Miyagi/Fukushima ADL

質問 ─ 回答

第16回講習会(ベーシック)でいただいた質問への回答

講習会で皆様にいただいた質問に対する回答をまとめました。

よくある質問 
過去、皆様に多くいただいている質問をまとめました。

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正確にはお答えできませんが、当方が知る限り、回復期リハ病棟を有する病院では現在ほとんどの病院でFIMを使用しているようです。
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初心者コースはFIMの基本を学ぶための講習会です。 FIMのことを全く知らない方が、この講習会を受けることによりFIMを採点できるようになります。経験者コースはFIMの応用を学ぶための講習会です。採点方法に違いはありません。
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1994年に第4版となりFIMの経済的な利用にはUDSによる知的財産権がかけられています。日本と米国では社会生活基盤や医療制度が異なるため、米国と同じ基準で比較・検討するのは妥当性が乏しいです。そこでわが国ではUDSと直接契約する必要性は認められず、FIMそのものも第3版に基づくADL評価法としての利用のみに留まっております。UDSのホームページ等確認いたしましたが、現在何版まで改訂されているかは申し訳ありませんが不明でした。また改訂されていくことでFIMの採点基準等に変更が生じる可能性はあります。しかし今のところそういった情報はありません。いずれにせよ日本では第3版に基づく講習会で学んでいただいたFIMをご使用下さい。
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テキストを参照しながら複数名で定期的に評価することをお勧めします。
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日本語の総説を2つ紹介します。1.WeeFIM単独での講習会はないと思います。ADLの評価尺度(1)WeeFIM, 里宇明元, JOURNAL OF CLINICAL REHABILITATION 9(11): 1075-1086, 2000、2.小児における能力低下の評価 -WeeFIMとPEDI-, 里宇明元, リハビリテーション医学 41(8): 531-539, 2004.
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一人で評価しなければならないというわけではありません。看護師が排泄管理のことをよく知っている、理学療法士が歩行のことをよく知っているなどの場合には、評価をスタッフ間で分担することができます。
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施設側の都合であっても「している」ADLで評価します。
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評価をするのに十分な機会から判断します。長すぎると現在の評価になりません。現実的には数日内での評価で行うことになると思います。
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FIMにおいて、「時間がかかる」とは普通の3倍以上と定義されています。「時間がかかる」は運動項目、認知項目とも「健常者の3倍以上時間がかかる」という認識です。他に「道具の使用」、「安全性の配慮」も6点の判断材料としてください。
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片づけはFIMの採点範囲には含まれていません。
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全てではありません。あくまで評価する項目に関連する薬剤が適用となります。薬剤を使用することで自立しているのであれば6点となります。例えば排尿管理の場合、膀胱収縮作用のある薬や頻尿防止薬などは適用となりますが、利尿剤は排尿管理に関する薬剤ではないため(利尿剤は腎臓の働きを助ける)減点対象とはなりません。
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原則、点数の低い方で採点します。
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FIMはあくまで「しているADL」の評価ですので、平日・休日にこだわらず普段行っている動作を評価してください。

@食事

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食事動作で25%以上50%未満を自分で行っている場合が2点、25%未満しか自分で行っていない場合が1点になります。実際の動作では、2点は患者様がすくう、口に運ぶなどの食事動作を主体的に行っており、そこに上記程度の介助量が加わる場合、1点はほぼ完全に介助者が食べさせている場合となります。
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滑り止め付き食器は自助具とみなします。自立であれば修正自立の6点、滑り止めマットも同様の扱いですが、その設置に介助者を要すれば準備の5点となりえます。
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エプロンをつける介助は準備に該当します。4点以下の介助は実際に食べ物を口に運ぶ動作の介助量で評価します。
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テーブルの上にのった状態での準備、そして食事動作が評価範囲ですのでギャッジアップやポジショニングは準備にあたりません。
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食べこぼしが多いため口に運ぶことを介助しているのであれば4点以下になります。食べこぼしをかき集めたりしていないのであれば、それのみで得点は下がりません。
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あらかじめ調理場などでやわらかな食形態にするなど採点場面外での食形態の配慮、その場で介助者が食べ物を切り分けるなどの準備に該当する場合では異なります。つまり、刻む目的ではなく、刻むという食形態の配慮におけるその評価場所での介助者の有無で点数が異なります。
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しているADLで評価しますので、常食に食形態がupしても、介助者がカットしているのであれば準備が必要と評価します。

