ヨーロッパ蘇生協議会(ERC)の心肺蘇生法ガイドライン 2005

第7部 特殊状況における心停止
(Section 7. Cardiac arrest in special circumstances)

目次
7a. 生命に危険のある電解質異常
7b. 中毒
7c. 溺水
7d. 低体温症
7e. 高体温症
7f. 喘息
7g. アナフィラキシー
7h. 心臓手術後の心停止
7i. 外傷性心肺停止
7j. 妊娠に関連した心停止
7k. 感電(Electrocution)
参考文献
AHA G2005の関連資料10.110.210.310.410.510.610.710.810.9


Resuscitation (2005) 67S1、S135-170
Annette Alfonzo, Anthony J. Handley, David Lockey, Gavin D. Perkins, Karl Thies
(最終更新 071223)

■7a. 生命に危険のある電解質異常

概観

 電解質異常が不整脈や心肺停止を引き起こすことがある。生命に危険のある不整脈は一般に血清カリウム値の異常(特に高カリウム血症)が関係しており、またカリウム異常ほど多くないが、血清カルシウムとマグネシウムの異常も関係している。(一方)生命に危険のある電解質異常に対しては、検査結果が判明する前に治療を開始する必要がある。

 電解質値が正常範囲にあるかどうかは、治療を必要とするかどうかの判断材料として使われている(chosen as a guide to clinical decision-making)が、治療を決心させる正確な検査値(the precise values)は患者の臨床症状および電解質値の変化速度によって変わりうる。心停止中の電解質異常の処置のための根拠となる証拠はほとんどない(little or no evidence base)。 心停止中の治療方針(guidance)は、非心停止患者で使用される治療方針に基づいている。ガイドライン2000(the International Guidelines 2000)1以来、これらの異常に対する治療方針に大きな変化はない1

電解質異常の予防

カリウム異常

カリウム・ホメオスタシス(Potassium homeostasis)

 細胞外のカリウム濃度は3.5〜5.0mmol L-1の間に厳密に制御されている(is regulated tightly)。通常(normally)、細胞内液と細胞外液の間に大きな濃度差が存在する。この細胞膜を隔てたカリウム濃度の差(勾配)は神経と心筋を含む筋細胞の興奮性に関与している。血清カリウム値を評価する際には、血清pHの変化の影響を考慮する必要がある。血清pHが低下するとカリウムが細胞から血管内へ移動するので、血清カリウムが増加する。 血清pHが上がるとカリウムが細胞内に移動するので、血清カリウムは減少する。それゆえ、高または低カリウム血症を治療する際には、pH変化の血清カリウム値への影響を考慮に入れておく(anticipate)。

高カリウム血症

 これは心肺停止に伴う最も一般的な電解質異常である。高カリウム血症は普通、細胞からのカリウム放出の増加、あるいは腎からの排泄障害によって引き起こされる。

 定義:世界共通の定義は存在しないが、ここでは高カリウム血症を5.5mmol L-1以上の血清カリウム濃度として定義した。実際上、高カリウム血症は境界を有しない連続した事象である(in practice, hyperkalaemia is a continuum)。カリウム濃度がこの値(5.5 mmol L-1)を超えると、有害事象の危険性が増し応急処置の必要性も増加する。重症高カリウム血症は6.5mmol L-1以上の血清カリウム濃度と定義されている。

 原因:腎不全、薬剤(アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、カリウム保持性利尿薬、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、ベータ受容体遮断薬、トリメトプリム)、組織破壊(横紋筋変性、腫瘍溶解、溶血)、代謝性アシドーシス、内分泌異常(アジソン病)、高カリウム性周期性四肢麻痺あるいは食事(それは確定している腎不全患者における唯一の原因かもしれない)などがある。 異常赤血球症あるいは血小板増多症は偽性高カリウム血症を引き起こすかもしれない(may cause a spuriously high potassium concentration)。ACEIとNSAIDあるいはカリウム保持性利尿薬の併用のような複数の要因が重なった場合(when there is a combination of factors)、高カリウム血症の危険はさらに高い。

 高カリウム血症の認識:不整脈または心停止患者では(血液検査にて)高カリウム血症を除外する2。患者は、弛緩性麻痺、感覚異常、深部腱反射の減弱などを呈するかも知れない。高カリウム血症の最初の徴候が、心電図異常、不整脈、心肺停止あるいは突然死のこともある。高カリウム血症による心電図への影響は絶対的な血清カリウム値と最も関係するが、その増加率にも依存する。ほとんどの患者は6.7 mmol L-1以上の血清カリウム濃度で心電図異常を来たす3。高カリウム血症の心電図異常は通常進行性(progressive)で、次のようなものがある。

  • I度心ブロック(PR間隔0.2s 以上に延長)
  • P波の平坦化あるいは消失
  • 高く、直立したT波(1つ以上の誘導でR波より高い)
  • ST低下
  • S波とT波の融合
  • 幅広いQRS波(>0.12s)
  • 心室頻拍(VT)
  • 徐脈
  • 心停止(つまり無脈性電気活動(PEA)、心室細動(VF)、心静止)

 高カリウム血症の治療:高カリウム血症の治療の 5つの重要なステップは以下の通りである。

  1. 高カリウム血症の心筋への作用に拮抗することによる心臓の保護
  2. 細胞内へカリウムを移動させること
  3. 体内からカリウムを除去すること
  4. 高カリウム血症の再発がないかどうか(for rebound hyperkalaemia)血清カリウムをモニターすること
  5. 高カリウム血症の再発予防

 高カリウム血症が強く疑われる場合、例えば、心電図変化がある場合には、検査結果が判明する前であっても救命治療を開始する必要がある。 高カリウム血症の治療は最近のCochrane reviewの主題である4

 心停止ではない患者:患者が心停止でない場合には、体液の状態を評価する。循環血液量減少の場合は、尿のカリウム排泄を促進するために輸液をする。以下の分類に用いた値はおおよそのガイドである。軽度上昇(5〜5.6mmol L-1)の場合、次のいずれかにより体内からカリウムを除去する。

  • カリウム交換樹脂、つまり 20%ソルビトール50〜100mLに溶かしたカルシウム・レゾニウム15〜30gもしくは硫酸ポリスチレンナトリウム(KayexalateR)15〜30gを経口もしくは注腸投与(1〜3時間で発現し、6時間で最大効果)

  • 利尿薬、つまりフロセミド1 mg kg-1をゆっくり静注(利尿を伴って発現)

  • 透析; 血液透析は、カリウム除去に関し(即時発現、血液透析で 25〜30mmolカリウム h-1の除去)腹膜透析より効率的

心電図変化のない中程度の上昇(6〜6.5 mmol L-1)の場合、次のように細胞内へのカリウムの移行をはかる。

  • ブドウ糖/インスリン:10単位の短時間作用性のインスリンと50gのグルコースを15〜30分かけて点滴静注(15〜30分で効果発現)、30〜60分後に最大の効力。血糖値をモニターすること)。上記の体内からの除去法(removal strategies)に追加して行う。

心電図変化のない高度な上昇(≧6.5mmol L-1)の場合、次のいずれかにより細胞内へのカリウムの移行をはかる。

  • ネブライザーにてサルブタモール5mgの何回かの投与が必要かもしれない(15〜30分で効果発現)

  • 重炭酸ナトリウム、代謝性アシドーシスがある場合、5分かけて50mmolを静注 (15〜30分で効果発現)。重炭酸ナトリウム単独ではサルブタモールのネブライザーとグルコース+インスリンほど有効ではない。これらの薬物治療と併用するのが良い5,6

  • 上記の体内からの除去法に加えて、これまで紹介したいくつかの細胞内移行剤を使用する(use multiple shifting agents)。

 中毒性の心電図変化を伴った高度な上昇(≧6.5mmolL-1)の場合、次のように心臓をまず保護する。

  • 塩化カルシウム、心筋の細胞膜に対する高カリウム血症の中毒作用に拮抗するために 2.5分かけて 10mLの10%塩化カルシウムを静注する。これは心室細動の危険性を減らすことにより心臓を保護する(1〜3分で効果発現)が、血清カリウム値は低下させない。(さらに)上に述べたカリウム除去および細胞内移行法を追加する。

 心停止中の患者。 患者が心停止であれば、電解質異常があったとしてもBLSに変わりはない。二次救急(ALS)については、ユニバーサル・アルゴリズムに従う。(この場合の)治療法は、高カリウム血症の程度、血清カリウムの上昇率(the degree of hyperkalaemia)および患者の臨床症状によって決まる。

 心肺停止では、心臓をまず保護して、(さらに)以下に述べるように細胞内への移動と体内からの除去をはかる。

  • 塩化カルシウム:心筋の細胞膜に対する高カリウム血症の中毒作用に拮抗するために10%の塩化カルシウム10mLを急速静注

  • 重炭酸ナトリウム: 50mmol急速静注(重症アシドーシスあるいは腎不全がある場合)

  • ブドウ糖/インスリン:10単位の短時間作用性インスリンと50gのグルコース急速静注

  • 血液透析: 内科的治療に抵抗性の高カリウム血症によって引き起こされた心停止の場合に考慮する。

 透析の適応:血液透析は身体からのカリウムの除去に最も有効な方法である。主要な原理(principal mechanism)は膜内外のカリウムイオンの濃度差によるカリウムイオンの拡散である。典型例では血清カリウムは最初の60分で1mmol L-1低下し、次の2時間で1 mmolL-1下がる。腎不全が分かっている場合や乏尿性の急性腎不全(1日尿量400mL以下)を伴う場合、あるいは著しい組織破壊が存在する場合、血液透析を早期に考慮する。 高カリウム血症が内科的治療に抵抗性の場合にも、透析の適応となる。最初の治療の後、 血清カリウムはしばしば再上昇する(frequently rebounds)。循環動態が不安定な患者においては、持続的静脈―静脈血液ろ過(CVVH)は間欠的な血液透析より心拍出量を減少させにくい(less likely to compromise cardiac output)。

低カリウム血症

 低カリウム血症は入院患者でよくみられる電解質異常である7。低カリウム血症は不整脈の発症頻度を高めるが、特に心疾患のある患者(with pre-existing heart disease)やジゴキシンを使用中の患者で顕著である。

 定義:低カリウム血症は血清カリウムが3.5mmol L-1以下と定義される。高度な低カリウム血症は血清カリウムが2.5mmol L-1以下と定義され、しばしば臨床症状を伴う。

 原因:低カリウム血症の原因は様々で、胃腸からの喪失(下痢)、薬剤(利尿薬、緩下剤、ステロイド)、腎からの喪失(腎尿細管障害、尿崩症、透析)、内分泌障害(クッシング症候群、高アルドステロン症)、代謝性アルカローシス、マグネシウム欠乏および摂取不足などがある。さらに高カリウム血症に対して行なわれる治療が低カリウム血症を引き起こすかも知れない。

 低カリウム血症の認識:不整脈か心停止にあるすべての患者で低カリウム血症を除外すべきである。 透析患者では、低カリウム血症が血液透析の終わりに、あるいは持続携行式腹膜透析(CAPD)による治療中に一般的に生じる。

 血清カリウム値が低下するにつれ、神経と筋肉が主に影響される。その結果、疲労、筋力低下、脚のけいれんおよび便秘が引き起こされる。 重篤な場合には(血清カリウム値が2.5mmol L-1以下)、横紋筋変性、上行性の麻痺(ascending paralysis)および呼吸困難が生じるかも知れない。

 低カリウム血症の心電図変化は次のようなものである。

  • U波
  • T波平坦化
  • ST変化
  • 不整脈、特に患者がジゴキシンを服用している場合
  • 心肺停止(PEA、VF、asystole)

 治療:治療は低カリウム血症の重症度と、臨床症状や心電図異常の有無によって決まってくる。カリウムは緩徐に補充するのが望ましいが、緊急時には静脈内投与が必要である。推奨される最大静脈内カリウム投与速度は20mmol/時 だが、心停止が切迫している不安定な不整脈に対して、より急速な投与(例えば2 mmol/分で10分間、その後5〜10分かけて10mmol) が適応となる事もある。カリウム静脈内投与中には連続的な心電図モニタリングが不可欠であり、(また)血清カリウム濃度を反復測定して投与量を調節(titrate)する必要がある。

 カリウム欠乏患者の多くはマグネシウムも不足している。マグネシウムは、特に心筋において、カリウム取り込みおよび細胞内 カリウム濃度の維持のために重要である。マグネシウム不足時にこれを補給(repletion of magnesium stores)すると、低カリウム血症がより迅速に是正されるので、 重篤な低カリウム血症の場合に推奨される8

