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シトリン欠損症
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臨床型 (年齢) |
血中もしくは血漿アンモニア濃度(μmol/L) | 血漿もしくは血清シトルリン濃度(μmol/L)1 | 血漿もしくは血清アルギニン濃度(μmol/L) | 血漿もしくは血清スレオニン/セリン比 | 血清膵分泌性トリプシンインヒビター(PSTI)濃度2(ng/mL) |
対照群 | 18-473 | 17-433 | 54-1303 | 1.10 | 4.6-20 3 |
NICCD(0-6ヶ月) | 60 | 300 | 205 | 2.29 | 30 |
FTTDCD(1-11歳) | 正常もしくは僅かに上昇 | 正常もしくは僅かに上昇 | 通常は正常 | 不明 | 不明 |
CTLN2(11-79歳) | 152 | 418 | 198 | 2.32 | 71 |
表2 NICCDの生後0-6ヶ月における血漿スレオニン、メチオニン、チロシン濃度
アミノ酸 | 中間値(25%-75%範囲)(μmol/L) | 対照群の範囲(μmol/L) |
スレオニン | 496 (291-741) | 67-190 |
メチオニン | 124 (53-337) | 19-40 |
チロシン | 178 (99-275) | 40-90 |
分子遺伝学的検査
分子遺伝学的検査の手法には、単一遺伝子検査や多遺伝子パネルの利用などがある。
単一遺伝子検査 SLC25A13遺伝子のシークエンス解析がまず行われ、変異が見つからないか1つのみの場合はつづいて欠失・重複解析を行う。
日本人もしくは中国人では、最初に病原性変異の標的遺伝子解析を行うことができる。
SLC25A13遺伝子や他の関心領域の遺伝子(「鑑別診断」を参照)を解析できる多遺伝子パネルを考慮することがある。注:(1)パネルに含まれる遺伝子や検査の診断感度は検査施設によって異なり、時間とともに変化する傾向にある。(2)一部の多遺伝子パネルには、 このGeneReviewで触れていない病態と関連する遺伝子も含まれている可能性がある。そのため、臨床医はどの多遺伝子パネルがもっとも合理的なコストでその病態の遺伝的な原因を追究できるか見極める必要があるが、一方で意義不明の変異や基本的な臨床型を説明できない遺伝子変異の同定は制限される。(3)一部の検査施設ではオプションとして、その施設向けにデザインされたパネル、および/もしくは臨床医によって指定された遺伝子を含めて臨床型に的を絞ったエクソーム解析を採用していることがある。(4)パネルに用いられている方法は、シークエンス解析、欠失/ 重複解析、およびその他シークエンシングに基づかない検査である。
シークエンス解析では同定されないだろうこの疾患に関連するSLC25A13遺伝子の大きな欠失/重複の頻度から、欠失/重複解析も含めた多遺伝子パネルが推奨される(表3を参照)。
多遺伝子パネルに関するイントロダクションについてはここをクリック。遺伝子検査をオーダーする臨床医のための詳細な情報についてはここで閲覧することができる。
表3 シトリン欠損症で用いられる分子遺伝学的検査
遺伝子1 | 検査方法 | この方法で同定される変異2>をもつ発端者の割合 |
SLC25A13 |
シークエンス解析3 | 85%-90%4 |
標的遺伝子の欠失/重複解析5 | 10%-15%6 |
ウェスタンブロット解析
生化学的検査はシトリン欠損症に合致するものの、分子遺伝学的検査でSLC25A13遺伝子変異が1つも同定されない/1つしか同定されない稀な例においては、シトリン蛋白に対するウェスタンブロット解析を考慮することができる。
