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研究会について


一般社団法人日本膵・膵島移植学会 理事長
藤田医科大学病院 臓器移植科 特命教授
剣持 敬
 

 

前任の大阪大学の伊藤壽記教授を引き継ぎ、日本膵・膵島移植学会の理事長を拝命いたしましたので、ご挨拶させていただきます。

 日本膵・膵島移植学会は35年の歴史を有する伝統ある学会で、わが国の膵臓移植、膵島移植の臨床・研究は、この学会が主導してきました。1982年1月1日、本学会の前身である膵移植談話会が水戸廸郎教授(旭川医大)、故中川原儀三教授(福井医大)、故出月康夫教授(聖マリアンナ医大)の3名の呼びかけで発足いたしました。1992年に膵移植研究会、1995年に膵・膵島移植研究会に改称され、2009年には日本膵・膵島移植研究会となり、2022年に現在の一般社団法人日本膵・膵島移植学会となりました。私自身、膵移植談話会の時代より参加しております。当初、臨床例はなく基礎研究のみの学術集会でしたが、アットホームな雰囲気の中、臨床を見据えた多くの演題が出され、活発な議論がされました。しかし臨床が始まるとその内容も一変し、実際の膵臓移植、膵島移植の臨床例の検討が主となり、私自身感無量であります。

 膵臓移植は1982年にわが国初の自家膵臓移植が愛知県がんセンターの森本剛史先生により実施され、1984年にわが国初の脳死膵・腎同時移植が筑波大学の深尾 立先生により行われました。しかしその後脳死問題が浮上し、1992年にはわが国初の心停止膵臓移植が東京女子医科大学の寺岡 慧先生により行われました。1997年の臓器移植法施行後、2000年に初の脳死膵・腎同時移植が大阪大学の伊藤壽記先生により開始され、2016年末現在、18の認定施設で284例の脳死膵臓移植が行われています。また2004年にはわが国初の生体膵臓移植を私が千葉東病院で実施し、現在までに全国で27例が行われています。現在は全国で年間30~40例の膵臓移植が行われておりますが、欧米や韓国に比較しても桁違いに少なく、他の臓器移植と同様脳死ドナー数の増加が必須であり、本学会の重要課題です。

 臨床膵島移植も本学会主導で実施されてきました。2003年に国立佐倉病院で私が初の膵島分離、2004年には京都大学の松本慎一先生がわが国初の膵島移植を実施しております。当初は心停止ドナーからの膵島移植を行っておりましたが、2013年4月から脳死ドナー提供の膵島移植が開始され、現在AMEDの研究助成を受け、先進医療Bでの臨床試験が認定6施設で行われており、今後の成績が期待されます。

 このようにわが国の膵臓移植、膵島移植の歴史は本学会の歴史そのものであり、今後もわが国の膵臓移植、膵島移植医療をけん引するとともに、基礎研究の促進、再生医療等新たな医療への展開も重要な役割であると考えています。伝統ある本学会をさらに発展させるべく微力ではございますが尽力いたしますので、会員の皆様のご指導、ご鞭撻をよろしくお願いいたします。

平成29年4月吉日