まれな疾患なため聞きなれない病名ですが、脊索腫や軟骨肉腫は斜台骨(右図の赤色でお示しした部位)という頭蓋底の深いところにできやすい腫瘍です。従来は大きく頭蓋骨を切開して大がかりな手術が必要でしたが、経鼻内視鏡手術では、腫瘍の大半を鼻孔から摘出することが可能になりました。術後に重粒子線や陽子線という極めて強い放射線治療が必要になることが多いのですが、これらは脊索腫に対しては効果的である反面、周辺の粘膜や脳へのダメージも強く、5~10年後に悪影響が出てくることがあります。経鼻内視鏡手術で腫瘍を全摘出できた場合、頻度は少ないですが、症例によっては放射線治療を行うことなく、長期にわたって再発しないことも経験します。
手術前
手術後
一時的に呂律が回らなくなり、受診された脊索腫の患者さんです。
経鼻内視鏡手術で腫瘍は摘出され、その後放射線治療を行わず、現在まで10年以上再発なく、お元気に過ごされています。