研究法 │鎮痛と痛みの研究法│
多くの患者さんが痛みに苦しんでいる。
 痛みから開放するために、「鎮痛」と「痛み」の両方を研究する必要があるだろう。

 最近の痛みの研究のトレンド
  ☆患者さんにとって深刻な慢性痛に対する基礎研究
  ☆痛み関連分子
  1. 動物を対象とした研究
  2. ヒトを対象とした検査/研究

  1. 動物を対象とした研究
     動物を対象とする研究者は、常に研究の意義と重要性を考えなければならない。
      犠牲となる動物の数を最小にしなければならない。
      動物に与える苦痛を最小にしなければならない。
      自分が耐えられない痛みは動物に与えてはならない。

    生理学的な痛み physiological painの研究と病態生理学的な痛み pathophysiological pain
    • 正常動物を対象とした生理学的な痛みの研究
       ---急性痛の生理と解剖、生化学を研究する。
    • 痛みの疾患モデル動物を対象とした病態生理学的な痛みの研究
       ---患者で問題になる慢性痛のための研究であると考えられている。
          特に最近は、炎症性疼痛神経障害性疼痛の研究が多い。
    • ノックアウト動物を用いた研究
       loss of function
    自発痛 spontaneous painの研究と誘発痛 evoked painの研究
    • 疾患モデル動物の自発痛を評価する。
    • 正常動物動物および疾患モデル動物に侵害刺激を与えてそれに伴う反応を調べる。
       ・侵害刺激---侵害性機械刺激、侵害性熱刺激、侵害性化学刺激
       ・疾患モデル動物では、痛覚過敏アロディニアを評価する。
    行動学的研究法---覚醒動物の行動を解析
     動物実験においては、自覚的な痛みはとらえられないので、疼痛行動を持って痛みを評価する。

    電気生理学的研究法
    • 皮膚などの切り出し標本の神経線維からの記録
    • 新生ラット脊髄の摘出標本での記録
    • 培養細胞のパッチクランプ
    • スライス標本パッチクランプ
    • 麻酔動物の侵害受容神経の線維からの記録
    • 麻酔動物の侵害受容ニューロンの細胞内記録、細胞外記録
    • 麻酔動物の侵害受容ニューロンのインビボパッチクランプ

    組織化学的研究法
    • 免疫組織化学的研究
    • in situ ハイブリダイゼーション

    神経化学的研究法
    • マイクロダイアリシス法
    • 組織抽出法
    • 高速機クロマトグラフィーによる測定
    • 受容体結合実験法
    • 酵素免疫測定法

    イメージング
    • 細胞内Ca2+イメージング
    • 電位感受性色素を用いた光学記録
    • PET, MRI

    麻酔動物---軸索反射に伴う血流、皮膚温および浮腫の変化を記録


    ヒトを対象とした研究
    • 患者の痛みの検査
    • 正常被検者を対象とした研究


    Pain Relief