日本アドバンス・ケア・プランニング研究会設立主旨
当会は、2016年に任意団体の「ACP研究会」として発足しました。
2014年、2015年に厚生労働省の「人生の最終段階の医療体制整備事業」として、2年間で15ヵ所の医療機関により、ACP実践のモデル事業が行われました。当時、E-FIELDという意思決定支援についての研修プログラムを受けたスタッフが、自らの医療機関でACPを実践するというモデル事業でした。この事業の成果が認められ、その後、全国的な研修に発展しました。本会は、このモデル事業の参加医療機関のうち、研究会創設に同意したスタッフと事業評価を担当した国立長寿医療研究センタースタッフにより、ACP啓発を目的に創設されました。その後、年次大会を通じて会員を増やしつつ、2019年には「日本ACP研究会」に改名し、同年、「一般社団法人日本アドバンス・ケア・プランニング研究会」に法人化いたしました。
この5年間のうちに、厚生労働省の人生の最終段階の意思決定プロセスガイドラインの改訂(2018年3月)において、ACPの考え方が取り入れられたこと等で、医療関係者の中ではACPの知識が急速に広がり、さまざまな学会で、ACPのセッションがもたれるまでになってきました。一般市民向けにも「人生会議」という愛称が決められ、国としても積極的にACPが推進されています。しかしながら、ACP=事前指示書記載など、未だに誤解も多く、国内で適切なACPが実践されているとはいいがたい状況が続いています。さらには2020年からの新型コロナウイルスの流行は、現場のコミュニケーションを困難にするなど、ACP推進の妨げになっている状況です。
ACPはもともと進行期の慢性疾患を主な対象としていたため、今回のような急性期疾患におけるACPについては実践知の蓄積が乏しいといえます。しかしながら、このような困難な状況こそ、本会のACP推進関わる役割が強く求められていると思います。
このように本会は、国内で唯一のACPのみに特化した研究会として、コロナ禍の厳しい状況においても、国内でのACPの推進・普及を目的にさまざまな実践知を共有・蓄積するべく活動を続けて参ります。
国内でのACP推進についての思いがある方々に是非、本会会員として、ご活躍いただきたいと思っております。
このような趣旨にご賛同いただき、日本アドバンス・ケア・プランニング研究会に是非、ご入会いただきますようお願いいたします。
2021年7月吉日
一般社団法人日本アドバンス・ケア・プランニング研究会
代表理事 三浦 久幸
※本研究会は、平成28年5月に設立し、令和2年1月に一般社団法人となりました。