カルシウムとマグネシウムの異常

 カルシウムとマグネシウムの異常の認識および管理については表7.1にまとめた。

表7.1 カルシウムおよびマグネシウムの異常とその臨床症状、心電図所見、推奨される治療
異常の内容原因臨床症状心電図所見推奨される治療
高Ca血症
(Ca2+>2.6mmol L-1
原発性または三次性
・副甲状腺機能亢進症
・悪性新生物
・サルコイドーシス
・薬剤性
・錯乱(confusion)
・脱力
・腹痛
・低血圧
・不整脈
・心停止
・QT間隔短縮
・QRS間隔開大
・T波平坦化
・房室ブロック
・心停止
・輸液
・フロセミド 1mg kg-1 IV
・ヒドロコーチゾン200〜300mg IV
・パミドロ酸60〜90mg IV
・カルシトニン
 4〜8units kg-1 8h-1 IM
・投薬歴を調べる
・血液浄化
低Ca血症
(Ca2+<2.1mmol L-1
・慢性腎不全
・急性膵炎
・Ca2+チャネル遮断薬の過量
・トキシックショック症候群
・横紋筋融解症
・腫瘍融解症候群
・パレステジア
・テタニー
・痙れん
・房室ブロック
・心停止
・QT間隔延長
・T波逆転
・心ブロック
・心停止
・10%塩化カルシウム10〜40mL
・50%硫酸マグネシウム4〜8mmol(必要により)
高Mg血症
(Mg2+>1.1mmol L-1
・腎不全
・医原性
・錯乱(confusion)
・脱力
・呼吸抑制
・房室ブロック
・心停止
・PRおよびQT間隔の延長
・テント状 T波
・房室ブロック
・心停止
・10%塩化カルシウム5〜10mL
 (必要により繰り返す)
・呼吸管理(必要により)
・生食利尿(0.9%食塩水+
 フロセミド1mg kg-1
・血液透析
低Mg血症
(Mg2+<0.6mmol L-1
・消化液喪失
・多尿
・飢餓
・アルコール中毒
・吸収不良
・振戦
・失調
・眼振
・痙れん
・不整脈(トルサードドポアンツ)
・心停止
・PRおよびQT間隔の延長
・ST低下
・トルサードドポアンツ
・T波逆転
・P波平坦化
・QRS波開大
重症例または有症性
・2g 50%硫酸マグネシウム
 4mL (8 mmol) IV(15分かけて)
トルサードドポアンツ
・2g 50%硫酸マグネシウム
 4mL (8mmol) IV(1〜2分で)
痙れん
・2g 50%硫酸マグネシウム
 4mL (8mmol) IV(10分かけて)


まとめ

 電解質異常は、不整脈の最も一般的な原因である。すべての電解質異常のうち、高カリウム血症は最も急速に致命的となる(is most rapidly fatal)。早期に電解質異常が潜んでいる事を疑い(a high degree of clinical suspicion)、直ちに治療する事により、多くの患者の心停止への進行を防止できる。


■7b. 中毒

一般的な考察

 中毒は心停止の原因としては稀であるが、40歳以下では今も最も多い原因である9-12。このトピック上での大部分の研究は、主として少数の症例集積研究、動物実験および症例報告である。

 治療的あるいは嗜好的な薬剤による自己中毒は入院の主な理由である。薬物毒性は不適当に薬を服用することおよび薬物相互作用により引き起こされる場合もある。事故による中毒は小児において最も一般的である。殺人目的の中毒は珍しい。業務災害、 交戦状態あるいはテロリズムは化学薬品あるいは放射線による広汎な被曝(extensive chemical or radiation exposure)を引き起こすかもしれない。本ガイドラインでは、多数の死傷者の出るような中毒災害(mass casualty incidents)における汚染除去(除染)および安全管理については触れていない。

蘇生

 自己中毒患者の治療は薬物排泄を待つ一方で、心肺停止を防止するところの、ABCDEアプローチに基づく13。意識レベルの低下から二次的におこる気道閉塞および呼吸停止が、死亡の一般的原因である。アルコール過剰はしばしば自己中毒に関係している。

特異的治療

 直ちに行える中毒に対する特異的治療はほとんどない。保存的集中治療が重要であり、低酸素症、低血圧および酸/塩基ならびに電解質異常の是正を行う。

 治療には摂取された毒物の吸収の制限、(体外)排出の促進、あるいは特異的解毒薬の使用がある。重篤であるか珍しい中毒 の最新の治療法については、毒物センターの助言を求める。

特異的解毒薬

 ここでは、中毒による心肺停止のいくつかの原因だけを述べる。

オピオイド中毒

 オピオイド中毒は、一般に呼吸の抑制を起こし、それに続く呼吸不全または呼吸停止を引き起こす。 オピオイドの呼吸に対する影響は、麻薬拮抗剤ナロキソンによって迅速にリバースされる。オピオイドにより引き起こされた呼吸抑制の症例において、 ナロキソンを与える前に気道の開放、酸素投与および換気が実施された場合、高度の呼吸抑制下での有害事象は少ないというエビデンスがある25-30。しかしながら、ナロキソンを使用することにより挿管が必要でなくなる(可能性がある)。ナロキソン投与のための好ましいルートは、救助者の技術によって異なり、静注、筋注、皮下注、気管内 (ET)・鼻腔内(IN)投与ができる。 非静脈内投与法(the non-IV routes)では静脈路(静脈内薬物乱用者においては確保が非常に困難)を確保する必要がないので時間を節約でき、迅速に投与できるナロキソンの初回量は、400mcg静注27、800mcg筋注、800mcg皮下注27、2mgの鼻腔内投与31あるいは 1〜2 mcgの気管内投与である。オピオイドの大量過剰服用の場合は、分割投与で様子をみながら合計6〜10mgまで使用する(require titration to a total naloxone dose of 6-10 mg)必要があるかもしれない。ナロキソンの作用の持続時間はおよそ45〜70分であるが、呼吸抑制はオピオイドの過剰服用後4〜5時間継続する可能性がある。従って、ナロキソンの臨床的効果は重大なオピオイド過剰服用の効果が消失するまで続かないかもしれない。患者が十分に呼吸でき気道防御反射が回復するまで、ナロキソンの投与量を調節しながら追加投与する(titrate the dose dose until the victim is breathing adequately and・・)。

 オピオイド作用の急激な中断は、交感神経系の過緊張を生じ、肺水腫、心室性不整脈 および激しい興奮のような合併症を引き起こすかもしれない。オピオイド依存の疑いのある患者では、ナロキソンによるリバース(naloxone reversal of opiate intoxication)は注意して行う。

 オピオイドの毒性に関連した心停止が生じた後にナロキソンを投与して転帰が改善するという確かなエビデンスはない。(オピオイド中毒時の)心停止は通常、呼吸停止に続発するもので、重症の低酸素脳症を伴う(可能性がある)。予後は不良である26。ナロキソンを与えることは恐らく有害ではない。一旦心停止が生じたならば、標準蘇生プロトコルに従うこと。

三環系抗うつ薬

 三環系抗うつ薬による自己中毒は一般的で、低血圧、けいれん発作および不整脈を引き起こす場合がある。 抗コリン作用には、瞳孔散大、発熱、乾燥皮膚、一時的精神錯乱、頻脈、腸閉塞および尿閉がある。 最も生命に危険のある問題は摂取後最初の 6時間以内に生ずる。幅広いQRS波(a widening QRS complex)は、不整脈のより大きな危険を示唆する。 三環系抗うつ薬によって引き起こされた不整脈ならびに低血圧を治療するための重炭酸ナトリウムの使用を支持するエビデンスがある32-47。QRS幅がいくらになったら治療を開始すべきかについては分かっていない。重炭酸ソーダ治療の際の最適の動脈または尿のpHの目標値を調査した研究はないが、7.45〜7.55の動脈血pHが一般に受入れられており、合理的であろう。高張食塩水も心毒性の治療に有効かもしれない48

コカイン中毒

 コカイン中毒に関連した交感神経過剰刺激は、興奮、症状のある頻脈、高血圧緊急症、高体温および胸痛を伴う心筋虚血を引き起こすかもしれない。三硝酸グリセリンおよびフェントラミンが、コカインにより引き起こされた冠状動脈攣縮を寛解するが、 ラベタロールは有意な効果がなく、また、プロプラノロールはそれを悪化させる49-52。 少量のベンゾジアゼピン注射液(ミダゾラム)、ジアゼパム、ロラゼパムは、有効な第一選択薬である。心筋虚血に対するセカンドライン治療としてのみ硝酸塩を使用する。ラベタロール(αおよびβ受容体遮断薬)はコカイン中毒による頻脈と高血圧性緊急症の治療に役立つ。

薬剤が原因の高度徐脈

 中毒あるいは薬の過剰服用による高度の徐脈は、薬剤が受容体に長く結合していたり直接的細胞毒性を起こすため、標準ALSプロトコルに反応しないかもしれない。アトロピンは有機燐化合物、カーバメート剤あるいは神経ガス中毒(nerve agent poisoning)において、救命的かもしれない。アセチルコリンエステラーゼの抑制物質によって引き起こされた徐脈に対し、アトロピンを投与する。臨床的効果を得るためには大量 (2〜4mg)を反復して投与することが必要かも知れない。イソプレナリン(イソプロテレノール)は、β受容体遮断薬が原因の抵抗性徐脈に対し高用量で投与すれば有用かもしれない。ジギタリスまたはジギタリス配糖体中毒に関連した心臓ブロックと心室性不整脈は、ジゴキシンに対する特異的抗体フラグメントが有効かもしれない53。さらに、抗体特異的治療はジギタリス配糖体を含有している植物や中国の漢方薬による中毒に有効かもしれない53-55

 血管収縮剤、強心剤、カルシウム、グルカゴン、ホスホジエステラーゼ阻害薬およびインシュリン・グルコースはすべて、β受容体ならびにカルシウムチャンネル遮断薬の過剰服用に有効かもしれない56-58。経皮的ペーシングは中毒または過剰服用(poisoning and overdose)により引き起こされた高度徐脈に有効かもしれない(第3部参照)。

さらなる治療および予後

 意識障害患者を長時間同じ体位にしていると褥瘡と横紋筋融解を引き起こす場合がある。主な電解質 (特にカリウム)、血糖および動脈血液ガスをする。 体温調節が障害されるので、体温をモニターする。低体温症も高体温症(異常高熱)もいくつかの薬の過剰服用の後に生じる場合がある。分析のために血液および尿のサンプルを保存する。毒物が集中的な救命治療中に代謝され排 泄されるかもしれないので、特に若い患者では、長期間の蘇生を継続することについて(心の)準備をすること。重症中毒患者に有効かもしれない代替アプローチは以下の様なものである。


■7c. 溺水
(Section 7. Cardiac arrest in special circumstances)

概観

 溺水はヨーロッパにおける不慮の事故死の一般的な原因である。溺水の最も重要で有害な合併症は、低酸素である。低酸素の時間は、傷病者の転帰を決定する重要な要素である。故に、酸素化、換気、循環はできる限り早期に回復されるべきである。現場での早期の蘇生が、溺水後の救命や神経学的な回復に必須である。これには、バイスタンダーによるCPRの施行に加えて、早期のEMSシステムの起動が必要であろう。傷病者が病院に到着した時に、自己の循環と呼吸があれば、通常、よい転帰をもって回復するであろう。

疫学

 WHOは溺水による死亡者は世界中で毎年約45万人に上ると見積もっている。さらに、溺水による早死(premature death)や機能障害の結果として、130万のDALYs(Disability Adjusted Life Years;障害調整生存年機能障害)が毎年失われる59。(また)溺水による死亡の97%が低中度所得国で生じている59。2002年には、英国で427例(王立事故防止協会 Royal Society for the Prevention of Accidents)、アメリカ合衆国では4,073例(国立外傷防止センター)の溺水による死亡が起き、人口10万人あたりそれぞれ年間0.8、1.45人と推定される。溺水による死亡は若年男性に多く、ヨーロッパでも若年男性の不慮の事故による死亡の最大の原因である59。溺水の70%までが飲酒がらみである(alcohol consumption is a contributory factor)60

 この章では多数水難犠牲者発生事故(mass casualty aquatic incidents)管理よりも、個々の溺水犠牲者の治療について述べる。

定義、分類、報告

 30以上の異なる用語が、水没(submersion)と水浸(immersion)に関連した事故の過程と転帰について記載するために使用されてきている61。国際蘇生連絡協議会(ILCOR)は、溺水 (drowning)の定義を明確なものにし(to improve clarity)、将来の科学的あるいは疫学的報告における相互比較を容易にするために(to help comparability of future scientific and epidemiological reports)ために、その新しい定義を提案してきた62。溺水(drowning)という用語そのものは、液体に水没(submersion)または水浸(immersion)することによって原発性に呼吸が障害される過程 と定義される。この定義は液体と空気の接点が傷病者の気道の入り口に存在し、傷病者の呼吸を妨げていることを意味している(Implicit in this definition is・・)。傷病者はこの過程を経て生存または死亡するが、転帰がどうあれ傷病者は統計上、溺水事故例(drowning incident)に含められている。水浸(immersion)は傷病者の身体が水か他の液体に覆われてしまうことを意味する。溺水(drowning)が起こるためには、通常、少なくとも顔と気道が浸かっていなくてはいけない。水没(Submersion)は気道を含む体全体が、水または他の液体に沈んでいることを意味する。

 ILCORは以前使用していた以下の用語はもはや使用されるべきではないと勧告する。dry and wet drowning(乾燥溺水、湿潤溺水)、 active and passive drowning (能動的溺水、受動的溺水)、silent drowning(沈黙の溺水、訳者註)、secondary drowning(二次溺水)、drowned と near- drowned(溺死と溺水、訳者註62

訳者註:
  1. silent drowning―もがきも叫びもせずに眠るように溺れる例があり、それを「silent drowning」と称して来たようだ。この語に関して、定着した日本語訳はないように思われる。以下に「silent drowning」を来した事例が紹介されている。
    http://www.timesonline.co.uk/article/0,,2-1758665,00.html
  2. 「drowned」と「near-drowning」―これまでの「溺水」に関する用語として、drowned=溺死、near-drowned=溺水(溺れたがその時点では死に至っていない)という使い分けがあった。

一次救命処置(Basic life support, BLS)

水中での蘇生と水中からの救出

 安全を常に意識し、救助者と傷病者の危険を常に最少限にする。可能ならどんな時も、水の中に入ることなく、溺水者を助けることを試みる。傷病者に話しかけ(て励まし)たり、救助用具(例えば棒や衣服)を差し出したり、ロープや浮力のある救助用具を投げることは、傷病者が陸地に近ければ有効かもしれない。他の方法としては(alternatively)、ボートや他の水上の乗り物 を救助の助けとする。可能ならばどんな時にも、水の中に入ることを避ける。もしどうしても水中に入ることが必要ならば、浮力のある救助用具や浮き具を身に着ける。