アミノ末端側に特異的な抗ヒトシトリン抗体を用いたウェスタンブロット解析では、SLC25A13遺伝子両アレル変異を有する患者の肝臓や培養線維芽細胞において交差反応性免疫物質をほとんどもしくは全く検出しない。ウェスタンブロット解析で用いられるその他の試料には末梢血リンパ球がある。シトリン蛋白は、培養リンパ球から抽出したミトコンドリア蛋白を用いたウェスタンブロット解析にて、より容易に検出できる可能性がある。
臨床記述
シトリン欠損症は、新生児期/乳児期にシトリン欠損による新生児肝内胆汁うっ滞症(NICCD)を、年長児ではシトリン欠損による成長障害と脂質異常症(FTTDCD)を、成人期では成人発症Ⅱ型シトルリン血症(CTLN2)として精神神経症状を伴う反復性高アンモニア血症を呈する。しばしばFTTDCDとCTLN2では、高蛋白や高脂質の食事を好み、炭水化物を嫌う食嗜好が特徴とされる。CTLN2患者では、NICCD/FTTDCDの既往があることもないこともある。CTLN2に移行するNICCD/FTTDCD患者の比率は不明である。食事管理以外に特別な医学的配慮を必要としないNICCD患者では、生化学的異常が続く間はこまめな経過観察が推奨される。
シトリン欠損症による新生児肝内胆汁うっ滞症(NICCD)
1歳未満のNICCD患児は一過性の肝内胆汁うっ滞を呈する(表4を参照)。その他の所見には、肝腫大を伴うびまん性脂肪肝、肝線維化を合併する肝実質への細胞浸潤、低出生体重、成長遅滞、低蛋白血症、凝固因子の低下、溶血性貧血、様々な重症度の肝機能障害(主に軽症)、低血糖などがある。
表4 生後0-6ヶ月のNICCD患児における肝機能検査
検査項目 | 中間値(25%-75%範囲)(mg/dL) | 対照群の範囲(mg/dL) |
NICCDにおけるTB | 4.9 (2.8-8.0) | 0.2-1.0 |
NICCDにおけるDB | 2.5 (1.5-3.7) | 0-0.4 |
NICCDにおけるTB/DB比 | 0.55 (0.41-0.66) | - |
TBA | 239 (172-293) | 5-25 |
AFP | 91,900 (33,200-174,700) | 260-6,4001, 2 2-552, 3 |
TB=総ビリルビン
DB=直接ビリルビン
TBA=総胆汁酸
AFP=αフェトプロテイン
NICCDは一般的に重症ではないが、まれに肝移植が必要となる。脂溶性ビタミンの補給や乳糖除去ミルクの使用(続発性高ガラクトース血症の患者)、中鎖脂肪酸(MCT)強化ミルクなどの治療によって、症状は典型的には1歳までに軽快する。
1-2歳頃から、患児は高蛋白・高脂質食を好み、糖分や炭水化物の多い食事を嫌うようになる。
10代以降、シトリン欠損症患者の中には精神神経症状を伴った重症CTLN2に進展する者もいる。典型的には、NICCDに続く適応期(代償期)からCTLN2発症への移行は緩徐であるが、CTLN2は通常突然に発症する。
シトリン欠損症による成長障害と脂質異常症(FTTDCD)
FTTDCDはNICCD発症後およびCTLN2発症前の新しい臨床型として最近提唱された(Songら, 2011年)。FTTDCDの臨床および検査上の特徴はまだ明らかではない。この時期(旧来はCTLN2発症前の「見かけ上健康」な時期とされてきた)の間に、検査や臨床所見で異常を認める患児もいる。
検査では、トリグリセリド高値・総コレステロール高値・LDL高値・HDL低値といった脂質異常や、そのほか乳酸/ピルビン酸比の上昇、尿中酸化ストレスマーカーの高値、TCA回路代謝物の著しい偏りなどが認められる。
臨床的な異常には、成長遅滞、低血糖、膵炎などがある。適応期・代償期(旧来「沈黙」の時期と見なされていた)のシトリン欠損症患児において、重度の倦怠感やQOLの低下を認めることが明らかとなった。さらに、制限型の神経性食欲不振症に類似した重篤な食欲不振と体重減少で発症した12歳女児例が報告されている。
成人発症Ⅱ型シトルリン血症(CTLN2)
