LiSA 特集:心肺蘇生法2000年の潮流

― eml会員による関連論文を含む―


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  1. 前書き
    (国立国際医療センター 冨岡譲二)

  2. わが国における心肺蘇生法指導法の統一を望む

    (愛媛大学医学部救急医学■■■■■■■■ 越智元郎
    九州大学大学院医学研究院災害救急医学  漢那朝雄
    大阪市立総合医療センター救命救急センター 鍛冶有登)

    • 国内における心肺蘇生法 "指導法" の相違点
    • 重要なものは単純に!
    • 指導法の違いによる弊害:困るのは誰?
    • 日本心肺蘇生法協議会(JRC)が調整の中心に

    コラム 救急医療メーリングリスト(eml)の生い立ち

        (eml 世話人 伊藤成治)

    コラム ILCOR翻訳と写真班?

    (東京大学大学院医学系研究科国際保健計画学 坂野晶司)

    コラム ILCORは救急活動を変えたか?

        (尼崎市消防局 守田 央)

    コラム ILCOR翻訳の思い出 ―私が言い出しっぺです―

        (玉木基之)

  3. 国際蘇生法連絡委員会(ILCOR)の設立と「心肺蘇生法に関するILCOR勧告」について

    (市立砺波総合病院麻酔科 生垣 正)

    • 国際蘇生法連絡委員会(ILCOR)設立の歴史的経過
    • 日本心肺蘇生法協議会(JRC)結成とILCOR加盟
    • 「心肺蘇生法に関するILCOR勧告」の詳細は・・

    コラム:翻訳版ILCOR勧告のデジタル出版としての意義

       (越智元郎、生垣 正)

    コラム:ILCOR勧告翻訳における問題点

       (越智元郎、畑中哲生)

    メモ:日本救急医療財団心肺蘇生法委員会と日本心肺蘇生法協議会(JRC)

       (越智元郎)

  4. AHA 心肺蘇生法ガイドラインの歴史的経過と Guidelines 2000策定の方法論

    (救急救命九州研修所 畑中哲生)

    • AHAガイドラインの歴史的背景
    • 新しいガイドライン:Guidelines 2000の方法論
    • Evidence Based Medicine:単なる「根拠」ではない
    • Domineering Expert Syndrome とは?
    • Guidelines 2000 の具体的検証過程
    • 言うは易し、行うは難し
    • 方法論としての Guidelines 2000の意義

    コラム:BLS/ALSと水着の深遠な関係

       (畑中哲生)

    コラム:AHAの国際戦略とILCOR

       (越智元郎)

  5. 心肺蘇生法 2000年の論点を拾う

    (大津市民病院救急集中治療部 福井道彦)

    • "Yes-No" 勧告の終焉
    • 成人の一次救命処置
    • 広がる AED:しかし日本では・・
    • 心停止治療における昇圧薬:その評価は?
    • 心臓マッサ−ジ補助手段
    • show our data!

    コラム:「AED:空を飛ぶ!」

       (ヘルツ社 東藤康紀)

    コラム:「AED:企業戦士の立場からひとこと」

       (日本メドトロニック株式会社 松尾英樹)


「プレホスピタルケア」誌:


「治療」誌:


「蘇生」誌:


LiSA 徹底分析シリーズ:「心肺蘇生 2000年の潮流」

【前書き】

国際医療センター 冨岡譲二


 本特集の母体となったのは、インターネットを用いた救急医療関係者のメーリングリスト(eml) 上での「日本の心肺蘇生法は、なぜ統一されていないのだろうか」という議論であった。心肺蘇生法は、医療の原点というべき手技であるが、驚くべきことに、その方法について世界的に統一されたものはない。国内でも複数の組織が心肺蘇生法を指導しているが、手技の細部は組織によって違っており、現場に 少なからぬ混乱が起こっている事実は、否めない。

 一方、今年8月には AHAの新しい心肺蘇生法ガイドラインが発表されることになっている。このガイドラインは、1992年以来、心肺蘇生法の事実上の国際的スタンダードづくりのために、世界各国の救急・ 蘇生関係者が中心になって組織された国際蘇生法連絡委員会(ILCOR)でのディスカッションが下敷きに なっているが、残念なことにこのILCORには、創立以来日本を含むアジア地区の代表は含まれていなかった。

 このような背景の中で、emlメンバーのなかで、「日本の心肺蘇生法も、国際的な標準を踏まえて統一すべきではないか」という機運が高まり、インターネット上で、有志を募ってILCOR勧告の翻訳作業を行うとともに、昨年、今年とダラスで行われた AHAの会議(心肺蘇生法ガイドライン改訂に関するもの)に 代表を送るに至った。

 本特集は、そんな活動の記録であり、また、現時点での心肺蘇生法の「潮流」である。この特集を きっかけに、わが国でも多くの救急・蘇生関係者に、心肺蘇生法の統一について関心をもっていた だければ幸いである。


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