 溺水者を最も早く安全な方法で水から引き上げ(Remove all the drowning victims from the water by the fastest and safest means available)、できるだけ早く蘇生を行う。溺水者における頸椎損傷の発生率は低い(約0.5%)63。脊椎固定は水中で実行するのは困難で、水からの引き上げと傷病者への適切な蘇生を遅らせる可能性がある。頸椎カラー を正しく装着しないと、意識のない患者では気道閉塞を来たすおそれがある64。脊椎損傷の可能性があっても(しかも、例え脊椎固定器具を使用できなくても)、脈も呼吸もない(溺水)傷病者は可能な限り早く水から引き上げるべきである。この間、できるだけ頚部の屈曲と伸展を避けるようにする。重篤な脊髄損傷の徴候が明らかでないか、経過からその可能性が高い(the history is consistent with the possibility of severe injury)のでなければ、頚椎固定は不要である65。 重篤な脊髄損傷を疑わせる状況には飛び込み、ウォータースライダーの使用、外傷の徴候、アルコール中毒の徴候などがある。 (なお)水浸後の低血圧と心血管系の虚脱のリスクを最少限にするために、可能な限り(whenever possible)水平位で傷病者を水から引き上げる66

救助呼吸

 溺水者に対してまず必要な、また最も重要な治療(the first and most important treatment)は低酸素血症を改善することである。救助呼吸すなわち陽圧呼吸を早期に開始することで救命率が上昇する67,68。傷病者が無呼吸の場合、傷病者の気道が開かれ、救助者の安全が確保され次第、すぐに救助呼吸を始める。これは、傷病者がまだ浅瀬にいる場合にも実行可能なことがある。傷病者の鼻をつまむのが難しいこともあり、口対口人工呼吸の代わりに口対鼻人工呼吸を行っても良い。傷病者が水深のある場所で引き上げられた場合(if the victim is in deep water)、訓練を受けている救助者ならば水上での人工呼吸(in-water rescue breathing)を始める。(この処置は)浮力のある救助用具に支えられながらが理想的ではある69が、それがなくても、不可能ではない(unsupported resuscitation may also be possible)70。訓練を受けていない者は、水深のある場所ではどんな蘇生処置も試みてはならない(should not attempt to perform any form of resuscitation)。

 気道を開いた後に自発呼吸がなければ、救助呼吸を約1分間行う69。傷病者が自発呼吸を再開しない場合の、その後の対応は陸地からの距離によって異なる。傷病者を5分の救助時間内に陸へ運ぶことが可能ならば、移動中も救助呼吸を続行する(continue rescue breaths while towing)。陸地まで5分以上かかると予想されるならば、さらに1分間の救助呼吸を行い、その後はさらなる人工呼吸はせずにできるだけ早く傷病者を陸地へ向けて運ぶ69

 誤嚥した水を気道から除く必要はない。溺水者のほとんどは、少量の水しか(気道や肺に)吸引していないし、この水は急速に中心循環に吸収される。吸引(suction)以外のどんな方法を用いても、気道から水を取り除こうとする事は不必要で危険である。腹部突き上げ法は、胃液の逆流とそれによる誤嚥を引き起こす。この方法では生命にかかわる他の損傷も引き起こしたことがあり、異物による気道閉塞のサインが明らかでなければ行うべきではない71

胸骨圧迫

 傷病者を水から引き上げたらすぐに呼吸を確認する。脈を触知する訓練を受けている医療専門家は脈の確認をしてもよい。しかし、溺水者において脈を触知することは、特に低体温の場合、極めて難しい。もし、傷病者が呼吸をしていなければ、すぐに胸骨圧迫を開始する。水上での胸骨圧迫は効果的ではない(ineffective in water)72,73

除細動

 もし、傷病者の反応・呼吸がなくAEDが使用可能ならば、AEDを傷病者に装着しスイッチを入れる。AEDのパッドを装着する前に、粘着可能にするために傷病者の胸を(拭いて)乾かす。AEDの指示(the AED prompts)に従ってショックを与える。もし傷 病者の核心温が30℃(86゜F)以下ならば、核温が30℃(86゜F)以上に上がるまでは、除細動の回数は計3回までとする74

蘇生中の嘔吐

 胃内容の嘔吐は溺水者の蘇生後にはよく起きることで、その気道を維持することを困難にする(will complicate efforts to maintain a patent airway)。ある研究では、救助呼吸を受けた傷病者の2/3、胸骨圧迫と人工呼吸を受けた者の86%に嘔吐が起こった75。もし嘔吐が起きたら、傷病者の口を側方に向け、可能ならば直接吸引して吐物を取り除く。もし脊髄損傷が疑われるならば、吐物を誤嚥する前に、頭部、頚部および体幹を一直線に保ったまま傷病者をログロール(log-roll、 訳者註)する。ログロールには数人の救助者が必要であろう。

訳者註:ログロール(log roll)―丸太(log)のように頭部、頚部および体幹を一直線に保ったまま、傷病者を回転させる(roll)方法

二次救命処置(ALS)

気道と呼吸

 初期評価の間、自発呼吸のある溺水者には、高流量の酸素を投与する。もし傷病者が高流量の酸素による治療に反応しないなら、非侵襲的換気(訳者註)や持続的気道内陽圧(CPAP)を考慮する76。経皮的酸素飽和度測定(パルスオキシメトリー)や動脈血ガス分析を行い、吸入酸素濃度を調節(titrate)し、また換気条件を評価するための指標とする(provide an indicator of the adequacy of ventilation)。これらの初期治療に反応しない傷病者や、意識レベルが悪化した者に対しては、早期の気管挿管や調節呼吸を考慮する。気管挿管の前には十分な酸素化を行う(Take care to ensure optimal preoxygenation before intubation.)。誤嚥の可能性が高いのでそれを防ぐために(to reduce the high risk of aspiration)、輪状軟骨圧迫法を用いた急速導入法を行う77。心肺停止時には、蘇生の早い段階で、理想的には気管チューブを用いて傷病者の気道を保護する。肺コンプライアンスが小さく高い吸気圧を必要とする場合、ラリンジアルマスクのような補助(的気道確保)用具の使用は制限されるかも知れない。重篤な低酸素血症を伴う可能性があり(the severe hypoxaemia that is likely to be present)、できる限り早期に高い吸入酸素濃度を用いた人工呼吸を開始する。

訳者註:非侵襲的換気については以下を参考にした。
http://www.draeger-medical.com/MT/internet/JP/jp/prodserv/education_training/niv/int_edu06_niv.jsp

循環と除細動

 標準的な二次救命処置(ALS)のプロトコルに従う。もし、核温が30℃(86゜F)以下の重度の低体温があるなら、除細動は3回までとし、核温がこの温度を超えるまで薬物の静脈内投与も行わない。もし、中等度の低体温が存在するならば、薬物の静脈内投与を標準よりも長い間隔で行う(第7章d参照)。

 長時間 水浸していると、体内の水の流体静力学的圧によって、傷病者が低容量になる可能性がある。低用量を補正するために輸液をするが、肺水腫を引き起こす恐れもあり、過剰な量は避ける。自己循環が戻った後は、輸液蘇生(fluid resuscitation) の指標とするために血行動態のモニターを行う。

蘇生努力の中止

 溺水者に対する蘇生努力を中止する決定は、紛れもなく困難である。生命予後が良いか悪いかを、100%の精度で正確に予測する単独の要因は存在しない。(また)現場で行われた決定が、後に誤っていたと判明することはしばしば起きる78。蘇生の試みが無駄(futile)であるという明らかな根拠(例えば、重大な外傷、死後硬直、腐敗など)がない限り、また医療施設への搬送を適切な時間内に実施できない(timely evacuation to a medical facility is not possible)というような状況でない限りは、蘇生を続ける。60分以上水浸していた何人かの傷病者が神経学的後遺症なく回復したと言う報告がある79,80

蘇生後の治療

海水と淡水

 海水と淡水での溺水の相違に対して、過去には多くの興味が注がれてきた。動物実験やヒトの症例研究からの大規模なデータによって、吸入した液体の浸透圧は無関係(irrespective of the tonicity of the inhaled fluid)で、サーファクタントの洗い流しや機能不全、肺胞の虚脱、無気肺および肺内シャントによって引き起こされる低酸素が重要な病態であることが示されている。電解質異常においてわずかな相違が見られるが、臨床的な意味はあまりなく、通常治療の必要はない。

肺傷害

 溺水者は水没後72時間のうちに成人呼吸窮迫症候群(ARDS)になる危険性が高い。ARDSの患者では、保護的換気治療(protective ventilation strategies)が生存率を改善する81。肺胞が虚脱する傾向があるので、重篤な低酸素血症を改善するためにはPEEPや他の虚脱肺胞の再膨張処置が必要かも知れない82。体外式膜型人工肺(ECMO)やNOの投与は溺水者の重篤な低酸素血症に対する手段としていくつかの施設で用いられてきたが、その効果は証明されていない65

 溺水後には肺炎がよく生じる。抗生物質の予防的投与が有効かどうかわかっていないが、下水のようなひどく汚れた水に水没した後などには、考慮してもよいかもしれない。感染の兆候が見られるようになれば、抗菌スペクトルの広い抗生物質を投与する65

低体温

 水没した傷病者は一次性、またはニ次性の低体温に陥るおそれがある。水没が非常に冷たい水(5℃または41゜F未満)で起きた場合 低体温は急速に起こり、低酸素に対していくらかの予防効果をもたらす。しかし、このような効果は典型的には小児が非常に冷たい水に水没した場合に報告されている59。低体温は水没のニ次的な合併症としても生じる可能性があり、蘇生中にも蒸泄(evaporation)によって熱が失われる。このような傷病者では、低体温は保護的ではない(7章d 参照)。

 偶発的低体温患者におけるいくつかの小規模な臨床研究で、病院外や救急室での受動的、能動的復温で救命率が改善したことが示されてきた65。これに対し院外心停止から蘇生した昏睡状態の傷病者に対し、治療的低体温を導入した効果についてのデータ83がある。(これによると)現在まで、このような患者群に対する治療的低体温を推奨する説得力のあるエビデンスはない。その後の集中治療の期間では、(まず)核温が32〜34℃に達するまで積極的に復温する方針とし、その後は高体温(37℃以上)とならないよう積極的に対応する(and then actively to avoid hyperthermia)というの実際的(pragmatic)な方法かも知れない(国際生命救助連盟、2003)。

他の支持される治療

 溺水後の神経学的転帰を改善するために、バルビツレートの使用や頭蓋内圧 (ICP)の測定、ステロイドの使用が試みられている。(しかし)これらを使用しても転帰を変えることはできていない。実際、ICPが高い場合には低酸素による重大な神経傷害が疑われはするが、ICPを変化させる試みが転帰に影響するというエビデンスはない65


■7d. 低体温症(Hypothermia)

定義

 核温が35℃未満のときに低体温症と定義(hypothermia exists when)され、(さらに)便宜的に(arbitrarily)軽度(35〜32℃)、中等度(32〜30℃)あるいは重度(30℃未満)に分類される。低体温症は通常の体温調節機能を保持した人が寒冷環境に暴露された時、特に湿っていたり風に吹かれた状態だったり冷水中への水浸(immersion)などで起こりやすい。例えば小児や高齢者など、体温調節機能が障害された状態では、低体温症は軽度の寒冷暴露でおきるかもしれない。低体温症のリスクは薬剤やアルコールの摂取、疾病、外傷、放置された事(neglect)などで高くなる。低体温症は虚脱した患者の病歴や、簡単な外表診察で推測できるかもしれない。核温を測定し、診断を確定するには低温を測定できる体温計(a low-reading thermometer)が必要である。

 いくつかの例では、低体温症は心停止後の脳保護に力を発揮するかもしれない84,85。低体温による心停止後では完全な神経回復が可能かもしれない86-88が、非窒息性心停止(non-asphyxial arrest)では窒息性低体温心停止(asphyxial hypothermic arrest)よりも神経学的予後は良い。臨床所見のみによって、救命処置を行わないという判断をするべきではない87

蘇生の決定

 寒冷だけでも、とてもゆっくりで少ない心拍出量の、不整な脈となり、血圧が測定できないことがあるので、低体温症の患者に死亡宣告をする場合、注意する。低体温症は脳と主要臓器を保護し、低体温症に関連した不整脈は再加温の前あるいは復温中でも改善する可能性がある。18℃の時の脳は37℃の場合の10倍の時間、循環停止に耐えることができる。瞳孔散大はさまざまな原因で起こりうるので、死亡の兆候とは考えない。

 寒冷環境において低体温症の心停止傷病者を発見したときに、一次的な低体温症なのか二次的な低体温症なのかを区別するのは難しい事がある。心停止は低体温症でも生じるし、低体温症は正常温の心停止患者でも生じてくる(たとえば寒冷環境下で、心筋虚血を原因として心停止を来した場合)。

 患者が再加温されるか核温を上昇させようとする試みに失敗するまで、死亡を確定しない。蘇生の延長が必要となるかもしれない。院外においては患者が致命的な外傷を受けているか、体が完全に凍り付いて蘇生が試みられない場合を除いて、蘇生を差し 控えない89。院内では低体温の心停止傷病者の蘇生を中止する時を決める臨床的な判定法を用いる。

蘇生

 低体温患者には様々な予防策(all the principles of prevention)や一次および二次救命処置が適用される。気管挿管や血管カテーテルの留置など緊急の手技を遅らせてはならない。気管挿管は重篤な低体温の患者においてVFを誘発しうる87,90

