第39回日本社会精神医学会

ご挨拶

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第39回日本社会精神医学会

会長 川嵜 弘詔

福岡大学医学部精神医学教室 教授

さて、この度、第39回日本社会精神医学会を、2020年3月26日(木)、27日(金)の2日間、福岡市の福岡国際会議場にて開催することとなりました。

『変化するこころと社会』を学会のテーマとして掲げ、現代日本の大きく変わろうとしている社会と人のこころとの関係を皆さまと議論できる場になれば、と考えております。

年号が令和となって間も無いですが、我が国の戦前、戦後、昭和から平成にかけては、長い歴史の中では最近のこととはいえ、激動の時代であったと思います。九州大学の樽味伸先生のディスチミア親和型うつの論文を参照しても、その社会変遷とうつ病の精神病理との関係の指摘には目を見張るものがあります。その観点で、社会構造・内容の変化を敏感に感じ取り、それらにより人のこころがどのように対応していくのか、どのような精神病理が発現してくるのかを読みといていくのが、我々の社会精神医学会の使命のひとつだと考えております。

近年の社会状況をみてみますと、1980年代に始まったIT革命、わが国の人口減少と急速な高齢化、移民受け入れの問題から予想される多文化共生、グローバル資本主義、新たな国際情勢のバランスの変化や世界的なポピュリズムの台頭、これまで変わることのなかった憲法改正の議論など、かつてなかったほどに社会そのものが流動化しています。これらの社会問題は2020年のポストオリンピック後にますます顕在化し、それにより精神医学も影響を受け、精神医学に求められることも大きくなっていくでしょう。

そのような状況下で開催されます本医学会を、学会活動を通しあるべき精神医療の姿をあらためて確認するとともに、専門家の立場で日本社会に向けて教育・啓蒙活動をしていく視点を育む場にすることも重要だと考えております。

今回の開催地である福岡は古来より海の玄関口として、さまざまな人や文化、社会を受け入れてきました。今なお人口が増加し続けている都市であり、東アジアの中心地としてさらに発展していこうとしています。豊かな食文化があり、海外との交流も盛んに行われています。この時期は桜が咲く頃かもしれません。

ぜひ多くの方にご参加頂けますことを、心よりお待ちしております。