平成26年10月3日、平成26年度第3回国立大学附属病院長会議常置委員会が開催され、これを受けて同日、「定例記者会見」が実施されました。その内容について報告します。
【日時】平成26年10月3日(金)17:00~17:30
【会場】東京医科歯科大学 M&Dタワー26階 ファカルティラウンジ
【報告事項】◆国立大学附属病院の現状について(関係省庁等への要望)
◆「企業等からの資金提供状況の公表に関するガイドライン」の一部改定について
【発表者】国立大学附属病院長会議 常置委員長・千葉大学医学部附属病院長 山本 修一(やまもと・しゅういち)
【列席者】北海道大学病院 病院長 寳金 清博
東京医科歯科大学医学部附属病院 病院長 木原 和徳
名古屋大学医学部附属病院 病院長 石黒 直樹
岡山大学病院 病院長 槇野 博史
九州大学病院 病院長 石橋 達朗
~国立大学附属病院の現状について(関係省庁等への要望)~
・医療に係る消費税引き上げに伴う負担増の問題について
今回の診療報酬改定においては、8%への消費税率引き上げに関して一定の対応がされていますが、高額投資への対応がなされていない等、対応が不十分です(今年度の試算で、国立大学附属病院全体の消費税増税による病院持ち出し額は約52億円)。
次期の消費税率引き上げでも今回と同様に充分な措置がとられなかった場合には医療機器の更新や人材の確保ができなくなる等、国立大学附属病院が果たすべき使命・役割の実現ができず、結果として国民に不利益を与えることとなります。
次期の消費税率引き上げにおいては、診療報酬による消費税相当額の補填だけではなく、医療に係る消費税の課税の在り方を含めて確実な対策を要望しています。
・国立大学附属病院関係予算の確保・充実について
国立大学附属病院は「国立大学改革プラン」や「健康・医療戦略」等を踏まえ、少子化や健康長寿対策、医薬品・医療機器産業等の発展、イノベーションの促進等を加速していき、世界最高水準の国立大学附属病院を作り上げていくために、高齢社会を見据えた地域との連携による人材育成及び医療提供のシステム構築、新たな専門医制度のもとでの専門医育成や地域への医師定着を目的とする活動、大災害に備えた医療情報システムデータのバックアップ体制の維持・運用、国際水準の臨床研究や難病等の医師主導治験等の促進及び臨床研究の質確保と人材育成のための病院間の臨床研究ネットワークの構築などを進めていく予定です。
しかし、経営面では、全職員が一丸となって病院収入の増加及び経費の節減に懸命に取り組んできましたが、それも限界にきているのが実情であり、政府の施策の確実な実現や国立大学附属病院の使命・役割の着実な遂行のために、国立大学附属病院関係予算の確保・充実を要望しています。
~「企業等からの資金提供状況の公表に関するガイドライン」の一部改定について~
「企業等からの資金提供状況の公表に関するガイドライン」については、第68回国立大学附属病院長会議において決定し、各大学において暫定公表に向けて準備を進めてきました。
しかし、社会においては臨床研究に係る利益相反問題への関心が高く、資金提供状況についてより詳細な内容の公表が求められており、当会議としても資金提供状況に係る透明性を確保するためには、より踏み込んだ情報を公開する必要があるのではないかと考え、この度、奨学寄附金の提供企業等(当分の間は日本製薬工業協会の会員企業のみ)について企業名を公表するなど、ガイドラインを一部改定しました。