 正常体温患者と同様の換気と胸骨圧迫を行う。低体温は胸郭を硬くするので、換気と胸骨圧迫が困難となりうる(can be)。

 低体温の心臓は心作動性の薬剤、ペーシングや除細動の試みに反応しないかも知れない。薬剤の代謝速度は緩徐であるため、どんな薬剤でも繰り返し使用すると潜在的に血中濃度が中毒域に達する90。重篤な低体温症における薬剤の効果のエビデンスは限られており、主に動物実験に基いている。重篤な低体温性心停止ではアドレナリンは冠還流圧を上昇させるのに効果的かもしれないが、生存には効果的とは言えない93,94。アミオダロンの効果も確認されていない95。これらの理由からアドレナリンや他の薬剤は患者が30℃以上に加温されるまでは差し控える。いったん30℃まで到達したら(投与を開始するが)その間隔は(通常の)2倍にすべきである。患者の体温が正常に戻るにつれ、標準の薬剤プロトコルを用いる。

 4つのHと4つのT法を用い(例えば薬物中毒、甲状腺機能低下症、外傷などの)他の心肺停止の一次的な原因を除外すること(Remember to rule out)。

不整脈

 核温が低下するにつれて、洞徐脈が心房細動(AF)、さらには心室細動(VF)、最終的には心静止(Asystole)に変化する傾向にある(tends to give way)96。通常の治療プロトコルに従うこと。

 院内の心停止傷病者で重篤な低体温症の者(核温が30℃未満)は内加温法により再加温しなければならない。心室細動(VF)以外の不整脈は核温の上昇につれて自発的に戻りやすく、通常は迅速な治療は不要である。除脈は重篤な低体温では生理的かもしれず、再加温後に除脈が継続していなければペーシングの適応とはならない。

 重篤な低体温の患者に対して初めて除細動がされるべき温度と何回除細動が行われるべきかは分かっていない。AEDはこれらの患者にしばしば用いられるかもしれない。もし心室細動(VF)が検出されたら、ショックを与える。3回ショック後も心室細動/心室頻拍(VF/VT)が持続している場合は、核温が30℃以上になるまでそれ以上の除細動の試みを遅らせる97,98。AEDが使われた場合には、復温中もAEDの指示(prompt)に従う。

復温

 全ての低体温傷病者に対する一般的な対応として、寒冷環境から離れること、これ以上の熱が失われるのを避けること、すぐに病院に搬送することなどがある。冷たいあるいは濡れた衣服はできるだけ早く取り除く。傷病者を乾かした後毛布をかけ、風が当たらないようにする。

 適用されうる加温法には受動的体外法、能動的体外法、あるいは能動的体内法がある(Rewarming may be・・)。受動的加温法は暖かい部屋で毛布を使用して行われる(Passive warming is achieved with)が、(この方法は)意識のある軽症低体温患者に適している。重篤な低体温あるいは心停止には能動的再加温法が必要とされるが、これを実施することで、より高度な再加温法ができる病院への搬送を遅らせてはならない。いくつかの加温法が行なわれているが、どれが最良の再加温法なのかを調べた臨床試験はない。強制温風法と加温輸液法は重症で循環がある患者に有効という研究がある99,100。他の加温法として、加温加湿酸素法、胃、腹腔、胸腔、膀胱の加温液(40℃)還流法、部分バイパスを用いた体外循環加温法がある87,90,101-103

 心停止で低体温の患者では、核温がゆっくりと上昇していく間に循環、酸素化、換気も保たれるため、心肺バイパスが能動的内加温法として勧められる104,105。1つの症例集積研究における生存者は心肺バイパスの前に平均して65分の定型的CPRが行われていた105。残念ながら、心肺バイパスが行える施設がいつも近くにあるとは限らず、いくつかの加温法を組み合わせて行うことが必要かもしれない。

 復温中、血管拡張のために(as their vascular space expands with vasodilation)、患者は大量の輸液を必要とするだろう。全ての輸液を温めて行うこと。血行動態の持続モニタリングをし、もし可能ならば患者を集中治療室(Critical Care Unit)へ入室させる。加温中あるいはその後に高体温にならないようにする。正式な研究はないが、心拍再開が得られのち、もし適応があれば軽度低温療法を含む標準的な蘇生後の治療を行う(第4部g参照)。ステロイドやバルビツール、抗菌薬のルーチン使用に関するエビデンスは無い106,107


■7e. 高体温症(Hyperthermia)

定義

 高体温症は体温調節能に不具合が生じ、核温がホメスタシスにより正常に維持されている以上に上昇した状態である。高体温症は環境状況によって外因性に起こることがあり、一方 内因性の熱産生により二次的に起こることもある(Hyperthermia may be・・)。

 環境による高体温症は、熱(通常輻射熱の形であるが)が体温調節機能によって放散されるよりよりも多く吸収されたときに起こる。高体温症は熱に関連した一連の疾患(a continuum of heart-related conditions)で、熱ストレス(heat stress)に始まり、熱疲労(heat exhaustion)、熱射病(heat stroke)へと進行し、ついには多臓器不全あるいは心停止になる場合がある108

 悪性高熱症(MH)は遺伝性素因を持つ人がハロゲン基を持つ揮発性麻酔薬と筋弛緩薬に暴露された後に起こる、筋硬直(muscle contracture)と致死的となりうる著しい代謝亢進状態(hypermetabolic crisis)を特徴とする稀な疾患である109,110

 熱ストレスと熱疲労の所見と治療は表7.2にまとめられている。

熱射病(Heat stroke, HS)

 熱射病は核温が40.6℃以上となる全身の炎症反応で、精神状態の変化と様々な程度の臓器障害を来たす。熱射病には2型ある。古典的非運動性熱射病(classic non-exertion heat stroke, CHS)は高温環境でおこり、しばしば熱波の期間中に高齢者に起こる111。運動性熱射病(exertion heat stroke, EHS)は高温あるいは高湿度環境における激しい身体的運動中に、通常若い成人に起こる112。熱射病の死亡率は10〜50%である113

素因(Predisposing factors)

 高齢者は基礎疾患の存在、薬物服用、体温調節能の低下、社会的補助が限られていること(limited social support)などにより高熱症(heat-related illness)を来しやすい。いくつかのリスクファクターがある。それらは適応能力の欠如、脱水、肥満、アルコール、心血管疾患、皮膚疾患(乾癬、湿疹、強皮症、熱傷、嚢胞性線維症)、甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫、そして薬剤(抗コリン薬、ヘロイン(diamorphine)、コカイン、アンフェタミン、フェノチアジン、交感神経作動薬、カルシウムチャネル遮断薬、ベータ遮断薬)である。

臨床所見

 熱射病(heat stroke)は敗血症性ショックに似ていて、同様な機序によって起こるとされている114。所見は以下の様なものである。

 他に考慮の必要がある臨床状態は以下の通り。

治療(management)

 治療の根幹は支持的療法であるが、ABCDEアプローチ(optimising* the ABCDEs、訳者註:「optimizing」の誤植と思われる)と患者の冷却が重要である126,127。病院到着前から患者の冷却を始める。核温をおよそ39℃まで下げる事を目標とする。重篤な熱射病の患者は集中治療設備があるところで管理する必要がある。輸液療法の指標として循環系モニタリングをする(Use haemodynamic monitoring)。大量輸液が必要かもしれない。第7部aにあるように、電解質を補正する。

冷却法(Cooling techniques)

 いくつかの冷却法が記載されているが、どの方法が最もよいか正式に調べた研究はほとんどない。簡単な冷却法としては、冷たい飲み物を飲ませたり、完全に裸にした患者に扇風機をまわす、生ぬるい水をスプレーするなどがある。腋窩、鼠径部、頚部などの太い表在血管の存在する部位にアイスパックを置くことも有効かもしれない。表面冷却法はふるえ(シバリング)の原因にな るかもしれない。協力的で循環動態の安定した患者では、冷水浴(immersion in cold water)が有効かもしれない128が、末梢血管収縮により血液が末梢へ流れず熱放出が減るかもしれない。また、冷水浴は重篤な患者には実行しにくい(not practical in the most sick patients)。

 高体温症の患者をさらに冷却する方法は、心停止後に治療的低体温療法をするのに使用する方法と同様である(are similar to)(第4部g参照)。胃、腹腔129、胸腔あるいは膀胱を冷水で灌流することに より核温が下降する。血管内を冷却する方法として、冷たい輸液を用いたり130、血管内冷却カテーテル131,132を用いたり、持続的静脈―静脈血液灌流法や人工心肺などの体外循環133を行う方法などがある。

熱射病の薬物療法

 熱射病において、核温を下げるための特異的な薬物療法はない。熱射病における解熱薬(非ステロイド抗炎症薬やパラセタモールなど)の効果に関するよいエビデンスはない。ダントロレン(下記参照)は効果的であると証明されていない134


表7.2 熱ストレスと熱疲労

状態(condition) 所見(Features) 治療(Treatment)
熱ストレス(Heat stress) 正常から軽度の体温上昇 安静
熱浮腫(Heat oedema):足と足関節の腫脹 腫脹した四肢の挙上
熱失神:血管拡張による低血圧 冷却
熱痙攣:塩類喪失による痙攣 水分の経口摂取
塩類の補充
熱疲労(Heat exhaustion) 長時間(数時間から数日)の高熱環境暴露に対する全身反応 上記参照
体温が37℃より高く、40℃より低い 重症例には輸液考慮とアイスパック
頭痛、めまい、悪心、嘔吐、頻脈、低血圧、発汗性筋痛(sweating muscle pain)、衰弱と痙攣
血液濃縮
低ナトリウム血症あるいは高ナトリウム血症
すみやかに熱卒中に進行するかもしれない


悪性高熱症(MH)

 悪性高熱症は揮発性麻酔薬や脱分極性筋弛緩薬に対する骨格筋の、致命的ともなる遺伝性素因であり、麻酔中や麻酔後に起こる。直ちに引き金となった薬剤を中止し、酸素を投与し、アシドーシスと電解質異常を修正する。積極的な(active)冷却を開始し、ダントロレンを投与する135

心肺蘇生の修正(modifications)と蘇生後の加療

 高体温症から進展した心停止(cardiac arrest in hyperthermia)に関する研究はない。もし心停止が生じたら、通常の一次、二次救命処置を行い、患者を冷却する。除細動のエネルギー値に関する高体温の影響についてのデータはないが、患者を冷却し続けながら現在のガイドラインに従って除細動を試みる。動物実験では正常体温の心停止に比較して転帰が不良であると示されている136,137。体温が37℃以上では1度上昇する毎に好ましくない神経学的合併症のリスクが上昇する138。蘇生後の管理(post-resuscitation care)は通常のガイドラインに従う。


■7f. 喘息(asthma)

はじめに

 すべての年齢と民族的背景を含めると、世界で約3億人が喘息のために苦しんでいる139。喘息は若い人たち、主として、重篤な慢性の喘息を持ち、精神的社会的に厳しい環境や劣悪な医療管理のもとにある若い人たちの間で、今なお多くの死者を出している。 喘息管理のための国家的な、また国際的なガイドラインがすでにある139,140。以下のガイドラインは死が切迫している喘息と喘息から心停止に至った患者の治療に焦点を合わせている。

心停止の原因

 喘息患者の心停止は、しばしば低酸素血症が続いた後の最終の出来事である。そして時に、それは突然に起こるかもしれない(occasionally, it may be sudden)。喘息患者の心停止は、次のような事項と関連している。

 心拍再開する可能性を有する原因である4つのHと4つのTを思い出すこと(the four Hs and four Ts approach to reversible causes)が、心停止におけるこれらの原因を識別するのに役立つ。

診断

 喘鳴は通常の身体所見であるが、その重症度は気道閉塞の程度とは関連していない。喘鳴がないことは、切迫した気道閉塞を示 しているかもしれないし、喘鳴の増強は、気管支拡張薬の治療によく反応していることを示しているのかもしれない。動脈血中酸素飽和度(SaO2)は進行する肺胞低換気を反映しない可能性がある(特に酸素を投与している時)。β作動薬は気管支拡張も血管拡張も共に起こし、初期には肺内シャントを増強する可能性があるので、治療初期には酸素飽和度が低下するかもしれない。

 喘鳴は他に、次のようなものが原因となる。肺水腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎、アナフィラキシー141、肺炎(訳者註:2度出てくる、ケアレスミスであろう)、気道異物、肺塞栓、気管支拡張症、声門下腫瘤142など。

 喘息発作の重症度の定義を表7.3に示す。

心停止を防ぐための重点的処置

 重篤な喘息の患者には、悪化を防ぐために積極的な医学的管理が必要である。ABCDEアプローチに基づいた評価と治療を行う。高度な治療が求められるこれらのハイリスクの患者(high-risk patients in a critical care area)には、熟練した臨床医が当たるべきである。一連の特定の薬剤や治療法は、個々の医療機関によって異なるであろう。

酸素

 動脈血酸素飽和度が92%以上になるまで、吸入気酸素濃度を上げて行く。しばしばマスクによる高流量酸素が必要である。適 切な薬剤投与の努力にも関わらず、患者が次のような状態に至ったならば、(全身麻酔の)急速導入(rapid-sequence induction)と気管挿管を考慮する。

