免疫代謝を制御するlong noncoding RNA: lncFAO

200塩基以上の長さをもちタンパク質をコードしないlong noncoding RNAが多数同定されています。多くのlncRNAは細胞特異性が高く、細胞に固有の機能を持つことが示唆されていますが、その機能はほとんどわかっていません。今回私達は、マウスのマクロファージに特異的に発現するlncRNA、lncFAOを同定しました。マクロファージは炎症の開始から、その収束と組織修復まで多彩な機能をもって主要な働きをします。炎症ならびに組織修復が時空間的に適切に制御されなければ、炎症の慢性化、組織の破壊、あるいは過剰な組織構築の改変(リモデリング)をもたらします。マクロファージが適切にその機能を炎症促進から炎症収束へと変えることは、炎症の制御と組織機能の回復に必須であり、この機序を理解することが求められています。lncFAOは炎症応答の後期に発現が誘導され、脂肪酸燃焼に重要な酵素に結合し、その酵素機能を活性化します。lncFAOによる脂肪酸酸化の活性化は、細胞代謝と炎症機能制御の連結機序(細胞免疫代謝cell immunometabolism)を介して、炎症の収束を促します。

lncFAOによるマクロファージ細胞免疫代謝の制御
lncFAOによるマクロファージ細胞免疫代謝の制御

Proc Natl Acad Sci USA