日本マイコプラズマ学会

 

COI指針

日本マイコプラズマ学会
研究における利益相反(COI)に関する指針
Policy of Conflict of Interest in Research

序文

日本マイコプラズマ学会(以下、本学会)は、マイコプラズマおよび近縁微生物の研究を行うわが国で唯一の専門学会であり、基礎ならびに臨床研究(医歯薬学、獣医学、農学、理学など)の活性化を通した多様なマイコプラズマおよび近縁微生物による感染症の克服に加え、研究者、臨床家の育成等によりマイコプラズマ学の発展に寄与し社会に貢献するとともに、国民の健康増進に寄与することを目的としている。この目的を達成するため本学会が主催する学術集会、講演会や刊行物などで発表される研究成果には、各種の疾患を対象とした診断・治療・予防法開発のための臨床研究、新規の医薬品・医療機器・医療技術を用いた臨床研究、新規の応用技術開発研究が数多く含まれており、その達成において、製薬企業、ベンチャー企業などとの産学連携活動(共同研究、受託研究、技術移転・指導、奨学寄付金、寄付講座など)の果たす役割は大きい。それらの研究においては正しく利益相反(Conflict of interest: COI)のマネージメントを行うことが必要であり、役員就任および会員の発表に際しては、利益相反状態にある資金提供者との経済的な関係を一定要件のもとに開示させることにより、会員の利益相反状態を適正に管理し、社会に対する責任を果たす必要がある。そこで、本学会は、予防、診断および治療方法の改善、疾病原因および病態(微生物学を含む)の理解の向上ならびに国民の生活の質の向上を目的として行われる産学連携の基礎研究ならびに臨床研究を、COIマネージメントの対象と位置付ける。本学会におけるCOIマネージメントの考え方は、

1) 研究機関及び研究者は、産学連携にかかる研究の実施に関して医学性、倫理性、科学性の担保を前提に、利害関係にある企業、法人組織、団体からの外部資金(寄附金、研究助成金、契約による研究費等)、医薬品・機器、及び役務等の提供を公正にかつ適正に受け入れる。

2) 当該研究成果の質と信頼性を確保するために、提供された内容等の詳細情報をもとに予め管理し、研究実施計画書、COI申告書および論文に適切に記載し公開する。

3) 第三者から疑義を指摘されれば、説明責任を果たすことを基本とする。

本学会は役員就任および会員の発表に際しては、利益相反状態にある資金提供者との経済的な関係を一定要件のもとに開示させることにより、会員などの利益相反状態を適正にマネージメントし、社会に対する説明責任を果たすためにここに本学会共通の利益相反指針を策定する。

 

I. 目的

本指針の目的は、本学会が会員などの利益相反状態を適切に把握することにより、研究成果の発表やそれらの普及・啓発などの活動を中立性と公明性を維持した状態で適正に推進させ、マイコプラズマおよび近縁微生物による感染症の予防・診断・治療の進歩に貢献することにより社会的責務を果たすことにある。したがって、本指針では、会員などに対して利益相反についての基本的な考えを示し、本学会の会員などが各種事業に参加し発表する場合、自らの利益相反状態を自己申告によって適切に開示し、本指針を遵守することを求める。

 

II. 対象者

利益相反状態が生じる可能性がある以下の対象者に対し、本指針が適用される。

(1) 本学会会員

(2) 本学会の学会総会などで発表する者(非会員も含む)

(3) 本学会の役員(理事長、理事、監事)、学術集会担当責任者(会長など)、特定の委員会の委員

(4) 本学会の事務職員

(5) (1)(4)の対象者の配偶者、一親等の親族、または収入・財産を共有する者

 

III. 対象となる活動

本学会が行うすべての事業活動に対して本指針を適用する。

(1) 学術集会などの開催

(2) 学会機関誌、学術図書などの発行

(3) 研究および調査の実施

(4) 研究の奨励および研究業績の表彰

(5) 関連学術団体との連絡および協力

(6) 国際的な研究協力の推進

(7) 社会に対するマイコプラズマ学の進歩の普及及び医療への啓発活動

(8) その他目的を達成するために必要な事業

特に、下記の活動を行う場合には、指針遵守が求められる。

本学会が主催する学術集会などでの発表

学会機関誌などの刊行物での発表

診療ガイドライン、指針、マニュアルなどの策定

臨時に設置される調査委員会、諮問委員会などでの作業

企業・法人組織、営利を目的とする団体が主催または共催の講演会、研究会、ランチョンセミナー、イブニングセミナーなどでの発表

 

IV. 申告すべき事項

対象者は、個人における以下の(1)(9)の事項で、細則で定める基準を超える場合には、その正確な状況を本学会理事長に申告するものとする。なお、申告された内容の具体的な開示、公開の方法については別に細則で定める。

(1) 企業・法人組織、営利を目的とする団体の役員、顧問職、社員などへの就任

(2) 企業の株の保有

(3) 企業・法人組織、営利を目的とする団体からの特許権などの使用料

(4) 企業・法人組織、営利を目的とする団体から、会議の出席(発表)に対し、研究者を拘束した時間・労力に対して支払われた日当(講演料など)

(5) 企業・法人組織、営利を目的とする団体がパンフレットなどの執筆に対して支払った原稿料

(6) 企業・法人組織、営利を目的とする団体が提供する研究費(治験、臨床試験費、受託研究、共同研究、寄附金など)

