骨化した場所は元来骨だった場所 >に比べ骨折が起こりやすいように思います。 >http://web.sc.itc.keio.ac.jp/anatomy/osteologia/A02303001-009.html この部分ですね: 「胸骨柄と胸骨体(胸骨柄結合)および胸骨体と剣状突起(胸骨瞼結合)の軟骨結合 部は、年齢とともに骨化する。」



K [eml-nc6: 0560] Re: 胸骨体の下半分、解剖学的な共通理解 Date: Sat, 25 Mar 2006 Kです。水野さんに呼んでいただいて、ホイホイ出て来ちゃいます(^_^)/ >>  さらに胸骨正中線上を上方に進むと、解剖学的には胸骨柄と胸骨体が作る胸骨角 >> (第5胸椎の高さ)の裏には気管支分枝部や大動脈弓が存在しており、この部分を >> 圧迫しても心臓から血液が送り出せないのは理解していただきやすいのではないで   しょうか?すなわち胸骨柄の裏にはもう心臓がないということです。 > 山本さん(これ読んでますか?)、このあたりを、図にできて、 > 「ここを押すんじゃぁ」(なぜかというとね、……)みたいなことが > できるとよいかも? 解剖学的な図はある意味で一発で理解できて、イメージを > 持って、押せるようになると思います。 ハイ。読んでおります。 で、機関士分岐部?や大動脈級?というのは、表示されていませんが、こんな図を入れ ています。
http://home.r05.itscom.net/bfree/NewFiles/smi201t2.html でも、この間の平岡さんのご指摘にありましたが、 もし、ここの部分、押したとしても、押した形に内蔵に圧迫があるわけではありません よね。骨が折れない限り、この肋骨がバネのように歪む構造になった胸 骨全体で、中 の臓器をアバウトに刺激するということではないでしょうか?だから、(押した部位が ベコンとへこむのではないので、)上や下にずれていると、力学的に、少しは劣るけれ ど、刺激そのものは、肋骨のバネと、胸骨の硬い部分で全体的に刺激できる。。。それ が心臓もマッサージする。。 そのバネ構造を合理的に利用し、肋骨を折らない為には、左右にずれてはいけない。こ れは鉄則なんでしょう。問題は上下方向が、心臓や他の臓器の位置と関 係なく、骨の 構造的に、どこまでずれても、効果的かということではないでしょうか?このズレが2 センチなのか、5センチなのか、10センチなのかによって、事情が大分変わってくる でしょう。 と、理解しちゃったんですが。。。 で、ちなみに。。。 何人かの一般人に聞いてみました。 やっぱり「胸骨」は分からない。 胸の骨って書くっていうと分かるけど、知らない言葉なので、どれかは特定できない。 っていう感じでした。 もうひとつ。私も、そう、思いこんでいますが。 肋骨っていうのは、この肋骨が下半分で別れている、あの分かれ目まで。と理解してい るみたいです。 だって、肋骨が見えるって、ここの部分ですから。だから、「肋骨の真ん中」というと、 この分かれ目の間。骨の無い所。という事になってしまい、大はずれ になる可能性が あります。他のはともかく、これだけは大はずれですよね。 で、「肋骨の上部の真ん中」という言葉も同様に、この「上部の」という言葉の伝わり 方によって、大きな誤解も起こす言葉ということになります。 ということで、表記の選択肢からは、「肋骨」という言葉は外した方が良いと思いまし た。 乳首、とか、(おっぱいっていうのは、俗語っぽいので、まじめに?使えない気がしま すけど)エッチっぽい?っていうご指摘。本当はみんな、そうだ。それさえ無ければ、 賛成してるよ。ってうような。。。もしかして核心かもと、思います。 たしかにね。でも、哺乳瓶の口っていうのも、乳首だし。 そういう時は別に抵抗無いんじゃないでしょうか。 もうひとつ考えるとすると。。。 「両方の胸の中央」でしょうか。。。 これ、どうかなあ。(乳首の方が限定的で、良いと思うけど) 「胸」というとものすごくアバウトだけど、「両方の」というと、なぜか、おっぱいと か、胸筋を想像します。素人でも。



O(医師) [eml-nc6: 0561] Re: 胸骨体の下半分ですね Date: Sat, 25 Mar 2006 Oです。 一連のディスカッションを興味深く拝見しています。 川岸さんのご投稿は、とてもわかりやすいと思いました。 今回の話題を考える際は、胸骨単体だけではなく、胸郭全体の形を ご覧になると良いと思います。 水野義之@京都女子大学さんがご紹介くださった慶應大学解剖学の サイトでいえば、
http://web.sc.itc.keio.ac.jp/anatomy/osteologia/A02304001-008.html で、川岸さんのご投稿と併せて、前方、側方、上方から見る胸郭 (Thoracic cage)の全体像をご覧になれば、胸郭という籠のどこ を押せばよいのか、非医療従事者の方にも、より明確にイメージ していただけるかもしれません。