 CO2分圧の上昇だけで気管挿管の適応を決めてはならない。患者を治療するのであって、数値を治療するのではない。



表7.3 喘息の重症度140

重症度・病型特徴
致死的
(near-fatal)
動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)の上昇 and/or 吸気圧を上昇させるために人工 呼吸が必要
生命を脅かす
(Life-threatening)
以下のどれかがある
  • ピークフロー(PEF)が自己最高あるいは予測値の33%より少ない
  • 徐脈 
  • 動脈血酸素飽和度(Sp2)が92%より少ない
  • 不整脈 
  • 動脈血酸素分圧(PaO2)が60mmHg(8kPa)より低い
  • 低血圧
  • 二酸化炭素分圧(PaCO2)が正常 (4.6〜6.0kPa (35〜45mmHg))、
  • 疲労(exhaustion)
  • 呼吸音が聞こえない(silent chest)
  • 錯乱(confusion)
  • チアノーゼ
  • 昏睡
  • 呼吸努力の減弱(Feeble respiratory effort)
急性重症
(Acute severe)
以下のどれかがある
  • ピークフロー(PEF)が自己最高値あるいは予測値の33〜50%
  • 呼吸数が25/分より多い
  • 心拍数が110/分より多い
  • 一息で文章が言えない(inability to complete sentences in one breath)
中等度悪化
(Moderate exacerbation)
症状の増悪(increasing symptoms)
  • ピークフロー(PEF)が自己最高あるいは予測値の50〜75%
  • 急性重症喘息(acute severe asthma)の徴候がない
Brittle(不安定)型
  • Type 1: 集中治療(intense therapy)にも関わらずピークフロー(PEF)が安定しない(150日を超える期間の50%以上で日中に40%を超える変動)
  • Type 2: 適切に管理されていた喘息患者に起こる突然重症発作

PEF, peak expiratory flow(最高呼気流速)
訳者註単位の変換には以下のURLを用いた。http://www5a.biglobe.ne.jp/~uchimura/uconv/menu-j.st.html


β2作動薬のネブライザー

 サルブタモール5 mgをネブライザーで吸入することは、世界のほとんどにおける急性喘息に対する治療の基本(the cornerstone of therapy)である。しばしば15〜20分ごとに繰り返す必要がある。重篤な喘息では、サルブタモールの持続吸入(continuous nebulised salbutamol)が必要かもしれない。高流量の酸素によって駆動されるネブライザー装置が準備されていなければならない。重篤なあるいは死が切迫している喘息で換気量の低下を伴う場合、ネブライザー薬が効果的に広がらないかもしれない。

コルチコステロイドの静脈内投与

 酸素とβ作動薬は最も重要な初期治療であるが、コルチコステロイド(ハイドロコーチゾン、200mg静注)も早期に投与する。 コルチコステロイドの経口投与法と静脈投与法の間には臨床的な効果の差はない143が、死が切迫している喘息患者は、(服薬後)嘔吐したり、服薬できなかったりする可能性があるので、静脈内投与の方が望ましい。

抗コリン作動薬のネブライザー

 抗コリン作動薬(イプラトロピウム、0.5mgを4〜6時間ごと)を吸入すると、重篤な喘息やβ作動薬に反応しない喘息患者に追加的に気管支拡張作用をもたらす(may produce additional bronchodilation)144,145

サルブタモールの静脈内投与

 いくつかの研究は、すでにサルブタモールのネブライザー治療を受けている重篤な喘息患者にさらにサルブタモールを静注(250mcg、緩徐に)することの有効性を示した146。持続静注の場合、3〜20mcg分-1で。

硫酸マグネシウムの静脈内投与

 硫酸マグネシウム(2g, 緩徐に静注)は、重症あるいは死が切迫している喘息患者に気管支拡張作用をもたらし、有用であるかもしれない。7篇の研究のコクランメタ分析は、マグネシウムが有効で、とりわけ最もひどく悪化している喘息患者によいと結論づけた147。マグネシウムは、血清マグネシウム濃度に依存することなく、気管支平滑筋を弛緩させる。副作用は軽微なものだけである(ほてり、ふらふら感(light-headedness))。

テオフィリンの静脈内投与

 テオフィリンはエチレンジアミンとテオフィリンの混合物であるアミノフィリンとして静注される。アミノフィリンは、テオフィリン単独より20倍溶解しやすい。アミノフィリンは重症例か死が切迫している喘息にだけ考慮されるべきである。(本薬の)維持療法がなされていない場合、初期投与量として 5 mg kg-1を20〜30分かけて投与し、ついで500〜700mcg kg-1 h-1を点滴静注する。高用量のβ作動薬にこのアミノフィリンを加えると、気管支拡張作用の増強よりも副作用の方を増大させることになる。中毒を避けるために(血中)濃度を測定する必要がある。

アドレナリンとテルブタリンの皮下注射または筋肉内注射

 アドレナリンとテルブタリンはアドレナリン刺激剤で、急性の重篤な喘息患者に皮下注射してよい。アドレナリンの皮下注射は、総量を 300 mcgまでとし、20分間隔の3回に分割して投与する。アドレナリンは心拍数増加、心筋の被刺激性亢進および酸素需要の増大を来たす。しかしそれでもこの注射には(35歳以上の患者においてさえ、even in patients over 35 years old)、よく耐えることができる148。テルブタリンは250mcgを皮下注射する。これは、30〜60分間隔で繰り返し投与することができる。この2つの薬剤は、急性の喘息の小児に、比較的一般的に投与されており、多くの研究において等しく効果的149であることが示されしているが、1篇の研究はテルブタリンの方がより優れている150と結論づけている。静脈ルート確保が不可能であるとき、これらの代替ルートを考慮する必要があるかもしれない。

静脈輸液

 重篤なあるいは死の切迫した喘息は、脱水と循環血液量の減少を伴っており、これはさらに、肺の過膨張に至った患者の循環を 一層危うくするであろう。 循環血液量の減少あるいは脱水があることが確実であるならば(if there is evidence of hypovolaemia or dehydration)、静脈内輸液を行う。

ヘリオックス(Heliox)

 ヘリオックスはヘリウムと酸素の混合物である(通常80:20または70:30)。最近の4篇の臨床試験のメタ分析では、急性の喘息患者の初期治療にヘリオックスを使用することを支持しなかった151

ケタミン

 ケタミンは気管支拡張作用のある非経口的解離性麻酔薬である。1篇の症例集積研究はケタミンにかなりの効果があることを示 唆した152。ただし、今日までに無作為化試験が1篇発表されているが、それによると標準的な治療と比べてケタミンの有用性は示されていない153

非侵襲的な換気

 非侵襲的な換気は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者の気管挿管に至る率と死亡率を減少させる154。しかし、重篤な急性喘息の患者では、その役割は不確かである。 有望ではあるが、最近のコクランレビューは、もっと多くの研究が必要であることを指摘している155

心停止の場合の管理

一次救命処置

 標準的なガイドラインに従って一次救命処置を行う。 気道抵抗が増強しているために換気は困難であろう。胃膨張を防ぐように行うべきである。

二次救命処置

 標準ALSガイドラインの修正:早期に挿管が必要であることを考慮するべきである。重篤な喘息患者の換気中に記録される最高気道内圧(平均67.8±11.1 cmH20、12症例)は、正常の下部食道括約筋の圧(およそ20cmH20)よりも有意に高い156。気管チューブを挿入することなく重篤な喘息患者を換気しようとすると、胃膨張と肺への低換気という重大な危険を生ずる。 心停止中は下部食道括約筋圧は正常よりかなり低いので、この危険性はより一層高いものとなる157

 新しいガイドラインが推奨するCPR中の呼吸回数(10回 分-1)と胸が挙上する程度の一回換気量では、肺の動的過膨張(ガストラッピング)を起こす事はまずない。一回換気量は、吸気時間と吸気流速により、他方呼気量は呼気時間と呼気流速によって決まる。人工呼吸中の重篤な喘息患者においては、分時換気量が10 L 分-1未満のときは、呼気時間の延長(呼吸回数を減らすことによって達せられる)は、ガストラッピングをある程度(only moderate gains)減少させる156

 エビデンスレベルは限られているが(後ろより移動変更)、気管チューブの接続がはずれたとき、ガストラッピング(空気とらえ込み)を有していたと思われる患者の予期せぬ心拍再開がおきたという症例報告がある158-161。もし心肺蘇生中に、動的肺過膨張が疑われるならば、胸壁の圧迫および/または無呼吸時間(気管チュ−ブの接続をはずす)は、動的肺過膨張がおきているなら、その際に生じているガストラッピング(空気とらえ込み)を解放するかもしれない。この手技は、低いエビデンスレベルで支持されているだけだが(is supported by limited evidence)、他に全く手だてのない深刻な状況であれば (in an otherwise desperate situation)、それ以上に害をもたらすということはないだろう。

 動的肺過膨張は経胸的インピーダンスを大きくする162。 もし、最初の除細動の試みが失敗したら、電気ショックのエネルギーをもっと高くすることを考慮する。

 喘息が関連している心停止の患者に開胸心マッサージを行うことに対する良好なエビデンスはない。4つのHと4つのTを使うことは、喘息関連性の心停止の潜在的な回復可能な原因を見つけ出すのに役立つであろう。 緊張性気胸は心停止の際に診断することが困難であることがある。片側胸壁の膨張、気管の偏位および皮下気腫によってわかる可能性がある。穿刺針による減圧によって胸膜腔からの空気の解放をはかる。肺を直接穿刺しないよう注意しながら、鎖骨中線上、第2肋間の高さで、太いゲージのカニュラを挿入する。空気が排出されたら、チェストチューブを挿入する。喘息関連心停止では常に、両側気胸を念頭に置かなければな らない。

蘇生後のケア

 心拍再開後には通常の管理に加えて、以下の事項がなされるべきである。


■7g. アナフィラキシー(7g. Anaphylaxis )

訳者註:「stridor」と「wheezing」に関する訳者意見交換を参照いただきたい。

はじめに

 アナフィラキシーは稀だが蘇生可能な心停止の原因である。アナフィラキシーにより二次的に起こる心停止の治療は、このガイドラインの別の章で述べられている通りであるが、アナフィラキシーの病態生理学的経過によっては特別な治療を要するかもしれない。

 アナフィラキシーは重篤で致死的な全身性の過敏性反応である。(そして、個々の患者における)検査によって、反応がアレルギー性か(IgE媒介または非IgE媒介)もしくは非アレルギー性のアナフィラキシーかどうかが判明するだろう。「アナフィラキシー様反応(Anaphylactoid reaction)」という用語はもはや用いられなくなった。「アナフィラキシー反応(anaphylactic reaction)」は一般的に重篤な全身性アレルギー反応と定義され、気道、血管系、消化管や皮膚を含む多臓器を侵す反応と特徴付けられる。重症例では喉頭浮腫による完全気道閉塞、気管支痙攣、低血圧、心血管系虚脱や死を引き起こす。他の症状には鼻炎、結膜炎、腹痛、嘔吐、下痢そして死にそうな感覚(impending doom)がある。また通常、患者の皮膚の色調変化があり、赤く火照ったり青白くなったりする。アナフィラキシー反応は重症度も様々で、進行も急激なものから、ゆっくりまたは(多くはないが)二相性のこともある。稀に症状の発現が遅れたり(ラテックスアレルギーの場合)、24時間以上続くこともある。

病態生理

 未感作のアレルゲンとの初回接触が、後にこのアレルゲンと接触したときに反応するように身体を感作する、免疫反応を引き起こすかも知れない。この感作が好塩基球と肥満細胞の細胞膜に結合した抗原、特異性IgEを発現させる。暴露が繰り返されれば、抗原がIgEに結合し、ヒスタミン、ロイコトリエン、プロスタグランジン、トロンボキサンやブラディキニンを含む一連の炎症性メディエイター放出のきっかけとなる。これらのメディエイターが全身性に作用し、粘膜分泌増加や毛細血管透過性亢進を来たし、血管平滑筋トーヌスを著しく低下させる。その結果、血管浮腫、気道腫張、気管支痙攣、低血圧そして心血管系の虚脱等の臨床症状が引き起こされる。

 アナフィラキシーは、IgEが媒介する反応(an IgE-mediated reaction)へのリアクションとして、ヒスタミン、セロトニンその他の血管作動性物質が好塩基球と肥満細胞から放出されて起こる過敏反応によって引き起こされる。あるアレルゲンへの初回暴露後に抗原特異的免疫グロブリンが産生される。その後、このアレルゲンに再暴露されるとアナフィラキシー反応が誘発される。ただし、多くのアナフィラキシー反応は特定のアレルゲンへの先行暴露なしに起こる。

原因

 アナフィラキシーは比較的多い病態だが、重篤な致死的反応まで進行する事はあまりない。IgEを活性化する可能 性のある全ての抗原が理論上アナフィラキシーの引き金になり得る。致死的なアナフィラキシ−の最も多い原因は薬剤、虫刺症、そして食物である。(ただし)5%に及ぶ症例では、アナフィラキシーを起こした抗原は特定出来ない。

薬剤

 筋弛緩薬(特にスキサメトニウム(訳者註:=サクシニルコリン))と抗菌薬が最も多い薬剤誘発性アナフィラキシーの原因である164。アスピリン、NSAIDs、静注用造影剤も致死的アナフィラキシーのよくある原因である。

ラテックス

 ラテックス、すなわち生ゴム(natural rubber)は、(院内では)ラテックス製品の器具使用や操作が頻回に行われるために、入院患者におけるアナフィラキシーの重要な誘因となっている。ラテックス製品を使わない事こそがが効果的な治療法であり、 現在では病室や手術室を含む全ての診療所や病院環境をラテックスフリーにすることが重要であるとされている165。 イギリスでの10年毎のアナフィラキシー死亡例の記録では、ラテックスに対する致死的アナフィラキシー反応は非常に稀166,167で、1例も記載がない168,169

虫刺症

 虫刺されによるIgEを介した全身性反応の有病率は温帯地域では2.8%であるが、オーストラリアなどの虫刺されをより多く経験する国ではもっと高い170。刺す昆虫は膜翅目(Hymenoptera)に属し、スズメバチ(hornet, wasp)、ミツバチ、フシアリ(火蟻)を含む。虫刺されのほとんどは痛みや腫れといった局所的な反応を起こすが、敏感な人ではアナフィラキシーへと進行する。前回の虫刺されでIgE抗体が誘導された後に再び刺されると致死的なアナフィラキシーが起こる。致死的反応は10〜15分以内に心血管系虚脱を伴って起こり、それは最も多い死亡原因である168,169,171