(7) 企業・法人組織、営利を目的とする団体が資金提供者となる寄附講座

(8) その他、上記以外の旅費(学会参加など)や贈答品などの受領

 

V. 利益相反状態との関係で回避すべき事項

1. 対象者の全てが回避すべきこと

研究の結果の公表やガイドラインの策定などは、純粋に科学的な根拠と判断、あるいは公共の利益に基づいて行われるべきである。本学会の会員などは、研究の結果とその解釈といった公表内容や、研究での科学的な根拠に基づくガイドライン・指針・マニュアルなどの作成について、その研究の資金提供者・企業の恣意的な意図に影響されてはならず、また影響を避けられないような契約を資金提供者などと締結してはならない。

2.研究の試験責任者が回避すべきこと

研究、特に臨床試験、治験などの計画・実施に決定権を持つ総括責任者には、次の項目に関して重大な利益相反状態にない(依頼者との関係が少ない)と社会的に評価される研究者が選出されるべきであり、また選出後もその状態を維持すべきである。

(1) 研究を依頼する企業の株の保有

(2) 研究を依頼する企業や営利を目的とした団体の役員、理事、顧問など(無償の科学的な顧問は除く)

但し、(1)(2)に該当する研究者であっても、当該研究を計画・実行するうえで必要不可欠の人材であり、かつ当該研究が極めて重要な意義をもつような場合には、その判断と措置の公平性、公正性および透明性が明確に担保されるかぎり、当該研究の試験責任者に就任することができる。

 

VI. 実施方法

1. 会員の責務

会員は研究成果を学術講演などで発表する場合、当該研究実施に関わる利益相反状態を発表時に、本学会の細則にしたがい、所定の書式で適切に開示するものとする。研究などの発表との関係で、本指針に反するとの指摘がなされた場合には、理事会は利益相反を管轄する委員会(以下、COI委員会と略す)に審議を求め、その答申に基づき、妥当な措置方法を講ずる。

2. 役員などの責務

本学会の役員(理事長、理事、監事)、学術集会担当責任者(会長など)は本学会に関わるすべての事業活動に対して重要な役割と責務を担っており、当該事業に関わる利益相反状況については、就任した時点で所定の書式にしたがい自己申告を行なうものとする。また、就任後、新たに利益相反状態が発生した場合には規定にしたがい、修正申告を行うものとする。

3. COI委員会の役割

COI委員会は、本学会が行うすべての事業において、重大な利益相反状態が会員に生じた場合、あるいは、利益相反の自己申告が不適切で疑義があると指摘された場合、当該会員の利益相反状態を把握するためにヒアリングなどの調査を行い、その結果を理事長に答申する。

4. 理事会の役割

理事会は、役員などが本学会の事業を遂行するうえで、重大な利益相反状態が生じた場合、あるいは利益相反の自己申告が不適切であると認めた場合、COI委員会に諮問し、答申に基づいて改善措置などを指示することができる。

5. 学術集会担当責任者の役割

学術集会の担当責任者(会長など)は、学会で研究の成果が発表される場合には、その実施が本指針に沿ったものであることを検証し、本指針に反する演題については発表を差し止めるなどの措置を講ずることができる。この場合には、速やかに発表予定者に理由を付してその旨を通知する。なお、これらの措置の際に上記担当責任者はCOI委員会に諮問し、その答申に基づいて改善措置などを指示することができる。

6. その他

その他の委員長・委員は、それぞれが関与する学会事業に関して、その実施が本指針に沿ったものであることを検証し、本指針に反する事態が生じた場合には、速やかに事態の改善策を検討する。なお、これらの対処についてはCOI委員会に諮問し、答申に基づいて理事会は改善措置などを指示することができる。

 

VII. 指針違反者に対する措置と説明責任

1. 指針違反者に対する措置

本学会理事会は、別に定める規則により、本指針に違反する行為に関して審議する権限を有しており、理事会で審議した結果、重大な指針違反があると判断した場合には、その違反の程度に応じて一定期間、次の措置の全てまたは一部を講ずることができる。

(1) 本学会が開催するすべての学術集会での発表禁止

(2) 本学会の刊行物への著作物の掲載禁止

(3) 本学会の学術集会の会長就任禁止

(4) 本学会の理事会、理事評議委員会、委員会、作業部会への参加禁止

(5) 本学会の理事・評議員の解任、あるいは理事・評議員になることの禁止

(6) 本学会会員の資格停止、除名、あるいは入会の禁止

2. 不服の申立

被措置者は、本学会に対し不服申立をすることができる。本学会の理事長は、これを受理した場合、その答申を理事会で再度協議したうえで、その結果を不服申立者に通知する。

3. 説明責任

本学会は、自らが関与する場所で発表された研究の成果について、重大な本指針の違反があると判断した場合は、違反者は理事会に対して説明を行う。

 

VIII. 細則の制定

本学会は、本指針を運用するために必要な細則を制定することができる。

 

IX. 指針の改正

本指針は、社会的要因や産学連携に関する法令の改正、整備ならびに医療および研究をめぐる諸条件に適合させるためには、定期的に見直しを行い、改正することができる。

 

X. 施行日

1. 本指針は2017527日より施行する。