会長,前会長挨拶

会長挨拶

平成29年度より日本皮膚病理診断研究会長職を拝命しました。

本研究会は真鍋俊明先生(当時京都大学、病理学教授、現名誉教授)が平成16(2004)年に立ち上げたものです。当時、病理医にとって、実際に皮膚病理のHE標本をみる実習形式の会はありませんでした。初回は京都大学で実施されましたが、募集と同時に定員(80人)いっぱいとなりました。真鍋先生の名声に寄りかかって始まりましたが、その後、京大以外の施設でも行われて、平成22年(2010)まで、春は病理学会のコンパニオンミーティングの枠を頂き、秋に独自に講習会を開いて継続しておりました。

真鍋先生の御退官とともに、休会となっておりました。その間も、皮膚病理を実際の現場で行っている先生方からは、再開の要望をお聞きする機会が何度となくありました。

そこで、実践の皮膚病理診断に役立つために、さらには、実際に生検や手術を行って検体を提出している、皮膚科医・形成外科医との間を取り持つために、研究会の再立ち上げを企図しました。皮膚科医が主導で運営されている「日本皮膚病理組織学会」では若者の教育を優先させており、そこに飛び込んで勉強された次世代の病理医の方達に、学術担当の理事になって頂きました。今後、皮膚病理を勉強するものが1つに集えることを目標に、まずは地道に病理医の皮膚病理診断のレベルアップを図りたいと存じます。

埼玉医科大学国際医療センター病理診断部
新井栄一

(平成29年9月11日 記)

前会長挨拶

第九代米沢藩主上杉鷹山は、一番藩の財政が悪化した時期に養子として米沢藩に迎えられます。苦労して財政を立て直そうとします。反対派も多くいました。ある時、大雪の中を江戸から帰藩します。寒く苦しい道中でした。その時、小さな炭火を見て鷹山が言います。「私がこの小さな炭火となりましょう。あなた方には、この志という火を受けて欲しいのです。そして、明日米沢城に入ったら、各職場で火種運動を起こしてもらいたい。そうすれば、町や村の人も志という火種を受けて、我々の取り組みに理解を示し協力してくれるでしょう。この火は最初は小さなものかも知れませんが、やがて、大きな炎となって、藩をも変える力となりましょう」 彼は、見事、藩に新たな産業を興し、黒字財政へと転換させます。

我々の先輩方も苦しい中、診断病理学を、そして皮膚病理診断学を病理界の中で、あるいは医療界の中で根付かせようと努力されて来られました。彼らの蒔いた火種は、消えることなく、細々とではありながらも続いていました。私もそのバトンを受け継いだ者の一人でしたが、十分にその火を熾したり、火種を蒔くことができませんでした。然るに、この度、新井栄一先生を中心とした火種が、大きく燃え盛って往くべく、皮膚病理診断研究会を再度立ち上げて下さいました。誠に有難いことと感謝に堪えません。学問の発展には、基礎を知ること、他の分野の知識にも精通すること、そして何よりも医療の場合は多くの症例に接すること、多くの人と意見を交わすことが大切です。そのような場を提供する研究会に育てていって欲しいと思います。そして、これらの活動を通し、この志という火種が、さらに受け継がれるように、人材を育成していかれることを願っています。

今後の皮膚病理研究会の発展をお祈りいたします。

滋賀県立成人病センター研究所顧問
京都大学名誉教授
CAP・検査室国際査察官
真鍋俊明

(平成29年9月11日 記)