食物

 食物に対する致死的アレルギー反応が増えている。ピーナッツ、魚介類(特にエビ、甲殻類)と小麦は最も多い致死的アナフィラキシー関連食物である172。気管支痙攣、血管浮腫、気道閉塞と窒息が最も多い致死的メカニズムである168,169,171

徴候と症状

 アナフィラキシーは2つ以上の器官系が侵された時(皮膚、呼吸器、心血管系、神経、消化器)、心血管系もしくは気道病変の有無とは関係なく考慮されるべきである。喘息、βブロッカー内服中、伝達麻酔中など内因性カテコラミン反応が低下している患者で特に重篤となりやすい。徴候や症状発現の速さはアナフィラキシーの重症度に関係する。

 初期の徴候や症状には蕁麻疹、鼻炎、結膜炎、腹痛、嘔吐や下痢といったものがある。顔面紅潮(火照り)はよく起こるが、顔面蒼白もまた起こり得る。著しい上気道(咽頭の)浮腫と気管支痙攣が起こり、吸気性および呼気性喘鳴(stridor and wheezing)を生じる(人工呼吸中の患者では気道内圧が上昇)。喘息患者ではこの症状は特に重篤で、治療は困難である。心血管系虚脱は切迫心停止期において最も多い症状である(the most common peri-arrest manifestation)。血管拡張は相対的な循環血液量不足を起こすが、これは毛細血管透過性が亢進し血管外漏出が増加するため真の容量減少を来たすことによって増悪する。基礎疾患によって、あるいは(アナフィラキシ−治療のための)アドレナリン投与が心筋虚血を来たしこれによって、さらなる心機能障害が起こり得る168,169,171

鑑別診断

 典型的な(consistent)臨床症状発現を欠く事や起こり得る病態が多岐に渡ることが診断を難しくし得る。各症例において可能な限り詳細に、病歴と身体所見をとる。最近のアレルギー歴は勿論、過去のアレルギー歴も重要である。皮膚、脈拍、血圧や上気道の状態に特に注意し、胸部を聴診する。可能ならピークフロー値も測定し記録する。アナフィラキシーが除外された時のみ他の診断を考慮する。これはアナフィラキシーと診断し損ねと治療に失敗すると致死的であるからである173,174

治療に関連する配慮(consideration)

 病因、重症度、侵される臓器が多岐に渡る為、推奨される治療の標準化が妨げられている。(また)臨床試験が出来ないのでコンセンサスに基づいたガイドラインが必要となる。

 アドレナリンは全ての重症アナフィラキシー反応に対して最も重要な薬として一般的に認められている。本剤はα作動薬として末梢血管拡張を回復させ、浮腫を軽減させる。またβ作動薬としての作用で気道を拡張させ、心筋収縮力を高め、ヒスタミンとロイコトリエンの放出を抑制する。アドレナリンは発症後早期に投与された時最も効果的だが、特に静注投与の場合、危険性が無いわけではない。アドレナリンの筋注投与は非常に安全である。(また)副作用は極めて稀である。そして本剤筋注後にに心筋梗塞を来たしたただ1例の患者は冠動脈疾患の危険因子を多数有していた(had numerous risk factors for coronary disease)。時に合併症(例:心筋虚血)がアレルゲンそのものの効果によるものなのか、治療のために投与されたアドレナリンによるものなのかはっきりしないことがある168,176

 稀にアドレナリンがアナフィラキシーの臨床症状改善に効果が無いことがある。特に遅発性反応やβブロッカー使用患者の場合である。この場合には他の治療手段とりわけ容量負荷の重要性が高くなる。

一般的な蘇生処置

 全ての患者は楽な姿勢で横臥させる。可能性のあるアレルゲンを除去する(例:薬剤注入や輸血の中止)。仰臥位は下肢挙上をしてもしなくても(lying flat, with or without leg elevation)低血圧に効果があるかも知れないが、呼吸困難には効果がないだろう。気道閉塞は軟部組織の腫脹により、急速に進行する可能性がある。早期に気管挿管を考慮する。遅れると挿管が非常に難しくなる可能性があるからである。

酸素

 高流量の酸素を投与する(10〜15L分-1)。

アドレナリン

 ショック、気道腫脹または明らかな呼吸困難の臨床的サインのある全ての患者にはアドレナリンを筋注投与する。(筋注後)アドレナリンは速やかに吸収される。吸気時および呼気時の喘鳴(inspiratory stridor, wheeze)、チアノーゼ、著しい頻脈と毛細血管充満の低下は重篤な反応の兆しである。成人では1:1,000のアドレナリン0.5mL(500μg)を筋注投与する。患者の状態が改善しなければ約5分後に再投与する。一部の症例で、特に一過性改善しかみられない場合には、数回の投与が必要となるかも知れない。筋注投与はショックの時に吸収が早いので、皮下注投与より優れている177,178

 アドレナリン静注(最低1:10,000希釈を使用、1:1,000は禁忌)は危険であり、早期に致命的となりうる著しいショックの患者や麻酔中など特別な患者のみに適応がある。さらに10倍の1:100,000に希釈したアドレナリンでは投与量の微量調節が可能となり、有害な副作用の危険性が減ることで安全性が高まる。この治療は最低でも心電図モニター下に行うべきである。アドレナリン静注に慣れた医師の場合は重症アナフィラキシー徴候のある患者に対して静注投与を選択してもよい。

抗ヒスタミン薬

 抗H1ヒスタミン薬(例:クロルフェナミン10〜20r)を緩徐に静注する。H2ブロッカー(例:ラニチジン50r)静注も考慮する179

ハイドロコルチゾン

 遅発性再発を起こりにくくするために(to help avert late sequelae)、重症発作後にハイドロコルチゾンをゆっくり静注投与する。この治療は、以前にコルチコステロイドで治療された喘息患者で、重症もしくは致死的アナフィラキシーの危険性が高まっている患者において特に重要である。コルチコステロイドは効果発現が緩徐な薬であると考えられており、静注で投与されても4〜6時間かけて効果が出てくる。しかしながら、本剤は急性発作の緊急時の治療において効果があり、また遷延する反応(the protracted reactions)を防いだり短縮したりする役目もある。

吸入気管支拡張剤

 サルブタモール(5mg、必要なら繰り返し)などの吸入β2アゴニストは難治性の気管支痙攣を改善させるかも知れない。吸入イプラトロピウム(500μg、必要なら繰り返し)は特にβ遮断薬使用中の患者の気管支痙攣に有用かも知れない。一部の致死的な(near fatal)喘息症例では実際にはアナフィラキシーだということがあり得、その結果として、アドレナリンを用いた(アナフィラキシ−の)特異的治療よりも従来の気管支拡張薬を過剰に投与する治療が行われる事がある141

輸液

 薬物療法に迅速に反応しない低血圧の時は、輸液を行う。1〜2Lの急速輸液が必要になるかも知れず、またさらなる輸液が必要 になることもある。

可能性のある治療

 バソプレシン:非常に重篤な低血圧患者での有効性を示唆するいくつかの症例報告がある180,181

 アトロピン:本剤に関しても、相対的徐脈または重症徐脈に対して有効かも知れないとする症例報告がある174

 グルカゴン:アドレナリンに反応しない(特にβブロッカー使用)患者に対してグルカゴンが有効かも知れない。短時間作用型薬剤である(1〜2mg、5分毎、筋注または静注する)。嘔気、嘔吐、高血糖がよくある副作用である。

虫刺症(毒液注入:Envenomation)

 稀ではあるが、ミツバチによる虫刺症(スズメバチではない)では毒胞を残す。直ちに、全ての昆虫の体の部分を刺された場所からこそげ落とす182。押しつぶすと毒液注入量が増える。

心停止

 二次救命処置薬品(the ALS drugs)に加えて以下の治療を考慮する。

長時間のCPR

 アナフィラキシー患者はしばしば健康な心臓と心血管系を持つ若年患者が多い。効果的なCPRはアナフィラキシーの破局的な病態が解消されるまで(until the catastrophic effects of the anaphylactic reaction resolve)十分な酸素供給を行うことができる。

気道閉塞

 重症アナフィラキシー、特に血管浮腫を伴う患者では急激に気道閉塞が起こることがある。舌や口唇の腫脹、嗄声、口腔咽頭の腫脹が危険信号である。早期の予定的な(elective)気管挿管を考慮する。気道閉塞が進行するとラリンジアルマスク、コンビチューブ共に挿入は難しくなる。気管挿管、輪状甲状間膜切開もまた急激に難しくなってゆく。気管挿管の試みそのものが咽頭浮腫を悪化させかねない。これらの患者の管理においては熟練した麻酔科医の早期介入が必須である。

観察

 たとえ中等度発作であっても、患者には症状が早期に再発する可能性があることを警告し、場合によっては、8〜24時間は院内で観察する。この警告は特に以下の場合に適応がある。

 治療後4時間、無症状であれば退院してもよい188

調査とその後の管理

 肥満細胞のトリプターゼ測定がアナフィラキシーの後ろ向き診断に役立つ可能性がある189,190。プレーンの血液サンプル(clotted blood samples)10mLを3回採取する。

 再発防止には、アナフィラキシーから蘇生に成功した後、アレルゲンを同定する事が大切である。患者を専門家に紹介する。非常にアナフィラキシーの危険性の高い患者には自己注射用のアドレナリン注射器を携帯させ、"MedicAlert"(病気を認識させる為の)ブレスレットを着けさせる。薬に対する反応を適切な調査機関に報告する。


■7h. 心臓手術後の心停止
(Cardiac arrest following cardiac surgery)

 人工心肺使用の有無に関わらず、心臓手術後の心停止は手術後早期に比較的よく見られ、手術後24時間以内に0.7%191、手術後8日以内に1.4%192と報告されている。心臓手術後の心停止は通常、適切な治療が直ちに行われれば 回復可能な原因によって起こる。そしてそれゆえ、生存率は比較的高い。(心停止は)安定した患者にも突然発生しうる191が、生理的な異常が通常先行する193。ICU(集中治療室)では持続的にモニターできるので、心停止が起きてもすぐに対処できる。心臓手術後24時間以内に発生した心停止の患者が退院できるのは、成人では54192〜79%191,194、小児では41%193と報告されている。

病因(Aetiology)

 突然の心停止の原因としては術後早期(in the initial post operative period)の心筋梗塞が最も多く、バイパス血管の閉塞で起こることが多い191,192

 術後早期の心停止の主な原因としては以下のものがある。

診断

 迅速な対処がなされ、蘇生に成功するためには、心停止を起こしうる原因を直ちに見つけなければならない。胸部聴診、心電図、胸部レントゲン写真、経食道あるいは経胸心エコー、胸部ドレーンからの出血量などが心停止の原因検索の助けとなるだろう。積極的に4Hや4Tのような治療可能な原因を検索し除外する。心筋虚血はしばしば心筋の被刺激性を高め、心停止前には進行性の低血圧を引き起こす。緊張性気胸や心タンポナーデでは、進行性低血圧と中心静脈圧の上昇を来たす。気道内圧上昇と患側肺の換気困難は両者の鑑別点となるだろう。胸部ドレーンからの出血がないからといって、出血や心タンポナーデがないとは限らない。というのはドレーンが凝血塊で閉塞していることがあるからである。

治療

 心臓手術後の心停止の治療は、すでに述べた一次救命処置(BLS)、二次救命処置(ALS)の原則に従う。直ちに経験のある医師を呼ぶ。ペーシングリードの接続不良、緊張性気胸など、直ぐに治療できる原因を除外する。極度の徐脈や心静止は、手術中に挿入したペーシングワイヤがあれば、体外ペーシングに反応するかもしれない。低/高カリウム血症、低マグネシウム血症の補正を行う。Hb濃度が8.0 g dl-1未満とならないように注意しながら血液量を補正することは重要である。アドレナリンの静注は血圧上昇を来たし、バイパス血管を破綻させるかもしれないので注意する。

閉胸式心臓マッサージ(External chest compressions)

 閉胸式心臓マッサージ(胸骨圧迫)は必要かもしれないが、胸骨の亜脱臼、肋骨骨折や吻合部の壊滅的損傷(catastrophic failure of anastomoses)を来たすかもしれない。観血的動脈圧モニターを見れば、圧迫する力を適切にすることができるだろう。効果的な胸骨圧迫を行うことは吻合血管損傷への懸念よりも優先される。

開胸式心臓マッサージ(Internal cardiac massage)

 機械的な原因(例えば、出血、心タンポナーデ、バイパス血管の閉塞)が手術後早期の安定した患者における突然の心停止の原因であることが多い(account for a substantial proportion of causes)191。これらの原因の治療には再開胸が必要となる可能性があり、その場合は開胸式心マッサージが必要となる。心臓手術後10%までの患者において、再開胸が必要かもしれない195。開胸式心マッサージ(胸骨圧迫)後の生存退院率は17196〜25195である。ICUでの心停止、術後24時間以内の心停止、心停止後10分以内の再開胸は、独立した生存予測因子である195

 心臓手術後の心停止では修正可能な機械的原因が多く、また、開胸式心マッサージによって高い生存率を示すので、このような患者の場合は早期の開胸式心マッサージが勧められる191,197。閉胸式心マッサージ(胸骨圧迫)で心拍出量が得られなかったり、除細動に抵抗性の除細動可能なリズム(shockable rhythm refractory to cardioversion)ならば、直ちに再開胸するべきである。心静止の治療でも通常直ちに開胸する必要がある。開胸は比較的簡単で、適応があれば、心停止から10分以内に行うべきである。心臓外科医が到着するまでに開創し、ワイヤーを除去することをICUの非外科系スタッフに教えることを検討すること。開胸セットがICUにおいて直ちに使用出来るように準備されていることを確認する。観血的動脈圧測定は開胸式心マッサージが効果的に行われているかどうかの判断材料となるだろう。バイパス血管を損傷しないように注意しながら、凝血塊を手で取り除くか吸引する。心停止となった原因を早期に見つけて治療するのは、このような状況では困難であるので、経験のある心臓外科医が必要である。

