蛍光カメラを用いた手術に関する研究会のルーツは2005年に遡ると伺っております。消化器外科が御専門である昭和大学の草野満夫教授がClinical Video Forumという研究会でIndocyanine green (ICG)蛍光測光による乳腺センチネルリンパ節生検の演題の座長をしたのです。これが発端となり、消化器外科での実験・臨床応用が行われました。2008年に蛍光Navigation Surgery 研究会が、京都大学乳腺外科の戸井雅和教授を代表世話人として設立され、第1回研究会が草野満夫教授の当番世話人で開催されたのです。蛍光Navigation Surgery研究会は、2017年まで10回の開催がありました(表)。一方で、高知大学佐藤隆幸教授による明視野フルカラー蛍光カメラの開発や、蛍光腹腔鏡(胸腔鏡)の開発など、蛍光ガイド手術は飛躍的に広まりました。蛍光ガイド手術のルーツに鑑みても、多専門臨床分野間、基礎―臨床、医療現場―開発企業の3次元情報交換が重要であり、その必要性が増大してきたのです。
日本蛍光ガイド手術研究会は、平成30年(2018年)に戸井雅和先生が代表世話人となり、設立されました。第1回学術集会は、東京大学(現大阪公立大学教授)の石沢武彰先生の当番世話人で開催されたのです。本研究会の特徴は、乳腺外科、肝胆膵外科、消化管外科、脳神経外科、小児外科、心臓血管外科、産婦人科、泌尿器科、形成外科などの臨床外科、基礎医学、企業が参加し、3次元情報交換を行うことにあります。本研究会監修、石沢武彰先生編集での「蛍光イメージング実践ガイド」が出版され、海外出版(英語版・中国語版)も進んでいます。これに加え、ガイドラインなどの情報発信も本研究会の重要な役割です。
ICGや5-aminolevulinic acid (protoporphyrin IX)に加えて、今後は、新規ブローブ、蛍光樹脂などを用いた新規デバイス、蛍光を用いた新規治療の開発・臨床応用が重要性を増すと考えられます。さらに多くの方々に本研究会に御参加いただき、本研究会にお力添えをいただけましたならば幸いに存じます。
<SFGS Master Training Programのお知らせ> ブエノスアイレス大学にFluorescence Guided Surgery Training Centerが設立されたのを記念して、4月/13-14日にTraining Programが開催されます。 無料でストリーム配信が閲覧できますので、どうぞふるってご参加ください。。https://isfgs.org/training/master-class-registration/