CTLN2は、反復性の高アンモニア血症や、夜間せん妄、異常行動(攻撃性・易刺激性・過活動)、妄想、見当識障害、不穏、眠気、記憶喪失、羽ばたき振戦、けいれん発作、昏睡など、肝性脳症や遺伝性尿素サイクル異常と極めて類似した精神神経症状を呈する。脳CTは正常で、脳波ではびまん性の徐波を認める。
発症は突発的で、通常は20-50歳時に起こる(範囲:11-79歳、平均年齢34.4±12.8歳、n=103)。
CTLN2患者の多くは、高蛋白・高脂質食(豆・ピーナッツ・卵・ミルク・チーズ・魚・肉など)を好み、米・ジュース・甘い物など高炭水化物食を嫌うという強い食嗜好がある。症状はしばしばアルコール、糖類、薬物の摂取や外科手術によって誘発される。
ほとんどの患者はやせている。90%を超える患者ではBMIは20未満で、約40%は17未満である(範囲:15.6-19.1, n=110)(健康な日本人では男性20-24、女性19-23)。
10%を超えるCTLN2患者では以下の合併症を認める。
検査異常所見
病理所見では、肝機能障害をほとんど認めないか全く認めないにもかかわらず、脂肪浸潤や軽度の肝線維化を認める。
臨床記述遺伝子型と臨床型の相関
この疾患では遺伝子型と臨床型との相関は認められていない。
浸透率
患者の性別に関連したCTLN2の臨床型の浸透率には違いがあるようである。
命名法
NICCD NICCDは、分子遺伝学的検査でSLC25A13遺伝子両アレル変異の存在が確認される前は「原因不明の脂肪肝を伴う特発性新生児肝炎」[Ohuraら1997]として知られていた。
CTLN2 Miyakoshiら[1968]は、高アンモニア血症と独特の慢性反復性肝脳変性症を認める患者において血中シトルリン濃度が上昇していることを報告した。この肝脳変性症は、脳の病理学的変化に基づいて「類瘢痕型肝脳疾患」、高度にバランスを欠いた食事に由来する代謝障害もしくは内分泌異常による発達障害に基づいて「栄養障害型肝脳疾患」として知られるようになった。
Sahekiら[1981]は、アルギニノコハク酸合成酵素(ASS)活性/蛋白の定性的および肝特異的な疾患を伴う高シトルリン血症の病型を報告し、のちに「成人発症Ⅱ型シトルリン血症」と命名した。
頻度
日本におけるSLC25A13遺伝子のホモ変異または複合ヘテロ変異の頻度は、保因者(ヘテロ変異保有者)が65人に1人であることから、17000人に1人と計算される。これはNICCDの頻度と同等であるが、CTLN2の頻度(100,000-230,000人に1人)とは異なる。これらのことから、SLC25A13遺伝子両アレル変異を受け継いだほとんどの日本人はNICCDを発症すると著者らは信じている。 最近まで、シトリン欠損症は日本に限定的であると思われていた。現在ではシトリン欠損症はさまざまな民族に認められることが知られている。新規のSLCA25A13遺伝子変異を有する患者が、イスラエル、パキスタン、米国、英国、中国、チェコ共和国で見つかっている。
中国(65人に1人)、特に中国南部や台湾(48人に1人)、韓国(112人に1人)でも保因者の頻度は高い。
CTLN2, NICCD, FTTDCDは、現時点でSLC25A13遺伝子変異と関連することが知られる唯一の臨床型である。
シトリン欠損症でみられる血漿シトルリン濃度の上昇は以下でも認められる。
シトリン欠損症でも尿素サイクル異常と同様に、蛋白質やその他の窒素含有分子の崩壊によって生成された窒素の代謝異常から高アンモニア血症を呈する(尿素サイクル異常総論を参照)。尿素サイクルの初め4つの酵素(CPSI, OTC, ASS, ASL)のいずれか、オルニチントランスポーター、もしくは補因子生成酵素(NAGS)の重度な欠損もしくは完全な欠損により、ほとんどの患者において生後数日以内にアンモニアやその他の代謝前駆体の蓄積が生じる。
シトリン欠損症で見られる新生児/乳児胆汁うっ滞は以下の疾患でも認められる。