術後の人工心肺の緊急使用

 人工心肺(CPB)の緊急使用は約0.8%の患者に行われている可能性がある。この処置は手術後平均7時間後に行われる198が、その目的は通常、手術後出血やバイパス血管の閉塞の修復および疲弊した心筋を休ませることである。心臓外科手術が行われる施設では、人工心肺が緊急で使用出来るように準備されていなければならない。ICUで人工心肺が術後再使用された場合の生存退院率は32%195、42%198、56.3%199となっている。人工心肺が手術後24時間後以降に開始された場合や、ICUではなく病棟で行われた場合には生存率が低下する。72時間以降では緊急人工心肺はおそらく適応ではない。なぜならば、原因が外科的に治療できる(remediable)ものでないことが多いからである195。人工心肺を開始する前に適切な抗凝固剤を投与することやヘパリンコーティングした回路を使用することが重要である。再手術時にも大動脈のクランプを要する例では良好な結果は得られない198

開胸式除細動(Internal defibrillation)

 開胸式除細動はパドルで直接心室をはさんで行われ、体外式除細動よりもはるかに少ないエネルギーで実施される。直接の除細動では二相性波形の方が一相性の場合よりもはるかに効果的である。二相性波形による除細動は5Jから開始して最低のエネルギーで行うが、10Jか20Jが適切なエネルギーで、かつ少ない回数で早期の除細動ができる200。単相性波形による除細動では二相性波形の場合の約2倍のエネルギーを必要とする200


■7i. 外傷性心肺停止
(Traumatic cardiorespiratory arrest)

はじめに

 外傷による心停止の死亡率は非常に高く、全体の生存率はわずか2.2%(0〜3.7%)である(表7.4201-207。外傷性心肺停止(TCRA:traumatic cardiopulmonary arrest)の生存例では通常神経学的障害がみられ、異常を認めないのはわずか0.8%に過ぎない。

外傷性心肺停止の診断

 外傷性心肺停止(TCRA)は臨床的に意識・呼吸・脈がないことで診断され、(心電図波形が)心静止や、心拍出のないまとまりのある電気活動(organised cardiac activity without cardiac output、訳者註)の場合もTCRAと見なされる。

訳者註:「organized rhythm」の訳に苦慮している。「disorganized rhythm(試訳:無秩序な波形)」という語がVF/VTやAfを指す語として使われている。一方でQRSのある(まとまりのある)電気的活動があってなおかつ心拍出を伴わないとすれば、われわれに馴染みのある「無脈性電気活動(PEA)」がこれに相当するだろう。

心臓振盪

 心臓振盪(Commotio cordis)は心臓前面の胸壁へ鈍的な衝撃が加わって起きる心停止、もしくは心停止に近い状態である208-211。心周期の受攻期に胸壁に衝撃が加わると、悪性の不整脈(通常は心室細動)が起きる可能性がある。この衝撃後の失神は非持続性の不整脈に起因しているのかも知れない。心臓振盪はスポーツ(野球が最も多い)中や遊んでいる時に起こる ことが多く、傷病者は通常若い男性(平均14歳)である。ミネソタ州ミネアポリスの心臓振盪登録によれば,その発生件数は毎年 5〜15人である。心臓振盪の全生存率は15%であるが、3分以内に心肺蘇生が開始されれば25%にまで達する211

内因性疾患に続発する外傷

 内因性の病因(例えば不整脈、低血糖、痙攣)から短時間で心肺停止となり、外傷(例えば転落、交通事故など)を引き起こすこともある。(この場合)外傷そのものが心肺停止の一次的な原因ではないかもしれない。

損傷の機序

鈍的外傷

 鈍的外傷後の心停止1,242例のうちの生存者は 19例(1.5%)で、神経学的に良好な転帰を示したのはわずかに2例(0.16%)であった(表7.4

穿通性外傷

 穿通性外傷後の心停止839例のうち16例(1.9%)が生存し、12例(1.4%)が良好な神経学的転帰を示した(表7.4)。


表7.4 外傷性心停止からの生存

文献定義総数穿通性外傷非穿通性外傷
Bouillon212現場でCPRを要した心停止例 224
4
3
  
Battistella202現場、搬送中または救急外来でCPRを要した心停止例 604
16
9
300
12
9
304
4
0
Pasquale206救急外来到着前または到着時に心停止 106
3
21
1
85
2
Fisher213救急外来到着前または到着時に心停止であった小児 65
1
0
  65
1
0
*訳者註
Hazinski214非穿通性外傷後に心停止または著明な低血圧を呈した小児 38
1
0
  38
1
0
**訳者註
Shimazu203来院時に心肺停止(TCRA) 267
7
4
  
Calkins215非穿通性外傷後にCPRを要した小児 25
2
2
 25
2
2
Yanagawa216非穿通性外傷による病院外心停止(OHCA) 332
6
0
  332
6
0
Rosemurgy201来院前にCPRを要した 138
0
0
42
0
0
96
0
0
Stratton207現場で意識なし、脈無し 879
9
3
497
4
3
382
5
0
Cera217来院時にCPRを要した 161
15
?
  

各研究において最初の数字は心停止患者数、2つ目は生存者数、3つ目は神経学的転帰が良好であった患者の数を示す。CPR (cardiopulmonary resuscitation)=心肺蘇生、ED(emergency department)=救急外来、TCRA(traumatic cardiorespiratory arrest)=外傷性心肺停止、 OHCA(out-of-hospital cardiac arrest)=病院外心停止。

*原表には誤植があり、訂正した。参考文献(抄録)により確認されたい。
**原表には誤植があり、訂正した。参考文献(抄録)により確認されたい。


生命徴候と初期心電図

 外傷性心肺停止の生存に関して、信頼できる予測因子はない。ある研究によれば対光反射、洞調律の存在が生存と有意に相関していた217。またある穿通性外傷の研究では対光反射、自発呼吸および洞調律の存在が(信頼性は乏しいものの)生存と有意に相関していた207。心静止や死戦期リズムを呈している場合,生存例はなかったと報告している研究が3つある202,207,218。また鈍的外傷後のPEAでは生存例はないと報告しているものもある219。これらの研究から米国外科学会(American College of Surgeons)と米国救急医学会(National Association of EMS Physicians)は,心肺蘇生を差し控える病院前ガイドラインを作成した220。(このガイドラインでは)以下のような場合には心肺蘇生を差し控えることを推奨している。

 最近の行われた1つの後向きの研究が上記の推奨について疑問を投げかけている。連続した184例の外傷性心肺停止(TCRA)例において、蘇生の適応外とされたが(最終的に)生存した者が数人いたからである221

治療

 TCRAからの生存はCPR継続時間や病院前の(受傷〜病着)所要時間と相関していた205,222-226。長時間のCPR例は不幸の転帰をとり、好ましい結果が出た例の最長CPR時間は16分であった205,222-224。病院前の治療レベルは地域の EMS従事者の技能と関連するが、現場での治療は質の高い一次・二次救命処置(BLS, ALS)と可逆的な原因の除外診断(exclusion of reversible causes)に集中するべきである。外傷を引き起こした可能性のある内因性疾患があればその治療を行う。現場では必須の救命治療だけを行い、もし傷病者に生命徴候があれば直近の適切な病院へ迅速に搬送する。適応があれば現場での胸部開口術(thoracostomy、訳者註)を考慮する227,228。脊椎固定のような証明されていない(エビデンスが乏しい)処置のために搬送を遅らせてはならない229

訳者註:「thoracostomy」は胸腔穿刺(needle thoracostomy)を含む概念であろう。

蘇生のための開胸術

 病院前 病院前の(搬送)所要時間が30分を越える場合、蘇生的開胸術は役に立っていないようだと報告されている225。5分以上の病院前CPRを要する鈍的外傷や15分以上のCPRを要する穿通性外傷では、開胸術は無益だと考えられている226。このような時間制限があることを考慮に入れ、穿通性胸部外傷で脈が触れなくなってから10分以内に外科的治療ができないならば現場での開胸術を考慮することを推奨している英国の救急医療サービスもある227。これによれば現場で開胸した39例のうち4例が生存し、うち3名は神経学的回復が良好であった。

 病院内 比較的単純な蘇生的開胸術が最近紹介されている228,230。米国外科学会は7,035例の救急室開胸術(EDT)を含む42の研究報告のメタアナリシスに基づき、実践ガイドラインを発表した231。全生存率は7.8%で、226例(5%)の生存例のうち、神経学的脱落症状を認めたのはわずかに34例(15%)であった。この調査で以下のような結論を得ている。

気道確保

 効果的な気道確保は重篤な外傷患者の酸素化を維持するために必須である。現場で外傷性心肺停止患者(TCRA)に気管挿管し た場合、CPR時間が2倍になった研究もある。すなわち現場で気管挿管された生存例の平均CPR時間が9.1分であったのに対して、気管挿管されなかった生存例では4.2分であった224

 あまり経験のない医療従事者にとって外傷患者の気管挿管は難しい処置であり、失敗することも多い232-235。もし直ちに気管挿管できなければ、酸素化を維持するため一次気道管理の手技や(気管挿管の代わりに)代替エアウェイを用いる。これらの方法でうまくいかないならば外科的気道確保の適応となる。

換気

 低心拍出量の状態では、陽圧換気は心臓への静脈還流を妨げてさらなる循環抑制を来たし、心停止さえも起こしうる236。呼気ガス測定して換気をモニターし、呼気炭酸ガス濃度を正常範囲に保つようにするべきである。これにより呼吸回数と一回換気量を減らすことができ、経肺圧(訳者注;胸腔内圧と大気圧の差)が低下するため静脈還流が増加して心拍出量を増やすことができるかもしれない。

胸部除圧

 緊張性気胸に対する効果的な減圧は、側胸部にすばやく小切開を置いて胸腔を開放することである(側胸部開口術、lateral thoracostomy)。これは針を用いた胸腔穿刺より効果があり、胸腔ドレーンを挿入するよりも迅速に実施できるであろう237

外傷性心肺停止(TCRA)での胸骨圧迫の効果

 循環血液量減少に起因する心停止や心タンポナーデでは、他の原因による心停止に比べて胸骨圧迫の効果は期待できそうもない238。しかしながらTCRAにおいてもALSによる心拍再開(ROSC)がよく記載されている。原因にかかわらず胸骨圧迫は心停止の処置の基本であることに変わりはない。

出血のコントロール

 早期の出血のコントロールは極めて重要である。止血されている血栓がはずれないように常に患者を丁寧に扱う。圧迫止血や骨盤の外固定、四肢のスプリント固定を適切に行うべきである。出血している外傷患者は外科的止血が遅れると悲惨なことになる。

心膜穿刺

 外傷性心タンポナーデが疑われる患者では、針を用いた心嚢穿刺はおそらく有用な処置ではない239。また有益なエビデンスを示した文献もない。現場で時間を費やすかもしれず、心筋損傷を起こしたり、緊急開胸術のような効果的な治療手段を遅らせるかもしれない。

現場での輸液、輸血

 出血がコントロールされないうちに外傷患者に対して輸液蘇生することは議論のあるところである。いつ、どんな輸液を行うべきかについては明確なコンセンサスはない240。限られたエビデンスや一般的なコンセンサスは輸液療法に関する保守的なアプローチを支持しており、外科的止血が行われるまではある程度低血圧を容認している241,242。英国の国立臨床研究所(National Institute for Clinical Excellence:NICE)は、外傷における病院前の輸液療法についてガイドラインを発表している243。そのガイドラインでは橈骨動脈が触れるまで250mLの晶質液をボーラス投与で繰り返すが、現場で輸液を行うことで搬送が遅れないようにと戒めている。(確かに)病院前の輸液療法は現場滞在時間を長引かせるひとつの原因かもしれないが、これについては信頼できるエビデンスがない244,245

超音波エコー検査

 超音波エコーは重篤な外傷患者を評価するのに極めて有用な検査である。病院前の段階でも数分で腹腔内出血、血胸または気 胸および、心タンポナーデを確実に診断できる246。外傷治療に超音波エコー検査が導入されてからは、診断的腹腔洗浄や心嚢穿刺は事実上臨床では行われなくなった。現在超音波エコー検査を病院前で実施できるようになっているが、その有益性についてはいまだ証明されていない。

血管収縮薬

 外傷蘇生において血管収縮薬(たとえばバソプレシン)の役割ははっきりしておらず、主として症例報告に基づいている247


■7j. 妊娠に関連した心停止
(Cardiac arrest associated with pregnancy)

概観

 先進諸国においては、妊娠に関連した死亡は稀であり、出産30,000に1例の頻度で起こると見積もられている248。妊婦に心血管系疾患が発症した場合には(when an adverse cardiovascular event occurs)、胎児のことをつねに考慮しておかなければならない。妊娠に対する蘇生ガイドラインは主に(based largely on)症例集積研究と科学的合理性とに基づいている。先進諸国では、ほとんどの報告は原因について言及しており、他方、妊娠に関連した死の大部分は開発途上国に起こっている。

 妊娠中には重大な生理学的変化が起こる。例えば心拍出量や、血液量、分時換気量、酸素消費量すべてが増大する。さらに、妊婦が仰臥位になると、妊娠中の子宮は、腸骨血管、腹部血管を強く圧迫し、その結果、心拍出量の減少や血圧低下を招くかも知れない。

