参加型教育による学びの効果についての例えをご紹介します。
まず、最も教育効果が低いのが受動的に講義を聴くこと、ついで本を読む ことですが、発表したり、討論することにより教育効果が高くなります。さ らにシミュレーションや実際の場面を体験することにより大きな効果が得ら れます。それ以上に効果的なのは、そのテーマで人を指導することだとされ ています。すなわち "Teaching is learning twice." です。この意味で、 研修医やスタッフが学生や院内職員の心肺蘇生教育に参加することには大き な価値があります。
次に、愛媛大学における学生実習と心肺蘇生法教育についてご紹介します。 私共は1週間の学生実習を担当していますが、そのプログラムには
一次および二次救命処置実習の方針としては、訓練用マネキンを用いて、 身体が憶えるまで十分に訓練することとしています。なおこれらの救命処 置の手順は、AHAガイドラインに沿ったものとしています。
次は「二次救命処置の標準化と医学生・研修医教育」と題してお話をし ます。
まず、二次救命処置教育の現状をみますと、わが国では多数の医師が、 自分では心肺蘇生を実施できないと自覚しています。また心室細動を放置 したまま気管挿管や中心静脈穿刺に拘泥するなど、かつての蘇生治療が方 々で行われているという指摘があります。これらは医師への心肺蘇生教育 の欠如と治療プロトコールの欠如を反映していると考えられます。
二次救命処置に関する指導指針は
そして、学生教育―研修医教育―医師の再履修 へと、標準プログラム を引き継ぐこと、また看護師・救急隊員など他職種との合同訓練を行う価 値があると考えられます。
次に研修義務化と研修医への救急医学教育について述べます。研修義務 化により大学病院などの救急部門は多数の研修医を受け入れることになり ますが、研修の主眼点として、
一般研修医への心肺蘇生法教育と、専門医をめざす医師への教育には多 少の相違点があります。
まず、研修の視点から定めた二次救命処置では、手順の優先度を簡明に 定めた線形アルゴリズムに沿って治療を行います。
一方、救急外来などで自然発生的に行われている治療では、しばしば 複数の優秀な専門医が並行して診療を遂行します。研修医がこのような場 に短期間身を置くだけでは、一般病棟などでチームを率いて二次救命処置 を実施できるとは限りません。
ここで、AHAの包括的な緊急心臓血管治療のガイドラインから、二次救 命処置の流れを見てみましょう。
人が倒れている場合、呼びかけて意識がなければ、「一次ABCD評価」
を行います。すなわち、まず人集めと、蘇生機器の準備を依頼します。
A)用手気道確保、呼吸確認をして、呼吸がなければ
B)人工呼吸をします。
C)頸動脈の脈の確認をして脈がなければ、胸骨圧迫を開始します。
D)心電図波形の評価をして、心室細動または心室頻拍であれば3回まで
除細動を実施します。
再度、心電図波形と脈拍の確認をして、およそ1分間のCPRを行った
後、「二次ABCD評価」を行います。ここでは
A)器具を用いた気道確保
B)気道確保・換気・酸素化などが適切に行われているかどうか確認、
C)静脈路確保をして、蘇生薬を投与
D)心停止の原因に関し鑑別診断をします。
ACLSを広める会のビデオより、心室細動/心室頻拍への対応手順を見 てみましょう。
欧米では自動式除細動器(AED)による除細動は一次救命処置に分 類され、警察官・ガードマンなどによる除細動体制が整備されています。 わが国では、少なくともすべての医師、歯科医師はAEDなどを用いた 除細動を、迅速に実施できることが求められます。
次に鈍的外傷における初療の流れをみてみましょう。これは American
Colledge of Surgeryなどの外傷教育コースをもとに構成されたもので、
日本救急医学会なども同様のコースを導入する予定です。これらは外傷
専門医に限らず救急関係者に求められる知識であり、研修医教育にも導
入する価値があります。
まず一次評価・蘇生の手順は、
A & C:気道確保と頚髄保護、
B:呼吸、
C:循環、
D:神経系の評価と管理
を行います。そして E:脱衣と低体温予防 などを行います。
次いで二次評価としては
結語として、
以上、ご静聴有難うございました。