テーマ:痛みの治療 ア・ラ・カルト

会長あいさつ

第47回 関西ペインクリニック学会学術集会 会長 渡邉 恵介
 関西ペインクリニック学会会員の皆様には、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。この度、第47回 関西ペインクリニック学会学術集会の会長を仰せつかり光栄に存じております。平成29年5月13日(土)、大阪国際交流センター(大阪市天王寺区上本町8-2-6)におきまして開催させて頂きます。
 私事ですが、我が子も大学受験を迎え、ある有名予備校に通っております。その保護者会に参加して、最新の受験教育に驚かされました。彼らは、著名な講師陣の授業を映像でコンテンツ化し、それぞれ小さな営業所(教室)で親近感のある若いマネジャーを置いて、生徒の学力を的確に判断して志望校を設定し、映像コンテンツを組み合わせて提供します。生徒のモチベーションを維持するため、例えば英単語などの暗記科目では、目標を細かく設定し、スマートフォンなどの電子機器端末でごく短時間の演習を繰り返させ、レベルアップの成功体験と自信を植え付けます。教室では5人程度のグループを作り目標を設定させ、夏休みには観光地に全国から生徒を集めて5日間の大規模な英語合宿を敢行します。
 これらは我々ペインクリニシャンが痛み診療で思い描いている方法と似かよっています。各営業所(診察室)で患者を診察して治療目的を設定し、薬物治療、ブロック治療、リハビリテーションなどのコンテンツを組み合わせて提示します。慢性痛患者に対しては活動性を上げるべくモチベーションを刺激します。グループ治療や1種間程度の集約的治療の有効性も知られています。違う点は、われわれ自らが質の高いコンテンツ(技術)を提供する「講師陣」と診療室の「マネジャー」の二つの役割を担っていることです。
 この大会のテーマは「痛みの治療アラカルト」です。様々な痛み治療のコンテンツを組み合わせてオーダーメードの診療を提供しようのメッセージを込めています。ペインクリニシャン各自のコンテンツ力を高めるとともに、関西にあるキラーコンテンツを知ってお互いに利用しあうことを目的としています。

 特別講演は、嶺井第一病院放射線科 末吉健志先生に「脊椎疾患の痛みの可視化」として、診断に重要な画像検査・読影の最先端のお話をいただきます。
 シンポジウム①「インターベンションの潮流」では、今後ペインクリニックにおいて強力な武器となるインターベンションの現状と未来について、各演者にお話しいただきます。座長は白井達先生(近畿大学)で、山上裕章先生(ヤマトペインクリニック)には神経根PRF、福井聖先生(滋賀医科大学)には椎間板PRF、立山真吾先生(潤和会記念病院)には脊髄刺激(パドルリード)、朴基彦先生(ぱくペインクリニック)には筋膜リリースをご講演いただく予定です。
 シンポジウム②「腰痛に対するアプローチ:ケースカンファ」では、よくある腰痛の症例提示に対して、各分野の先生方に得意とするアプローチ法を提示していただく新しい試みを予定しております。座長は橋爪圭司先生(高井病院)にお願いして、水野泰行先生(関西医大心療内科)には心理療法、松田陽一先生(大阪大学)にはインターベンション、保岡宏彰先生(保岡クリニック論田病院)にはリハビリテーションを中心とした診療をご提示いただきます。
 超音波ガイド下神経ブロック・ハンズオンセミナーは、午前、午後の2回の開催を予定し、コーディネーターを中本達夫先生(関西医大)と深澤圭太先生(京都府立医大)にお願いしています。
 例年の「演題も出したいが講演を聴けないのが残念」との声にお応えして、今年は午前中に一般演題を集めようと準備しております。是非、ふるってご応募いただきたいと思います。
 たくさんの会員の皆さまのご参加をお待ちしております。

奈良県立医科大学附属病院ペインセンター 准教授 渡邉 恵介

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