体質性黄疸および高ビリルビン血症はビリルビンの代謝異常で起こる。非抱合型(間接型)優位の高ビリルビン血症(UDP-グルクロン酸転移酵素1欠損)と抱合型(直接型)優位の高ビリルビン血症(毛細胆管膜のATP依存性トランスポーター:ABCC2[OMIM 601107], ABCB11[OMIM 603201], ATP8B1[ATP8B1欠損症を参照]の欠損)がある。
その他
初期診断に続く評価
シトリン欠損症の臨床型であると診断された患者において、疾患の広がりやニーズを把握するため、以下のような評価が推奨される。
NICCD
FTTDCD
CTLN2 食事の炭水化物、蛋白質、脂質の比率を評価する。
全員 臨床遺伝専門医および/または遺伝カウンセラーへの診療依頼。病変に対する治療
NICCD ほとんどのNICCD患児では、脂溶性ビタミンの補充や乳糖除去ミルク、MCT強化ミルクによって症状は生後12か月までに軽快する。
母乳からプロリンを豊富に含むミルクへの変更で軽快した同胞2人の症例が報告されている。
NICCD患児のなかには無治療で軽快する者もいる。母乳や一般ミルクを減らし、同時に卵や肉のような高蛋白・高脂質の固形物の摂取を開始したことがシトリン欠損症患者に有益だった可能性がある。
治療用ミルクは生涯にわたって必要とするわけではない。ほとんどのNICCD患児は、蛋白・脂質の豊富な加工食/固形食が開始されている1歳までには臨床的かつ生化学的に軽快する。1歳をすぎても治療を行うことでFTTDCDやCTLN2発症の可能性を減らせるかどうかは現時点で不明である。
さらに、NICCDでは亜鉛欠乏もよく認められるため、血液検査で亜鉛欠乏が示唆される場合、とくに著明な成長障害を認める場合には亜鉛の補給を推奨するべきである。
NICCDおよび重度肝機能障害を認める乳児4人において、原因不明のチロシン血症と診断され生後10-12ヶ月に肝移植を施行されたことが報告されている。
FTTDCD この新しいシトリン欠損症の臨床型に対する治療法の記述はほとんどない。
・FTTDCDの幼児は固有の食嗜好がある(米を嫌い魚を好むなど)。成長障害は次第に改善し、3歳時には3パーセンタイルを超える。脂質異常もまた徐々に軽快する。
・食事療法に加えて、ピルビン酸ナトリウムの投与は成長遅滞の改善に効果的である可能性がある。ピルビン酸ナトリウムは肝細胞におけるNADH/NAD+比を低下させるが、これはシトリン蛋白の生成に極めて重要な変化であり、成長遅滞に対して改善効果を示す可能性がある。
CTLN2 現在までにもっとも成功した治療法は肝移植である。肝移植により高アンモニア血症クリーゼは予防され、代謝異常は改善し高蛋白食を好む食嗜好はなくなる。過去にはおよそ全てのCTLN2患者は肝移植を必要としたが、アルギニンやピルビン酸ナトリウムの導入やMCTオイルの投与で状況は変わった。そのほかの治療は以下が挙げられる。
一次病変の予防
高アンモニア血症を予防し成長障害を改善させるためには、高蛋白・高脂質食および低炭水化物食が推奨される。
高炭水化物食およびアルコールは避けるべきである。
高アンモニア血症クリーゼの予防には、アルギニンの投与が効果的である可能性がある。
二次合併症の予防
ビタミンD欠乏および亜鉛欠乏はNICCDでよくみられる合併症である。重症感染および肝硬変もまた一部のNICCD患者の致死的合併症として報告がある。それゆえ、ビタミンDおよび亜鉛の補給、急性感染症の制御がNICCD患者では推奨される。
経過観察
1歳以上のシトリン欠損症患者において、FTTDCDの病像を認めないか経過観察する。こまめに身体計測/検査(身長、体重、頭囲、トリグリセリド・総コレステロール・HDLコレステロール・LDLコレステロールを含む血清脂質濃度など)を行うことがのぞましい。
数ヶ月ごとに以下を測定することが推奨される。
血漿シトルリン濃度や血清PSTIの上昇はCTLN2発症を示唆し、迅速に治療を開始するべきである。
回避すべき薬物や環境