A整容

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まず、しているかしていないかで評価項目を決めます。
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その評価項目の介助量がどれくらいかで点数を算出します。
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必ずしもトイレ後とは限定されていません。
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義歯の管理、洗浄を評価する。例として、義歯を入れる水を介助者に準備されれば5点、義歯は自力で洗えるが洗浄液を介助者につけてもらうは4点です。
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能力的に必須でなければ7点で、普通の歯ブラシが使えず必要があって使用しているならば6点です。
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その患者様が日常生活で実際に行っている化粧を評価します。

B清拭

CD更衣

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考慮し現在しているADLで評価してください。
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低い点数を採用してください。
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”社会的に認められている”という定義は、言い換えれば、”評価場所で評価者が患者の立場になったとして着て歩ける服”となります。つまり病衣は評価の衣服として認められます。
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更衣の採点範囲は更衣動作と準備なので、姿勢の評価は採点の対象とはなりません。
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入浴前後でしか着替えない場合は、しかたなくその状態で評価します。
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しているADLの評価ですので、含まれません。

C更衣・上半身

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原則、普段着ている服、社会的に認められている服(場所で評価者が患者の立場になったとして着て歩ける服)で評価します。したがって時々のカーディガンよりも普段着ている病衣で評価の方が妥当です。
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自ら着替えない、または経済的理由でこれらの衣服に着替えられないということは、”していない”ので1点とならざるを得ません。

D更衣・下半身

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基本は上衣と同様の採点方法で、@全体で何割できているか、またはA何動作かに分解して考えるの2つがあります。
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パンツとは下着のパンツのことです。入浴前後以外にもパンツを履き替えることはあると思われます。これはFIMのルールとしてと覚えてください。
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装具と同様の取り扱いです。全介助でも5点までしか下がりません。
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弾性ストッキング同様、評価対象となります。しかし主動作ではないので5点以下にはなりません。

Eトイレ動作

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オムツに排泄している場合は、オムツを取り替える際の、服を上げる、拭く、服を下げるを評価します。
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能力的に必須でなければ7点で、拭く動作が行えず必要があって使用しているならば6点です。

F排尿管理

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6点がないわけではありません。6点は修正自立となりますので、例えば吸収パッドなど特別な道具を用いることで失敗しないのであれば6点となります。
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失禁は失敗ではありません。点数は失敗の頻度と介助量から点数をつけます。失禁に気づいているかいないかによって採点するのではなく、その後にどの程度介助量が必要なのかで点数をつけてください。
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失敗と介助の頻度により点数をつけます。全介助でも濡れたおむつを替えてもらうように頼めれば2点、おむつ替えすら頼めないなら1点です。

G排便管理

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排便コントロールのために薬剤を使用し自立していればFIM6点です。
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排便管理では薬の準備は評価内容に含まれません。服薬により失敗なく自立されていればどちらの場合でも同じく評価します。
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下剤を服用して自立していれば6点となります。失敗や介助が必要ならば点数は減点されます。
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ストマは補助具とみなします。道具を使用して自立していれば修正自立で6点となります。捨ててもらっているのであれば、オムツの採点と同様となります。
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排便管理は、失敗しないことと介助量を別々に採点し、低い方の点を採用します。GEを使用することによる失敗の程度とGEを使用する際の介助量を採点し、低い方を採用します。
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移乗項目か移動項目の場合か不明ですが、実際に行っている介助量の程度によって採点します。

Hベッド・椅子・車椅子

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起き上りのみを扱う項目はありません。移乗の一部に含み評価します。
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移乗における起き上がり動作の比重は少ないとされていますが具体的に示されていません。得点イメージとしては、「起き上がり」介助のみ必要な場合は3点となり、1/4程度と考えてよさそうです。
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ベッド、トイレ、浴槽という環境で評価しますので、通常は屋内が評価対象となります。
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一般的に車椅子走行中にブレーキ、フットレストを操作することはありませんので、移乗項目での評価となります。
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対象者に合わせてベッドの高さを統一しておく,浴室内に滑りとめマットを敷いておくなどがあります。例えば・・・転倒して怪我をする危険がある患者さんの場合
○危険があるため、監視(見守り)を受ける場合・・・5点(準備・見守り)
○危険はあるが、何らかの理由で介助者がついていない、本人自身が壁を利用したり、安全に行うための方法などを選んでいるような場合・・・「安全性の配慮」で6点
※5点では介助者がそばについて危険に配慮するが、6点では患者本人が危険に配慮することになります。

