第37回日本胸腺研究会の開催にあたって

 
この度は、この伝統ある研究会の会長にご推挙いただき、心より感謝申し上げます。
胸腺腫瘍と私との真剣な関わりは、1988年に初めて胸腺腫の胸膜播種例に遭遇して以来です。本例では手術時初めて粟粒状のび漫性胸膜播種が発見され、原発巣のみを切除後、化学療法を施行しました。その5年後に胸膜播種巣が増大したため胸膜肺全摘術(Extrapleural pneumonectomy: EPP)を行いましたところ、最初の手術から29年経った現在も無再発で健在です。この当時多剤併用の化学療法レジメンはなく、独自に考える必要に迫られました。その開発した化学療法レジメンがCAMP(CDDP+ADM+Methylprednisolone)療法で、意外にも効果的で、その後今日まで用いることになりました。
また、この患者さんには、胸腺腫の胸膜播種に対するEPPを経験させていただき、私が胸腺腫瘍診療にのめり込む大きなきっかけを与えていただきました。 昨年日本肺癌学会編の「EBMの手法による肺癌診療ガイドライン」2016年版が刊行されましたが、この中に初めて胸腺上皮性腫瘍に対する診療ガイドラインも掲載されました。このガイドライン作成にはわが国を代表する胸腺腫瘍の専門家の先生方にご参加いただきましたが、当方もその作成に関わらせていただきました。胸腺腫瘍に興味を持って診断・治療に当たってきましたが、その集大成のような仕事をお手伝いすることができ、この場を借りてお力添えをいただいた関係各位に厚く御礼申し上げます。
さらに、国際的には2017年1月よりTNM分類第8版に胸腺腫瘍に対する規定が初めて採用されました。このTNM分類は、世界から集積された8,994例のデータベースを基に作成されましたが、本研究会から提供されました2,897例がその32%を占めていたことはわが国の誇るべき大きな実績となりましたし、作成委員に奥村理事長始め数名の先生方が当委員会から参加されましたこともわが国の胸腺研究の質の高さを物語っていると誇りに思います。 近年、化学療法のみならず、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤などの開発が急速な勢いで進んでいます。それらの土台となっていますのは地道な基礎研究であり、胸腺腫瘍もその例外ではありません。本研究会には基礎および病理研究に携わっておられる先生方も大勢おられますので、将来的に有望な情報をより精力的に臨床医に教育していただければと思っています。 胸腺上皮性腫瘍に関し、TNM分類、ガイドラインの作成と臨床面では大きな進展があり、また基礎研究に基づいた新規薬剤の開発と、急速に変貌しつつある現状を踏まえ、2018年2月に名古屋の地で新たな1歩を踏み出すべく、第37回日本胸腺研究会を開催させていただきます。
多くの会員の皆様にご参加いただけると幸いです。 何卒よろしくお願い申し上げます。


第37回日本胸腺研究会
会長 横井 香平

会告

第37回日本胸腺研究会
・横井 香平(名古屋大学大学院医学系研究科病態外科学講座 呼吸器外科学)
・日時:2018年2月24日(土) 午前9時〜午後5時30分(予定)
・会場:名古屋大学医学部附属病院 中央診療棟講堂(3F)
 〒466-8550 名古屋市昭和区鶴舞町65
・参加費:3,000円
・ランチョンセミナー:立山 尚 先生(演題未定)
・演題募集期間: 2017年9月15日(金)-11月17日(金)(予定)
・情報交換会:研究会終了後、情報交換会開催(午後5時30分~午後7時予定)


演題募集要項

■募集内容
  • 1.演題募集期間:平成29年9月15日(金)~11月17日(金)
  • 2.演題は主として一般演題での口演を予定しております。
  • 3.演題は電子メールで受け付けます。

      ①演題名 ②所属施設 ③演者名 ④抄録本文 ⑤連絡先(住所・電話番号・メールアドレス)を   ご記入の上、下記メールアドレスにお送りください。
      文字数は演者名・所属施設・抄録本文を含め800字以内とさせていただきます。

      演題送付先:thymus2018@med.nagoya-u.ac.jp
  • 4.演者と共同演者は本研究会の会員であることが原則となっております。未入会の方は下記研究事務局
      への入会の申込みをお願いいたします。


【入会に関するお問い合わせ先】
  日本胸腺研究会事務局
  大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器外科学教室内
  〒565-0871 吹田市山田丘2-2(L5)
  電話06-6879-3152 Fax06-6879-3164
  E-mail: kyosen@thoracic.med.osaka-u.ac.jp