一般社団法人日本研究皮膚科学会

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学会について

理事長挨拶

理事長 大山 学 杏林大学医学部 皮膚科学教室

 2025年4月から日本研究皮膚科学会(Japanese Society for Investigative Dermatology, JSID)の理事長を拝命いたしました。選出に際しては多くの学会員の皆様にご支援いただき誠にありがとうございました。先人の先生方が築かれてきた研究皮膚科領域をリードする学会を牽引するという重責にまさに身の引き締まる思いですが、微力ながらJSIDと日本の皮膚科領域における研究のさらなる発展のために精一杯努めていく所存です。何卒宜しくお願い申し上げます。
 理事長に就任させていただくにあたり、私は三つのキーワード、「多様性」、「若手育成」、「国際化」を私が任期中に注力するべきテーマとして挙げたいと考えています。診療科で主となる学会の一部門としてではなく、同じ領域のなかで研究にフォーカスする学会が独立して存在するという点においてJSIDは稀な例と言えましょう。しかし、その事実こそJSIDの存在意義、そしてそのユニークさを物語っていると考えます。
 皮膚科領域に関する研究のテーマはまさに多岐にわたります。皮膚の生物学、生理学的特徴を明らかにするようなベーシックな研究をされている基礎研究者の先生方や、製品開発や創薬にかかわる化粧品、製薬企業の研究者の方々による科学的発見が今日に至るまでこの領域を大きく発展させてきました。「研究皮膚科学会」という名称であり、皮膚科医の学会員が多い学会ではありますが、基礎研究であるか、臨床研究であるかといった隔てなく、また所属している施設やジェンダー、年代を超えて学会員がアカデミックに語り合い、互いを高め合うことができる学会を皆様と一緒に築いていきたいと考えています。
 昨今、若者の研究離れが言われて久しいですが、基礎、臨床を問わず目の前にある難題を解決し前に進むためには、研究で培われる様々な方法論が有用であることは間違いありません。JSIDは「あおば塾」や「きさらぎ塾」などの若手養成セミナーや、海外の学会との若手交流をサポートすることでリサーチマインドをもった若手の育成に努めてきました。私自身、そのような活動の恩恵を受けてきた一人であると言えます。学会員の皆様の力をお借りして、より一層、次の時代を担う皮膚研究者を育てたいと願っています。
 グローバル化が進む現在、国際化は分野を問わず進めていかなければならない課題です。2023年5月に東京で開催された国際研究皮膚科学会学術大会(International Societies for Investigative Dermatology; ISID 2023)では会頭をされた先々代の椛島健治元理事長(京都大学)を筆頭に、藤本 学前理事長(大阪大学)、その他多くの先生方と力をあわせ成功裡に終了することができ、日本の皮膚科と関連分野の底力を世界に示すことができました。この力を継続していくことは、とても大切なJSIDのミッションです。ISIDはJSIDも加入する北米、欧州、アジア環太平洋などに所在する諸学会により構成される世界の研究皮膚科学会の連合体です。現在ISIDのPresidentを務められているのは天谷雅行元理事長(慶應義塾大学)であり、JSIDはISIDのローンチングメンバーであることからわかるように、JSIDはこの領域においてこれまで一定以上のプレゼンスを国際的に示してきました。しかし、その存在感は先輩方が長い年月をかけて積み重ねてこられたからこそ勝ち得たものであり、それをさらに強いものにしていくのが私たちに求められているのだと思います。ともすれば、大学の疲弊や研究力の低下が叫ばれる今日この頃ではありますが、そのような時だからこそ、皆で集いお互い励まし合いながら切磋琢磨する場が必要です。JSIDはそのような機会を継続的につくり出していく組織でありたいと切に願っています。
 このようなミッションの数々は私の個力で実現することは不可能であり一人でも多くの皆様のお力添えが必要です。ぜひ、積極的な活動へのご参加・ご支援をお願い申し上げます。

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