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よくあるご質問

尿道狭窄症の症状・原因・検査・治療に関して、患者さんからよく寄せられるご質問にお答えします。

最終更新日:2026年8月5日

症状・原因に関するご相談

Q 尿の勢いが弱いだけでなく、トイレに時間がかかり、排尿後に下着が濡れてしまいます。これも症状ですか?
A

はい、尿道狭窄症の代表的な症状です。尿の勢いが弱い(尿線低下)だけでなく、排尿に時間がかかる、途中で途切れる、力まないと出ない、排尿後に尿が残っている感じがする(残尿感)、排尿した後に下着が濡れてしまう(排尿後尿滴下)といった症状が現れます。排尿しきれない残尿は細菌のすみかとなり、慢性的な尿路感染症を引き起こす原因にもなりますので、早めの適切な診断と治療が必要です。

Q 尿道狭窄症の原因は何ですか? 特に思い当たるケガや病気がないのですが…。
A

尿道狭窄症の原因は、前立腺や膀胱の内視鏡手術・カテーテル留置による「医原性(医療行為によるもの)」、骨盤骨折などの「外傷性」、硬化性苔癬などの「炎症性」など様々です。ご自身で原因に心当たりがない場合でも、実は「幼少期に自転車のサドルや鉄棒などで股間を強く打ったこと」が原因となっているケースが見られます。子どもの頃から「友達と並んで立小便をすると、いつも自分が一番遅かった」といった記憶がある場合、ご本人が忘れているような幼い頃のケガが原因で、長年かけて進行した尿道狭窄症である可能性が高いです。

Q 亀頭部(ペニスの先端)や包皮が白く硬くなり、尿が出にくくなりました。これも尿道狭窄症ですか?
A

「硬化性苔癬(こうかせいたいせん:LS)」という陰部の慢性的な皮膚病が原因で、尿道狭窄症を引き起こしている可能性が高いです。

初期は包茎のような症状で発症し、亀頭部や包皮が白く変色して硬くなります。放置すると尿道の出口から内部へと病変が進行し、非常に治りにくい複雑な尿道狭窄症になります。単なる包茎と誤診されて適切な治療が遅れるケースも多いため、早急に専門医を受診し、口腔粘膜を利用した尿道形成術などの適切な治療を受ける必要があります。

Q 子どもの頃に「尿道下裂」の手術を受けましたが、大人になって尿が出にくくなりました。これも尿道狭窄症ですか?
A

はい、尿道下裂の修復手術から何年も(場合によっては何十年も)経過して大人になってから、尿道狭窄症を発症するケースは少なくありません。このような場合、過去の手術の影響で尿道が複雑な状態になっているため治療が難渋することが多いですが、口腔粘膜を利用した「二期的尿道形成術」などによって根治を目指すことが可能です。

Q 尿道狭窄症は男性だけの病気ですか? 女性でもなりますか?
A

尿道狭窄症は圧倒的に男性に多い疾患ですが、女性にも稀に起こります。女性の尿道狭窄症に対しても、男性と同様に、ブジー(拡張)を漫然と繰り返すことは推奨されません。専門施設では、口腔粘膜などを利用した尿道形成術を行い、高い確率で根治を目指すことが可能です。

Q 尿道狭窄症を治療せず、我慢してそのまま放置するとどうなりますか?
A

単に「トイレに時間がかかる」だけでは済みません。尿を出し切れないことで常に膀胱に尿が残り(残尿)、慢性的な尿路感染症を引き起こしたり、膀胱結石ができたりします。さらに悪化すると、自力で全く尿が出なくなる「尿閉」を引き起こし、最終的には腎臓の機能まで低下させてしまう(腎不全)危険性のある、決して侮れない疾患です。

検査・受診に関するご相談

Q 専門医の診察を受けたいのですが、今の担当医に「紹介状(診療情報提供書)」を書いてほしいと言い出しづらいです。どうすればよいですか?
A

尿道形成術を適切に行うためには、これまでの検査画像や手術歴、どのような処置を受けてきたかの正確な情報が非常に重要です。可能であれば、正直に「尿道形成術について専門医の話を聞いてみたい」とお伝えし、現在の泌尿器科の担当医に紹介状を書いてもらうのがベストです。もし、どうしても言い出しにくい事情がある場合や、泌尿器科に通院していない場合は、内科など他科のかかりつけの先生に作成してもらっても構いません。

