講演要旨
患者さん側に立って20世紀の医療が見直される絶好の機会として、21世紀を迎えたといえよう。20世紀が「科学の世紀」であるとすれば、21世紀は個別性が尊重される「個の世紀」であるといえる。私たち医療人は、患者さんあるいは地域住民の方々、お一人おひとりの人生にとって、今まで以上に重要な役割を演じなくてはならないのだが、どのような演じ方ができるのであろうか。その一つとしての家庭医の機能をあげなくてはならないだろう。
と同時に、“医療の主人公は、患者さんである”を基本的な考え方にして、「生命の主人公は、あなた方ですよ」、「身体の責任者は、あなた方ですよ」ということを、患者さんあるいは地域住民の方々に理解していただくことが重要になってくる。
このような観点から、「家族ぐるみで、いつでも、どのようなことでも、しかも、すぐに対応してもらえる」などという家庭医への期待と希望、そして高知での取り組みについてお話ししたい。
講師紹介
1944年宮崎県都城市生まれ。70年京都大学医学部卒業。79年から市立舞鶴市民病院外科医長、82年同病院長、85年〜国保八雲病院病院長を兼務。92〜99年島根県立中央病院病院長。現在、高知県・高知市病院組合理事、同組合立 高知中央病院・高知市民病院統括監。05年3月開院予定の県・市統合病院「高知医療センター」の病院長予定者として、日本初の病院PFI事業の陣頭指揮をとる。37歳での病院長就任以来、22年間の病院長歴は国内の公立病院長としては歴代最長。歴任した病院では病院職員の専門性を重視。患者さん中心の医療を展開するため、「病院の顔は看護師である」などを実践してきた。病院の赤字体質の改善などにも手腕を発揮。島根県立中央病院では世界初の“病院統合情報システム”を構築し、高い評価を受ける。
著書に「ホントに 患者さん中心にしたら病院はこうなった」(2000年)、「リーダーの条件」(2002年)、「患者さん出番ですよ」(2003年)「医のこころ 患者のこころ 看護のこころ」(すべて医療タイムス社)などがある。 |