ラトケ嚢胞

 生まれながらにある腫瘍(奇形)です.ほかの病気で亡くなった方を病理解剖して下垂体を詳しく調べると,約10%の人にラトケ嚢胞が見つかることが報告されていますので,ありふれた奇形といえます.脳ドックなどで,偶然に小さな嚢胞が発見された場合でも,85%の患者さんでは腫瘍が大きくならないため,治療の必要はありません.しかし,まれに大きくなって視神経を圧迫して目が見えにくくなる場合や,ホルモン機能に異常をきたす場合があります.この場合のみ,手術治療が必要になります.鼻の穴より低侵襲に治療することができます.術後,体の表面には,まったく傷が残りません.全身麻酔が必要ですが,手術は1-2時間で終了します.当院では,ほとんどの患者さんは,手術後5日目に退院されています.