特集・乳幼児の救急

(エマージェンシー・ナーシング vol.12 (7), 1999より)


 本資料の web収載にあたり、多大なご協力をいただきましたエマージェンシー・ナーシング編集部(メディカ出版)に深謝申し上げます。

企画趣旨

 乳幼児をめぐる救急医療の特徴として、日常では重症よりもむしろ軽症へのさまざまな対応が現実的な問題としてある一方で、非常に少ない重症例が発生した場合、その事前知識・技術も大変重要となっている。この特集では現場でのその実状をまず明らかにしたうえで、それぞれの対応・処置の必要知識と技術をとりあげる。さらに乳幼児の傷病は病院外での対処が求められるケースが多いため、看護者にその知識普及や技術の習得という社会的な役割についても考える機会を提供したい。

 Panning:救急医療メーリングリスト(eml)/編集部


目 次

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No主 題執筆者趣  旨
 巻頭 Essay ミステリアスな病気:乳幼児突然死症候群(SIDS)名古屋市立大学
戸苅 創
 SIDS研究の第一人者より、「乳幼児の救急」特集号となった本誌へ寄せられた巻頭言
小児救急医療の現状と初期対応砺波総合病院
住田 亮
 「普段必要なのは軽症へのさまざまな対応。一方でたまにしか起きない重症例に備えた知識・技術も重要」ということについて、実状を浮き彫りに。
乳幼児の救急看護東海大学
大山 太
 日常的な軽症患者(あるいは軽症ですらない)に発生する様々な看護業務についての実状とその対応のポイントやコツ、例えば電話相談の多さやその対応の難しさ、同伴家族への対応の仕方など。
乳幼児救急のさまざまな疾患と処置市立秋田病院
円山啓司
 たとえば熱性けいれんや頭部外傷時の注意点など、具体的な疾患をいくつか挙げ、事例を交えて解説。そのほかよく起こりがちな事故の内容についてもとりあげ、看護婦から家族に事故防止や対処のための指導ができるように。
乳幼児の突然死―SIDSと応急処置―市立秋田病院
円山啓司
 突然死や SIDSの問題は病院内での「救命」より病院外での「予防」や発生後の「心のケア」などへのアプローチが現実的。看護婦さんが職場や与えられた看護業務以外にもできることが何かあるかもしれないということを示唆する。
子供の突然死に対する医療現場での精神的サポート託児マママミーサービス
中村徳子
 託児所で乳幼児の突然死に直面された体験を通じて、看護婦たちが乳幼児の突然死に遭遇した家族への精神的サポートについて考えるきっかけにしていただく。
悲嘆の中の至福 〜体験から山口県立中央病院
津秋圭子
 自ら愛児を突然死で失った著者が立ち直りまでの心の軌跡について語り、また救急部看護婦として地域で実施している小児の CPR普及活動についても紹介する。
ネットワークを用いた乳幼児救急処置の普及活動について愛媛大学
越智元郎
 ネットワークを通じての乳幼児の突然死に関する知識、心肺蘇生技術の普及の部分についてのアピールと、emlという場でこのような企画の議論が行われたことについての感想。
乳幼児救急と医療ヘリコプタ−安部哲夫  航空会社にお勤めの立場から救急医療にどのような考えと関わりをもたれているのか。


■乳幼児突然死撲滅キャンペーン・ホームページ/ □資料集