低蛋白/高カロリー(高炭水化物)食 低蛋白/高カロリー食は、尿素サイクル酵素欠損による高アンモニア血症の予防の一助となるが、全てのシトリン欠損症患者(すなわちNICCD, FTTDCD, CTLN2)には有害である。高炭水化物食はNADH産生を増加させ、尿素生成を阻害し、リンゴ酸-クエン酸シャトルを促進し、高アンモニア血症、脂肪肝、高トリグリセリド血症をきたす可能性がある。
グリセロール、フルクトース、グルコースのような糖類の静注 グリセロールを含んだ高浸透圧剤を重症脳浮腫に使用すると悪化してしまうため、CTLN2患者では禁忌である。大量のグリセロールやフルクトースが分解されると肝の細胞質でNADHが産生され、これにより肝機能は抑制される可能性がある。
高濃度グルコースの静注もまた高アンモニア血症を悪化させることがある。
注:マンニトール静注はより安全なようである。
アルコール アルコール脱水素酵素(ADH)は肝の細胞質でNADHを産生するため、アルコール摂取はCTLN2発症の誘因となりうる。
薬物 アセトアミノフェンやラベプロゾールはCTLN2の誘因となるかもしれない。
リスクのある血縁者の評価
シトリン欠損症の症候はないが疾患リスクのある同胞では、発症前に乳児期からの適切な食事管理(母乳栄養の中止および乳糖除去ミルク・MCT強化ミルクの開始)を行うことができるよう、遺伝学的状況を明らかにすることがのぞましい。
シトリン欠損症の無症候/発症前の患者ではたいてい生化学的異常を認めることはないので、疾患リスクのある血縁者(同胞など)の確定診断には、発端者のSLC25A13遺伝子の分子遺伝学的所見に重きが置かれるだろう。
遺伝カウンセリングとして扱われるリスクのある血縁者への検査に関する問題は「遺伝カウンセリング」の項を参照のこと。
研究中の治療法
疾患や病態の広範囲にわたる臨床試験に関する情報は、米国ではClinicalTrials.govを、欧州ではwww.ClinicalTrialsRegister.euを参照のこと。注:この疾患に対する臨床試験は行われていない可能性がある。
「遺伝カウンセリングは個人や家族に対して遺伝性疾患の本質,遺伝,健康上の影響などの情報を提供し,彼らが医療上あるいは個人的な決断を下すのを援助するプロセスである.以下の項目では遺伝的なリスク評価や家族の遺伝学的状況を明らかにするための家族歴の評価,遺伝子検査について論じる.この項は個々の当事者が直面しうる個人的あるいは文化的な問題に言及しようと意図するものではないし,遺伝専門家へのコンサルトの代用となるものでもない.」
遺伝形式
シトリン欠損症は常染色体劣性遺伝形式で遺伝する。
患者家族のリスク
発端者の両親
発端者の同胞
発端者の子
もしシトリン欠損症患者で罹患者もしくは保因者である子どもがまだいないのならば、生まれてくる子どもは必然的にSLC25A13遺伝子変異のヘテロ接合体保有者(保因者)であるだろう。
発端者の他の家族
発端者の両親の同胞がSLC25A13遺伝子変異の保因者であるリスクは50%である。
保因者(ヘテロ接合体保有者)診断
疾患リスクのある血縁者に保因者診断を行うには、事前に家族内のSLC25A13遺伝子変異が同定されている必要がある。
遺伝カウンセリングに関連した問題
早期診断・治療目的の疾患リスクのある血縁者に対する検査についての情報は「臨床的マネジメント」「リスクのある血縁者の評価」を参照のこと。
家族計画
DNAバンキング
DNAバンクは(主に白血球から調整した)DNAを将来利用することを想定して保存しておくものである。検査技術や遺伝子、アレル変異、および疾患に対するわれわれの理解が将来さらに進歩すると考えられるので、罹患者のDNA保存を考慮すべきである。
出生前診断および着床前診断
ひとたび家族内でSLC25A13遺伝子変異が同定された場合、リスク妊娠の出生前検査や着床診断を行うことができる。特に早期診断ではなく妊娠中絶を考慮した検査である場合に、医療従事者や家族の間でも出生前検査に関して視点の違いが存在する可能性がある。ほとんどの施設は出生前診断に関する決定は両親の選択によると考えるだろうが、これらの問題に関して話し合うことがのぞましい。