Q 尿道狭窄症の検査は痛いと聞いて怖いです。どのような検査をしますか?
A

尿道狭窄症の診断には、尿の勢いを測る「尿流測定(UFM)」、超音波による残尿測定、そして最も重要な「尿道造影検査」や「尿道内視鏡検査」を行います。

尿道造影検査は、尿道の出口から造影剤を注入してレントゲンを撮り、狭窄の場所や長さを確認するものです。造影剤を入れる際に少し違和感を伴いますが、さほど時間のかかる検査ではありません。ただし、ブジーや切開手術の直後で尿道がダメージを受けている状態では正確な検査ができないため、「尿道を休ませて炎症が引いた適切なタイミング」で検査を行うことが何より重要です。

治療に関するご相談

Q 尿道狭窄症は薬で治りませんか? 手術以外の方法はありますか?
A

尿道狭窄症は、尿道の粘膜が傷つき、その修復過程で硬い傷跡(瘢痕)ができて物理的に尿の通り道が狭くなっている状態です。そのため、尿道炎のように抗菌薬などのお薬を飲んで治る疾患ではありません。手術を避ける方法として、ご自身で定期的にカテーテルを入れて尿道を広げる「間欠的セルフブジー」という方法もありますが、これは再狭窄を防ぐための補助的な手段であり、完治を目指すものではありません。一生続ける必要があり、痛みや感染症のリスク、生活の質(QOL)の低下を伴うことがあります。根本的に治すには「尿道形成術」という手術が必要です。

Q 「尿道ブジー(拡張)」や「内尿道切開」を繰り返していますが、治っていく実感がありません。このまま続けるべきでしょうか?
A

経尿道的治療(ブジーや内尿道切開)は、一時的に尿道を広げるだけの対症療法であり、繰り返すたびに成功率が低下します。そればかりか、処置を繰り返すことで尿道にダメージを与え、瘢痕(傷跡)を厚くし、狭窄をさらに悪化・複雑化させてしまうリスクがあります。日本泌尿器科学会のガイドラインでも、初回の治療後早期に再狭窄した場合や、2回以上繰り返して再発した場合は、漫然と経尿道的治療を繰り返すことは推奨されていません。根本的な完治を目指すには、「尿道形成術」という手術を検討する段階にきています。

Q ブジー治療で治らないため、「尿道ステント」を勧められました。受けたほうがよいでしょうか?
A

尿道ステント(金属製の筒を尿道に埋め込んで広げる治療)は、短期的には効果があるかもしれませんが、決しておすすめできません。網目構造の金属が尿道の粘膜に食い込み、そこに肉芽(組織のかたまり)が増殖して、結局尿道が塞がってしまうリスクが高いからです。

ステントを抜く際には尿道を大きく損傷し、かなりの長さの尿道を失うことになります。結果として、尿道形成術で完治するはずだった狭窄をさらに複雑化・悪化させてしまうため、将来的に尿道形成術を検討する可能性がある患者さんには推奨されていません。

Q 尿が出なくなり、救急病院で下腹部から管を入れる「膀胱瘻(ぼうこうろう)」にされました。一生このままですか?
A

一生そのままではありませんのでご安心ください。尿閉(尿が出なくなること)になった場合や、尿道の手術に向けて準備をする際、一時的に下腹部から膀胱に直接カテーテルを入れる「膀胱瘻」は、非常に有効かつ重要な処置です。

膀胱瘻を作ることで尿の逃げ道ができ、ダメージを受けた尿道を完全に「安静」にさせることができます。数ヶ月間尿道を休ませて炎症が治まった適切なタイミングで尿道形成術を行い、手術が成功すれば、膀胱瘻を抜いて再び自力で排尿できるようになります。

Q 専門医を受診したところ、手術の前に「膀胱瘻(ぼうこうろう)」にして尿道を休ませるよう言われました。なぜですか?
A

尿道形成術を成功させるためには、手術の前にダメージを受けた尿道を「完全に安静」にさせることが極めて重要だからです。ブジーや内尿道切開を受けた直後の尿道は、炎症を起こし、正常な組織と傷跡(瘢痕)の境界が曖昧になっています。この状態で手術をすると、瘢痕を取り残して再発の原因になります。そのため、膀胱瘻で尿の逃げ道を作り、最低でも3ヶ月間は尿道を休ませて炎症が引くのを待ってから、正確な検査と手術を行う必要があります。

