JAMA Network Open に Research Letter が掲載されました。
2022年1月から自死理由の集計方法の変更を受けて、実際にどのくらいの影響が出ているかについて調べました。
まず、研究されている先生方におかれましては、自死理由について2022年前後の単純な比較ができなくなったことに留意いただければと思います。
以下、コメント欄に簡単な概要の説明と、数の制約の関係で論文に載せることのできなかった Supplementary Figure も掲載します。
New research reveals changes in Japan's suicide data categorization promise better insights for prevention. The changes in data collection may provide an understanding of reasons for suicide. https://t.co/5uXf0pFV8C @shoei05 @nahonene
— JAMA Network Open (@JAMANetworkOpen) December 15, 2023
2022年1月から自死理由の集計方法の変更を受けて、実際にどのくらいの影響が出ているかについて調べました。
“自殺の原因・動機に関して、令和3年までは、遺書等の生前の言動を裏付ける資料がある場合に限り、自殺者一人につき3つまで計上可能としていたが、令和4年からは、家族等の証言から考えうる場合も含め、自殺者一人につき4つまで計上可能とした。このため、単純に比較することはできない。”
参考: 厚生労働省自殺対策推進室、警察庁生活安全局生活安全企画課. 令和4年中における自殺の状況(pdfファイル) https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/jisatsu/R05/R4jisatsunojoukyou.pdf
解析は折れ線回帰モデルを利用しています。2010年1月から2021年までのデータから「集計方法が変更しなかった場合」のシミュレーションプロットを作成しています。
2022年1月から集計方法変更の影響が明白になっており、自死の理由に関して、2022年前後の単純な比較ができなくなったことを示しています。
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https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2812888
こちらは、Figure/Table数制限の関係で、掲載できなかったSupplementary Figure です。サブカテゴリでも2022年1月で level change を認めており、同様の結果であることがわかります。
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2022年前後の単純な比較ができなくなった一方で、「理由不明」は減少しており、中長期的にみれば、今回の変更は、現代の自死の理由について考察する上で役に立ってくるだろうと推察されます。今回の集計方法変更により、今後、さらなる要因解明が進むことを願っています。
Harada N, Koda M, Nomura S. Early Outcomes of Changes to Collection of Suicide Data in Japan. JAMA Netw Open. 2023;6(12):e2347543. doi: https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2023.47543