心肺蘇生法の標準化と医学生・研修医教育1

愛媛大学医学部救急医学 越智元郎(資料制作:2002年7月)


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 四国がんセンター麻酔科の越智元郎です。心肺蘇生法の標準化と医学生・研修医教育についてまとめた資料を紹介させていただきます。なお、本資料中の写真を提供下さいました皆様に深謝申し上げます。


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 最初に、心肺蘇生法に関する用語を整理します。心肺停止状態の患者に対 し、医薬品や医療機器を用いずに行う、一般市民でも実施できる救命処置を 一次救命処置(BLS)と称しています。また、医療従事者の専門的な技術・ 知識を要するのが二次救命処置(ACLS)です。なお、近年欧米では、自動式 除細動器(AED)による除細動を一次救命処置に含めています。

 一方、愛媛大学医学部における心肺蘇生法の教育機会には、入学直後の応 急処置講座、4年次の系統講義、客観的臨床能力試験(OSCE)、学生実習、 そしてスーパーローテート研修を含む研修医教育があります。


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 まず、入学直後の応急処置教育についてご紹介します。


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 これは約10年前 から実施しているもので、蘇生と呼吸・循環・脳機能、脳死、頭部外傷、 四肢・体幹損傷、心肺蘇生法、中毒、集団災害などのテーマで講義と実習 を行います。講義は救急医学ならびに関連講座の協力で実施しています。


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 心肺蘇生法については1回約50人の学生に対し、90分カケル2単位の実 習を行います。学生4人に訓練マネキン1体を準備し、本学教官、地元消 防職員、赤十字関係者など7、8人が実技指導にあたります。さらに止血 法、包帯法などの一般応急処置の実習を90分1単位実施します。


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 新一年生への救急医学教育の意義をまとめますと、


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 1997年に学生に対して行ったアンケート調査の結果では、医学部入学ま でに応急処置教育を受けた者は25%以下でした。大半の学生は応急処置に 興味を示し、またその有用性を認めています。入学直後の応急処置の教育 を通じて、市民に率先して 処置を実施できる医学生を養成し、同時に医 学を学ぶ上での自覚を促すものと期待しています。


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 さて、消防職員や赤十字関係者との交流を通じて問題となるのは、団体 によって心肺蘇生法の指導内容が異なることでした。心肺蘇生法を効率的 に普及させるためには、国・地域を問わず、医療関係者、消防、赤十字、 市民など、様々な背景の人々が同じ手順を共有する必要があります。


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 心肺蘇生法の統一に関し国際的な流れをみますと、1992年の米国心臓協 会(AHA)の指針策定のあと、国際蘇生法連絡協議会(ILCOR)が組織され ました。その後、ILCORの協力のもとに策定された2000年の AHA指針は、実 質的な世界指針とみなされています。そしてこれをもとに日本救急医療財 団 心肺蘇生法委員会(JRC)により、わが国の新しい心肺蘇生法指針が策 定されました。


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 ILCORに所属する心肺蘇生法研究・普及団体は米国、欧州、豪州などの 各団体ですが、わが国のJRCも1999年よりILCORに加わるべく交渉中です。


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