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ゆるぎもまよいもないカウンセリング

ゆるぎもまよいもないカウンセリング − 日本産科婦人科学会のNIPTにかんする指針の最終決定をまえにして

                                (室月 淳  2013年3月8日)

カウンセリングは「説明」であるか? カウンセリングというのはわかりやすくていねいな「説明」だろうか? カウンセリングは誠実で良心的な「説明」なことなのだろうか? 結論とそこにいたるまでのみちすじがきまっている「カウンセリング」は,クライアントが読んですぐ理解できる説明書で代用できるか?

結論とそこにいたるまでのみちすじがきまっている「カウンセリング」にはゆるぎもまよいも存在しません.ゆるぎもまよいもない「カウンセリング」はマニュアル化することが容易です.マニュアル化が実現できれば,解説書をよむか,あるいは1回か2回講習を受けさえすれば,どこでもだれにでもできるようになります.

母体血胎児遺伝学的検査(NIPT)にたいする日本産科婦人科学会の「指針」の最終報告がちかづいています.「遺伝カウンセリングが重要」? 「遺伝カウンセリングの際の説明書の写しを提出」? しかしそこにはなにか決定的な誤解があるようなきがします.

ゆるぎもまよいもない説明,マニュアル化されたインフォームドコンセントにいったいどういう意味があるのでしょうか.検査をうけるひとりひとりにはそれぞれの動機と事情と背景があります.それぞれのなやみとまよいとゆらぎがあるでしょう.それをいかにくみとって,サポートして,そして自己決定をうながしていくのか?

そのひと自身の人生をきめるのはまさにそのひとです.それをカウンセラーはどこもまでふかい実感として感じとっているのか.この「クライアント中心」を単なる概念としてではなく,どれだけこころから認めることができるかどうかが,「遺伝カウンセリング」の本質を理解できりかのキーなのです.カウンセリング,あるいは「説明」は技術としてのなにかではなく,ひとつのパターンやノウハウでもなく,マニュアル化することもできず説明文書とすることもできません.

NIPTの検査開始をまぢかにして,いまのながれにいいようのない不安をかんじています.

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カウンタ 1676 (2013年3月8日より)