原因

 妊婦には心停止の原因が多数ある。英国でおよそ200万人の妊婦を検討248したところ、母体死は次のようなこと に関連していた。

 妊娠女性は、同年齢の女性と同様の心停止の原因にも罹患する可能性がある。

心停止を防止する鍵となる処置

 緊急時には、ABCDEアプローチを行う。妊娠に関連する心血管系の問題の多くは、大静脈の圧迫によってもたらされる。苦しんでいたり、危険が迫っている(distressed or compromised)妊娠患者は次のように治療する。

心停止に対する一次救命処置のガイドラインの変更点

 在胎20週以後、妊婦の子宮は下大静脈と大動脈を圧迫し、静脈還流と心拍出量を低下させる。子宮による静脈還流の阻害(uterine obstruction of venous return)は、心停止に準ずるほどの血圧低下あるいはショック(pre-arrest hypotension or shock)をもたらし、重症患者においては心停止に至らせる可能性がある249,250。心停止後においても、妊娠子宮による静脈還流と心拍出量の抑制は胸骨圧迫の効果を減弱させる。非心停止例では、ほとんどの症例で、患者を15度左側臥位にすることによって、妊娠子宮を大静脈から離すことができることを示している251。身体を傾けるのは、用手的手段でも機械的手段でもよい。妊娠患者に対する胸骨圧迫のための、最適な手の位置を決める(to guide the hand position for optimum chest compressions)ためのエビデンスはない。横隔膜と腹部内臓が妊娠子宮によって引き上げられるので、通常の胸骨圧迫の手の位置を高くする必要があるかもしれない。通常のエネルギー量で除細動を行う252。直流電流による除細動が胎児の心臓に悪い影響を与えたというエビデンスはない。左側臥位と巨大乳房は除細動パドルを心尖部に押し当てるのを困難にするだろう。妊娠時には、除細動のパドルを当てるよりも、パッドを貼付する方が望ましい。

二次救命処置の変更点

 胃・食道括約筋の機能不全があり、胃内容物の肺への誤嚥の危険性が通常よりも高い。輪状軟骨圧迫を正確に 行って早期の気管挿管を行うことは、この危険を減らす。気管挿管は、腹腔内圧が上昇している中での肺への換気をより容易にする。

 妊婦の気道は浮腫と腫脹のために細くなっているので、同体格の非妊娠女性に比べ、内径(ID)が0.5〜1mm細い気管チューブが必要であるかもしれない253。気管挿管は、妊娠患者では通常より難しいかもしれない254。熟練者の助けを求めることや、挿管を失敗した場合の対応(a failed intubation drill)、そして代替気道管理器具の使用が必要とされるかもしれない(第4部dを参照)255

回復可能な原因

 救助者は妊婦の蘇生処置を実施中、心停止の一般的で回復可能な原因をつきとめるようにすべきである。原因検索のための「4Hと4T」は、妊娠時においても心停止のあらゆる一般的原因をつきとめるのに役立つ。妊娠患者は、同じ年代の女性と同じ原因で心停止となる危険がある(アナフィラキシー、薬物中毒、外傷など)。妊婦の心停止時には、妊娠(の診断)および心停止の原因を特定するために、熟練したオペレータによる腹部超音波検査を行うことを考慮する。ただし、他の処置が遅れることがあってはならない。妊娠時における特殊な心停止の原因には次のような事項がある。

出血

 生命を脅かす出血は、出産前も出産後も起こり得る。原因として、子宮外妊娠および胎盤剥離、前置胎盤、子宮破裂などがある248。大量出血に対処するためのプロトコルはあらゆる施設で作成されるべきであり、定期的に更新され、血液銀行と連携し繰り返し訓練されるべきである。出血のリスクが高い妊婦は、輸血の準備がなされ、集中治療を行うことができ、また他の処置も準備できる施設で分娩するべきであり、これらの処置は前もって計画されるべきである。治療はABCDEアプローチに基づいて行われる。重要な処置は出血を止めることである。次の事項を考慮すること。

薬剤

 硫酸マグネシウムを投与されている子癇女性では、特に乏尿の場合には医原性の薬剤中毒の可能性がある。マグネシウム中毒の治療にはカルシウムを投与する(「生命を脅かす電解質異常」を参照)

 鎮痛のための中枢神経遮断薬や全身麻酔は、交感神経遮断作用(低血圧、徐脈)や局所麻酔薬中毒による問題を引き起こす可能性がある。262

心血管疾患

 肺動脈高血圧症は先天性心疾患の、最も多い死の原因である。周産期心筋症および心筋梗塞、さらに大動脈や分枝の動脈瘤あるいは動脈解離は、後天性心疾患のうちで最も多い死の原因である263,264。心疾患があることが分かっている患者は、専門病棟で管理される必要がある。冠動脈疾患を有する妊婦は、急性冠症候群を発症する可能性がある。線溶療法は妊婦に相対 的禁忌なので、経皮的心臓カテーテル療法は、妊婦のST上昇型心筋梗塞に対して選択すべき再灌流療法である265

子癇前症と子癇

 子癇は、子癇前症の兆候と症状を有する患者の妊娠期間中あるいは出産後の痙攣もしくは説明のつかない昏睡の発現として定義 付けられる266,267。硫酸マグネシウムは子癇前症をもつ妊婦に対して、出産中あるいは出産直後に現れる子癇のおよそ半分を防ぐ効果がある。

生命を脅かす肺塞栓症

 妊婦の生命を脅かす広範囲な肺塞栓に対して線溶療法が効果的であったと報告されている268-271

羊水塞栓

 羊水塞栓では、息切れやチアノーゼ、不整脈、低血圧、播種性血管内凝固(DIC)に伴う出血が現れることがある272。症状は様々であり、アナフィラキシーに似ているかもしれない。特別の治療法は無いので、治療は補助的なものである。陣痛および出産中に生命を脅かす羊水塞栓が起きた妊婦に対して人工心肺の使用が有効であることが報告されている273

直ちに行われた蘇生が成功しなかった場合

 妊婦が心停止になったら、直ちに緊急子宮切開術や帝王切開の必要性を考慮する。状況によっては、即座の蘇生処置で心拍が再 開し、妊娠早期であれば妊娠を分娩へと進行させることができるかも知れない。最初の蘇生の試みが失敗しても、胎児の出産が母親と胎児の蘇生の可能性を高めるかもしれない274-276。母親の心停止後5分以内に児が娩出されれば、在胎24〜25週以上の新生児の生存率は最も良い274,277-279。これは、医療者が心停止後およそ4分以内に子宮切開術を開始しなければならないことを意味する。娩出により大静脈の圧迫が解除され、母体の蘇生のチャンスが増すだろう。また、帝王切開分娩の場合は児に直接触れることが可能となり、新生児蘇生を開始することができる。

緊急子宮切開術の方針決定

 在胎年齢を考える。妊娠子宮は、在胎約20週で動静脈血流を障害し始める大きさに達する。しかし、胎児の実際の生育力(fetal viability)は約24〜25週から始まる。携帯用の超音波装置はいくつかの救急部門で使用可能である。これを使うことによって在胎年齢(熟練者によれば)や胎位の判定に役立つかもしれない280。但し、この検査をすることで緊急子宮切開を行うかどうかの決定が遅れるようなことがあってはならない。

 緊急時のための計画。妊娠時における二次救命処置は(心停止後)5分以内に、母体の蘇生、胎児の帝王切開分娩および新生児の蘇生を並行して実施して行く(requires coordination of maternal resuscitation, Caesarean delivery of the fetus and newborn resuscitation)必要がある。これを実現するために、妊婦の心停止を扱う可能性のある施設(unit)には、次のことが備わるべきである。


■7k. 感電(死)(Electrocution)

はじめに

 電撃傷は比較的まれであるが、高い疾病率と死亡率を伴った全身に及ぶ破壊的な障害となる恐れがある(potentially devastating multisystem injury)。そしてその死者発生率は人口100,000人当たり0.54人 年-1となっている。成人の電撃傷のほとんどは職場において、通常高電圧で引き起こされる。一方で小児はまず自宅が危険であり、電撃傷の原因となる電圧は低い(ヨーロッパとオーストラリア、アジアで220V、アメリカ合州国とカナダで110V281)。雷による電撃傷はまれであるが、世界中で年間1,000人の死亡がある282

 電撃傷は細胞膜と血管平滑筋に流れる電流の直接の影響によって生じる。高電圧による熱エネルギーもまた熱傷の原因となろう。電撃傷の重症度に影響する要素は交流か直流か、電圧、通電したエネルギーの大きさ、電流の抵抗、患者に通電した通路、そして接触範囲と時間である。皮膚の抵抗は湿気で低下し、(そのために)傷害が起こりやすくなる。電流は最も抵抗の小さい通路を通る。(そして)電導性のある、四肢の神経血管束が特に傷害を受けやすい。

 交流電流への接触は骨格筋の強直性収縮をおこし、電流源から離れるのを妨げるかもしれない。心筋収縮不全あるいは呼吸不全(myocardial or respiratory failure)により即死することもある。

 心筋を横切る方向の電流は他の方向のものより致死的になりやすい。(すなわち)身体横断方向(手→手)の電流は縦断方向(手→足)あるいは両足を跨(また)ぐ方向(足→足)の電流より危険である(more likely to be fatal)。電流の通路に沿って広い範囲に組織破壊が起こるかも知れない。

雷撃症

 雷撃は数ミリ秒で300キロボルト相当の電流を伝える。雷撃の電流は多くが体表を通過するが、これは「外部フラッシュオーバー(external flashover、訳者註1)と呼ばれる。工業電流(industrial shocks)と雷撃は接触した部位で深部熱傷が引き起こされる。職業による電撃では、接触部位は通常上肢、手、手首であるが、雷撃では多くは頭や頚、肩である。雷撃は地上を流れる電流あるいは落雷した木や他の建設物などからの「はね散らし電流(current "splashing")」によって間接的に起こることもある284。爆発的な力は鈍的外傷を起こすかもしれない285。雷撃症のパターンと重症度は同じ雷撃(a lightning strike)を受けたグループの中ですら様々である286-288。(すなわち、雷撃症でも)工場内(industrial)あるいは家庭内(domestic)での電撃と同様、死亡原因は心原性287-291あるいは呼吸停止284,292である。最初のショックから生還した人では、過剰なカテコールアミンの放出や自律神経刺激が起きているかもしれず、高血圧、頻脈、非特異的心電図異常(QT延長や一過性陰性Tを含む)、そして心筋壊死などが招来される。クレアチニンキナーゼが心筋や骨格筋から放出されるかもしれない(may be released from myocardial and skeletal muscle)。雷撃は中枢神経あるいは末梢神経にも障害を与え得る。(その病態として)脳出血や脳浮腫、そして末梢神経傷害などが一般的である。雷撃症による死亡率は30%に上り、生存者の70%にも重篤な合併症を残す293-295

訳者註1:人間に直接雷が落ちた場合には、人間の皮膚が持つ高い抵抗 によって、雷がもたらした電流は身体の表面を流れて行く。この現象を「外部フラッシュオーバー(external flashover)」という(参考ウェブ)。

診断

 事故の周囲の状況がいつもわかるとは限らない。線状あるいは途切れ途切れの熱傷(punctuate burns)、(インクが)にじんだような熱傷(feathering、訳者註2)のある意識のない患者は雷撃症の傷病者として扱うべきである284

訳者註2:この部の原文は以下のようになっている。「punctuate」あるいは「feathering」の訳はわれわれには難しく、皆様からのご意見、情報をお待ちしている。
The circumstances surrounding the incident are not always known. Unconscious patients with linear or punctuate burns or feathering should be treated as a victims of lightning strike.

救助

 すべての電源が切られている事を確認し、安全が確保されるまで負傷者(casualty)に近づかない。高電圧(家庭用以上)の電流は傷病者から数メートルの範囲で地面を伝わることができる(can arc and conduct through the ground for up to a few metres around the casualty)。雷撃の後に傷病者に近付いて取りつくのは安全だが、特に30分以内に(再度の)稲妻が見えた場合は安全な環境に移す方が賢明である284

蘇生

 標準的な一次および二次救命処置を遅れることなく開始する

 雷撃に打たれた患者は、もし彼らがすみやかに呼吸あるいは心停止に移行し、迅速に治療されなければほとんどが死ぬだろう。 多数の傷病者が同時に雷撃に打たれた時には、救助者は呼吸あるいは心停止の患者を最も優先すべきである。呼吸停止の患者は二次的な低酸素による心停止を避ける為に換気だけが必要になることもある。雷撃症の傷病者は他の原因による心停止よりも蘇生の試みの成功率は高く、蘇生開始までの時間が長い時でも蘇生努力が奏功する可能性がある292。特に雷撃症の患者においては決して、散瞳や対光反射消失を予後の徴候に用いてはならない284

 電気ショックの胎児への障害については報告が別れている。電撃傷の病像は様々であり、胎児に全く影響がなく母体が一過性に予期せぬ感電を受けるのみの状態から、胎児が即死あるいは数日後に胎児の死亡というように幅がある。電流の強さ、接触の時間 などのいくつかの要素が予後に影響を与えている考えられている299

さらなる治療と予後

 電撃傷による心停止の若い傷病者への迅速な蘇生により生存という結果を得られる場合がある。長時間の救命処置後に蘇生に成功した事例が報告されている。心肺機能に問題があったり以下の徴候を呈する、電撃傷で生存している全ての患者は、病院でモニタリングすべきである。

 重篤な熱傷(熱あるいは電撃による)、心筋壊死、広範囲な中枢神経障害、そして二次的な多臓器不全が有病率さらに長期予後を決める。電撃症には特異的な治療法はなく、治療は対症療法(symptomatic)である。電撃傷の発生と重症度を最低限にする一番の方法はその予防につきる。


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