VENUS
研究紹介
VENUS HC(Home Care)
早期の在宅療養移行及び療養継続支援における訪問看護による効果測定及び評価のための研究
- VENUS-HC(Home Care)は、2019年(令和元年度)に開始され、全国の在宅療養高齢者(75歳以上)を対象とした前向きコホート調査を実施し、訪問看護の効果を検討することを目的としています。
- 本調査では、全国の訪問看護事業所・居宅介護支援事業所を通じて、在宅療養高齢者1,450名(訪問看護利用者1,120名、非利用者330名)をリクルートし、事業所の管理者、訪問看護師・介護支援専門員、利用者・家族に調査票への回答を依頼しました。調査時点は、初回、1カ月後、3カ月後、6カ月後、12カ月後、24カ月後、36カ月後、48カ月後の全8回です。
- 研究代表者らが開発した「長期ケアの質指標」を用いてデータを収集し、入院・ADL低下の防止、利用者の生活満足度、家族の安心感の維持向上など、訪問看護提供による効果(アウトカム評価指標)・サービス充実度(プロセス評価指標)を評価しています。
VENUS DX
看護記録からのデータ自動抽出によるケアの継続的質評価改善システムの構築
- VENUS-DX(Digital Transformation)は、2021年(令和3年)に開始され、訪問看護の質を継続的に評価するために、既存の訪問看護記録から「長期ケアの質指標」を自動抽出するシステムの構築を目的としています。
- 本調査では、実際の訪問看護実践を撮影したデータと、訪問看護記録を用いて、記録から訪問看護実践の内容を推定するモジュールを作成します。その後、既存の訪問看護記録をデータとして機械学習を用いることで、記録内容を特性の看護実践と紐づけるモデルを開発し、訪問看護記録から研究代表者らが開発した「長期ケアの質指標」を自動抽出するシステムを構築します。
VENUS RC(Residencial Care)
ケア従事者・利用者双方のウェルビーングを高める持続可能な「質保証システム」の構築
- VENUSプロジェクトでは、病院・施設から在宅まで多様な長期ケアの現場において活用可能なケアの質指標の開発を目指しています。
- 最初の段階として在宅ケアにおける質指標が開発され、2019年度より訪問看護の効果を可視化する前向きコホート調査に用いられました(VENUS-HC)。
- 同時に、医療療養病床や介護保険施設等の場で活用可能なケアの質指標の開発が求められています。
VENUS CS(Case Study)
ケアの意味を見つめる事例研究
〜卓越したケアの伝播/継承を可能にする事例研究方法の開発〜
- 本研究では、優れた看護ケア実践の暗黙知を共有・伝播可能にするための一手法として、「ケアの意味を見つめる事例研究」方法を開発している。
- この「ケアの意味を見つめる事例研究」方法を用い、訪問看護ステーション・病院・高齢者施設などで働く看護職を主な対象とし、日々の実践を振り返り、その暗黙知を可視化する取り組みをすすめている。
- 研究手法の開発だけでなく、事例研究を行いたい実践者への研究サポートや、事例分析会の開催、セミナーの主催などを行なっている。
- 事例研究を通し、現場で働く看護職が自分たちのケアに自信をもち、気持ちが元気になりいきいきと仕事ができ、さらに自分たちのケアをより高めていこうという好循環が促進されることを、本研究では狙っている。