平岡 [eml-nc6: 0563] Re: 胸骨体の下半分、解剖学的な共通理解とは? Date: Sat, 25 Mar 2006 水野さん,・・さん,皆様,右脳のヒラオカです. > 心臓の位置については、本当に個人差は無視できるのか。 > (またまたおバカな質問ですみません。)   無視できるかどうかはわかりませんが,  突然の心停止に対して,(個人的な微妙な位置の違いを気にしてられませんので)  最も普遍性のある部分も「押す」ということでしょうか(^_^;)   血管内に動脈圧をモニターできるセンサーを入れている人の蘇生をしたことがありますが,  やはり,押す位置やテンポによって,心マにより出る圧にはかなり変動があった様に思います.  (またまた印象論でスミマセン)



平岡 [eml-nc6: 0564] Re: 胸骨体の下半分、解剖学的な共通理解とは? Date: Sat, 25 Mar 2006 しつこく ヒラオカです. > 心臓の側に位置して押した場合と、 > 心臓の反対側に位置して押した場合とで、 > 差が出る様に思いました。 > あるいはまったく垂直に押すから大丈夫(このような差は出ない) > なのでしょうか。 > ということは、心臓の位置も、微妙に、(平常時に比べて)上にずれている、 > と考えてよろしいですか?  右脳中心では,XYZ軸がからまってもつれてしまいましたが・・・  ひとつ,確認しておきたいことは,必ずしも心臓の位置を押して  いるワケではないのでは?ということです.   心臓から出る血液が,体を循環して再び心臓に帰ってくるには  圧勾配が必要です.そのためcompression-decompression を繰り返すことにより  胸郭内の圧変化を大きくするための器具があります(心臓マッサージをする際に  吸盤を胸に貼り付けて,「押す」「引く」を繰り返すことができる).   心臓マッサージをする際,垂直に押しているつもりでも(軸はどれでしたっけ?)  先のメールで紹介頂きました,肋骨と胸骨の解剖図(実際には骨と骨の間に筋肉  でつながってます)を右脳感覚的にみると,前からまっすぐ押しても(肋骨は前下  向きに走っていますので) 実際にはやや足の方に,ゆがんだ形で胸郭は変形する  ことで,胸郭の体積(=胸郭内の圧)を変化させているのでは,と感じます.      まあ,これはどうでも良かったですかネ?  要するに,多少心臓の形や大きさが違っても「とにかく心マ!」と言うのが右脳派の  意見でした. (軽い意見で失礼致しました).



水野 [eml-nc6: 0601] 訂正:胸骨の語源( Re: 胸骨とは? Date: Wed, 29 Mar 2006 水野義之です。 胸骨の英語、sternum の語源のことで、私が書いた推測が間違って おりましたので、お詫びして訂正させていただきます。 それは、 [eml-nc6: 0513] Re: 胸骨とは? という投稿の中の、以下の部分です。 >例によって語源を言えば、胸骨とは(たぶんドイツ語で)Sternumで、 >この「Stern」というのは(バウに対して)船の船尾のことなので、 >あぁそういう形の部分のことか、と分かりますが(これも間違っているかも >しれませんが)、普通は(胸骨そのものを知らない場合には推測は) >無理ではないかと…。 これは推測で書いたので、 そこでも「間違っているかもしれない」、とは断っていますが、 実際に、間違っていたようで、申し訳ありません。 stern(船の船尾)の語源は、steerと同じだそうです。 これは英語でもドイツ語でもあって、英語ではスターン、 ドイツ語ではシュテルン(人の名前にもなっていますね)です。 他方で、 sternumの語源は、このsternでは「なく」て、胸という意味の ギリシャ語のsternonという言葉(たぶんστερνον)に由来するようです。 ギリシャ語のsternonの意味は"chest, breast, breastbone" (紀元前800年 くらいのホメロスでは男性の胸、というだけだったそうですが)、そのさらにもとは 印欧語の概念的原形では "to stretch, extend," という意味で、それはさらに "flat surface" というイメージから来ているとか。 ということで、浅知恵の推測は間違っていたようですので、お詫びして訂正 させていただきます。 *** 元のメール: At 10:26 AM +0900 06.3.23, 水野義之 wrote: >水野義之です。 > >例によって語源を言えば、胸骨とは(たぶんドイツ語で)Sternumで、 >この「Stern」というのは(バウに対して)船の船尾のことなので、 >あぁそういう形の部分のことか、と分かりますが(これも間違っているかも >しれませんが)、普通は(胸骨そのものを知らない場合には推測は) >無理ではないかと…。 > > >ついでに、以下の図の間違いについては、著者に連絡しておきました。 > >At 9:46 AM +0900 06.3.23, 水野義之 wrote: >>たぶん、この図が間違っているようですね。 >> >>>
http://web.sc.itc.keio.ac.jp/anatomy/osteologia/A02303001-009.html