Q 「尿道形成術」とはどのような手術ですか? 健康保険は適用されますか?
A

尿道形成術は、狭くなった尿道を根本的に作り直す手術です。やり方は大きく分けて2通りあり、狭窄部を切り取って正常な尿道同士をつなぎ合わせる「尿道吻合術」と、狭窄が長い場合などに頬の粘膜(口腔粘膜)などを移植して尿道を広げる「代用組織を利用した尿道形成術」があります。いずれも成功率が80〜90%と非常に高く、海外でも専門医によって行われている世界的な標準治療です。

また、これらの尿道形成術には健康保険が適用されますので、法外な治療費がかかる心配はありません。

Q 60代で前立腺の手術をした後から尿が出にくくなりました。高齢でも尿道形成術は受けられますか?
A

はい、受けられます。50歳以上の尿道狭窄症で最も多い原因は、尿道カテーテルの挿入や、前立腺肥大症・前立腺がんの手術などによる「医原性(医療行為による後遺症)」です。尿道形成術に厳密な年齢制限はなく、全身状態や体力に問題がなければ、高齢の方でも安全に手術を受けていただくことが可能です。実際、多くのご高齢の患者さんが尿道形成術によってカテーテル生活から離脱し、生活の質(QOL)を取り戻しています。

Q 口腔粘膜を採取すると聞いて痛そうで怖いです。顔に傷が残ったり、食事ができなくなったりしませんか?
A

顔の外側に傷が残ることは絶対にありません。術後しばらくは歯科治療後のような痛みや違和感、しびれが残ることがありますが、多くの場合、手術の翌日からはアイスクリームなどから食事を開始でき、1週間程度で普通の食事ができるようになります。半年もすれば傷跡もほとんどわからなくなり、口が開かなくなるような重い後遺症はまず心配ありません。口腔粘膜は丈夫で感染に強く、尿道の代用組織として最も優れた素材です。

Q 尿道形成術の入院期間はどのくらいですか? 退院後の生活で制限されることはありますか?
A

術式や状態によって異なりますが、一般的には1〜2週間程度の入院となります。退院後は普段通りの生活や入浴が可能ですが、一つだけ重要な制限があります。自転車やバイクに乗ることは、術後半年程度は控えてください。サドルが手術の傷口(会陰部)を圧迫し、血流を悪くして尿道の回復を妨げる恐れがあるためです。

Q 尿道形成術を受けると、「尿漏れ(尿失禁)」がひどくならないか心配です。
A

最も頻度の高い「球部尿道狭窄症」の手術において、重度の尿失禁が後遺症として残ることは非常に稀です。

ただし、骨盤骨折などの大ケガによる後部尿道断裂や、前立腺の手術(前立腺全摘や内視鏡手術)の後に起きた狭窄の場合、もともと尿を我慢するための「尿道括約筋」がダメージを受けていることがあります。その場合、尿道の通り道が開通することで、一時的あるいは持続的な尿失禁が現れるリスクがあります。ご自身の狭窄の原因や状態によってリスクは異なりますので、術前に専門医から詳しい説明を受けることが大切です。

Q 尿道形成術を受けると、勃起機能や射精機能に悪影響は出ませんか? 将来子供ができるか不安です。
A

尿道狭窄症そのものが、射精障害や不妊症の原因になることがあります。適切な尿道形成術を受けて尿道の内腔が回復することで、排尿機能とともに射精機能が改善することが期待できます。また、待機的な尿道形成術が勃起機能に悪影響を与えることはないことが調査で示されています。近年では、尿道海綿体の血流や神経を温存しながら行う工夫(ntEPAなど)も進んでおり、過度に心配する必要はありません。

Q 尿道形成術を受ければ「再発(再狭窄)」は絶対に起こりませんか?
A

尿道形成術は成功率が非常に高い標準治療ですが、再狭窄のリスクはゼロではありません(尿道吻合術で5〜10%、代用組織利用で10〜20%程度に起こり得ます)。しかし、尿道形成術では硬い瘢痕(傷跡)を根本から取り除いているため、万が一再狭窄したとしても以前より狭窄が軽く短いことが多く、その場合は単回の内尿道切開やブジーで容易に解決できることがほとんどです。

執筆・医学監修

堀口 明男 医師

堀口 明男

防衛医科大学校 教授 / 医学博士

専門分野
尿道狭窄症、泌尿器外傷、尿路再建外科
所属・役職
防衛医科大学校病院 外傷・熱傷・事態対処医療センター 再建部門 教授
プロフィール

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