ラトケ嚢胞

 生まれながらにある腫瘍(奇形)です.ほかの病気で亡くなった方を病理解剖して下垂体を詳しく調べると,約10%の人にラトケ嚢胞が見つかることが報告されていますので,ありふれた奇形といえます.通常は大きくならないため,治療の必要はありません.しかし,まれに大きくなって視神経を圧迫して目が見えにくくなる場合や,ホルモン機能に異常をきたす場合があります.この場合のみ,手術治療が必要になります.鼻の穴より低侵襲に治療することができます.術後,体の表面には,まったく傷が残りません.全身麻酔が必要ですが,手術は1時間半程度で終了します.5日間の入院で治療することも可能ですが,ホルモンの中枢である下垂体が一過性に機能障害を起こすことがあり,14日間の入院治療をお勧めします.