越智 [eml-nc6: 0605] 胸骨圧迫の位置決め Date: Wed, 29 Mar 2006  eml-ncの皆様、市立八幡浜総合病院麻酔科 越智元郎です。  胸骨圧迫の位置決めに関して少し雑談風に書かせていただきます。 〇  位置決めの方法が変わる?  私共は地域での二次救命処置訓練(ICLSコース)では以下のような方法で 胸骨圧迫の位置を決めるように指導してきました(G2000に沿った指導法で す)。この中に「胸部の中央」「両側乳頭を結ぶ線の中点」などの表現もあ ありましたが、一方で「肋骨縁をなぞる方法(肋骨縁(rib margin)法)」 も主要な指導法の一つとして伝えて来ましたが、G2005と呼ばれる新しいCPR 指針ではこの方法は教えないことになります。それはこの方法では圧迫部位 を決めるのに余分の時間を要するからです(救助者によっては15:2、あるい は30:2の区切りごとにこの方法で位置決めをしようとするでしょう)。 〇  ICLSコースでの指導内容の一例(第2回東予ACLSセミナー、2004) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 心臓マッサージ 1)心マの圧迫の位置  心臓マッサージの押す位置は"胸骨の下半分"である。これを確実に実施する 方法であればすべて可。以下のような方法が行われている。 ・胸骨の上端は胸骨上窩をさぐって知り、その下端は剣状突起の基部を目安と  する。そして胸骨の下半分を圧迫する。 ・左右の乳頭を結ぶ線の中点(胸骨上であること)を圧迫の中心とする。 ・肋骨縁法:患者の足側の手の中指で最尾側の肋骨弓を外側から正中に向かっ  てなぞる。中指が剣状突起の基部(胸骨切痕)にゆきあたったら、示指に反  対側の手(心マの際に下になる方の手)の拇指が接するように置き、さらに  その手がきちんと胸骨上(正中)に来るように調整する。 2)心マの際の手の置き方  下になる手の掌の付け根(手掌基部)が胸骨上の適切な位置に安定して置か れていれば、以下の方法のいずれでもよい。 ・両手ともに胸骨の長軸に直角に置く。上に置いた手の指で下の手の指を持ち  上げるようにして組み合わせる(G2000)。 ・両手ともに胸骨の長軸に直角に置くが指は組み合わせない 3)心マの必須事項   イ.正しい位置を!  ロ.両肘を伸ばして垂直に圧迫!   ハ.両手を胸骨上でずらさない!(離さない!)   ニ. 指先は必ず胸壁から離す! 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 〇  胸骨圧迫の位置決めに関する国際蘇生連絡協議会(ILCOR)やヨーロッパ蘇生 協会(ERC)、アメリカ心臓協会(AHA)の新指針の記載は「時間をかけずに前胸 部の中心を圧迫する」という方針で一致しています。明確な記載の一例としては 以下のものがあります。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 蘇生のためのERCガイドライン2005 要約 【成人一次救命処置の主な変更点】
http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/05/ERC-20.htm ・患者に反応がなく正常な呼吸をしていなければCPR開始の判断をする ★救助者は“肋骨縁”法を用いて時間を費やすより,胸の中央に両手を置く  ように教えられるべきである. ・救助呼吸は2秒間ではなく1秒間で行う. ・胸部圧迫と換気の比は、全ての成人心停止患者に対して30:2で行う。一  般の救助者による場合は、小児に対しても同じ比を用いる。 ・成人の患者に対しては,心停止が確認された後にすぐ30回の圧迫が出来れ  ば,2回の救助呼吸は省略される. ―――――――――――――――――――――――――――――― 〇  私共は「胸骨圧迫の位置決め」に関して、日本版救急蘇生ガイドライン策 定小委員会に以下のような意見を送付しました。これについてはすでに皆様 もお目通しいただいていることと思います。 ・意見書(2006/03/03)  2.胸骨圧迫心臓マッサ−ジの圧迫部位について http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/06/q1-iken.htm#q32 ・日本版ガイドライン暫定版への意見(2006/03/24)  〇胸骨圧迫の位置 http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/06/q3-iken.htm#01  以上、雑談というよりも簡単なまとめのような投稿になりました。お目通 しいただいた皆様、有難うございました。


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