Iトイレ移乗

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手すりなど特別な道具を使用しているわけではないので7点となります。ただし安全性の配慮が必要であったり、通常よりも時間がかかってそのような動作を行っているのであれば6点となります。

J浴槽・シャワー

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入院時と退院時で移る対象が異なっても評価可能です。しているADLで評価してください。
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跨ぎ・越す事と、沈み・浸かる事の両方が採点の対象になると言う意図です。この場合には浴槽に入る・出る事と浴槽内でしゃがむ・立つ事は同等に考えるのではなく、浴槽の出入りが主、しゃがむ・立つが副と考える必要があります。出入りが2点、しゃがみ立ちが3点であれば、2点と採点すべきです。
  

K歩行・車椅子

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道具とみなします。
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しているADLを評価するため、この場合は歩行補助具を使用しているものとして評価します。
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入院時に歩行不能なら、ありのままを評価し、1点と判断します。記録として歩行・車椅子とも残しておくのがよいかと思います。その場合は退院時にどちらかを捨てることになります。
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直線路が無い時等は、往復等でも評価可能です。連続50mの距離で評価して下さい。
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屋内15mが自立している場合には特例で5点となります。

L階段

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エスカレーター、動く歩道は階段、移動の評価には含まれません。
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この状態では2点となります。しかし、4-6段の階段を数回往復させて12-14段が可能かどうかを評価してください。
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四つ這いで評価してください。
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エスカレーターもエレベーター同様に、階段評価には含めません。

M理解

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あります。
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さがります。
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規定はありません。1週間程度などある程度の観察期間内で判断してよいと思います。

N表出

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日常生活の不自由ということですが、FIMではそれぞれの項目での評価になります。
表出の介助が聞き返すことでその介助量が10%未満であるなら5点になります。
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おそらく基本的欲求の表出に問題があると思われますので、まず5点以下となります。あとはどの程度の手助けで表出できているのかを計算して採点します。

M理解N表出

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覚醒レベルにより介助量に変動がある場合、FIMの原則として日内変動がある場合には最低点を採用することになります。覚醒レベルが低くいため理解・表出が困難であるならば1点となります。
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しているADLを評価する以上は、初対面での評価は不可能で最近の状況から判断します。評価者自身が確認できない内容は、他の担当者等から聞くことによって採点してください。
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複雑/抽象的な内容の理解表出のどこかに問題があれば6点以下となります。ですので、この場合は7点とはなりません。

O社会的交流

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例えば、暴言を吐いて相手を不快にさせる、車椅子で暴走し廊下にいる人が迷惑する、挨拶を無視して相手が嫌な思いをする、訓練に行こうとせずスタッフが促しに時間をとられるなどです。
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過度にひきこもる場合には社会的交流の点数を低くすることになります。内気という言葉で許される範囲は7点のままです。
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交流していないので1点になります。重度遷延性意識障害(植物症)のような状態では認知項目はいずれも1点となります。
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いびきは不随意な問題であり社会的交流の項目では減点対象となりませんが、いわゆる運動障害に属する不随意運動の場合は、その介助量の程度によって採点されます。

P問題解決

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自力で解決しようとしなくても、人に頼むことで複雑な問題、簡単な問題ともに解決できているのであれば減点にはなりません。
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金銭管理や服薬管理がどの程度出来ているかを考えるのではなく、金銭管理や服薬管理などの「複雑な問題」に対する問題解決を採点します。自らの身体を使って解決するかどうかで採点するのではなく、人に頼んで解決できれば構いません。

Q記憶

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訓練内容の認識ができればよいです。うまく言えない場合は、ジェスチャーや道具、場所などで確認します。
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名前は言えなくても構わないので下がりません。
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記憶の採点は「日課」「人」「依頼実行」の3要素のうち、いくつしているかで行われます。具体的には「日常行うことを覚えている」「よく出会う人が分かる」「他人の依頼を実行する(その間、依頼を覚えている)」です。

 

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