一般の方へ

本ホームページは、ノーヒットゾーン運動という、病院発信の暴力/体罰防止の取り組みを進めていくため、医療者向けに用意した内容となっています。一般の方を対象とした、体罰防止に向けた啓発を目的とする情報に関しては、以下のリンク先をご参照ください。

FAQ

導入に際し、費用が掛かるのではないでしょうか?

デューク大学の研究によれば、NHZ(ノー・ヒット・ゾーン)を導入しようとした医療者は、その際に、割ける人員や時間はないといった反応や、使用できる予算はないとの反応を経験していた、と面接調査で回答しています。
しかし実際に導入した病院からの報告で、導入にはそれほどのコストはかからないことが実証されています。ノートン小児病院の導入経験では、実際にかかった初期費用は、4000部のパンフレットと1000部のビニール製の標識と12 枚のポスター代金のみで、計1844 ドルしかかかっていないと報告されています。
NHZ の導入はできることから始めればよく、有志で勉強会を立ち上げるなどのスモールステップから始め、段々と包括的な体制に成熟させていけばよいのです。
NHZ を実際に導入するためにかかる時間は施設により異なりますが、既にNHZ を導入している施設と連携を図り、各種の資料を共有することで、導入に際する時間も大幅に削減することができるでしょう。

実際の運用に至るのは難しいのではないでしょうか?

NHZ(ノー・ヒット・ゾーン)を導入する第一歩は、施設内でコンセンサスを形成することにあります。病院によっては、管理者の公的な承認を得ようとすると、かえってNHZの導入が遅れてしまうこともあり得ます。NHZの導入の説得に行くときに、既存のNHZ導入施設の経験に焦点を当てて説明をしたり、「暴力に反対するということはこれまでの施設ポリシーとも合致するものである」というように現状の病院指針との親和性について言及すると、管理者の同意が得られやすくなるでしょう。
NHZを導入する上でのリーダーシップを発揮する人物がいることがなにより重要です。患者や地域住民の心身の健康についての責任を負うべき施設の使命に合致すると、NHZの理念につき、総論的な部分で反対する人は誰もいないはずです。定期的な会合を持つことで、導入に向けた機運を立ち消えさせずに継続的に努力を進めていけば、必ず導入することはできるでしょう。

親の懲戒権への侵害だと非難されるのではないでしょうか?

施設というのはどこでも、携帯電話の使用を禁止したり、大声を出すことを禁止するなど、個人の行動を制限するようなポリシーを数多く採用しています。NHZ(ノー・ヒット・ゾーン)が制限するのはあくまでも施設の敷地内での行動のみです。NHZ運動では、体罰の持つ有害性について親に情報を提供する努力をしていますが、体罰を行った親にペナルティーを科すものではありません。
早期にNHZを導入した施設は、導入後のバックラッシュ(反対する動き)を警戒してはいましたが、地域社会からのそのような抵抗はほとんど、もしくは全く受けていないと報告されています(Mastrangelo, 2018)。
NHZを導入しようとする施設が明確なポリシーを明示し、「過剰な虐待通告がなされ、親子分離されてしまうのではないか?」といった市民からの懸念について解消するような対応を明確に行う限り、そのような反対運動が生じる可能性を最小化することが出来るでしょう。