ILCOR Advisory Statements: Advisory Statements of the International Liaison Committee on Resuscitation

【翻訳:救急医療情報研究会】

目次

はじめに
Introduction
原文
成人の一次救命処置
Adult BLS
原文
二次救命処置の共通アルゴリズム
Universal Algorithm
原文
早期除細動
Early Defibrillation
原文
小児の心肺蘇生法
Pediatric Resuscitation
原文
個々の状況での蘇生
Special Resuscitation
原文


早期除細動
(ILCOR Advisory Statements: Early Defibrillation)


目 次

早期除細動の概念
(The Concept of Early Defibrillation)

救急隊員による早期除細動
(Early Defibrillation by Ambulance Personnel)

病院内での第一応答者(ファースト・レスポンダー)による早期除細動
(Early Defibrillation by First Responder in the Hospital)

地域社会での第一応答者(ファースト・レスポンダー)による早期除細動
(Early Defibrillation by First Responder in the Community)

早期除細動と救命の鎖に関する概念
(Early Defibrillation and the Chain of Survival Concept)

参考文献


早期除細動の概念

 救命可能な成人の心停止例のほとんどはVFまたは脈なし心室頻拍による心停止である。単独の処置として、このような患者に対して最も有効なのは電気的除細動である。従 って、蘇生に関する科学的な見地からは早期除細動の重要性が強調されるべきである。VFに陥ってから除細動が行われるまでの時間が短ければ短いほど蘇生の可能性が高 い。除細動ができる限り早期に行われるようにするため、ILCORは多くの症例に対し医療関係者以外の救助者による除細動を容認あるいは推奨すべきであると考える。

 ILCORでは、心停止の患者に対して蘇生をおこなう必要のある救助者には除細動器の使用が許されること、必要な教育が行われること、器材が与えられること、除細動の 指示が与えられること、の必要性があると考える。ここでの「救助者」には、病院内外のすべての初期救助者、すなわち医師、看護師、あるいは医療資格をもたない救急 隊員が含まれる。自動体外式除細動器(AED)が広く用いられるような態勢を整えることによって救急隊員や一般市民による早期の除細動が可能になるものと考える。


救急隊員による早期除細動

 医療従事者(Medical Profession)は、救急隊員による早期除細動の重要性を一般市民やEMS関係者がより良 く認識できるように努めるべきである。地域によっては、関連法規を改正する必要も あろう。EMSの統括責任者は早期除細動を促進するにあたっての障害、たとえば法令 、経済的問題、救急体制の不備、早期除細動の必要性に対する認識不足、動機づけの 不備、過去のしきたり、などを克服していかなければならない。

 ILCORは医療資格を持たない救急隊員がメディカルコントロールの基で早期除細動を 行うことができるような体制を整えていくことが必要であると考える。すなわち:


病院内での第一応答者(ファースト・レスポンダー)による早期除細動

 早期除細動の考え方は病院外処置だけでなく病院内における蘇生に関しても同様である。ILCORは病院内の医師以外の者による早期の除細動プロトコルを確立すること を強く推奨する。ILCORはこのようなプロトコルに関し以下のガイドラインに従うことを推奨する。


地域社会での第一応答者(ファースト・レスポンダー)による早期除細動2,3

 ここで言う第一応答者(ファースト・レスポンダー)とは特殊な訓練を受けた者で、かつ医師の監督下にある救急医療体制とは無関係に活動を行なう者を言う。地域社会においては警察官、警備員、ライフガード、航空機乗務員、駅員、ボランティアの応急手当員の他、職場や各地域において応急手当担当者として AED 使用に関する訓練を受けた者が含まれる。


早期除細動と救命の鎖に関する概念

 早期除細動は心停止による突然死にまつわる一側面を扱うに過ぎない。早期除細動は救命の鎖の一構成要素として機能してはじめてその効果を発揮する。救命の鎖の連携 とは、心肺停止患者の早期発見、救急医療システムの早期発動、早期CPR、必要に応じた早期除細動、早期の二次救命処置により成り立っている。救命の鎖という概念は 元来、病院外の心停止に対して用いらるものであったが、その考え方は病院内における蘇生に関してもあてはまる。救命の鎖を強く連結させ早期の除細動を実現するこ とにより、病院の内外を問わず蘇生率を向上させることができる。


References

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  1. Cummins RO, Chamberlain D, Hazinski MF, Nadkarni V, Kloeck W, Kramer E, Becker L, Robertson C, Koster R, Zaritsky A, Bossaert L, Ornato JP, Callanan V, Allen M, Steen P, Connolly B, Sanders A, Idris A, Cobbe S. Recommended guidelines for reviewing, reporting, and conducting research on in-hospital resuscitation: the in-hospital 'Utstein style.' A statement for healthcare professionals from the American Heart Association, the European Resuscitation Council, the Heart and Stroke Foundation of Canada, the Australian Resuscitation Council, and the Resuscitation Councils of Southern Africa. Circulation. 1997;95:2213-2239.
  2. Weisfeldt ML, Kerber RE, McGoldrick RP, Moss AJ, Nichol G, Ornato JP, Palmer DG, Riegel B, Smith SC Jr. Public access defibrillation: a statement for healthcare professionals from the American Heart Association Task Force on Automatic External Defibrillation. Circulation. 1995;92:2763.
  3. Weisfeldt M, Kerber RE, McGoldrick RP, Moss AJ, Nichol G, Ornato JP, Palmer DG, Riegel B, Smith SC Jr. American Heart Association Report on the Public Access Defibrillation Conference, December 8-10, 1994: Automatic External Defibrillation Task Force. Circulation. 1995;92:2740-2747.

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