研究会概要

研究会概要

 唾液腺腫瘍病理研究会は、1998年に「サリバリークラブ」として唾液腺腫瘍に興味のある国内の病理医、口腔病理医、細胞検査士6名が集まって症例検討を行ったのが始まりです。それ以降、毎年12月の日本唾液腺学会前日の金曜日に都内で開催されており、2020年で23回目を迎えます。それに加えて、日本病理学会総会(春期大会)時には、毎回その時々の時代のニーズに合わせた特定のテーマを設定してコンパニオンミーティングを開いています。本研究会の発足当初は10名程度で行っていましたが、毎年少しずつ会員数が増え、現在では150名を超えています。また最近では、上記の職種に加え、頭頸部外科医も参加しています。

 唾液腺腫瘍は頻度が比較的低く、個々の施設の症例のみでは経験値を積むことは困難で、しかも組織像が多様なため、病理診断は容易ではありません。本研究会では、多くの施設から診断に悩む症例や希少例を持ち寄って討論することにより、個々人の診断能力を高めることができ、全国レベルで唾液腺腫瘍病理診断の向上や標準化にも寄与していると自負しています。また、唾液腺の悪性腫瘍は希少癌に相当します。その診断と治療に関しては未だ十分に均てん化がなされておらず、本研究会の活動を通して診療レベルがアップし、治療への貢献が期待されます。

 昨今の病理診断においては、免疫組織化学的マーカーの進歩とともに、種々の腫瘍において遺伝子診断が導入されてきており、唾液腺腫瘍も例外ではありません。多くの唾液腺腫瘍で特定の遺伝子異常が発見されており、確定診断に役立っています。これら遺伝子診断に関する技術の発展や知識の吸収を行っていくことも必要となります。しかしながら、HE標本による詳細な形態観察と画像情報を含めた臨床像の把握が基本であることは昔から不変であり、この姿勢を保ちながらも、若手の病理医、口腔病理医、細胞検査士、頭頸部外科医に積極的に参加してもらい、次世代の後継者の育成も図って行きたいと考えています。

 本研究会はあくまでもオープンであり、参加資格は特に設けてありません。難解症例のコンサルテーション目的の1回限りの参加であっても、興味本位の覗き見気分でも構いませんので、唾液腺腫瘍に興味のある多くの医療従事者の方の参加を期待しています。ただし、研究会と懇親会の会場の関係から、本HPに記載してある事務局宛てに事前登録をお願いしています。なお、参加ご希望の方は、雑誌「病理と臨床」に案内を出していますのでそちらも併せてご覧下さい。

目的:
 本研究会は、本邦における唾液腺腫瘍病理診断の精度を向上させ、診療、教育、研究、広報などに寄与することを目的とする。

活動内容
 唾液腺腫瘍病理研究会を開催
・ 定例会:年1回(日本唾液腺学会の前日)
・ 日本病理学会総会(春期大会)におけるコンパニオンミーティング:年1回

代表  長尾 俊孝(東京医科大学人体病理学分野)
元代表 森永正二郎(日野市立病院病理診断科)
事務局 湊 宏(石川県立中央病院病理診断科)


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